ウマ娘 恋愛ダービー『あなたはトレーナーである』読者参加型   作:雅媛

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アンケート結果
 今回は
 二人で温泉休養
 が勝利をおさめました。



7【天皇賞(春)】二人で温泉休養

 あなたはアグネスタキオンのトレーナーである。

 

 菊花賞の激闘は、タキオンに多大な負荷をかけていた。

 予想以上に強かったマンハッタンカフェの執念。

 負けたくないという気持ちで、想定以上の力を出したタキオン。

 

 その代償は少なくはなかった。

 タキオンは、怪我まではいかないが、脚も、他の部分も、かなり過負荷状態になっていた。

 ゴール後、あなたは慌ててレース場へと乗り込み、タキオンをお姫様抱っこで抱きかかえ、そのまま控室に戻るぐらい、タキオンは弱っていた。

 そんなぎりぎりの戦いだったのだ。

 

 本来、菊花賞の後は有馬記念出場を考えていた、あなたとタキオンだが、こんな状態ではそれも難しい。

 あなたは休養に入ることを決意した。

 

 

 

「ということで、休養だが、3か月程度は考えている」

「トレーナー君と温泉に行く」

「……場所はタキオンの実家でもいいし、学園でもいい」

「トレーナー君と温泉に行く」

「……俺とずっと一緒じゃ休まらなくないか?」

「トレーナー君と温泉に行くのぉ!!!」

 

 大事なことなので3回も言いました。

 ということで、タキオンの要望も取り入れ、あなたとタキオンは、トレセン学園の療養施設である温泉へと向かうのであった。

 

 トレセン学園の療養施設はかなり立派な建物であった。

 大きな旅館風の建物であり、部屋数は約50存在する。

 各部屋ごとの個別の温泉に、大浴場。

 トレーニングルームにトレーニング用のコースも完備されている。

 他にも保健室もあり、医師・装蹄師・笹針師もいる。

 食事も学園の食堂と同様である。

 療養するにはとても良い設備がそろっていた。

 

 あなたとタキオンが、そんな療養施設を訪れたのは11月の初めであった。

 まだ、秋のレースシーズンが終わってない時期であったので、同じように療養に来ているウマ娘は少なく、利用しているのはあなたたち含めて大体10組ぐらいであった。

 だが、この、偶然一緒になったウマ娘とトレーナーのペアがあなたたちが出ていくまでに皆いなくなるとは、あなたはこの時想像もしていなかったのだった。

 

 

 

 設備は非常に良い、療養施設だが、問題点はいろいろあった。

 まず、布団が1組しか用意されない。

 枕は二つである。

 というか、そもそも部屋がトレーナーとウマ娘で一部屋、というのはいろいろまずかろう。

 学生であるウマ娘と成人のトレーナーが一緒の部屋というのが大問題であり、さらに布団が一つというのが大問題である。

 だが、施設側に文句を言っても、学園側に苦情を言っても、一切取り合ってもらえなかった。

 

 仕方がないのでソファで寝ようとしても

 

「今回の休養はトレーナー君の休養でもあるんだよ。そんなの認められないね」

 

 といって、タキオンがあなたを、布団の中に引きずり込むのだ。

 ヒトではウマ娘に勝てないのだ。

 同衾は必須であった。

 

 布団に入ると、まずタキオンのいい匂いに包まれる。

 タキオンの匂いは基本ミント系である。薬っぽいというとそうだが、さわやかで安らぐ香りである。

 それだけでなく、何か甘い香りもする。

 総じてとてもいい匂いである。

 

 そして、浴衣を着たタキオンが抱き着いてくる。

 やわらかさとぬくもりを感じながら眠ることになる。

 鋼の意思がなければ一睡もできずに死んでいただろう。

 ありがとう鋼の意思。

 ありがとうトレーナー白書。

 

 

 

 次に部屋についている温泉である。

 二人で入れるぐらいの温泉なのだが、タキオンが

 

「髪と尻尾と体と、洗ってくれよー、トレーナー君。やくめでしょ」

 

 と譲らないのだ。

 断っても

 

「私はけが人なんだぞー、やさしくしろー」

 

 というから、結局二人で温泉に入って、すべて洗ってあげなければならない羽目になる。

 ちなみに洗い方は、素手にボディソープをつけて洗う方法だ。

 人間の手はざらざらしているが、タオルほどではないので肌を傷つけない洗い方としては最適なのだ。

 髪や尻尾は専用のブラシで洗う。

 

 こちらも当然、鋼の意思がなければのぼせて即死である。

 ありがとう鋼の意思。

 ありがとう桐生院。

 

 タキオンが一瞬あなたを睨んだ。

 心を読まないでほしいし、桐生院とは知り合い以上の関係ではない。

 

 

 

 こんなべたべたしてくるのは、タキオンだけかと思っていたが、他のペアも似たり寄ったりらしいことは、食事の時によくわかった。

 宴会場に集まり、食事をしているときのことだ。

 甘えん坊タキオンは、

 

