ウマ娘 恋愛ダービー『あなたはトレーナーである』読者参加型 作:雅媛
最初はずっと
「ファインモーション」殿下
が先行していましたが、
途中から
「アグネスタキオン」
が差し切りました。
あなたは悩んでいた。
めぼしいウマ娘は何人もピックアップした。
どの子も美しく、可愛く、強く、そして速い。
逆に言うと、これだという決め手がなかった。
トレーナー資格すら懸けて、スカウトをするのだ。
自分だけがわかるものでもいい。何か、確信が欲しかった。
ひとまず一人籠って悩んでいても、答えは出ないだろう。
ウマ娘たちを観察し、場合によっては交流もして、決める必要がある。
そんなことを考えたあなたは、学園内をうろつき始めた。
ひとまずウマ娘たちの日常を見ようかと、学園の廊下を移動中のあなた。
そんなあなたの耳に、
「待ちなさ~い!!」
廊下をうるさくバクシンしているサクラバクシンオーの声が届いた。
短距離最速といわれる彼女の脚からは、さすがにどんなウマ娘も逃げきることはできなかったようだ。
サクラバクシンオーにその追いかけられていたウマ娘は追い付かれた。
実験がどうだの、黒煙がどうだの、といった話をサクラバクシンオーが話している。
だがあなたは、その相手のウマ娘に視線がくぎ付けになった。
栗毛色のショートヘアに細身の体。
栗毛色の目は、少し焦点を結んでいない気がする。
そんな彼女を見たあなたは衝撃を受けるだろう。
これが自分の担当するべきウマ娘である。
理由など必要ない。ただの確信が、あなたに芽生える。
サクラバクシンオーと、あなたの運命のウマ娘は、少し何かを話すと、運命のウマ娘はあなたの方に走りこんできた。
もしかして、相手も自分に運命を感じてくれたのだろうか。
あなたは歓喜した。
そうして全力で走ってくる彼女を、あなたは正面から受け止め、抱きしめてこういうのだった。
「ボクと契約して専属ウマ娘になってよ!!」
と。
ミントのようなさわやかな香りが、タキオンから漂っていた。
あなたの運命のウマ娘は、アグネスタキオンといった。
アグネスタキオンという名前をあなたは知っていた。
トレーナーたちの間で、要注意ウマ娘として情報が回っていたからだ。
いわく、授業に禄に出ない。
いわく、実験と称して変なものをヒト、ウマ娘問わず飲ませてくる。
いわく、自分勝手でわがまま。
いわく、そろそろ退学させられそうである。
ネガティブな情報しか存在しない。
そんな情報を思い出したあなたは……
きっと歓喜するだろう。
ネガティブな情報しか存在しないということは、タキオンと契約しようとするライバルがいないということだ。
つまり、あなたが独り占めできる。
これほど幸いな状況があるだろうか? いや、ない(反語)。
ひとまず、タキオンと契約内容を詰めるべく
また、タキオンのことをもっと知るべく
あとは、全速力で走っていたウマ娘と正面衝突したことについて怪我がないか確かめるべく
あなたはタキオンと一緒に保健室に向かった。
サクラバクシンオーはうまくあしらった。
「トレーナー契約? あいにく私は、無駄な時間を過ごすつもりがなくてね」
早速あなたがトレーナー契約をタキオンに持ちかけると、タキオンはツレなく契約を断った。
だが、あなたは驚くことすらしないだろう。
普通に考えればスゴク=シツレイに当たる断り方だ。
だが、タキオン検定1級のあなたはそんな表面的な部分で理解が止まることはない。
もっと深いところまで理解しようとするだろう。
トレセン学園に通い続ける限り、トレーナーとの契約は必須だ。
トレーナーと契約を締結できなければ、ウマ娘たちはトゥインクルシリーズに出場することができず、最終的に退学せざるを得なくなる。
先ほどの発言を、表面的にとらえれば、タキオンは束縛されるのを嫌う、という風に思える。
トレーナーの中には完全放任主義の人もいるし、タキオンと契約するには、何も束縛しない、強制もしない、完全放任主義で行う、と答えるのが正解に思えるだろう。
だが、それは素人の考え方だ。
タキオン検定1級のあなたはすでにタキオンの真意をある程度気づいていた。
タキオンが頭の良いウマ娘だろうことは、事前に聞いている情報や、数度のやり取りであなたは察している。
そんなタキオンが、もし、完全放任主義のトレーナーを探しているならば、トレーナー契約を持ちかけられたらどのように回答するだろうか。
おそらく条件を突きつけるだろう。
タキオンに都合の良い条件を全力でたたきつけて、契約するか迫るだろう。それが一番、彼女に都合の良い条件を引き出せるやり方だ。
