赤い髪をした女性に案内された場所は窓のないビル。ここに来たことは何回かあるが、どうにもこの暗さには慣れが来ないようだ。
「ふむ、すまないね急に呼び出したりして」
液体の中にさかさまの状態の人物に話しかけられる。
こいつが学園都市の総括理事長。アレイスタークロウリー。僕たち”大罪”の雇い主でもある。
「っていっても集まったのは僕と蜜と
「最低限"怠惰"と"憤怒"が集まればいい」
「あら? 私は来なくてもよかったのかしら?」
蜜が少しイラついたような声でアレイスターをにらむ
「君は怠惰と同じ任務をしているからね」
「超電磁砲と幻想殺し、アイテム、一方通行に監視をつける」
「……幻想殺しとアイテムにはすでについてるけど?」
「ああ、だから正確に言うと超電磁砲と一方通行に監視を追加するということだ」
「なら……帰ってもいいですか……? 私……麦野さんにシャケ弁……買うよう頼まれてるんです……」
椎はおびえたような声でアレイスターに頼む。
「いや、君にも追加の任務を頼む」
アレイスターの言葉に彼女は「ふぇ!?」と驚く。……なにもそこまでおびえる必要ないんじゃないかな
「アイテムのメンバーの強化、主に第四位の強化をお願いする。少なくともレベル5以外には負けないようになるくらいに」
「……もうだいぶ強いんですが」
そんなつぶやきをアレイスターは無視する。おい、椎泣きそうだよ? まぁ面倒だし注意はしないけど。
「僕たちは?」
「上条当麻の監視を強化、また彼に近づく魔術師がいたら報告してくれ」
『んで? 俺はどうすればいいんだ?』
いままで黙り込んでいた貴怒がいつも道理の不機嫌そうな声を上げる。
「君は一方通行の監視。また、ありえないだろうが実験にて彼が躊躇したりしないようにしてくれ」
『躊躇した場合は?』
「判断は任せるが、殺しはしないでくれ」
『わーったよ』
そうして貴怒は画面から姿を消した。電源を落としたようだ。
「それと、怠惰。君には今やってもらいたいことがある」
……めんどくさい。何で僕が……
「学園都市に攻め込もうとしている魔術師たちがいる。かなりの大人数だ。君が適任だろ? これらの撃退を頼む」
「……了解」
窓のないビルから出て、蜜と別れる。
少し歩いてから僕は上条と買い物に行くことを思い出した。
まぁのんびり行っても時間には間に合うだろう。
「あれ、桐ケ谷さん?」
「佐天さんか」
「佐天さん知り合いですか?」
「初春は知らないんだっけ。この人は桐ケ谷憂鬱さん。私の命の恩人なんだ! それで、桐ケ谷さんは何でこんなところに?」
「ん? ちょっと待ち合わせ」
「そうなんですか。蜜さんですか?」
「いいや、男の人だよ。噂をすれば……」
「またせたな桐ケ谷」
数メートル先に上条がいた……小学生くらいの子供を連れて。
「……すまんが僕はロリコンと待ち合わせの約束なんてしてないんだが」
「ちょ! 違うって!」
「はいはい。んじゃね佐天さん」
上条の叫びを無視して佐天さんと別れ、お店に入る
「はい! それにしても御坂さん遅いなぁ」
僕は上条と御坂が喧嘩しているのを見て、トイレに駆け込んだ。
なんでって? めんどくさいじゃん。痴話喧嘩に巻き込まれたら。
まぁそろそろ終わったようだし出ますか。
「おっと」
トイレの入り口で眼鏡をかけた男の人にぶつかる。
男は僕に気づかなかったようだ。……なんかブツブツ言ってたし関わらない方がいいかな。
さて、上条を探がしますか。
辺りを見回すと上条がこちらに走ってくる。
「どゆこと?」
「ふぅ」
「いや、”ふぅ”じゃなくて上条さんや、事情を教えてはくれないかね」
「ああ実はな」
上条が言うことをまとめるとこういうことか。
さっきの眼鏡が風紀委員を狙った事件を起こしており、今回はこのお店にいた風紀委員を狙ったと。
それで、上条は爆破に巻き込まれそうになった風紀委員を助けたと。……僕がいない間にイベント起こり過ぎでは?
「まぁ面倒事になる前に退散しよう」
「だな」
上条と別れ誰もいない路地裏に魔方陣を書く。
アレイスターに頼まれた任務を執行するためだ。
陣を書き終わり、僕は”呪”を唱える。僕の魔術を展開するのには必要だからね。
「”供物をささげよ。さもなくば怠惰の罰を”」
魔方陣が光る。これで大丈夫かな。一仕事したし甘いものでも買って帰ろう。
「ステイル。聞きましたか?」
「神裂か。なんだい?」
「学園都市に攻め込もうとした魔術組織千人が意識不明だそうです」
「それで?」
「千人全員が”同時に”意識不明らしいのです」
「……どういうことだい?」
「詳しくはわかりません。ですが、とてつもなく強い魔術師が関わっていることはたしかです」
「……関係ないね。僕はあの子を守るために全力を尽くすだけだ。そのためなら」
吸い切った煙草を足で踏みつぶす。
「----どんな敵でも容赦しない」