ウマ娘 恋愛ダービー『あなたはトレーナーである』読者参加型 作:雅媛
さて、年末のレースが終わったら、何があるか、みんなわかるかな?
そうだね、コミック〇ーケットだね!!
有明で行われる日本一の同人イベントである。
ということで、あなたはデジたんと一緒にコミ〇に参加していた。
しっかりとサークル参加、つまり、同人誌を売る側としての参加である。
デジたんが主宰するサークル名は「ウマ娘ちゃんを讃えよ」である。なんとも言えないサークルで、デジたんは申し込んでいた。
分野はもちろんウマ娘だが、コミ〇の中ではそんなに参加者が多い分野ではない。
大体の資料は公式であるURAから出ているし、それを押してでも同人誌を作るファンというのは実はそんなに多いわけではないのだ。
まあそれでも100サークルは超えるので、ファンの力というのは恐ろしいものである。
デジたんの頒布物はあるウマ娘同士のちょっとイチャイチャする漫画である。
中身を一通り読んだ、あなたは感心するだろう。
デジたんの観察眼が生かされた、とても緻密な描写で二人が描かれている。
ストーリーもちょっとじれじれしてる感じのとても素晴らしいものだった。
だが、あなたは一点だけ、とても不満があった。
「同志デジニコフ」
「なんですか同志トレナスキー」
「なぜ、今回の新刊はボクと同志のものではないでしょうか」
ちなみにデジニコフもトレナスキーもペンネームである。
かっこよくてあなたはノリノリであった。
閑話休題。テーマがおかしいのではないかという異議をあなたは唱えた。
「同志と自分は一心同体。ならば他のウマ娘をテーマにするなんて言語道断ではないでしょうか。場合によっては総括ではないですか?」
「ソウカツですか?」
「やり方はあとで教えるよ」
あなたはデジたんにしたいことをする算段を立てた。
ちなみに最初、デジたんはモデルの子たちに許可を取っていなかったが、さすがにそれは後で問題になるとちゃんと許可を取らせた。
そのせいで内容がずいぶん変わったようだが、まあそれはそれでいいだろう。
同時にあなたも同人誌を作っていた。
さすがに絵心がないので、小説本である。
内容は、トレ×デジの実録本であった。
表紙絵だけはデジニコフが書いてくれた。
「なお、内容はノンフィクションです」
「フィクションですよフィクション!!」
同志デジニコフは真っ赤になって否定するが内容は誇張表現はあったとしてもノンフィクションである。
デジたんとのお風呂シーンや、添い寝シーンを、延々と30頁書きまくった、本当にラインぎりぎりの内容である。
赤裸々すぎて、公開してはまずそうなものをあなたは堂々と売ろうとしていた。
ちなみにそんなコピ本を、あなたはトレセン学園購買のコピー機で作っていた。
周りの目など一切気にしない鋼の意思をもって作成されていた。
同僚のトレーナーがあなたのコピ本を読んでドン引きしていた。
「そういえばトレーナーさん」
「なに?」
「寒くないんですか?」
あなたも、同志デジニコフも勝負服を着ている。
何かを売るなら目立った方がいいだろうと勝負服で来たのだ。
あなたの勝負服は某〇魔忍もびっくりなハイレグスーツ系である。
露出もそうだが何よりも冬にその恰好は寒そうである。
「勝負服はウマソウルを燃やすから、雪の中でも寒くないんだよ」
「そうですか……」
それを言えばデジたんの格好だっておへそ丸出しに太もも丸出しで結構寒そうである。
それでも大丈夫なのは、ウマソウルパワー的な何かのおかげだった。
なお、コスプレではない。勝負服は、ウマ娘の普通の服装である。
コミ〇のコスプレはちゃんと申請が必要だし、コスプレならば露出が多すぎると出入禁止にされていただろう。
勝負服万歳である。
さらに何かのたびに抱き着いたり、キスしたり、百合営業してれば売れる、とあなたは考えていたが、それはすぐに怒られた。
コミケは婚活会場ではないのだ。トレセン学園との違いをわきまえなかったあなたは、コミケの係の人に非常に怒られた。最後はあなたは土下座した。
追い出されたらデジたんに嫌われるから、あなたも必死である。
周りから哀れを誘っていた。
まあ、そこまであなたが調子に乗らなくても、見目麗しいウマ娘が勝負服で決めて本を売っていればそれなりに人は集まった。
そもそもデジたんの同人誌の出来がいいのもあり、あなたのコピ本含め、無事完売をした。
本が売れれば、その売り上げで焼き肉である。
ちゃんとウマ娘用の安い肉の食べ放題の店で、二人で肉を焼きまくり食べまくった。
そうして、今日のことを二人でいろいろ話す。
本が売れてよかったこと。
あなたのコピ本を立ち読みしていた人が信じられない目であなたとデジたんを見ていたこと。
デジたんに頑張ってくださいと声をかけてくれるファンの人たち。
あなたに、頑張らないほうがいいんじゃないですかと声をかけてくれるファンの人たち。
そしてあなたとデジたんを崇め始めた信者。
様々な人との交流の中で、あなたもデジたんも、気持ちを新たにした。
3年目の冬コミでは、コミケの女王になるのだ、とあなたたちは決意を新たにしたのだった。
その決意は不要なものであるのは明らかであった。
さて、同人誌は置いておいて、レースについてである。
「デジたん、次のレースは何を目指す?」
「んー、皐月賞か、桜花賞か、NHKマイルカップか、といったところですか?」
「基本その三択でいいと思うよ」
つまり、クラシック路線を見てみるか、ティアラ路線を見てみるか、短距離路線を見てみるか、である。
