問題児達と一緒に仮面ライダーの力を手に入れた俺が行くようだ   作:岬サナ

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今回は初の5000字を越えました。

やはり中々区切りのいい部分はここだ!って所で区切りたい気持ちが出てきますからね~(  ̄ー ̄)


鷲と獣の王

白夜叉のその一言によって、その場にいた全員の視界に爆発的な変化が起きた。

 

「へぇ~」

 

その光景に千景は声を漏らす。

 

千景たちが投げ出されたのは、白い雪原と凍る湖畔──そして、水平に太陽が廻る世界だった(・・・・・・・・・・・・・)

 

「……なっ…………!?」

 

余りの異常さに、十六夜達でさえ同時に息を呑んだ。

箱庭に招待される時とはまるで違うその感覚は、もはや言葉では表現出来る御技ではなかった。

遠く薄明の空にある星はたった一つ。緩やかに世界を水平に廻る、白い太陽のみであった。

 

「流石は星霊だな」

 

千景は白夜叉の存在がどんなものなのかを理解した。全容はまだ本棚(・・)で見ていない千景には把握できない程であった。

 

「今一度名乗り直し、問おうかの。私は"白き夜の魔王"───太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への"挑戦"か?それとも対等な"決闘"か?」

 

魔王・白夜叉。その見た目から出す少女の笑みとは思えぬ凄味に、千景は楽しげに笑い、十六夜達3人は息を呑む。

 

(さて、どうするかな……)

 

千景は現時点での白夜叉(・・・・・・・・)となら本気で戦わなくても絶対に自分が勝てると確信しているが、それでも自分が本気を出すか、ある程度の実力を出すかで悩む。

その千景とは逆に、十六夜は背中に心地いい冷や汗を感じ取りながら、白夜叉を睨んで笑う。

 

「水平に廻る太陽と………そうか、白夜(・・)夜叉(・・)。あの水平に廻る太陽やこの土地は、オマエを表現してるってことか」

 

「如何にも。この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を薄明に照らす太陽こそ、私が持つゲーム盤の一つだ」

 

白夜叉が両手を広げると、地平線の彼方の雲海が瞬く間に裂け、薄明の太陽が晒される。

彼女はまさに、箱庭の代表ともいえるほど───強大な"魔王"だった。

 

「これだけ莫大な土地が、ただのゲーム盤………!?」

 

これに関してはそれほど驚く要素ではない。実際に特殊な空間を造ったり、そこに一部の土地と全く同じものを造るなどは個人及び種族間で確立している所もあるのだ。

 

実際に千景にも同じ規模で一つや二つくらい特殊な空間を個人的に持っているくらいだ。小さいものも含めるなら更に増える。

 

「如何にも。して、おんしらの返答は?"挑戦"であるならば、手慰み程度に遊んでやる。───だがしかし"決闘"を望むならば話は別。魔王として、命と誇りの限り闘おうではないか」

 

「「「……………っ」」」

 

飛鳥と耀、そして自信家の十六夜でさえ即答できずに返事を躊躇った。

 

(さて、彼らはどうするのかね~?)

 

千景は挑戦と決闘のどちらかを選ぶのは、すでに決めていたので十六夜達の返答待ちとなっている。

 

白夜叉が如何なるギフトを持つかは定かではない。だが勝ち目がないことだけは一目瞭然だった。しかし自分達が売った喧嘩を、このような形で取り下げるにはプライドが邪魔した。

 

しばしの静寂の後──諦めたように笑う十六夜が、ゆっくりと挙手し、

 

「参った。やられたよ。降参だ、白夜叉」

 

「それは決闘ではなく、試練を受けるという事かの?」

 

「ああ。これだけのゲーム盤を用意出来るんだからな。アンタには資格がある。───いいぜ。今回は黙って試されてやるよ(・・・・・・・)、魔王様」

 

「アハハハ!」

 

苦笑と共に吐き捨てるような物言いをした十六夜を、白夜叉は堪え切れず高らかと笑い飛ばした。プライドの高い十六夜にしては最大限の譲歩なのだろうが、『試されてやる』とは随分と可愛らしい意地の張り方があったものだと、白夜叉は腹を抱えて哄笑をあげる。

 

「……クク」

 

それを見た千景も十六夜らしい言い方だな。と小さく笑った。

そして、一頻り笑った白夜叉は笑いを噛み殺して他の者にも問う。

 

「く、くく………して、他の童達も同じか?」

 

「………えぇ。私も、試されてあげてもいいわ」

 

「右に同じ」

 

苦虫を噛み潰したような表情で返事をする2人に満足そうに声を上げる白夜叉。

 

「して、おんしは?」

 

そして白夜叉は残った千景の方を見て聞く。それに対して千景は、

 

「決闘で」

 

その瞬間、周りから音が消える。

 

「……ほぅ?」

 

白夜叉が眼を細めて千景の方を見ると、千景もにこりと笑みで返す。

 

