獅子戦役からなんて聞いてない。   作:産業革命

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明けまして、おめでとうございます。(大遅刻)



閑話・忘れじの面影+α《七耀暦1204年4月18日》

 学院生活にも慣れ始めた頃の自由行動日の校内、多くの学生が部活動に熱中している中、所属していないが為に時間が空いているリィンは学院内を散策していた。

 

 目的地も用事も特には無いが、強いて言えば軽い運動ついでにクラスメイトを見つけたら交流でもしようかな程度のものだ。

 

 そのまま特に宛もなく図書館へ入ると、クラスメイトであるアイフェが何かを探している姿を目撃した。目当ての本が見つからなくて困っているのだろうか、本棚から本を取り出しては確認して戻す事を繰り返している。

 

(彼女、何を探しているのだろう…?)

 

アイフェと時間を過ごしますか?

(絆行動ポイントを消費します。)

 

▶はい

 いいえ

 

(交流ついでに、手伝ってあげるか。)

 

(それに、彼女は何か気になるんだよな…。)

 

「すまない。何を探しているんだ?」

 

「…!リィン様ですか…。」

 

 リィンに気がついていなかったのか、一瞬警戒するような雰囲気を漂わせたかと思うと、リィンだと気づき直ぐに警戒を解いた。

 

「リィン様。警戒してしまい、申し訳ありませんでした。ついトマス教官かと思ってしまい…。」

 

「あぁ…成る程、それで…。」

 

 そう、帝国史担当のトマス教官はアイフェから苦手意識を持たれていた。

 

 その経緯をものすごく簡略して伝えると、トマス教官の講義中の雑談で『獅子戦役』を話している時に、ついアイフェが専門家レベルの内容*1を話してしまった。

 

 それ以降、トマス教官は隙あらばアイフェと歴史談義をしようとするが、それを嫌がるアイフェが徹底的に避けるという一種の名物的な光景になっていた。

 

 リィン自身は歴史が好きであり、彼にとって面白い講義をしてくれるトマス教官は嫌いではないが、何としてでもアイフェと語り合おうとする熱の入れようは凄かったと思わざるをえない。

 

 

 

「兎に角、何を探しているんだ?アイフェさえよければ、探すのを手伝うけど…。」

 

「……迷惑を御掛けして申し訳ありません。ではリィン様、御願い出来ますか?」

 

「あぁ、任せてくれ。」

 

 リィンの提案に対し、アイフェは少し悩みながらも頼ることにしたらしい。それに対して快諾すると、アイフェは探している本の題名を教えてくれた。

 

「『獅子戦役記』か…。それって確か…。」

 

「えぇ、あの『獅子戦役』についての本です。」

 

 帝国の転換点とも言える『獅子戦役』、その勝者にして学院の創始者である獅子心皇帝の格言は記憶に新しい。

 

『若者よ――世の礎たれ。』

 

 それを発言するに至った経緯を改めて知れるのは良い機会かもしれないと感じ、手分けしてその本を探すのであった。

 

 

 

 

 

 その後、無事に本を見つけた二人は、図書館内の読書スペースで本の内容を確認した。

 

「ノルドでの挙兵、帝国東部での勢力拡大、『槍の聖女』との出会い…。」

 

「…帝都決戦、聖女との死別、戴冠式でのテロ事件、皇帝への即位…。」

 

 たった数年の出来事だが、波乱万丈な人生を送った皇帝を中心に纏めてもかなりの厚みがあった。その証拠に読み始めの時はまだ高かった日が、読み終わった頃だと暮れかけている。

 

 リィンとしては新たな発見に溢れた今日一日だったが、横目に見たアイフェは何処か落ち込んでいるように感じる。

 

…これも違った。

 

 そうアイフェが呟きながら本を戻すと、リィンへ頭を下げて御礼の言葉を述べる。

 

「さて…リィン様、本日は手伝って頂きありがとうございました。この御礼は、後日…。」

 

「…いや、御礼はいいさ。それよりも一つだけ訊かせてくれ。」

 

 御礼については(彼にとって)当たり前の事をしただけだけであり、特に対価を受け取る必要性を感じていない。

 

 そんなことよりも、リィンはアイフェについてずっと気になっていた事を訊きたかった。

 

「その…歴史が好きなのか?あんなにトマス教官の事を避けているから、てっきり嫌いだと思っていたんだが…。」

 

