問題児達と一緒に仮面ライダーの力を手に入れた俺が行くようだ   作:岬サナ

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ようやく、ここまで終わった。
今回はいつもより1000字くらい多くなってしまった。


世界の果ての光景

蛇神から何かを受け取った黒ウサギはピョンと跳ねて千景と十六夜の前に出る。

 

「きゃーきゃーきゃー♪見てください!こんな大きな水樹の苗を貰いました!コレがあればもう他所のコミュニティから水を買う必要もなくなります!みんな大助かりです!」

 

「つまり前までは、まともに水さえない生活だったと」

 

「あ!?え、え~と……」

 

ウッキャー♪なんて奇声を上げながら水樹と呼ばれる苗を抱き締めてクルクルと跳び回るが、千景からの指摘にギクリと跳び回るのを停止した。

 

「まぁいいじゃねぇか高島。それと黒ウサギ、喜んで貰えて何よりなんだが、一つ聞いていいか?」

 

「どうぞどうぞ!今なら一つと言わず三つでも四つでもお答えしますよ~♪」

 

手に入れた水樹で水問題が解決しているからか十六夜から止められた千景はまぁいいかと考えた。

 

「それは三段腹なことだな」

 

「誰が三段腹ですか!」

 

「お前に決まってるだろ三段腹ウサギ?」

 

「何で千景さんはそんな何で分からないんだ?って顔をしながら黒ウサギのことを罵倒しないでください!」

 

怒ったり喜んだり忙しないウサギである。

 

「まぁ、どうでもいい疑問だけど。そんなに欲しかったならどうしてオマエがこのヘビに挑まなかったんだ?俺が見たところ、オマエの方がよっぽど強いように見えるが」

 

「もしくは、それさえも考えつかない残念ウサギだったのか?」

 

「酷いデスよ。千景さん!」

 

十六夜の言葉にお、と少し驚いたような反応を見せた後、千景の言葉にウキーと反応した黒ウサギは一転して冷めた目をする。

 

「とはいえ………その事でございますか。それはウサギ達が"箱庭の貴族"と呼ばれるコトに由来します。ウサギ達は"主催者権限"と同じく"審判権限(ジャッジマスター)"と呼ばれる特権を所持できるのです。"審判権限"を持つものがゲームの審判を務めた場合、両者は絶対にギフトゲームのルールを破ることができなくなり………いえ、正しくはその場で違反者の敗北が決定します」

 

「へぇ?それはいい話だな。つまりウサギと共謀すればギフトゲームで無敗になれる」

 

「お前はアホか十六夜」

 

俺は十六夜を見ながら呆れた表情をする。

 

「あ?」

 

「分かってないのか。ルール違反=敗北ならゲーム結果をねじ曲げるのもルール違反だ。だからその瞬間にこっちが負ける」

 

「その通りです。ウサギの目と耳は箱庭の中枢と繋がっております。つまりウサギ達の意思とは無関係に敗北が決定して、チップを取り立てる事が出きるのですよ。それでも無理に判定を揺るがすと………」

 

千景の推測を肯定して黒ウサギは更に付け加えて説明する。

 

「揺るがすと?」

 

「爆死します」

 

「爆死するのか」

 

「わざと爆死させる手段もあるのか」

 

「だから千景さんは何故黒ウサギをそこまで苛めるのですか!?」

 

黒ウサギからの猛抗議に千景は真顔になる。その顔を見てウッ!?と黒ウサギの千景に対する抗議が弱まる。

そのタイミングで千景は、

 

「イジメや冗談では言ってない。混じりっけ無しの純粋な気持ちで黒ウサギが爆死させる手段を考えている!」

 

「そっちの方がもっと酷いですよネ!?」

 

心外だと言わんばかりの返答をし、黒ウサギがなおのことダメだと言ってきた。

 

「そこまでだぜ2人とも」

 

「黒ウサギが遮るから」

 

「何で千景さんは黒ウサギの方が悪いと言うのですか!?」

 

「黒ウサギもストップだ。さっさと続きを話せ」

 

十六夜が千景と黒ウサギのじゃれ合いを止め、黒ウサギに話の続きを催促した。

 

「黒ウサギの持つ"審判権限"の所持はその代償に幾つかの"縛り"が御座います。

一つ、ギフトゲームの審判を務めた日より数えて15日間はゲームに参加できない。

二つ、"主催者"側から認可を取らなければ参加できない。

三つ、箱庭の外で行われているゲームには参加できない。

───とまぁ、他にもありますけど、蛇神様のゲームに挑めなかった大きな理由はこの三つですね。それに黒ウサギの審判稼業はコミュニティで唯一の稼ぎでしたから、必然的にコミュニティのゲームに参加する機会も少なかったのデスよ」

 

「なるほどね。実力はあってもゲームで使えないカードじゃ仕方ないか」

 

十六夜と千景は川辺を歩きだす。向かうのは世界の果てにあるトリトニスの大滝である。身の丈ほどある水樹の苗を抱えた黒ウサギも、2人に続いて小走りで追い付く。

 