「な、な、何を言ってやがりますかぁーーー!この問題児様はぁ!?」

 

黒ウサギは千景の首を掴んでガクガクと揺さぶりながら聞く。勿論、首を掴まれてるから声が出せないので千景のとる行動は単純である。

 

「ふぎゃっ!?」

 

「鬱陶しい」

 

ゴチン!と黒ウサギの頭を殴ったのだ。

白夜叉は自分の口元を扇子で隠してながら千景に問うた。

 

「……本気か、小僧?」

 

「本気だよ。……今のアンタ程度に負けるようなら俺は箱庭(ここ)に来てないんだよ」

 

「ふ。面白いのう」

 

そう言って開いていた扇子を閉じる白夜叉。

 

「だから、止めてくださ──」

 

「黙れよ、黒ウサギ。これは俺が決めたことだ」

 

「………っ!?」

 

黒ウサギは、それでも止めようとしたが千景からの圧力に口を噤んでしまう。

 

「勝てんのか?」

 

「確実にな」

 

十六夜に聞かれた千景は自信満々に即答で答える。

 

「お互いにもう少し相手を選んでください!それに白夜叉様が魔王だったのは、もう何千年も前の話じゃないですか!!」

 

「何?じゃあ元・魔王様ってことか?」

 

「はてさて、どうだったかな?」

 

黒ウサギの言葉とケラケラと悪戯っぽく笑う白夜叉にからかわれたと理解した十六夜たちはガクリと肩を黒ウサギと一緒に落とした。

 

その時、彼方にある山脈から甲高い叫び声が聞こえた。獣とも、野鳥とも思えるその叫び声に逸早く反応したのは、春日部耀だった。

 

「何、今の鳴き声。初めて聞いた」

 

「ふむ………あやつか。おんしら3人を試すには打って付けかもしれんの」

 

湖畔を挟んだ向こう岸にある山脈に、チョイチョイと手招きをする白夜叉。すると体長5mはあろうかという巨大な獣が翼を広げて空を滑空し、風の如く4人の元に現れた。

鷲の翼と獅子の下半身を持つ獣を見て、耀は驚愕と歓喜の籠った声を上げ、千景も納得の声を上げる。

 

「グリフォン………嘘、本物!?」

 

「そりゃ、吸血鬼や獣人がいるならグリフォンもいるわな」

 

「フフン、如何にも。あやつこそ鳥の王にして獣の王。"力""知恵""勇気"の全てを備えた、ギフトゲームを代表する獣だ」

 

白夜叉が手招きすると、グリフォンは白夜叉の元に降り立ち、深く頭を下げて礼を示した。

 

「さて、肝心の試練だがの。まずはおんしら3人とこのグリフォンで"力""知恵""勇気"の何れかを比べ合い、背に跨がって湖畔を舞う事が出来ればクリア、という事にしようか。そっちのおんしの決闘はその後だ」

 

「それでいいさ」

 

白夜叉に千景がそう言った後。彼女は双女神の紋が入ったカードを取り出す。すると虚空から"主催者権限(ホストマスター)"にのみ許された輝く羊皮紙が現れる。

 

『ギフトゲーム名 "鷲獅子の手綱"

 

 ・プレイヤー一覧

  逆廻 十六夜

  久遠 飛鳥

  春日部 耀

 

 ・クリア条件

  グリフォンの背に跨がり、湖畔を舞う。

 

 ・クリア方法

  "力""知恵""勇気"の何れかでグリフォンに認められる。

 

 ・敗北条件

  降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

 

           "サウザンドアイズ"印』

 

「私がやる」

 

それを読み終わるや否やピシ!と指先まで綺麗に挙手したのは耀だった。

 

「相談無しで決めたな」

 

「私がやる」

 

千景の言葉も届きながらも耀は断言し、その瞳はグリフォンを羨望の眼差しで見つめている。比較的に大人しい耀にしては珍しく熱い視線を向けていた。

 

『お、お嬢………大丈夫か?なんや獅子の旦那より遥かに怖そうやしデカイけど』

 

「大丈夫、問題ない」

 

「ふむ。自信があるようだが、コレは結構な難物だぞ?失敗すれば大怪我では済まんが」

 

「大丈夫、問題ない」

 

耀は一緒にいる三毛猫やホストマスターの白夜叉が何を言おうと彼女の瞳は真っ直ぐにグリフォンに向いていた。キラキラと光るその瞳は、探し続けていた宝物を見つけた子供のように輝いていた。

 

その隣で呆れたように苦笑いを漏らす十六夜と飛鳥は耀に任せることにした。

 

「OK、先手は譲ってやる。失敗するなよ」

 

「気を付けてね、春日部さん」

 

「うん。頑張る」

 

耀は飛鳥からの激励を受け取って頷き、グリフォンに駆け寄る。だがグリフォンは大きく翼を広げてその場を離れた。

戦いの際、白夜叉達を巻き込まないようにする為だろう。

耀を威嚇するように翼を広げ、巨大な瞳をギラつかせるグリフォンを、追いかけるように耀は走り寄った。

 

