獅子戦役からなんて聞いてない。   作:産業革命

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皆さま、お久しぶりです。

え~遅れた言い訳ですが、休みが無かったんです。ハイ。

4月は忙しいし、5月はGWも休みなんかなかったし…。

すみません。何でもはしないけど。



あっ、今回は主人公が一切出ません。


Ⅶ組、その始まり《七耀暦1204年3月31日》

 私には最愛の『家族』がいる。

 

 この『家族』の範囲には仕えてくれている使用人達も含まれているけれど、血の繋がりだけが家族ではないと思っているので別に変な事ではないと思う。

 

 それは兎も角、そんな私の家族を一言で言い表すなら『凄い』という言葉に尽きるのだと思う。

 

 

 

 先ずは御父様。

 

 職場では大役を担っていて、帝都という世界的な大都市を動かしている他、どうしても外せない仕事がある場合以外は家族の時間を大事にしてくれる。

 

 食事は出来るだけ全員で食べるようにしてくれているし、毎年の家族の誕生日には仕事を入れない様に調整していると御母様から聞いた。

 

 次に御母様。

 

 御父様を職場で支えつつ、家庭の事も決して疎かにはしない。少し古臭い表現かも知れないが、夫を立てながら頼り甲斐もあり、武術で培った洗練された動きは品格感じさせる。正に、誰もが思い描く理想の帝国淑女ではなかろうか。

 

 但し怒ると怖い。いや、本当に…。

 

 そして御義姉様。

 

 血は繋がっていないけど、私にとって唯一無二の義姉で身近な相手だ。両親が不在の間は使用人達も構ってくれたが、やはり歳が近くて親近感が湧く姉との遊戯が一番楽しかった。

 

 それに勉強や武術も優秀で、同年代の子供と比べて大人びたその姿に憧れを抱いていた。

 

 最後に私。

 

 当時は未だ幼かったとはいえ、両親の同僚の子供で幼馴染のマー君……マキアス様を散々振り回して遊んでいたのは懐かしくも恥ずかしい思い出であり、御義姉様やマキアス様の従姉であるトリシャ様が微笑ましい表情で見守ってくれたのを覚えている。

 

 

 

 何時までも、それこそ私が死ぬまで家族全員で笑って暮らせると思っていた。

 

 その平穏な日常が崩れたあの日、私は戦争で最愛の家族を喪った。

 

 

 

 その後はあまり良い思い出が無い。我が家もレーグニッツ家でも、心休まる場所というのがなくなってしまったから。

 

 家族は義姉の事を忘れるかのように仕事をするようになり、レーグニッツ家とは関わること自体が無くなった。

 

 そして私も、剣術を母から、銃器を父から、勉学を使用人と家庭教師から教わるのに集中するようになった。その時だけは、以前のように誰とも変わらぬ関係で関われるから。

 

 

 

 それから暫く経ち、私はついに姉と同じこの場所にいる。

 

 両親からは聖アストライア女学院に進学して欲しいと言われたが、自分にとって最後の我儘として、そして薄れつつある姉との家族としての縁を確かめたかったのだ。

 

 

 

 ……この時の私はまだ何も知らなかったが、この時に人生で一番価値ある決断…いや、最高の結果と未来を作ったのだと信じている。

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《七耀暦1204年》3月31日 トールズ士官学院

 

 冬の寒さが徐々に和らぎ、場所によっては未だ僅かに残った白雪を見納めて、季節を代表する花であるライノの花が咲き誇る時期へと変化した3月。

 

 散った花弁が風に運ばれる先には、今年も多くの新入生が期待と不安を胸に、緊張した面持ちをして伝統あるトールズ士官学院の校門をくぐっていく生徒達の姿。

 

 その内の一人、艶やかな黒髪と母親似らしい中性的な顔をした少年が講堂へと去った後に、校門に辿り着く少女が一人。

 

「ご入学、おめでとうございます!」

 

「うんうん、()()()()()みたいだね。」

 

 

 

「『アイフェ・ツェレナー』さん、――でいいんだよね?」

 

 緑色の制服を着た小柄な少女からそう尋ねられた少女は肯定し、入学案内書通りに小太りな青年に大事な荷物を預けて講堂に向かう。

 

 少女はこれからの2年間に想いを馳せ、まだ思いもよらぬ未来への一歩を歩んでいく。

 

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《七耀暦1204年》旧校舎 地下

 

 軽薄且つ突発的に告げられた特別オリエンテーリングでは、色々――いや、本当に(女難とか確執とか)色々あったが、なんだかんだ最終地点で石造りの化け物(イグルートガルム)を協力して破壊した『Ⅶ組』一同は、改めて担任である『サラ・バレスタイン』からクラス加入の意志を問われる。

 