 トマス教官との歴史談義を拒否している彼女が、まさか歴史関連を調べている事にリィンは驚いていた。そういう意味での質問に、彼女はこう応えた。

 

「…別に嫌いではありませんよ。ただ…。」

 

「ただ…?」

 

「……いえ、何でもありません。」

 

 それだけをいうと、アイフェは足早に図書館から去っていく。

 

 

 

(これは…失敗したかな…。)

 

 どうやらパーフェクトコミュニケーションには失敗したらしい、と去り行く後ろ姿を観ながら考える。

 

(歴史は嫌いではない、その言葉に嘘は感じなかった。)

 

(つまり、歴史を知る過程での記憶に対して思うことがあるのか…?)

 

 

 

 こうして、初めてのクラスメイトとの交流は終わった。

_____________________

 

【オマケ】空と零と碧と関わりし主人公

 

○空の軌跡

 

 名無しの帝国大使館職員として初登場。劇中では偶にオリビエに説教をする程度で、最後以外に特に活躍はなし。

 

 リベル=アーク突入時には、オリビエの監視役兼帝国代表としてアルセイユに乗艦。意味深な会話をオリビエと繰り広げる。

 

 〜以下、抜粋〜

 

オ「…まさか、宰相の腹心である貴方がこんな危険地帯にまで着いてくるとは思わなかったよ。」

 

主「私としても、貴方に着いてくる気は微塵も無かったのですがね。」

 

主「まぁ、そうですね…。強いて言うのならば、貴方には此処で死なれては困りますからね。」

 

主「御安心下さい、殿下。貴方の命は然るべき時迄は保証しますよ。それに、いざとなれば殴ってでも連れ帰ってさしあげます。」

 

オ「然るべき時迄は、ね…。なら、今回の戦いは安心して良さそうだね。」

 

 

 

○零の軌跡

 

 メインストーリーの依頼人として登場。今回も途中迄は名無しの人物扱いであるが、依頼の最後で宰相補佐官という肩書になる。

 

 依頼内容は盗品の回収(という名の、クロスベルへ逃げ込んだ帝国開放戦線の構成員の逮捕)であり、特務支援課の評価が目的。

 

 此処では特に何もなく、帝国からの圧力と力関係を意識させられるだけ。

 

主「何か勘違いをされているようですが、クロスベルは自治を許されているだけです。」

 

主「帝国からしてみれば、此地を手に入れる事のメリットと共和国と開戦するデメリットが割に合わないからに過ぎません。」

 

主「もっと言えば、帝国か共和国が相手を超越したその瞬間にクロスベルの自治などは無くなります。」

 

主「約束が有効なのは、私達にとって有益な間だけですよ。」

 

 

 

○碧の軌跡

 

 通商会議に姿だけ登場する。

_____________________

 

●主人公(名無し)

 

 オマケにしか登場していない本作の主人公(重要)。

 

 過去作に登場したときは、実はとてもワクワクしていた。

 

 因みに、座右の銘は「権力と教会、あと教授は信じるな。」だそう。

 

●アイフェ・ツェレナー(16歳)

 

 本作主人公の義妹。

 

 幼い頃に姉から聴いた事(事実)をつい話してしまい、トマス教官から(歴史愛好家の同士的な意味で)目をつけられている。

 

 歴史自体は嫌いではない。ただ、それに付随する亡き姉との思い出が複雑な感情を生み出している。

 

 なお、何時かに聞いた『過去も未来も記述されている本』を探しているらしい。

 

 因みに、リィン君から「何処か合ったことはないか?」という実に青春っぽい科白を掛けられたらしい。

 

●リィン・シュバルツァー(17歳)

 

 雰囲気改善の鍵を握る原作主人公。

 

 困っている人を見かけたら余程のことがない限りどんな些細な事でも助けるという御人好し。

 

 勉強はどれも比較的出来るし楽しいと思うが、特に歴史(英雄譚)は男の子らしく好き。

 

 実際に交流することで、何となく相手の事を理解できる。それ故に相手の事を優先しがち。

 

 因みに、アイフェとの絆イベントでは獅子戦役→守護役→槍の聖女と調べる話題が移ってゆく。

 

*1
勿論、実際に体験したことのある義姉から伝え聞いた経験談。全て(主観混じりではあるが)真実。




閃1の絆イベントはもう書きません。
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