今のようなスゴク=シツレイに当たる断り方をしてしまえば、普通に考えたら条件闘争する前にトレーナーは断られたと考えて引き下がってしまう。
そんなことは、タキオンもわかっているはずである。
そう考えると、タキオンがこんな断り方をする理由は一つだけだ。
タキオンは理解されたいのだ。
そして、理解した上で、無条件に肯定してくれる相手が欲しいのだ。
ニヒルな態度にごまかされそうになるが、その瞳がこちらを窺うように、そして縋るように小さく揺れているのをあなたは見逃さない。
とすれば、あなたの回答は一つである。
「さっき、実験とか言っていたけど、タキオンは普段どんなことをしているの?」
タキオンのことをとにかく理解しようと試みることだ。
あなたがタキオン検定1級であり、タキオンが運命のウマ娘であったとしても、あなたがタキオンについて知ることは事前に噂で聞いている偏った情報と、今までの数分でのやり取りだけである。
理解したなんて言うのには烏滸がましい。
だが、理解しようとすることはできる。
今までの情報から最大限、タキオンを理解しようという態度をあなたは示した。
タキオンは少し面食らったような表情を浮かべ、しかしそれをすぐに不敵な笑顔の裏に隠してしまう。
そんな恥ずかしがり屋のタキオンの反応をあなたは見逃さないだろう。
「実験は実験だよ。そうだ、キミにも協力してもらおうか。ヒトのデータもそれはそれで役に立つからね」
そういってタキオンは、スカートのポケットから小さな試験管を3つ取り出す。
それぞれショッキングピンク色、エメラルドグリーン色、マリンブルー色の蛍光色の液体が入っている。
その三本を、タキオンはあなたに渡してくる。
仄かに暖かい。タキオンのぬくもりが残っているし、タキオンのミントのような香りもしている。
「それを三本とも飲んでくれないかい? キミが私のトレーナーになりたい…… っておい!? 説明前に飲むのかい!?」
あなたは三本の試験管のふたを開けると一気に飲み干した。
タキオンのプレゼントなら、飲み干さないという選択肢はあなたにはなかった。
味は普通に甘くて、カルピスの原液を飲んでいるような感じだ。
ちょっとのど越しが悪い。
「味は、ちょっと甘すぎる気がする。5倍ぐらいに希釈したらおいしいかもしれない」
あなたはちゃんと感想を述べた。
「いやはや、驚いたねぇ…… そんな勢いよく被検体になるなんて、まるで君はモルモットだね」
「私はモルモットではないよ。タキオンのトレーナーだ。だからこそ、タキオンの実験にはなんでも付き合うよ」
トレーナーとは何か。あなたは考える。
ウマ娘を支え、そして寄り添うものである。
モルモットではタキオンを支えられない。
実験ならなんでも付き合う覚悟があるが、あなたはそれ以上をタキオンにしてあげたいと考えているだろう。
だって、彼女は運命の相手なのだから。
「なるほど……」
「ということでここにサインして」
「ふむ?」
冷静に見えるタキオンだが、あなたの勢いに完全に飲まれているのだろう。あなたが差し出した書類に特に何も考えずに反射的にサインをしてしまっている。
あなたが差し出した書類はトレーナー契約の紙である。
あなたとタキオンの契約はここに締結された。
「あれ、これって」
「ということで、私はタキオンの専属トレーナーだ。よろしく頼むよ」
そうしてあなたは、タキオンのトレーナーとなったのであった。
夕日が沈む保健室。
黄緑色に光るあなたと、すごい勢いでトレーナー契約を結ばされたタキオンが、長い影を引きずっていた。
次の展開はアンケートで決まっていきます。
アンケート期限は、アンケート終了になるまでです。大体投稿から12時間程度を考えています。
アンケート終了になっていなければ受け付けていますので振るってご回答ください。
感想、評価、お気に入り、よろしくお願いします。
なお、1ウマ娘あたり、何話程度で終わらせるか、というのを検討中です。
① OP ジュニア・クラシック・シニア の4話程度
② 目標レースごとぐらい、10話弱
③ がっつり20話弱
ぐらいを候補に考えています。
ご意見はこちらまで
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=275110&uid=349081
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