「トレーナー君、食べさせておくれよー」

 

 とあーんを要求するので、全部あーんで食べさせた。

 他のペアも、トレーナーが担当にあーんで食べさせていたり、逆に担当がトレーナーにあーんで食べさせていたり、お互いあーんで食べさせ合っていたり、似たり寄ったりの状況である。

 ここは婚活会場じゃないんだぞ……

 あなたは思った。

 

 

 

 療養所内に、バーが存在する。

 トレーナーだけしか入れず、お酒も出る場所である。

 夜、ウマ娘たちが寝静まると、トレーナーたちはそこに集まり、情報交換をしていた。

 

「担当の圧が強くて……」

「布団が同じなのはやめてほしい」

「大浴場に逃げたら担当に泣かれた」

 

 大体皆、同じような状況らしい。

 ここにいるトレーナーは幸いみな、鋼の意思を有しているエリートトレーナーばかりである。

 だが、スキルだけで耐えきれるような状況ではなさそうである。

 療養が終わるまでの3か月、耐えきるために情報も必須であった。

 

「その点、同性だと楽なのよね」

 

 一人だけいた、女性トレーナーがのほほん、とそう語る。

 確かに、同性というだけで同じことをされてもハードルが低い。

 羨ましそうに、彼女を見るトレーナーも多い。

 

 トレーナーたちは皆、担当が嫌いなわけではない。

 というか、大好きに決まっている。一般的な恋人とか、夫婦とか目ではないぐらい、深い愛情を抱いている。

 だからこそ、脚を治して、また走ってもらいたいのだ。

 ここで間違いが起きたら、寿退社待ったなしである。

 

 療養終了まで3か月。皆でそろって学園に帰ることを、皆で誓ったのであった。

 

 

 

 そして、それは3日で終了した。

 最初に負けたのは件の女性トレーナーであった。

 

 同性だからセーフなんて甘い話ではなかったのだ。

 1週間後には、その女性トレーナーはウエディングドレスを着せられており、隣には白い燕尾服を着た担当ウマ娘が居た。

 確かにずっと、担当ウマ娘は彼女を甘やかしていたのには、他のトレーナーも気づいていたが、そういう関係を狙っていたのは、この時明らかになった。

 

 他の療養中のウマ娘は皆、タキオン含め彼女らを羨ましそうに見ており、トレーナーたちはみな戦慄していた。

 療養所は婚活会場ではない。

 療養所は結婚式場だ。

 なぜここに教会がついているのか、あなたを含めたトレーナーたちはやっと気づいた。

 

 ちなみに女性トレーナーはすぐおめでたになり、その後、担当との子供を何人も産んだらしい。

 ウマ娘とヒト娘は子供が作れる。世界の神秘である。

 

 

 

 一度結果を出したペアが出ると、その後のウマ娘たちの猛攻は激しくなった。

 幸いタキオンは、明確にやることは変わらなかった。

 膝の上に乗って来たり、わがまま言って実験に付き合わせて来たり、いつも通りである。

 風呂と同衾はいつも通りではなかったが、徐々に慣れてきた。

 あなたにとってタキオンの世話を焼くのは、仕事であり、趣味であり、ご褒美でもある。

 そう考えるとむしろあなたの調子は絶好調であった。

 

 だが、他のトレーナーたちは、櫛の歯が抜けるように、一人、一人減っていった。

 大体1週間に1度ぐらいの頻度で、療養所の教会で結婚式が開催される。

 1か月経過した時点ですでに最初の半分は結婚していなくなっていた。

 そうして、12月になった時点で、新規の入居者は25組増え、30組となった。

 だがそれは仲間が増え、状況が好転したわけではない。

 むしろ、相手側の仲間が増えて、状況は悪化していた。

 

 週3回は開催される結婚式。

 どんどん消えていくトレーナー。

 療養所内に流れる退廃的な空気。

 ヒトはウマ娘に勝てないのを思い知らされる光景である。

 老若男女。消えていくトレーナーに差別はない。

 ただ、負けたものから消えていくだけである。

 

 あなたと同時期に療養所に入ったトレーナーたちは、あなた以外は皆、結婚して消えていった。

 2か月半、同時期のトレーナーで最後まで粘っていたのは、大柄でナイスガイなトレーナーであった。

 担当の小柄なウマ娘と完全に凸凹コンビだったが、仲がいいのは一目でわかるような関係だった。

 彼女の怪我がそこまで重くなければ、おそらく3か月持っただろうが、彼女の怪我はかなり重かったらしく、2か月たった時点でも、治る見込みが立たなかったようだ。

 最終的には責任を取るということで結婚式を挙げて去って行ってしまった。

 

 そうしてあなたたち以外は皆いなくなったのだった。

 

 

 

 まあ他人の話はこれくらいにしておこう。

 あなたとタキオンの話である。

 

