できる限りハジカオ要素入れながら進めたいと思います。
感想、評価が作者の力になります!
光輝の殴り込みから数十分後。
彼を止めるべく剣道部の主将『大川原剣城(つるぎ)』が部室に駆け込み、瑠美から事の次第を聞き出した。
「…なるほど。天之河の要求はそちらの部員である八重樫雫、及び白崎香織を俺達剣道部に引き抜くと…」
「引き抜きじゃない!元々雫は剣道をやってて、香織も中学の時はマネージャーとして来てくれたんです!だから―「あの、少し落ち着いてくださいね?これじゃ話が進まないので…」…」
間に入って光輝の言葉を遮ったのは部員の一人でもある『藍那涼子』。
誠二の彼女であり、ニックネームは『アニュー』である。
「………正直、天之河が来なくても八重樫さんを剣道部として勧誘したいのは事実だ。マネージャーの数は十分にいるから白崎さんまで誘うつもりはないが、彼女の実力はすでに何度も見ているからな」
「…つまり、そちらは八重樫雫の勧誘をこれからも行うと?」
「もちろん模型部を一方的に辞めさせるつもりはない。兼部でも構わないし、優先するならそちらを優先してもいいが…」
剣城の言葉に雫は首を振る。
「いえ、兼部をするつもりはありません。片方を疎かにするような真似は、私の習っている八重樫流の教えに背くもの。模型部にしても剣道部にしても、私は一つの部活に真剣に取り組みたいと思い、今回は剣道部への入部を辞退していました」
確固たる信念を持った雫の言葉にお手上げと判断した剣城。
対照的にニコニコとしてとびっきりの笑顔をした涼子と香織、そして少しだけ微笑む裕だったが…
「…いや、そんなことあるわけじゃないか!」
それでもなお、光輝は食い下がる。
「だって、ずっと一緒にいたじゃないか…一緒に剣道をして、これからもずっと…」
その様子に不安を覚えた一同だったが、突然扉が開かれる。
「話は聞かせてもらったぜ、大川原」
「三木先生…宮守…!」
入ってきたのは誠二の兄にしてこの模型部の顧問『三木宗一』と、模型部のエースと言われるファイター『宮守刹那』。
「要するにそこの新入生君は幼馴染の女の子が自分と同じ剣道部に入ってくれないのがどうしても納得いかない…と?」
「だってそうじゃないですか!俺たちはずっと一緒にいて、これまで上手くいってたのに…急に高校に入ったら模型部なんてものに入りたがって!」
キッと光輝は視線をある人物…香織にガンプラを教えたハジメに対して睨みつけるように視線を移す。
「南雲と龍峰が二人を無理矢理模型部に入れさせたって、俺はクラスで聞いたんだ!だから…」
このままでは埒があかないと判断した宗一だが、刹那が前に立つ。
「…ならぶつかればいい。ここは模型部だが…同時にお互いの技量と想いをぶつけ合う、ガンプラバトルという勝負の舞台がある。南雲が気に入らないのなら、お前が南雲とガンプラバトルを行い勝利すればいい」
その提案に驚く光輝。
「な、何を言ってるんだ!どうして俺がそんな玩具のバトルなんかしなきゃいけない…そんなものより、剣で勝負すれば…」
「それはいささかアンフェアじゃないのか?天之河光輝」
裕の言葉に光輝が思わず止まる。
「聞いたところ君は中学時代からすでに剣道の有段者というじゃないか。対して南雲はガンプラファイターとして必要な運動神経こそあるにはあるが、実際に剣道などやったことはない。有段者対素人など…それでは君が自分に有利な条件をつけて戦いを強要しているようにしか見えないのだが」
そう。光輝は小学生の頃から剣道をしていただけありその実力は高い。
さらに彼自身の類稀なる才能もあってか、中学時代に都大会を優勝して全国大会でベスト4に残るだけの実力も備えている。
「だからガンプラバトルでの決着を提案した。ガンプラバトルは基本的にファイターの腕前だけでなく、使う機体の性能差も勝敗に対してのアドバンテージになりえるからな」
刹那はそう言いながら近くの棚から積んでいたプラモ…部内での課題用に準備されたプラモデルを一つ掴むとそれをハジメに渡す。
「南雲…お前はこれを使え」
「これって…リーオー?」
刹那が渡したのは『HGAC リーオー』のキット。それも通販限定販売がされていた飛行オプション付やフルウェポンセットではなく、一般販売されているタイプのキットだった。
「そいつを素組みで作り天之河光輝とのバトルに挑め。行っていいのは簡単なスジ彫りとスミ入れだけで、塗装や合わせ目消しは禁止。あと武装についてはキットに付属している装備とバトルステージで入手可能なアイテムのみ。それがお前に課すハンデだ」
そう言うと、刹那は光輝に対して語る。
「天之河光輝。お前はうちの部で作った作品の中から好きなものを自由に選んでくれて構わない。詳しいスペックが聞きたければ後でリジェネに聞くなりしてもいいし、武装についてもお前が自由に組み替えてくれていい。機体スペックに関しては実際にお前自身が使って判断したほうが早いが…」
