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桜舞い散る4月。
真新しいブレザー制服に身を包む黒髪の少年が走っていた。
「南雲君!こっちこっち!」
少年の名を呼んだのは、同じ学校の女子制服に身を包んだ腰まで届くほどの長い黒髪が特徴の美少女。
「白崎さん!お待たせ!」
「ううん、私も今来たばかり」
そんなたわいも無い会話をしながら歩いているのは『南雲ハジメ』と『白崎香織』。
二人は入学試験を無事に終え、南陽高校に向かうべく二人で歩いていたのだ。
「ついに高校生かぁ…まさか白崎さんと一緒の高校に行くなんて去年は想像してなかったからな…ひょっとしたら別の公立校を受験してたかもだし」
「もしそうだとしたら、私達は顔を合わせることも無かったのかも…でも、想像つかないな」
二人で通学路を歩く最中、香織はハジメの服装を見て足を止める。
「もう、ハジメ君ネクタイ曲がってるよ?」
「え?あぁ…やっぱ中学まで学ランだとどうも慣れない…」
苦笑いするハジメだが、香織はハジメのネクタイを直そうと手を伸ばす。
「し、白崎さん!?」
「じっとして!ちゃんと直してあげるから」
真剣な表情でハジメのネクタイを直している香織だが、ハジメはどうもそわそわしている。
その理由は………今いる場所には他にも生徒が何人もいる中で行われているというのが理由だ。
(め、めっちゃ注目集めてる………)
恥ずかしかったものの、真剣な表情で顔を近づけてくる香織を振り払えるはずもなくハジメはなすがままになっている。
「これでよし!じゃ、早く行こう?」
死ぬほど恥ずかしかったが、彼女の好意に文句を言えるはずなどなくハジメは香織と一緒に学校へと向かうのだった………
――――――――――
入学式が終わって一週間。
ハジメと香織は部活動の勧誘に引っかかりそうになりながらも目的の模型部に向かった。
「おや、お二人が一年生の中では一番乗りだったようだね」
メガネをかけた女子生徒がハジメ達の姿を見て微笑む。
どうやら何人かの先輩達はすでに部活をスタートさせているようだった。
「こんにちは、リジェネ先輩」
ハジメ達に声をかけてきたのは模型部部長の『御神瑠美』。双子の弟『御神裕』と共にガンプラバトルでは大暴れしているが、基本的に穏やかで新人ビルダーにも優しい部長である。
「とりあえず今日の部活の課題だが…近々街で行われるGVRの小規模大会参加者はバトルシミュレーターを使っての訓練。不参加の場合はプラモデル交流会用の展示品の完成。どっちをやるかはそこのホワイトボードに名前を書いておいてくれ」
「「はい!」」
香織もハジメもお互いに頷き、交流会の方に名前を書く。
「ほう、君がバトルを選ばないとは珍しいな、南雲ハジメ」
「あ、ティエリア先輩…たまには交流会で初心に戻ろうかと思いまして。しばらく大会用の装備とかにも行き詰ってますし…」
因みに裕はその外見がガンダムOOのティエリア・アーデに似ていることから『ティエリア先輩』のあだ名がつけられており、瑠美は『リジェネ先輩』とたまに呼ばれている。
そんなやり取りをしていると制服を着崩したどことなくチャラい雰囲気の生徒が入室する。
「おい~っす。ってもう一年来てるのかよ…」
「遅いぞロックオン。お前のクラスはもうとっくに授業終わっていたと聞くが?」
ロックオンと呼ばれた男…『三木誠二』は苦笑いしながら答える。
「あー…ちょっとアニューとデートの約束を…」
後輩たちにまでため息をつかれ、誠二は笑顔が引きつってしまう。
「…あれ?そういえばソーマ先輩とアレルヤ先輩たちは…?」
「ああ、他の皆は今日部活休むってさ。サジ達とアレルヤ達はそれぞれデートで刹那は…急ぎの用事としか言ってなかったわ」
そんなやり取りをしていると再び部室の扉が開き、よく知った2人が来る。
「「「すいません、遅れました!!」」」
口を揃えて謝罪してきたのは香織の幼馴染である『八重樫雫』とハジメの親友『龍峰大翔』。
さらにハジメのクラスメイトでもある『清水幸利』も一緒に入ってくる。
「いや、これからミーティングしようと思っていたから大丈夫だよ」
「…八重樫雫。その様子だと、『また』だな?」
「………ええ。何とか振り払ってきました」
どことなく疲れた顔になった雫の事情を察する一同だが、そのままミーティングが始まるのだった…