「んー、どれでもいいんですけどね」
「じゃあティアラの桜花賞にまず出てみるといいと思うな」
「どうしてですか?」
「ティアラのレースって、みんな上品で華やかなんだよ。特にパドックとかがそうなんだけど、ちょっと雰囲気が違う」
「それは興味がありますね」
「見てても違いが分かって面白いんだけど、やっぱり出ると違うよ」
「そんなことを言うトレーナーさんも出たことあるんですか?」
「桜花賞だけね。全然成績悪かったから、見せたくないけど」
あなたは苦笑した。
「じゃあ、デジたんの出場レースは桜花賞で」
「了解しました」
次の目標レースは、桜花賞に決定するのであった。
ティアラ路線に出ることになって、トレーニング内容も変更になった。
「これ、本当にトレーニングなんですかぁ!?」
「デジたんかわいいよー!!」
現在、あなたはデジたんにかわいい服を着せて写真撮影である。
ティアラ路線においてはかわいらしさも求められるのだ。
普段のデジたんはとてもかわいいが、残念ながら態度がオタク系過ぎて、一般的には受けが悪いのは見ていて明らかだった。
だから、もうちょっとあざといぐらいのかわいいアピールを覚えさせるトレーニングを、あなたはし始めたのだった。
ひとまずかわいい服ということで、ゴスロリを着せて、写真撮影である。
単にあなたの趣味というわけではない。多分。
「ほら、ポーズポーズ」
「どんなポーズとれっていうんですか!?」
「私だけにチューするポーズかな」
「え、えっと…… ちゅー♪」
「キャー、デジたんかわいいー! ボクにだけチューしてぇええ!!」
デジたんが無防備にキス顔をさらすと、あなたは大騒ぎであった。
「うう、恥ずかしいし難しいです……」
「頑張れー」
「トレーナーさん! お手本を見せてください」
「え”」
「かわいい服着てお手本見せてください」
デジたんの逆襲の要求が始まった。
「トレーナーさんがこのフリフリの白ゴスロリ着て、デジたんだけにチューするの、見てみたいなー」
「え、えっとその……」
「できないんですか?」
「できらあ!!」
デジたんに言われるがまま、あなたのファッションショーが始まることになった。
最初は白ゴスロリのフリフリを着て、チューのポーズである。
投げキッスのポーズもいくつかある。
私だけにチューするポーズと、ユメヲカケルでネイチャさんがアドリブでするチューはものが違うのだ。
トレーナーたるもの、見せるからには使い分けが必須である。
だが、あなたはこういったアピールがあまりうまくなかった。
なんせ、あなたは一心同体であるべきトレーナーに一度逃げられている。
そのトラウマはまだあなたの中に残っているのだ。
デジたんをかわいいと押し続けるのはできても、自分に自信がなかった。
「トレーナーさん可愛いー」
いつの間にか、サイリウムをもってあなたの前で応援態勢に入ったデジたんの前で、真っ赤になって恥ずかしがりながらも、チューのポーズを見せるあなた。
デジたんは、スマホのカメラで全部撮影していた。
「うう、撮らないでよ……」
「あとで参考にしますからダメですー」
「ううううう」
デジたんは気づいた。
やはり推されるより推す方が得意なのだと。
真っ赤になって照れるトレーナーさんをみて、もっと照れさせたくなった。
「じゃあ次は、トレーナーさんの勝負服を着て、セクシーなポーズも見せてください」
「せ、せくしー!?」
「セクシーなポーズです」
あなたのいろいろな姿を見たいと思えば、自然と要求は出てくる。
こうしてデジたんは、がっつり自分の見たいものをあなたに要求をしていき、デジたんのお宝フォルダにあなたの写真がすごい勢いで増えていくのであった。
この時から、あなたとデジたんの関係が変わった。
今まであなたが推して押してばかりだったが、デジたんが同じようにあなたを推して押し始めたのだ。
デジたんは熟練のオタクであり、推すことには慣れている。
そんなデジたんが、あなたが推されることに弱いのに気づいてしまったのだ。
苛烈な推し合いが始まったが、こうなると不利なのはあなただ。
熟練オタクで幾多のウマ娘を推してきたデジたんに比べ、あなたはレースに没頭して来ただけのウマ娘である。
経験が違った。
更に、これからピークに向かっていくデジたんに比べ、すでにピークをとっくに過ぎたあなたはフィジカル的にも劣勢だった。
「トレーナーさん、すべすべですぅ」
「うう……」
日頃のお互いの体を洗いっこするときも、デジたんが積極的にあなたを洗うようになった。
今まではデジたんがなされるがまま、恥ずかしい時間だったが、なんだかんだでデジたんが大好きなあなたに、合法的に触りまくり、揉みまくれる時間なのである。
つまりご褒美なのである。
今日もまた、デジたんの勢いが勝利し、あなたはおとなしく全身をデジたんに洗われるのであった。
なお、桜花賞でのデジたんのパドック及びレースでのアピールは完ぺきであった。
デジたんがオタク魂120%で考え上げたアピールを、すべて一度あなたが実践し、それをもとに『一番いいアピールを頼む』といわんばかりにレースでするものを厳選したのだ。
「デジたんが一番かわいかった」
あなたが感じたそれは、多くの人が共感してくれるだろう。
当然レース自体も一着になり、デジたんはまた一つ、伝説を刻んだのであった。
強く、速く、可愛いアイドルウマ娘が誕生しつつあった。
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