ピピピという簡素な着信音で目を覚ます。眠いが携帯を取り出し、出る
『ゆうくん? 今日学校くる間にプリン買ってきて〜』
甘い、猫なで声が聞こえてくる。
「……なんで?」
『だってゆうくん。こないだ蜜のノート借りたじゃない。だから蜜のお願いも聞いて欲しいなって』
電話の相手は
僕と同じく『魔術』側の人間だ。
「わかったよ。はぁ」
着信を切って寝ぼけ眼をこすり、体を伸ばして一言
「あーめんどくさい」
「何か言いたいことはあるかな? 桐ケ谷くん?」
教室に入ると僕の席の前に絆創膏を貼った上条がいた。
「おー無事だったのか上条」
「何が無事だ!」
「レベル5に追いかけられてそれなら十分でしょ」
まぁ"幻想殺し"だっけ? 異能を打ち消せる右手があれば余裕だったはずだし。
「上やんも相変わらず不幸だにゃー。まぁそれに巻き込まれるキリやんも大概だけどな」
「上やんは幸運を引き替えに女子とのフラグを立てるから不幸といっていいのかわからへんけどな」
上条と僕が話しているのをみて金髪のグラサン男、土御門元春と青い髪の変態、青髪ピアス(本名不明)が近づく。
「まぁ、僕が一番の不幸ってことで。あれ、蜜まだきてないの?」
「ああ、みーちんなら――――」
「ここよ。ゆうくん」
後ろにやわらかい重みを感じた。
「……重いよ、蜜」
「つれないわねぇ。蜜、涙が出ちゃう」
でかい胸を押しつけてくる蜜を背中から離す。蜜は自慢だというピンクの髪をいじりながらウソ泣きをしている。
正直ウザい
「ほら約束のプリン」
「わーい。ありがと。……あれ?」
ん? なんか問題があったのか?
「ゆうくんこれ何? 」
蜜が取り出したのは『超濃厚ミックスオレオレ!!』とラベルされた缶ジュースだ。
「ん? おまけ。お前好きだろそれ」
プリン買ったときに近くに売ってたからついでで買ったんだが……だめだったのかな?
「……おまけって、あれ高い奴だよな?」
「1缶2000円するはずだぜい」
「さすがゆうやん、ボクたちにできないことを平然とやってのける」
「「「そこに痺れる憧れるぅぅ!!!」」」
デルタフォースが騒ぐ。うるさい
「ゆうくんったらマジイケメン!! お礼にチューしたげる!」
蜜が口を突き出しながらこちらに向かってくる、もちろん避ける。避けた先には机があるのでもちろん激突する蜜。
「はーい静かにしてくださいね~HR始めますよー」
それと同時に入ってくるこのクラスの教師、月詠小萌。見た目は小学生だがれっきとした教師だ。
「うわー! 蜜ちゃん大丈夫ですかー!?」
「ふふっ……これもゆう君の愛の形……」
上条、土御門、青髪、蜜、僕が騒ぎ、小萌先生がそれを見てあわてる。
いつもの光景だ。
授業も無事終了し、帰りの準備をしていると蜜に話しかけられた。
「ねぇゆうくん。今日の放課後これ行かない?」
そういって渡してきたのはクレープ屋のチラシだった。
「このゲコ太ストラップ、欲しいのよ。二人分」
指さされた箇所を見てみると”100名様にゲコ太ストラッププレゼント!”と書かれていた。
なるほど、蜜はこのカエルほしいのか。
「用事もないし、いいよ」
「おっ二人ともデートですかい? お熱いにゃ〜」
土御門がにゃあにゃあいいながらからかう。
おい、青髪。中指立てんな。僕と蜜はそんな関係じゃないから
「やっだぁー!土御門ったら~」
蜜は土御門のからかいに照れているようで青髪に気づいていない。……気づいていたら青髪の指折られていたろうなぁ。
「うわー並んでるわね〜もらえるかしら」
チラシに書いてあった場所に来るとものすごい行列ができていた。この行列はストラップが目当てなのかそれともクレープが目当てなのかどっちだろう。
まぁとりあえず僕が思ったことはひとつ--
「……めんどい」
「美人と一緒に並べるんだからいいじゃない」
「あー! あなたは!」
並んでいると後ろの方から大きな声がした。後ろを振り返るとそこには花の髪留めを付けた女の子がいた。
「ん? 昨日の女の子か。こんにちは」
「こ、こんにちは」
「あれ~ゆうくん知り合い~?」
「昨日絡まれていたところを少しね」
「ふーん。珍しいわね~ゆうくんが見ず知らぬの人を助けるなんて」
そんなことない。僕に得があれば見知らぬ人でも助けるさ。
「昨日は本当にありがとうございました!」
女の子が頭を下げる。それと同時に彼女の後ろにいた人物と目が合う。
「……あんたどこかで会ったような……」
「気のせいでは?」
超電磁砲、御坂だ。幸いにも彼女はこちらのことをあまり覚えてはいないようだ。
「次の方~」
「あら、意外と早かったわね」
蜜と僕がクレープのトッピングを選び、カエルのストラップをもらう。
「はい、これが最後です」