 イチャイチャする度合いなら、どのペアよりも、あなたとタキオンは高かっただろう。

 同じ布団で朝起きて

 軽く髪を梳かしてあげてから着替えさせて

 トレーニング場で少しだけ走って汗を流す。

 そのまま温泉で汗を流し、

 朝食をあーんで食べさせたら遠隔での授業を受けさせる。

 

 放置するとタキオンは授業をすぐにさぼるので、あなたが後ろから抱きしめて、逃がさないようにしなければならない。

 サボってもまあ、成績はトップなのでいいのかもしれないが、一応ちゃんと受けさせる。

 

 授業が終わったら、温泉にまた入って

 その後昼食である。やはりあーんであなたが食べさせる。

 午後は自由時間なので、二人で実験をするのが基本であるが、週に1度程度は一緒にデートに出掛ける。

 近辺のデートスポットは療養所で冊子を配っているので、それを回ってみている状態だった。

 

 帰ってくれば温泉にまた入って、夕食である。

 そうしてマッサージをしたり、最近あなたも覚えた笹針をタキオンに打ったりして、のんびり過ごす。

 最近はタキオンがあなたにマッサージしてくれることも多い。

 なお、マッサージの時の格好は、タキオンは当然マッサージ用の水着だし、あなたはマッサージ用水着としてタキオンに買わされたブーメランパンツの水着である。

 スゴク健全であった。

 

 そうして一通り汗をかいた後、温泉にもう一度入って、ゆっくりした後就寝である。

 

 充実した療養生活であった。

 

 

 

 だが、結婚式が行われるたび、タキオンが少し不機嫌になっていたのにあなたは気づくだろう。

 あなただってバカではないので、タキオンの気持ちにもさすがに気づいている。

 だが、タキオンにもっと走ってほしいのだ。

 なので、ぎりぎりの妥協案で我慢してもらうしかない。

 

 教会が使われていないある日、あなたはタキオンと教会を訪れた。

 不思議そうにするタキオンに、あなたはネックレスを取り出しタキオンの首に付けた。

 

「俺はまだ、タキオンに走ってほしい」

「わかってるよ。トレーナー君」

「だから、今は約束だけしかできない」

「? 約束」

「タキオン、全部終わったら、結婚してくれないだろうか」

 

 あなたは決意を決め、婚約を申し込んだのだ。

 ギリギリアウトのラインの申し出である。

 学園にばれたら終わるかもしれない

 でも、タキオンをこれ以上悲しませることもつらかった。

 そして、今首に巻いたのは、婚約の証としてのネックレスである。

 

「ふふ、トレーナー君は、私のことが好きなのかい?」

「大好きだ。世界で一番」

「知ってるよ。私もね、トレーナー君のことが世界で一番大好きだ」

「知ってるよ」

 

 二人で笑い合う。

 知っていても、お互い確認したくなることも時にはあるのだ。

 

「じゃあ、走り切った後だね。楽しみにしてるよ」

「俺も楽しみにしている」

 

 こうしてあなたとタキオンは、将来を誓ったのであった。

 

 

 

 結局、あなたが療養所にいた機関、延べ80組のウマ娘とトレーナーのペアが入所し、何事もなく退所できたのはあなたとタキオンだけであった。

 やはり療養所は結婚式場だったのだ。

 

 そんな場所から無事抜け出したあなたは、関係者から真のトレーナーとして噂されるようになる。

 だが、それはどうでもよかった。

 

 今日もタキオンが嬉しそうにネックレスを指で弄んでいる。

 それがあなたにとって一番大事であった。

 

 

 

 なお、復帰後、しばらくトレーニングをし、タキオンは天皇賞春に挑んだ。

 有馬記念に勝利し、このレースでタキオンに勝つことを目標としていたマンハッタンカフェに、タキオンはまた勝利をした。

 カフェは確かに強かった。

 だが、大好きなあなたと婚約したタキオンの力は、それを上回っていたのだ。

 ただそれだけであった。

 


トレセン学園温泉療養所のガイドライン

 

 鋼の意思持ちトレーナーの8人なら大丈夫だろうと思っていたら決死の直滑降持ちの担当ウマ娘8人に襲われた。

 部屋から徒歩1分の廊下でトレーナーが鼻から血を流して倒れていた。

 ウマ娘がトレーナーに突っ込んで倒れた、というか轢いた後からトレーナーを教会に連行する。

 部屋が担当ウマ娘に襲撃され、トレーナーはうまぴょいされた。

 部屋から大浴場までの10mの間に担当に襲われた。

 トレーナーの1/3が強制うまぴょい経験者。しかも百合ぴょいが怪我を治すという都市伝説から「女性トレーナーほど危ない」

 「そんな危険なわけがない」といって出て行ったトレーナーが5分後教会へ連れ込まれた。

 「何も持たなければ襲われるわけがない」と手ぶらで出て行ったトレーナーが全裸で担当に部屋に連れ込まれた。

 温泉療養所から半径200mは担当に襲われる確率が150%。一度襲われて また襲われる確率が50%の意味。




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