「トールズ士官学院は、このARCUSの適合者として君たち()()()を見出した。」

 

「でも、やる気のない者や気の進まない者に参加させるほど予算的な余裕があるわけじゃないわ。」

 

「それと、本来所属するクラスよりもハードなカリキュラムになるはずよ。」

 

「それを覚悟してもらった上で『Ⅶ組』に参加するかどうか――改めて聞かせてもらいましょうか?」

 

 そう言われて思慮や顔を見合わせる彼等だったが、参加しなければ本来のクラスに行くことが出来るらしい。

 

 

 

 暫しの沈黙の果てに黒髪の刀使いの青年(別世界ではISに載ってそうな青年)が真っ先に参加を表明し、その後も互いの意見衝突や拗れあいがありながらも次々と参加の意思を顕にする。

 

「これで9名ね…。じゃあ最後の貴女、どうするの?」

 

 教官である女性が最後に残った生徒、オリエンテーリング最初の自己紹介で『アイフェ・ツェレナー』と名乗った少女に質問する。

 

「私は……いえ、私も参加します。――しなければいけないと思うのです。」

 

 少女のその答えに、教官は少し意外そうな反応をする。

 

「あら、意外ね。ARCUSの目的に対して思う事があるであろう貴女は、てっきり元のクラスに行くのかと思っていたけど…。」

 

「だからこそ、です。家族からも『過去に戻れない。だからこそ未来に向けて行動すべし』と教わりました。」

 

 それに――

 

「大帝の言葉通り、若者である私たちは世の礎にならなければいけないと、強く思うのです。」

 

 その言葉と共に、少女は皆と同じように前に足を進め、改めて宣言する。

 

「アイフェ・ツェレナー、『Ⅶ組』に参加致します。」

 

 

 

 七耀暦1204年、後世の帝国史において『激動の時代』の転換点とも呼ばれるこの年に、後に英雄達の代名詞ともなる『Ⅶ組』が発足した。

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●アイフェ・ツェレナー(16歳)

 

 今回全く出番が無かった本作主人公の義妹。茶髪のロングヘアーで銀の髪飾りがある。何がとは言わないがそこそこはある。具体的には世間一般での大きめ程度にはある。

 

 使用武器は主人公と同じで細剣と拳銃だが、武門の家出の母の剣術と(光の剣匠とか赤毛の猛将とか)帝国の猛者達と同年代で互いに切磋琢磨した父の銃撃の教えから意外と強い。今の実力だとリィン君(通常)には7割位で勝てる。

 

 軍について思う事は多々あるが、帝国にいる限り切っても切れない事情である事と義姉について知りたいと思ってトールズに入学した。但し入学に反対した両親との関係性がやや冷え込んでしまい、更に事件以降疎遠であった幼馴染の貴族アレルギー(重症)君と再会してしまい気まずい雰囲気に。

 

 名前は主人公の名前元の宝石、アウイナイトの産地であるドイツの『アイフェル地方』から。

 

●マキアス・レーグニッツ(17歳)

 

 例の貴族憎し事件から帝国でも1・2を争う貴族嫌いを公言して止まない発言だけならヤベー眼鏡。帝国の特権階級である貴族を批判することは、具体的に言うと黄金樹王朝な銀河帝国で劣悪遺伝子排除法を公布した初代皇帝陛下を堂々と批判するようなモノ。場合によっては処刑されても可笑しくない。

 

 ちなみに初恋は主人公で、従姉と幼馴染は親愛の対象。主人公を戦死(していないけど)させる要因を作り、仲の良い幼馴染を悲しませたことから貴族に対して批判的に思い始め、従姉の自殺とその後の父親からの影響で思想が急激に先鋭化した。

 

 幼馴染である彼女に対しては複雑な思いを抱えており、どちらも切っ掛けが無い限りは避けあって仲が改善しない。クラスの雰囲気悪化要因その1。

 

 記憶にある昔の幼馴染と今の幼馴染の余りの変わりように戸惑っているらしい。

 

●リィン・シュバルツァー(17歳)

 

 初日からついているようでついていない原作主人公。始まりから雰囲気が死に掛けのクラスに頭痛が痛い状態だが、雰囲気改善の全て(絆イベントとクエストの発生)は彼に掛かっている。

 

 現状の最大の問題であるマキ&ユーに気を揉んでいるが、観察眼からアイフェとマキアスに何かある事には気付いている。でも彼らの完全な和解には帝都での実習迄待たねばならない。

 

 なお、彼女の髪飾りには見覚えがあるらしいが…?

 




次回は未定。未定ったら未定です。




…思ったんだけど、百日戦役って割とゲーム上大事なイベントのハズなのに、初代Ⅶ組で直接関係ある人ってリィン君しかいないのよね…。

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