直後、後ろから倒れるような音が聞こえたので振り返ってみるとそこには四つん這いになって落ち込んでいる御坂の姿があった。
「どうしたの? 彼女」
「あはは、欲しかったみたいですよこれ」
そんなに人気なのかこのカエル
「あの、御坂さん。よかったらどうぞ」
「いいの!?」
少女がストラップを御坂に渡すと御坂は目を輝かせ立ち上がった。
「では、これで。あ、そうだ約束のことなんですが」
「ん? そうだね……しまった考えてなかった」
「それでしたら、私とアドレス交換しましょう。思いついたら連絡ください」
お互いにアドレスを交換し、女の子は友達だと思われる子に走っていく。
「ゆうくーん。約束って何?」
「何でもしてくれるんだって」
「へぇー。あ、このクレープおいしい。ゆうくんのは……」
「あげないよ?」
僕が頼んだのはプリン+シナモン+ジャム+生クリームたっぷりのクレープ。僕は自他ともに認める甘い物好きだ。
「……いらないわ。舌の感覚なくなりそうだし」
失礼な。おいしいのに!
抗議しようとした瞬間、どこかから爆発の起きる音が聞こえた。
煙が晴れるとシャッターの中からいかにも強盗ですといった格好をした三人の男が現れた。
「うっわ。強盗? 熱い中よくやるわねー」
「どうするの? 捕まえるの? 僕は嫌だよ?」
「蜜だって嫌よ。あんな奴らに術式を発動させるなんて」
この場から離れようとした瞬間、御坂の友人であろうツインテールの少女が強盗の前に向かって行くのが見えた。
「……運が良ければ。超電磁砲というやつを見せてもらえるかもね」
僕と蜜はベンチに座り強盗と少女のやり取りを見ることにした
今日、私佐天涙子はは友人の初春とその友人の白井黒子さん。そして白井さんが尊敬してやまない御坂美琴さんと一緒にクレープを食べに来ている。
正確に言うと最初はクレープを食べる予定ではなかったんだけど御坂さんが特典である『ゲコ太ストラップ』を欲しがっていたので食べに行くことになった。
別に私は甘いものは嫌いじゃないからいいんだけど……なんか意外だったな
レベル5って聞くとどうも嫌なイメージしかわかなかったからね。
しかもお嬢様学校の常盤台、正直会うのが嫌だった。まぁ実際会ってみるとお嬢様って雰囲気ではなく私たちみたいな普通の人と同じ感じだ。
「うっわ結構並んでますね」
とりあえず私、御坂さんがクレープ屋さんに並んでいる。白井さんと初春がベンチを取りに行ってる。
「……めんどい」
「美人と一緒に並べるんだからいいじゃない」
前からどこかで聞いたことがあるような声が聞こえた。
そして、思い出した。
「あー! あなたは――――」
「ん? 昨日の女の子か。こんにちは」
「こ、こんにちは」
「ゆうくん知り合い?」
昨日助けてくれた人だ。昨日と同じでダルそうな雰囲気醸し出してるなぁ。隣にいるのは彼女さんかな?
……デートかな?。
「昨日絡まれていたところを少しね」
「ふーん。珍しいわね~ゆうくんが見ず知らぬの人を助けるなんて」
その代り何でもいうことを聞くことになっちゃいましたけどね
「昨日は本当にありがとうございました!」
とりあえずお礼をしてなかったことを思い出し慌てながらも頭を下げた。
その私の様子を見て長い行列にイライラしていた御坂さんもこちらに気づく。そして青年を訝しげに見つめる。
「あんたどこかで会ったような……」
「気のせいでは?」
「次の方~」
クレープ屋の店員さんの声を聞き、いつの間にか列がだいぶ進んでいたことに気づき、彼女さんがクレープを選び始める。そして彼女さん、昨日の人がゲコ太&クレープをもらい私の番が来た。
「はい、これが最後です」
「はい、……えっ? 最後?」
その言葉と共に私の後ろで御坂さんがものすごく落ち込んでる。なんか「ゲコ太……ゲコ太」とつぶやいてる正直怖い。
「よかったらあげますよ」
「いいの!?」
私の言葉を聞いて目をキラキラさせる。
「ふんふんふーん♪」
御坂さんが鼻歌を歌いながらベンチに向かう。
「ふぅ」
「御坂さんって想像と違いますね」
「うん。お嬢様、ではないし。上から目線でもないみたい」
「なんであそこ、こんなお昼にシャッターが下りてるんでしょう?」
「これって――――」
「お姉さまと佐天さんはここに!」
そういって白井さんは爆発の起きた方向に向かう。初春の方を見てみると警備員だろうか? どこかに連絡をしている。
「白井さんって強いんですね」
「まぁね」
「いまこの広場から出ちゃダメですって!」
「子供が一人いないんです!」
「手分けして探しましょう。初春さんはあっち、私はこっちを」
「私も! ……私にも手伝わさせてください」
私だけ何もできないなんて……それは嫌だ!
