ファイトレつめ合わせ   作:Takosan007

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やばいやばいやばいやばい!!

小鳥もさえずるような、なんてことも無い放課後の… トレーナー室のロッカーの中。 俺は今… 落ち着くことを知らない心臓に抗いながら、息を潜めている。

何故、こんなところに隠れているのか……。 その理由を知るには、少し時をさかのぼる事になる─────







愛し方を教えてよ
愛し方を教えてよ


「よし、今月の練習スケジュールは… こんなもんでいいかな。」

 

 

昼ご飯も食べ終わり、そろそろおやつが恋しくなる時間…。 ファインモーションの専属トレーナーである俺は、月初めという事もあり… 今月のトレーニングの予定を立てていた。

 

ふぅ、ファインが来るまで少し時間があるし… 何か飲み物でも買ってくるとするか。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

「あら? お疲れ様です、トレーナーさん!」

 

「たづなさん! こんにちは!」

「この前はラーメン… 奢っていただきありがとうございました!」

 

 

この、緑の特徴的な服を着た女性は… たづなさんだ。

 

ウマ娘のことにとても情熱的な… 俺の “ ウマ友 ” とも言うべき存在で… ウマ娘の事でひとたび会話が盛り上がると、朝まで話し込んでしまうこともあった。

 

それに、ラーメンの美味しい店を知っているため… 担当バのファインと行く店を選ぶ時の参考にしている。

 

 

「そう言えばトレーナーさん、そろそろ予定が空いてきたんですよ!」

 

「それは良かったですね。 何かするんですか?」

 

「ふふふ、そろそろ… トレーナーさんと話がしたくなってきたなって思いまして。」

「今週末とかどうでしょうか?」

 

 

今週末は… さっき作った予定では空いていたはず。

 

 

「はい、行けまs………… !!??」

 

 

な……!? ファイン……!?

廊下の向こう側から、ファインが近づいてくるのが見えるのだが… 何か様子がおかしい。

 

ただならぬ威圧感を感じるし… 目に光が入ってないように見える。

 

目が… 合った……!? その瞬間、さっきより強い威圧感が… はっきりと感じられるようになり、身体中が悲鳴をあげる。

 

どこか、生命の危機を感じた俺は… 一旦その場を去ることにした。

 

 

「すす、すみません! 今月まだ予定組んでなくて! 組み終わったら連絡しますね!!」

 

「トレーナーさん…? 急にどうしたんですか?」

 

「い、いえ… スケジュールのことを考えてたら、急いでやらなきゃいけないことがあったのを思いだして… はは… ではまた!」

 

「……? はい、また今度……?」

 

 

 

────────────────────

 

 

 

いやいやいやいや、なんであんな威圧感出してたんだ……!? たづなさんと出掛けてる事に関しては、この前伝えておいたはず…。

 

何か… 怒らせるような事をしてしまったんだろうか。

 

何はともあれ、今の状態のファインを相手にするのは… 絶対に危険だ。 本能がそう告げている。

 

ほとぼりが冷めるまで… この “ 消臭ロッカー ” の中でウマホでもいじるとするか……。

 

 

『未読通知… 126件』

 

 

……やっぱ寝てようかな。

 

 

「トレーナー? いる〜?」

 

 

っ!? ファインが来てしまった。 まぁ、そろそろミーティングの時間だから… 当たり前と言えばそうなのだが。

 

一応さっきのが見間違いで、すごく怒っているというのは… 俺の勘違いの可能性もある。

 

もしそうであるならば、すぐロッカーから出ていって… いつも通りミーティングを始められるのだが…。

 

 

「いないの…? 入るよ!」 バギッ!! ドゴッ!!

 

 

あれ〜…? ファインさん? ドアって蹴破るもんじゃなくて開けるものなんだけどな…。 いつもの優雅なファインを返して欲しい。

 

これは無理だ。 耳もバッチリ怒ってるし… 何の罪もないドアが犠牲になってしまった。 仮にここで俺が出ていったら、あのドアの二の舞になるだけだし… 今日はもう会わない方がいいだろう。

 

 

「まだ、来てないのかな?」

 

 

今日…… もう来ることは無いかな。

 

 

「う〜ん… そろそろミーティングの時間なのに……。」

 

 

うっ、形容し難い罪悪感が…… でも、命と引き換えのミーティングなんて到底出来ない。

 

 

「でもおかしいなぁ……。 トレーナー室の方向に行くのは見えたのにな……。」

 

 

やっぱりファイン… こっち見てたじゃないか……! でも、トレーナー室に入るのは見られていなさそうで… 少し安心する。

 

 

「あっ、そうだ! 電話… かけてみようかな♪」

 

 

まずいまずいまずい! マナーモードにするの忘れてた! やば、今なるt

 

 

『キミノアイバガ! ズキュンドキュンハシリダシー♪』

 

「あれ……? ふふっ、そこにいたんだね……。」

 

 

終わった。 ファイン… 笑顔怖いよ…。

 

 

「ねぇ、出てこないの? いるのは分かってるんだよ…?」

「もうっ、開けなきゃ話してくれないの…?」 ガチャ…!

 

「や、やぁファイン… 少し寝てたんだけど… 気がついたらロッカーの中に居たみたいだ……。」

 

「嘘… つかないでよ。」 バタン! ガチャ…

 

 

え、ロッカーの中に閉じ込められたのか……? でも、ファインも中にいるし…… 何この状況……?

