ウマ娘 恋愛ダービー『あなたはトレーナーである』読者参加型 作:雅媛
今回は
新居を探すか……
が勝利をおさめました。
さて、結婚も見えてきた今日この頃、今決めなければならないことは、新しい自宅である。タキオンと結婚する以上、一緒に住む場所を決めなければならない。
お義母様やお義祖母様からは、アグネスの屋敷の一室を提案されている。
今、タキオンが私室にしている場所を二人の部屋にするという話である。
部屋は確かに広さ十分ではあるのだが、タキオンの実家に最初からおんぶにだっこというのが若干気が引ける。
「タキオン的にはどうなの? 最初から実家っていうのは」
「やっぱり最初はトレーナー君と二人きりがいいな」
タキオンはいつものようにあなたの膝の上に座りながら、あなたに甘える。
「イチャイチャするのに、やっぱり親がいると……」
「ハギャッ‼‼」
「ああ、ハギスちゃんも一緒だったね」
ペットのハギスちゃんが抗議のように声を上げた。
当然この子もつれていかないといけない。
そうするとペット可の部屋を探さないといけない。
予算なんかを考えると、あまりそう、お金があるわけではない。
ひとまず二人で住める部屋を探すか……?
「間取りは二人用の部屋でいいかな?」
「え? すぐに三人になるからもうちょっと広いほうがいいのでは?」
「え?」
「ああ、でも1年で一人増えるだろうから…… なかなか難しいね」
「え?」
「うーん、引っ越しを繰り返すのもどうなのだろうね。5人家族ぐらい用のファミリータイプのところに住んで、それより後にはやはりアグネスの実家に帰るというのはどうだろうか」
タキオンの家族計画がすごすぎる。
子供を何人作るつもりなのだろうか。
「だって、トレーナー君との子供、可愛いだろうし、トレーナー君が世話を焼いてくれるだろう?」
「え?」
タキオンの中で、あなたが専業主夫なのは確定らしかった。
まあ確かに、この3年近く、タキオンの世話を焼いているのは楽しかったし、それが子供になったら同じぐらい楽しいかもしれない。
あなたの明確な返事を聞くことなくタキオンの家族計画は決まっていく。
「2,3人ぐらいは二人で頑張って育てるのもいいかもしれないが…… そうするとあとの子がかわいそうだな」
「ソウデスネ」
「そうすると、一人目が生まれたらやっぱり実家に帰るか。そうすると、トレーナー君と住む家は、二人で住めればいいぐらいの部屋だね。ワンルームより少し大きいぐらいでいいかもしれない」
「ソウデスネ」
「じゃあ、家を探しに購買へ行こうか」
タキオンに連れられて、あなたは学園の購買へと向かうのであった。
2000人もの学生を抱えるトレセン学園の、学生生活を支える購買は、非常に大きく、また、いろいろな商品を取り扱っている。
いつも人が多い一角へと行くと、そこには様々なパンフレットやら、広告やらがある。
学生向けの不動産情報なんかもある。
学生向けなはずなのに、ワンルームとかではなく、最低でもペア用の物件ばかりなのは、まあ、トレーナーと一緒に住むことが常に想定されているのだろう。
一人で住む分には寮に入っていればいいし……
他にも結婚式場のパンフレットもあるし、新婚旅行用の旅行のパンフレットなんかもある。
なお、購買で一番売れるのが、結婚雑誌なのはもはや暗黙の了解であった。
何にしろ、タキオンと二人、壁に張り出されている物件を選び始める。
結婚後もタキオンはしばらく学生だし、あなたはトレーナーはクビだが、学園内の整体師として暫く過ごす予定だ。
とすると学園近くの家がいいだろう。
タキオン以外にマッサージすると、タキオンがいい顔をしないのだが、食い扶持がこれくらいしかなかった。
「ふぅ、やっぱりトレーナー君を閉じ込めるしかないのかなぁ」
とか、タキオンが物騒なことを言っているが、まあ大丈夫だろう。
結局タキオンが選んだ、学園近くのマンションの一室を買うことになった。
さすがにあれだけ勝っていれば、購入するのも難しくない。
住まなくなったら、売るなり貸すなりできそうな物件である。
ただ、地下室があって、タキオンが手かせ足かせやらを準備し始めているのだけは少し怖くなってしまうのだった。
ついでに、新婚旅行の算段も立てることになった。
だが、どこに行くか、結構悩みどころである。
「カフェが勝った凱旋門賞とかも興味があるけど……」
