問題児達と一緒に仮面ライダーの力を手に入れた俺が行くようだ 作:岬サナ
これが進むと書きたいのに思い通りに書けなくなるから辛くなるんだけどね
だから今は考えたように書けるのが嬉しく思う
内心の興奮から動かなくなった黒ウサギ。そんな黒ウサギへと十六夜と千景が近付く。
「おい、どうした?ボーっとしてると胸とか脚とか揉むぞ?」
「いや、それよりはまた耳を引っ張るか首を捻れば一発で反応してくれるんじゃないか?」
「え、きゃあ!」
背後にいた十六夜は黒ウサギの腋下から豊満な胸に、ミニスカートとガーターの間から脚の内部に絡むように手を伸ばしていた。それを押しのけて跳び退く黒ウサギは感動も忘れて叫ぶ。
「な、ば、おば、貴方はお馬鹿です!?200年守ってきた黒ウサギの貞操に傷をつけるつもりですか!?後千景さんは黒ウサギに対してバイオレンス過ぎません!?」
「200年守った貞操?うわ、超傷つけたい」
「それを売りに出せば初回は相当な額で売れるな」
「お馬鹿!?いいえ、お馬鹿!!それに黒ウサギを売ろうとしないでください!」
黒ウサギは疑問形から確定形に言い直して罵る。
黒ウサギに限らずにウサギという種は総じて容姿端麗・天真爛漫・強靭不屈で献身的という何処かの誰かの愛玩趣味を詰め込んだような種族である。故に彼女を狙って襲ってきた賊の数は星の数ほどいた。
しかし、身がすり合う程の距離まで反応出来なかった相手はいなかったし、ましてや腋の下から胸に触れる寸前まで許してしまうようなお馬鹿、もとい変態や真顔で売ると言った人はいなかった。
「ま、今はいいや。後々の楽しみにとっとこう」
「そうだな。もう少し時を待てば更に付加価値を付けられて高く売れるしな」
「さ、左様デスか。それとさすがに売らないでほしいのデスよ」
この2人は黒ウサギの天敵かもしれない。ウサギは一瞬だけ遠い目をした。
「と、ところで十六夜さんに千景さん。その蛇神様はどうされます?というか生きています?」
「勝負したのは十六夜だし、十六夜が決めることだろ」
「命までは取ってねぇよ。高島との戦いに比べたらしょうもなかったが、戦うのはそこそこ楽しめたけど、殺すのは別段面白くないしな。"世界の果て"にある滝を拝んだら箱庭に戻るさ」
黒ウサギの疑問に俺は十六夜に選択権を渡して、十六夜も命までは奪うつもりはないと答える。
「ならギフトだけでも戴いておきましょう。ゲームの内容はどうあれ、十六夜さんは勝者です。蛇神様も文句はないでしょうから」
「あん?」
「……」
十六夜が怪訝な顔で黒ウサギを見つめ返し、千景も無言で見た。黒ウサギは思い出したように捕捉した。
「神仏とのギフトゲームを競い合う時は基本的に三つの中から選ぶんですよ。最もポピュラーなのが"力"と"知恵"と"勇気"ですね。力比べのゲームをする際は相応の相手が用意されるものなんですけど………十六夜さんはご本人を倒されましたから。きっと凄いものを戴けますよー。これで黒ウサギ達のコミュニティも今より力を付ける事が出来ます♪」
黒ウサギが小躍りでもしそうな足取りで大蛇に近寄る。しかし十六夜は不機嫌な顔で黒ウサギの前に立つ。
千景は興味がないのか欠伸をしていた。
「……フワァ」
「───」
「な、なんですか十六夜さん。怖い顔をされていますが、何か気に障りましたか?」
まぁ気に障っているといえば障っているだろうなと俺は思った。
「………別にィ。オマエの言うことは正しいぜ。勝者が敗者から得るのはギフトゲームとしては間違いなく真っ当なんだろうよ。だからそこに不服はねぇ──けどな、黒ウサギ」
ふっと十六夜の軽薄な声と表情が完全に消えた。応じて黒ウサギの表情も硬くなる。
「オマエ、なにか決定的な事をずっと隠しているよな?」
「………なんのことです?箱庭の話ならお答えすると約束しましたし、ゲームの事も」
