とある農夫との会話
へえ、ハンターさん、里の水源を調べに行くのかい?
悪いことは言わねえ。罰当たりなことはおやめなされ。
カムラの里を潤す大川、その源には貴いお方が居なさるじゃ。
あのお方が泉に居なさるから、里は洪水から守られておる。
作物を枯らす毒を撒く泥翁竜を、退治なさったのもあのお方じゃて。
わしの爺様も言っておった。
河童神様は、カムラの里の水神様じゃと。
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俺がヨツミワドウに転生してから1000年が過ぎた…というのは流石に冗談だが、かなり長い年月が過ぎたのは間違いないと思う。年数とか特に数えていないけど。
その間に、俺のウリナマコ量産作戦はかなりの成功を納めていた。
無論、最初は失敗続きだった。ウリナマコは水が綺麗すぎても汚すぎても増えてくれない。丁度いい水質を実現するまでは、自然のままより数が減る年が続いたのだ。
しかも、問題は水質だけではなかった。
毎年起こる洪水でせっかく育った奴らが流されていったり、尻尾から毒を出す変な竜に苦心した水質を汚染されたり。
だが、そんな困難も夢のウリナマコ食べ放題生活の為なら苦しくない。
泉を拡張して砂利を敷き詰め、ダム状の土手を作って水位を調節し洪水対策を施した。
洪水対策はもう一つ。泉の周囲にいくつか溜め池…と言うか沼地に近いものを作り、そこに葦を植えて水があふれた時の放水先にしたのである。
ちなみに、その沼地にはいつの間にかずんぐりした変な動物が住み着いていた。
どうもあの変な爺さん竜を張り倒した際に、一緒についてきたらしい。こいつらも泥んこが大好きで、あの竜に迷惑してたっぽいから、俺の近くに居れば安全とでも思っているのかもしれない。
俺としても、こいつらがたまに土手を越えて泉で水浴びをしてくれることで、水質がいい感じに濁るので助かっている。
こいつらが落とす皮脂か何かがウリナマコの食べ物である砂利の中の微生物のいい栄養になっているようなのだ。
とにかく、割と悪くない感じに仕上がっている。実はちょっと前に友達もできたし。余は満足じゃ~
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中堅ハンターの調査報告
かねて古文書に記され、里の農民たちの間で語り継がれていた水神の調査を行う。
結論から述べれば、水神の正体はおろか泉を目撃することすらかなわなかった。
古文書に記された泉があると思われる場所が、信じられないことに水の要塞と化していたからである。
当該領域は密林のはずだが、現地の景色はそうではなかったのだ。
半円状に葦が生い茂る沼地が広がり、霧が立ち込める向こう側には分厚い土手で作られたダムの様な構造物がうっすらと確認できる。
その地形は明らかに自然由来のものではなく、なんらかの作為――人間でなければモンスターの明確な意思――によって作られたものだった。
しかも、沼地にはまるで守備兵のように大量のズワロポスが生息しており、霧で視界も悪い中さらに未知のモンスターが潜む可能性も考えると迂闊な侵入はできなかった。
上記の理由からクエストは断念。これ以上深追いするのであれば相応の準備が必要だろう。
以上で報告を終わる。
この後は超展開予定。