 

 

「え〜っと… まずは、何に怒ってるのか教えて欲しいんだが……。」

 

「先に私が質問するね? さっき… たづなさんと何話してたの?」

 

「いや、次のお出掛けの予定だけど…… それはファインも知ってるだろう?」

 

「そこじゃなくて…… 他に何か言ってたよね……!」

 

「な、なんだ……? 他には何も話してないんだが……。」

 

「もうっ…… たづなさんと! ラーメン食べに行ったって…! どういう事なの!?」

 

 

え、えぇ〜……。 それは別に良くないか……?

 

 

「いや、お出掛けの時… 割と毎回通ってたぞ?」

「それが何かいけなかったのか…?」

 

「毎回!? ふふっ…… 極刑だよ!!」

 

「えぇ!? 本当に何がいけないんだ…?」

 

「分からないの…? トレーナーとラーメンを食べていいのは… 私だけなんだよ?」

 

「いやいやいや、たづなさんにも人権はあるから…。」

 

「私が法律になるもん! っていうか作るもん!」

 

 

何を言ってるんだこの頭ラーメンウマ娘は…。 私以外とラーメンを食べたからロッカーに閉じ込めます…… って普通はならないからな……?

 

 

「むっ…… 驚愕ッ! ドアが真っ二つに割れている!!」

 

 

って、この幼さの残る特徴的な声は… 理事長……! もしかしたら助けてもらえるかも……!

 

 

「りじt…… んむっ!?」

 

 

……っ!?!? 口が… 塞がれてる!?

 

 

「ん〜っ♡」

 

 

いや、キスされてるな… これ……。

ファーストキスなのに… ロマンのロの字も無いキス…… されてるな……。

 

 

「減給ッ! 器物破損はきちんと報告が基本ッ!」

 

 

違うんです… ファインがやったんです……。

そう言おうにも、口の中は… 君に侵食されていて。

 

 

「用務員ッ! 直しといてくれ!!」

 

「ウス。」

 

 

「ん…… ん〜っ♡」

 

 

息が…… そろそろ離して……っ…。 目の前が…… ファインっ─────

 

 

 

 

 

 

「ぷはっ…… ふふっ、ファーストキス…… キミにあげちゃったね♪」

 

「って、あれ……? 気を失っちゃったの……?」

 

「あっ、そうだ! この前建てた…… うん、隊長… よろしくね♪」

 

「ふふっ……♪ トレーナー、隙を見せたキミが悪いんだよ……?」

 

 

 

────────────────────

 

 

 

なっ……。 なっ………!!

 

 

「ここは何処なんだ!?」

 

 

目を覚ますと、知らない天井。 とても豪華で…… まるで王様のベットで寝てるみたいだ。

 

 

「ふふっ♪ やっと起きたんだ?」

 

「なっ…… ファイン! どうして?」

 

「どうしても何も、キミと私は… 今日からここで暮らすんだよ?」

 

「なっ…… 俺に拒否権は……っ!?」

 

「あるけど…… 断っても意味ないよ?」

 

「どういう事だ……? まぁ、断れるなら断らせてもらうが……。」

 

 

扉は…… あそこか。 とりあえず家に帰ろう…… ここの雰囲気は豪華すぎて、俺の目には少し悪い。

 

 

「あ〜あ、出て行っちゃうんだ。」

 

「当たり前だろ? 君は未成年だし、俺はトレーナー… いわば教師のようなものなんだ。」

「そんな関係の二人が同棲なんて… 日本では許されないことなんだよ。」

 

「………。」

 

 

そんな言葉を口にしながら… 扉を開け、外に出ると…

 

 

「いや… 嘘だろ……?」

 

 

まず、大勢のSPが出口前に待機しているのが見えた。

さらに、出口の扉には厳重なロックがかかっており… 人である俺には絶対に開けられないようになっている。

 

 

「私はトレーナーのこと… 絶対に逃す気は無いから。」

 

 

後ろから、冷たい空気が流れ込む。 どうやら、抵抗するのは無駄みたいだ。

 

 

「トレーナー、好きだよ。 だから、ここで一生暮らしてくれないかな……?」

 

「こんな愛し方… 間違ってる……。」

 

「ふふっ、私… 他の人にキミが取られたくなくて……。 この建物も、キミが絶対に出ていけないような造りでお願いしたの。」

「キミを手に入れる方法…… これしか思いつかなくて……。」

 

「だからと言って… 実行していい理由にはならないはずだ……。」

 

「でも、正しいやり方なんてないでしょ? 私はキミが、キミの心が欲しいの。」

「正しさなんて関係ない、結果が全てなんだよ?」

 

「これは… 俺の心を手に入れてるんじゃなくて、抵抗出来てないだけなんだよ!」

 

「じゃあ… 私に正しい愛し方を…… 教えてよ。」

「結果は確定してるけど… 今からでも間に合うよね……?」

 

 

そういって、君は俺を見上げる。 いつものワガママは… 可愛い方だったんだなと、今更ながら思う。

 

もう、逃れられないのだろう。 変えられるのは… そこに行くまでの選択。 ならせめて…… 後味が悪くならないように……。

 

 

「一緒にここから… 頑張ろうな……。」

 

 

 

 

 

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