自分に気合を入れ辺りを見回す。すると探しているだろう子供を見つけた。……強盗も一緒にだが。
御坂さんや初春に声をかけようとしたが強盗は今にも子供を連れ去ってしまうかもしれない。そう考えると私の体は強盗に向かっていた。
「何だてめっ! 離せ!!」
「だめぇ! 連れてかせない!」
子供を抱え強盗から触れさせないようにする。強盗はしびれを切らしたようで、私の顔を蹴り用意していたであろう車に乗り込んだ。
うぅ、蹴られたところ痛いけど子供を守れてよかったぁ……
私が安心していると御坂さんが私の横に立ち、右手を構えていた。
「御坂さん?」
何をする気ですか? そうたずねようとした瞬間。彼女の右手からオレンジ色の光が見え、そしてその光は強盗の乗った車めがけてまっすぐに飛んでいった。
「……うわぁ」
御坂美琴。通称”超電磁砲”。おそらく彼女はその代名詞である超電磁砲を飛ばしたのだろう。
「レベル5って、すごいなぁ……」
私は誰に言うわけでもなくただ、つぶやいた。
その後、白井さんが捕まえた二人と車で逃げようとした強盗はアンチスキルに連れていかれていった。
「大丈夫?」
気遣いの声をかけてきたのは昨日の男性だ。
「はは、なんとか。でも見てたんなら助けてくださいよ~」
昨日みたいにパパッとやってくれたなら私も蹴られなくて済んだのに
「僕に得がないからね」
「はい、女の子の顔に傷つけるなんて最低ね」
彼女さんに水でぬれたハンカチをもらい蹴られた部分をふく
「ありがとうございます。えっと」
「華月蜜よ蜜でいいわ」
「ありがとうございます蜜さん。それに……」
「そういえば名乗ってなかったね。桐ケ谷憂鬱だよ」
「佐天涙子です」
「佐天さーん。大丈夫―?」
御坂さんの声が聞こえる。
「じゃあ僕らはこれで」
「また会いましょうね~」
そしていつの間にか二人はいなくなっていた。
「あ、ハンカチどうしよう」
「正直どうだった? 超電磁砲」
佐天たちから十分離れた後蜜が僕に聞いた。
「威力はまぁまぁ、ただ直線的。まぁ彼女全体の能力の応用性を考えればさすが第三位ってところだね。たぶん砂鉄なんかも操ることも可能だし、磁力による緊急回避もできるんじゃない?」
「同タイプの能力との戦闘はどうなるのかしらね」
「さぁ? そこまでは興味わかないよ。僕たちがアレイスターに頼まれたのは上条当麻のプランからのズレの修正だし。常盤台については別の担当がつくでしょ」
女子たちの空間に行くのはさすがに嫌だしね
「能力開発を受けてない私たちじゃ常盤台には入れないしね」
蜜は僕の携帯を見つめて不満そうな目を向ける。いったいどうしたのだろう。
「それより、ゆうくん。ストラップつけないの?」
「めんどくさい」
うまくつけれないんだもん
「まったく、ほら」
蜜は僕の携帯を奪い取り、パパッとストラップをつける。
「ん、ありがと」
「もっと感謝してもいいのよ――――ん? だれかしら」
蜜の携帯に着信が入る。
「もしもし?」
『あ〜”色欲”ですか〜』
間延びしたような声が携帯から漏れた。電話の相手は学園都市の"裏"の人間。名前、顔、年齢などは一切不明、僕たちは"マネジメント"って呼んでるけど
「……仕事かしら?」
蜜がすごい嫌そうな顔してる。
『いえいえ〜。学園長からの連絡です。”明日の朝、話があるので集合してほしい”だそうです〜。ほかのメンバーも近くにいたら連絡しといてくださいね〜』
「だって」
「……めんどくさい」
明日はせっかくの休みなのに……