「ロンシャン競馬場に行くのは難しくないけど、開催されるのは来年だよ」
場所に行くのは簡単だが、レースを見るとなると来年の10月である。
新婚旅行に行くにはかなり時期がずれてしまう。
「というか、そもそも飛行機があまり好きじゃないんだよね……」
「そうだったんだ……」
タキオンが出たレースは基本中央の四大競馬場ばかりだ。
移動は電車や新幹線ばかりであり、飛行機を使うような場所に今まで行ったことがなかった。
だが、飛行機が苦手だと海外は難しいだろう。
「派手さはないけど、こういう温泉がいいんじゃないかな?」
そういってタキオンが選んだのは温泉宿だった。伊豆の個室の温泉である。
食事も豪華そうな、そんな場所だった。
「まあ、新婚旅行といっても、タキオンのレースお疲れ様会みたいなものだし、こういう場所でもいいかもね」
「そうだろう? じゃあひとまずここにしておこう」
他にいいところがあれば、その時また一緒に行けばいい。
幸い時間はかなりあるのだ。
二人の時間はまだまだ先が長かった。
結婚式についても決まっていき、新生活についても少しずつ決まっていく。
だが、それに色ボケしているわけにはいかない。
有馬記念が徐々に迫っているのだ。
タキオンの脚の繊細さは、そう変わってはいないのもあり、有馬記念の前哨戦などは一切なしで、本番に挑むことになっている。
トレーニングはちゃんとしているが、最近はかなりタキオンもあなたも色ボケしている気がするし、大丈夫だろうか、と少し心配になってくる。
「なんだい、私が負けないか、心配なのかい?」
「タキオンが怪我しないかだけが心配だよ」
そういいながら、あなたはタキオンを抱きしめる。
タキオンは嬉しそうに尻尾を振りながら、あなたを抱きしめ返す。
「私は殺されても死なないから大丈夫さ。何、軽く帰ってくるよ」
「気を付けてね」
今回はマンハッタンカフェも出てくる。
彼女はタキオンが認めるライバルだ。
そう簡単に勝てる相手ではないだろう。
カフェのほうはカフェの方で、凱旋門賞後、無事トレーナーさんと結婚の約束をしたらしく、やはり有馬記念をもって引退予定ということであった。
だからこそ、最後の戦いである。
そんな重要なレースのパドックだが、ひどい有様になっていた。
タキオンとカフェが、のろけ合い勝負を始めたのだ。
「うちのトレーナー君はね! 私のこと、本当に隅から隅まで触っているんだ! だから、私自身より私のことは詳しいんだよ」
「タキオン、それマッサージだから……」
「うちのトレーナーさんは、毎日私のこと抱きしめて寝てるんですよ。同衾ですよ」
「ふん、そんなのうちだって1年前から同衾だよ!」
こんな感じでいかにトレーナーといちゃいちゃしたかの自慢合戦が始まっていた。
もう引退するということで二人とも吹っ切れているのだ。
なお、タキオンとカフェの勝負だと、タキオンのほうが勝っている。
さすがに最初の頃からイチャイチャしていたあなたと、ここ最近やっと結婚の約束を取り付けたカフェのペアでは時間が違いすぎた。
ただ、タキオンが自慢げに赤裸々に語るものだから、聞いてるあなたが一番恥ずかしい。
まあ、お互い裸は完全に見てるし、お互い体の隅々までマッサージで触っているし、本当に知らない部分はないから間違ってはいないのだが……
引退だから、ばれても構わないというスタンスのせいではっちゃけが過ぎる。
他にもここで引退のウマ娘は多く、必死にタキオンののろけに対抗するように恥ずかしい話をしている。
まだ引退する予定がない、主にクラシッククラスのウマ娘が一番かわいそう……
かと思いきや、彼女らは彼女らでメモを取っている。
どうやら、今後トレーナーさんにしてもらうべくメモを取っているようだ。
ウマ娘はみな強かだった。
ちなみにレース自体は、タキオンが勝利した。
のろけ力がそのままレースになったような結果だった。圧倒的にタキオンがのろけていたのは間違いなかった。
そうして有馬記念優勝をもって、アグネスタキオンは引退を宣言したのだった。
8戦8勝 うちGⅠ7勝。
三冠に、グランプリ両方制覇など、輝かしい成績を持ったアグネスタキオンは、この日をもってターフから去るのであった。
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