その説明にやや不満そうな光輝だったが、ハジメが先に答える。
「…わかりました。その勝負、受けて立ちます!」
――――――――――
翌日の放課後。
部活は休みとなり、ハジメと香織は今回の勝負用に準備したリーオーのテストをするため、GBN(ガンプラバトル・ネクサス・オンライン)にログイン。
いつものザフトレッドの服装をしたハジメ(ダイバーネーム、サウス)と白と紺をベースにした聖女のような服装の香織(ダイバーネーム、カオリ)はミッションを探しながら会話をしていた。
「サウス君、今回はリーオーの試運転だけど…やっぱり短時間で終わる一騎打ちなんてどうかな?ほら、今日はガンダムファイトにちなんだイベントやってるし」
カオリが示したのはたまに行われるミニミッション『お前にガンダムファイトを申し込む!』。
Gガンダムの前半戦でもある『サバイバルイレブン』で現れ、惜しくも予選落ちしてしまったガンダム達の誰かとランダムで戦えるというミッションであり、運が良ければ倒したガンダムの武装が報酬パーツとして入手できるのだという。
「なら…これにしてみるかな」
そう言ってサウスは参加ボタンを押そうとするが…何かに気がつき手を止める。
「な、何かな…?」
いきなりサウスが手を止めたことで少し驚くカオリ。
「…カオリさん、やっぱり無理してたり?無理に笑顔作ろうとしてても、疲れてるというか辛そうなの、伝わるよ」
「…もう、君の前じゃごまかせないか」
そう言うとカオリはサウスに寄りかかる。
「………今日、光輝君の一件でまたサウス君…ううん、ハジメ君に迷惑かけちゃったなって」
「迷惑だなんて………」
サウスの言葉にカオリは首を振る。
「エクシアの時もだけど…私も雫ちゃんも龍峰君も、皆が自分の意思でガンプラバトルをやりたいって思ったから…私達はここにいる。なのに…どうして伝わらないんだろう、どうして私達のことを理解しようとしないんだろうって思うと…頭の中がぐちゃぐちゃになって…」
光輝の暴走で香織はハジメと離されるのではないかと薄々危惧していた。
どうにかそれは回避できたものの、次の戦いでハジメが負けてしまえば今度こそ2人は離されてしまう。
「…大丈夫。僕は負けるつもりなんてない」
光輝が初心者とはいえ、向こうは模型部が本気で作ったガンプラに対しこちらは素組みのリーオー。
手の内も全て明らかな上、光輝の適応力を考えれば一週間でガンプラバトルの技術を物にしてもおかしくないのだ。
「確かに厳しい戦いになるかもしれない。でも僕は…」
香織達の顔を思い出し、サウスは拳を握る。
「カオリさん達ともっと一緒にいたいから…だから、今回の戦いも絶対に勝つよ」
「………わかった。信じてるからね…?」
カオリの言葉に頷いたサウスは、エントリーボタンを押すのだった…
――――――――――
一方その頃。
剣城から「決着がつくまで部活には来なくていい」と言われ、光輝は瑠美と共に部室内のガンプラを一つ借りるべく誰もいない模型部の部室を訪れる。
(あと一週間…それまでに操縦を覚えて、南雲に勝つ。そして…香織達を取り戻す!)
そんな中、光輝に対していくつか質問をする瑠美。
「ねえ天之河君。とりあえず君に合ったガンプラを見つけたいからいくつか質問させてもらうけど…君、接近しての戦いの方が得意?」
「ええ、そりゃあ…」
瑠美はタブレット端末を取り出し、何かを入力する。
「じゃあ、次の質問。使うとしたらスピードが速い格闘戦型と、高い防御力を持って相手を制圧するタイプのどっちがいい?」
「…じゃあ、格闘戦で」
その後もいくつかの質問を繰り返し、やがて瑠美は最後の質問を行う。
「…じゃあ最後の質問。ジオン系とかのようなモノアイのガンプラと、ガンダムタイプ…どれがいい?」
その質問に対して光輝は迷うことなく…
「ガンダムタイプを…お願いします」
それを聞いた瑠美は小さく笑い、棚の中から一つのガンプラを光輝に渡す。
「それをしばらく貸してあげるよ。君の要望通り格闘型だけど、物理攻撃への耐性がとてつもなく高いハイスペックな機体だ。名前は…
『インフィニットジャスティスガンダム』。無限の正義を冠した名前なだけに、君にはピッタリじゃないか?」
ピンクがかった1体のガンプラを瑠美は光輝に差し出し………
「…なら、遠慮なく使わせてもらいます」
光輝は『無限の正義』を受け取るのだった……
模型部ガンプラ紹介
②ケルディムガンダムダブルブラスト
三木誠二が使うガンプラで、ベースはケルディムガンダム。
GNスナイパーライフルの代わりにビームライフルショーティを装備し、こちらは威力が大きいがやや取り回しに問題あり。
早撃ちをするときはGNビームピストルを使い分ける。
また、シールドビットとライフルビットをそれぞれ4つずつ使い分ける。