――――――――――
その後、香織とハジメは交流会向けのプラモデルを探すべく模型屋を巡っていた。
「…ねえ南雲君。雫ちゃんの事なんだけど…」
「わかってる…『天之河君』のことでしょ?」
天之河光輝。香織達の幼馴染であり、ハジメにとっては一番『厄介』と見られている存在。
入学してすぐに好成績と高い運動能力を見せ、鳴り物入りで剣道部に入部。
爽やかな言動とそれに見合う実力から先生、生徒に信頼を寄せられている彼だったのだが、彼は事あるごとに雫と香織を剣道部に勧誘し続けていた。
「雫ちゃん、家族の皆からは『自分のやりたいことを好きなだけやってほしい』って言われて模型部に入ったのに…」
雫がこれまで剣道や実家の『八重樫流剣術』をやってきたのは家族の期待に応えるためであり、それでも香織のお陰で剣術に勤しみながらも香織直伝でのファッションなどは楽しんでいた。
だが、ハジメ達とGBNをプレイしたことをきっかけに雫は自分が剣術以外にやりたいことができたと家族に話し、反対されるどころか大手を振って背中を押してもらえたのだという。
だが、それに唯一反対を続けていたのが幼馴染の光輝だった。
「…『雫にはプラモデルなんて似合わない。高校でも一緒に剣道をしよう』って…私も、マネージャーになるように誘われるし…」
かつて香織は最初に自分の手で作った『HG ガンダムエクシア』のプラモを光輝との諍いで壊してしまったことを思い出し手を強く握る。
「気にすることないよ。白崎さんも八重樫さんも、自分の意思で入部を決めたんだもの。それを勝手に否定する権利なんて誰にもない」
香織と手を繋いだハジメがそう言うと、少しだけ香織も元気を取り戻したのか小さく笑う。
「…ありがとう」
「どういたしまして」
不安な気持ちを紛らわそうと香織はハジメの手を少し強く握り返し、2人は店に向けて歩き出す。
「今回の交流会、たまにはガンプラ以外も作ろうかと思うんだけど何がいいかな?」
「うーん…じゃあ、たまにはかわいい系のプラモなんてどう?南雲君、ガンプラ意外だとミリタリーとかばかりだし…」
「か、かわいい系かぁ………そっちは白崎さんの方が僕より詳しいだろうし、御教授お願いします…」
一緒の学校で一緒の部活。共に登下校をしたいというお互いの内に秘めた小さな願いは叶った。
だが、そこから先に進むのはまだ彼らには厳しいのかもしれない。
(まだ今は友達だけど…)
(大丈夫。時間はある。だから…)
((これから…ゆっくり時間をかけて…))
――――――――――
翌日。
雫は光輝との話し合いに決着をつけるべく向かい、ハジメ達は雫からの『部室には先に行ってて』という言葉に大人しく従い、ずっとソワソワし続けていた。
「いや、3人とも落ち着きなよ…」
「アレルヤ先輩…こいつらに今何を言っても無駄っすよ」
先輩の一人『アレルヤ先輩』こと『吉原或斗』がハジメ達にやんわりと注意したものの、こうなった以上事が解決するまで止まらないと知っていた清水が小さくため息をついていた。
「まだ顔合わせて一週間しか経ってないけど、こいつら八重樫のことが絡むとうざいくらいに落ち着かなくなるんですよね…それだけはわかってきました」
「だって雫ちゃんが心配ですし…」
「天之河君のしつこさは白崎さんから聞いて不安ですし…」
「雫一人にしたのがどうにも…」
「「「姉弟かお前らは!?」」」
瑠美、誠二、清水が思わずツッコミを入れたくなるくらいには3人とも似通った答えを返してきた。
そんな中で不安に苛まれていると…
突然、模型部の扉が乱暴に開かれる。
「っ!?」
一同が驚く中、入ってきたのは雫と…
「天之…河…!?」
光輝の来訪に一同がギョッとするなか、光輝は乱暴に机を叩いて瑠美に叫ぶ。
「あなたがこの部の部長ですね!
雫を解放するため、俺と勝負してください!」
光輝の発言に静まり返り…
「………どうしてこうなったの…?」
ハジメの呟きに答える人は誰一人いなかった…
To Be Continued…
模型部ガンプラ紹介
①セラガルムガンダム
御神瑠美が使うガンプラで、ベースはガルムガンダム。
バックパックにセラフィムガンダムを取り付けており、戦闘不能になればそちらに切り替え可能。
武装については変更されておらず、カラーは紫をベースに塗装されている。
機体の設定については『ミストラル0』さんに協力していただきました!ありがとうございます!