転生したらヨツミワドウだった件   作:胡椒砂糖塩

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なんでモンスターが人間のつけた名前で呼び合ってんのって話ですが、便宜上そう書いてるだけで実際は固有の識別音で呼び合ってるとかそんな感じです。

あと、主人公のヨツミワドウは特殊個体なのでどんどんオリ設定を追加していくつもりです。簡単に言うと俺TUEEEE!です。


友達その1

 

クエスト『侵入!水源の大要塞』

 

 ギルドの調査により、カムラの里の水源に“水神” “河童神”と呼ばれる未知なるモンスターがいる可能性が浮上した。

 

 当該エリアはそのモンスターの手により自然要塞ともいうべき形に改造されているようだ。そこに侵入して、モンスターの正体を確かめてほしい。

 

 

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「おーい、遊びにきたよ!」

 

 泉の砂利に潜って、日課の昼寝をしていると葦の向こう側から声が聞こえてきた。

 

 水面から顔を出してみると、不思議なことに泉の周りに広がる沼地の葦原が風も吹いていないのにさわさわと左右に割れている。

 

 どうやら友人のお出ましらしい。

 

「遊びに来たんじゃなくて、たかりに来たんだろ。ナズチ。」

 

 俺が左右に割れた葦原にそう呼びかけると、何もないように見えた空間に一頭の竜の姿がユラリと浮かび上がった。

 

「流石は僕の親友。なんでもお見通しというわけだ。」

 

 現れた竜はクツクツと笑いながらおどけた口調でそう返す。愛嬌がありつつもどこか知性を感じさせる仕草だった。

 

「まあ、僕の体はこの通り透明になれるから、“見通せる”のも無理はないけどね。」

 

 言って竜は実際に透けたり現れたりを繰り返して見せる。なんとも不思議な光景だった。

 

 この竜の名はオオナズチ。一応俺とは友人関係にある。ちょっとしたきっかけで親交を深めてからは、こうしてよく俺の住処に訪れてくれるようになった。

 

 特技は見ての通りの透明化だ。原理はいまだによく分からないが、視覚的にはほぼ完ぺきに消失することができるらしい。おかげで縄張り意識の強いズワロポスの警戒網も、こいつだけはフリーパスとなっていた。

 

「また虫を食べに来たんだろう?いいぜ、好きなだけ食ってけよ。」

 

「本当かい?話が早くて助かるよ。」

 

 そう言うが早いか、ナズチは俺の背中にするりと回り込むと、俺の甲羅の表面を軽くはたいた。

 

 俺の甲羅は長い年月を経て分厚くなり、表面の老皮が硬直化して層を作っている。その老皮層部分にはコケや茸、果ては草花までもが根付いており、同時に大量の虫も生息していた。

 

 そこを叩けば、当然驚いた虫が大量に飛び出す。ナズチはそれを長い舌で巻き取ってうまそうに食べはじめた。こいつの好物は虫類なのだ。

 

「うううん!やっぱり君の甲羅についている虫は格別だねえ。どうだい?君も食べてみたら。」

 

「遠慮しとく。同じ両生種でも、俺とお前じゃあ食い物の好みは全然違うんだ。」

 

 俺がそう答えると、ナズチが不満げな声を立てた。

 

「だーかーら、僕は両生種じゃあなくて飛竜種だってば!」

 

「お前まだそれ言ってんのか…」

 

 こいつはなぜか自分のことを飛竜種だと自称している。正直言って、鏡を見てからいうべきだと思うが。扁平な顔とギョロギョロした目玉。棘の少ないツルリとした体に小さ目な羽。どう見ても俺と同類の両生種だ。百歩譲って鳥竜種。プケプケの親戚とかだろう。

 

「確かに飛竜はカッケーから、憧れる気持ちはよく分かる。だが現実を見なきゃあな。お前は飛竜って面じゃねえよ。」

 

「流石に酷くないかい…?」

 

 残念だが現実ってのは残酷なものなんだよ。フルフルみたいな例外はごく一部なんだ。

 

 

 

 食事を楽しんだナズチは、その後しばらく俺とじゃれ合って遊ぶと満足げに帰っていった。基本的には明るくていい奴なんだよなあ。飛竜アピールはウザいけど。

 

 

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ギルドによる文献調査記録

 

水源調査クエストの発注に先立ち、“水神”に対する文献調査を行った結果、数々の不可思議な記録が浮かび上がってきた。

 

 中でも興味深かったのが、水神の住処に向かうまでにある“三つの試練”についてである。

 

 一ノ試練、水辺の防人。これは沼地に群生するズワロポスたちのことのようだ。

 

 二ノ試練、霞隠し。詳細は不明。霧深い葦原に入ったものは、不可視の怪異に襲われるのだという。曰く、見えざる何かに道具を奪われた。曰く、突如毒霧が湧き出てきて苦しめられた。証言は一定せず、集団幻覚ではとも思われる。

 

 三ノ試練、霹靂瀑布。記録は霞隠しよりもさらに少なく、食い違いも甚だしい。雷のような轟音とともに水が一瞬で爆発し、侵入者を弾き飛ばしてしまうという。虹色に輝く妖しい竜を見たという証言もあれば、地味な色合いだったという記録もある。あるいは作り話だろうか。泉が丸ごと干上がったなど、俄かには信じがたい記録も多い。

 

 とにかく、今回の調査で分かったことは、里の中央に伝えられていなかっただけで“水神”にまつわる記録は思ったより多いということだ。

 

 それはつまり、この水神の存在はかなり古く、しかもその存在は軽々に口に出すのがはばかられる、一種の信仰対象でもあったらしいということでもある。

 

 いや、里の農民たちの間では、未だにその信仰は受け継がれているようですらあるのだ。

 




今回出てきたオオナズチですが、設定上は雌です。僕っ娘ですね。

古龍なのに飛竜を名乗って、その上両生種だと思われてます。

なぜ飛竜だと名乗るのかと言えば、以前主人公が「古龍は別格だからあったら即土下座する」とか言っていたので今の関係をそうやって壊さないためのミスリードです。

主人公はモンハン知識が少ないのでガチで分かってません。

実は互いに好感度マックス。
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