「アイツのギフトが幻獣の言葉が理解できるのかが分かるな」

 

「そうね」

 

耀のギフトの一端を知る千景と飛鳥は静かに見守る。

そして、数mほど離れた距離で耀は足を止め、まじまじとグリフォンを観察する。

 

(………凄い。本当に上半身が鷲で、下半身が獅子なんだ)

 

鷲と獅子。猛禽類の王と肉食獣の王。数多の動物と心を通わせてきた耀であるが、それはあくまでも地球上に生息している相手に限っていた。

"世界の果て"で千景、十六夜、黒ウサギの3人が出会ったユニコーンや大蛇などの生態系を遥かに逸脱した、幻獣と呼び称されるものと相対するのは、コレが初めてとなる。

 

「え、えーと。初めまして、春日部耀です」

 

『!?』

 

ビクンッ!!とグリフォンの肢体が跳ねた。その瞳かは警戒心が薄れ、僅かに戸惑いの色が浮かんでいた。耀のギフトが幻獣に対しても使えるという証だった。

 

(だったら彼女のギフトは、この箱庭でかなり化けるな)

 

耀のギフトの力の一端を見た千景はそう思った。だが反対にこうも考えていた。

 

(誰が渡したかは知らないが、ある意味でもっとも残酷な運命を背負わされているな)

 

「ほぅ………あの娘、グリフォンと言葉を交わすか」

 

そう考えていた千景とは違い、白夜叉は感心したように扇を広げた。

 

耀は大きく息を吸って、一息に述べる。

 

「私を貴方の背に乗せ………誇りを賭けて勝負しませんか?」

 

『………何………!?』

 

グリフォンの声と瞳に闘志が宿る。この箱庭で実力がある者程『誇りを賭けろ』とは、最も効果的な挑発と言える。耀はグリフォンの返事を待たずに交渉を続ける。

 

「貴方が飛んできたあの山脈。あそこを白夜の地平から時計回りに大きく迂回し、この湖畔を終着点と定めます。貴方は強靭な翼と四肢で空を駆け、湖畔までに私を振るい落とせば勝ち。私が背に乗っていられたら私の勝ち………どうかな?」

 

「なるほどな」

 

「確かに、これなら2つを一気に試せるな」

 

千景と十六夜は耀の言ったことに対しての条件を察していた。この条件ならば力と勇気の試練を試すことが出来る。

だがグリフォンは如何わしげに大きく鼻を鳴らして尊大に問い返す。

 

『娘よ。お前は私に"誇りを賭けろ"と持ちかけた。お前の述べる通り、娘1人振るい落とせないならば、私の名誉は失墜するだろう。───だがな娘。誇りの対価に、お前は何を賭す?』

 

「命を賭けます」

 

即答であった。グリフォンの言葉は分からずとも耀の受け答えである程度の会話の予測は出来ていた面々だが、余りに突飛な返答に黒ウサギと飛鳥から驚きの声が上がった。

 

「だ、駄目です!」

 

「か、春日部さん!?本気なの!?」

 

「貴方は誇りを賭ける。私は命を賭ける。もし転落して生きていても、私は貴方の晩御飯になります。………それじゃ駄目かな?」

 

『………ふむ……』

 

耀の提案にますます慌てる飛鳥と黒ウサギ。それを白夜叉、十六夜が厳しい声で制す。

 

「双方、下がらんか。これはあの娘から切り出した試練だぞ」

 

「ああ。無粋な事はやめとけ」

 

「そんな問題ではございません!!同士にこんな分の悪いゲームをさせるわけには───」

 

「ならコミュニティの再建を掲げるのも止めろ」

 

「なっ!?」

 

尚も食い下がろうとした黒ウサギに千景が止める。千景の言葉に黒ウサギは驚きの声を出す。

 

「大丈夫だよ」

 

更に千景が黒ウサギに口撃をしようとする寸前に耀は振り向きながら飛鳥と黒ウサギに頷く。その瞳には何の気負いもない。むしろ、勝算ありと思わせる表情だ。

それを見た飛鳥と黒ウサギはもう何も言えなくなる。

 

『乗るがいい、若き勇者よ。鷲獅子の疾走に耐えられるか、その身で試してみよ』

 

そして耀は手綱を握りグリフォンの背中に乗り込む。鞍は無いためやや不安定だが、耀は手綱をしっかりと握りしめ獅子の胴体に跨る。

 

「始める前に一言だけ。………私、貴方の背中に跨るのが夢の一つだったんだ」

 

『───そうか』

 

そして、グリフォンが大地を踏みぬくようにして薄明の空へと飛び出し、耀とグリフォンのギフトゲームが始まる。




次は、ついに千景と白夜叉との決闘です!
純粋な戦闘シーンは難しいですが必ず書き上げます!
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