「話してないことがあるよな。黒ウサギ」
「………なんでしょうか?千景さん」
「仕方ねぇな。俺達が聞いてるのはオマエ達の事──いや、核心的な聞き方するぜ。黒ウサギ達は
千景と十六夜からの核心的な追求に表情には出さなかったものの、黒ウサギの動揺は激しかった。
2人の質問は意図的に黒ウサギが隠していたものだからだ。
「それは………言ったとおりです。十六夜さん達にオモシロオカシク過ごしてもらおうと」
「ああ、そうだな。俺も初めは純粋な好意か、もしくは与り知らない誰かの遊び心で呼び出されたんだと思っていた。俺は大絶賛"暇"の大安売りしていたわけだし、そこの高島や他の2人も異論が上がらなかったってことは、箱庭に来るだけの理由があったんだろうよ」
「呼び出された方法については異論を言いたいけどな」
「それは俺も同意意見だな。それとして、だからオマエの事情なんて特に気にかからなかったんだが──なんだかな。俺には、黒ウサギが必死に見える」
その時、初めて黒ウサギは動揺を表情に出した。瞳は揺らぎ、虚を衝かれたように見つめ返す。
「これは俺の勘だが。黒ウサギのコミュニティは弱小のチームか、もしくは訳あって衰退しているチームか何かじゃねぇのか?だから俺達は組織を強化するために呼び出された。そう考えれば今の行動や、俺や高島がコミュニティに入るのを拒否した時に本気で怒ったことも合点がいく──どうよ?100点満点だろ?」
「更に付け加えるなら、弱小チームじゃなくて衰退したチームってのが当たりだろうな。弱小チームが異世界から人材を呼び出せるだけの力やコネがあるとは思えないからな。だったら必然的に考えられるのは衰退しても繋がりがある何処か力あるコミュニティの後押しがあって俺達を召喚したって所だろ?」
「っ………!」
黒ウサギは十六夜と千景の指摘に内心で痛烈に舌打ちした。この時点でそれを知られてしまうのは余りにも手痛い。苦労の末に呼び出した超戦力、手放すようなことは絶対に避けたかった。
「んで、この事実を隠していたってことはだ。俺達にはまだ他のコミュニティを選ぶ権利があると判断できるんだが、その辺どうよ?」
「……………」
「沈黙は肯定と同じだぞ」
「だな。この状況で黙り込んでも状況は悪化するだけだぞ。それとも他のコミュニティに行ってもいいのか?」
「や、だ、駄目です!いえ、待ってください!」
「だから待ってるだろ。ホラ、包み隠さず話せ」
「分かってると思うが、次に何かを隠したりするならばお前のコミュニティに入るなんて希望は捨ててから言えよ」
十六夜と千景はそう言って、川辺の手ごろな岩に腰を下ろしたり、近くの木に背中を預けて聞く姿勢をとる。しかし黒ウサギにとって今のコミュニティの状態を話すのはあまりにもリスクが大きかった。
(せめて気付かれたのがコミュニティの加入承諾を取ってからならよかったのに………!)
「先に言っとくけど、そのコミュニティ加入後だったら俺がオマエ達のコミュニティを潰してたからな」
「ッ!?」
なし崩しにコミュニティの再建を手伝ってもらう策も千景が自身でトドメを刺すという言葉に潰される。………ジンにせよ黒ウサギにせよ、くじ運が悪かった。相手は世界屈指の問題児集団なのだ。
「ま、話さないなら話さないでいいぜ?俺はさっさと他のコミュニティに行くだけだ」
「当たり前だが俺もだからな」
「………話せば、協力していただけますか?」
「あぁ。
「それはお前次第だな」
ケラケラと笑う十六夜だが、その目はやはり笑っていない。千景も嘘は許さないと視線から伝わってくる。
「………分かりました。それではこの黒ウサギもお腹を括って、精々オモシロオカシク、我々のコミュニティの惨状を語らせていただこうじゃないですか」
コホン、と咳払いをして内心ではほとんど自棄っぱちな黒ウサギは口を開く。
次は黒ウサギから語られるコミュニティの現状の話ですね。