「その、黒ウサギも一つ十六夜さんと千景さんに御聞きしたいことがあります」

 

「却下。嘘。どうぞ」

 

「答えない」

 

「あぅ!?……十六夜さんはどうして黒ウサギ達に協力してくれるのです?」

 

千景からは拒否られたが、気を取り直して十六夜へと黒ウサギは質問した。

 

「んー………。答えてもいいけど、ただ答えるのはつまらんな。質問を変えるけど、黒ウサギはどうして俺が"世界の果て"を見てみたいのだと思う?」

 

「やっぱり………面白そうだからでしょうか?十六夜さんは自称快楽主義ですし」

 

まぁそれだけだったら半分って所かな?と千景は思った。

 

「半分正解。なら、俺はどうして面白いと感じたんだろうな?」

 

半分と言われて更にむむ~と考え込む黒ウサギに、

 

「ハイ、タイムアウト」

 

無情にも時間切れと言い放つ十六夜。

 

「制限付き!?だ、駄目ですよ!ゲームの時間制限は最初に提示されない限り違反です!」

 

「マジか?じゃあ黒ウサギは爆死するのか?」

 

「なんで私が爆死するんですか!?」

 

「チッ…爆死しないのかよ。しろよ」

 

「本当に千景さんは酷くありません!?」

 

黒ウサギをからかいながら千景と十六夜は川辺を突き進んでいく。

千景・十六夜・飛鳥・耀の4人が箱庭の世界に呼び出されてから4時間が経過していた。

陽は徐々に落ちて夕暮れになろうとしていた。

 

「結局、"世界の果て"が見たい正解とはなんです?」

 

「多分、"未知やロマンがそこにあるから"とかか?」

 

「お♪スゲーな高島。正解だぜ。……俺の居た世界では先人様方がロマンというロマンを堀りつくして、俺の趣向に合うものが殆ど残って無かったんだよ。だからここじゃない世界なら、俺並みに凄いもの(・・・・・・・・)があるかもしれないと思ったのさ。まぁ、それはコイツに会っていきなり叶ったけどな♪」

 

ニヤリと十六夜は俺を見ながら言う。

 

「面倒なのはパスだ。是非とも俺以外の奴でそれは満たしてくれ」

 

「そう言うなよ。……まぁだからつまり"世界の果て"を見に行くのは、生きていくのに必要な感動を補充しに着たってところかな」

 

「な、なるほど。十六夜さんはロマンのあるものを見て感動したいのですね」

 

「流石は快楽主義だな」

 

「あぁ。感動に素直に生きるのは、快楽主義の基本だぜ?」

 

黒ウサギは十六夜の面白いと感じるロマンに対しての理解を深めたが、ふと……あれ?と首を傾げた。

 

「そうですか………んん?あれ、じゃあ十六夜さんが黒ウサギに協力してくれるのは、」

 

「早いとこ行こうぜ」

 

「おう!」

 

千景と十六夜が川辺を歩く速度を変えたので慌てて追う。

 

「天動説のように、太陽が世界を廻っているんだな………」

 

「分かりますか?あの太陽はこの箱庭を廻り続ける正真正銘、神造の太陽です。噂では、箱庭の上層部で太陽の主権を賭けたゲームがあるそうですよ」

 

「確かに何でも賭けられるならそういった物も賭けられるのか」

 

「そりゃ壮大だ。是非とも1度参加してみたいね」

 

「太陽の主権とか要らん気がするけどな」

 

何に使うんだよと視線を向ける千景に、ケラケラと笑う十六夜を見て黒ウサギの眼には楽しそうに見えた。

それから半刻ほど歩いた3人はようやくトリトニスの滝に出る。

 

「お………!」

 

「これは………!」

 

千景と十六夜から驚く声が上がる。

 

トリトニスの滝は夕焼けの光を浴びて朱色に染まり、跳ね返る激しい水飛沫が数多の虹を造り出している。

楕円形のようにも見える滝の河口は遥か彼方にまで続いており、流水は"世界の果て"を通って無限の空に投げ出されていた。

 

絶壁から飛ぶ激しい水飛沫と風に煽られながら黒ウサギは千景と十六夜の2人に説明する。

 

「どうです?横幅の全長は約2800mもあるトリトニスの大滝でございます。こんな滝は十六夜さんや千景さんの故郷にもないのでは?」

 

「……素直に感心した」

 

「………あぁ。素直にすげぇな。ナイアガラのざっと2倍以上の横幅ってわけか。この"世界の果て"の下はどんな感じになってるんだ?やっぱり大亀が世界を支えているのか?」

 

トリトニスの大滝の絶景さに千景と十六夜は感心の声を呟く。更に十六夜は世界の果ての下が気になったのか黒ウサギに聞く。

 

「残念ながらNoですね。この世界を支えているのは"世界軸"と呼ばれる柱でございます。何本あるのか定かではありませんが、1本は箱庭を貫通しているあの巨大な主軸です。この箱庭の世界がこのように不完全な形で存在しているのは、何処かの誰かが"世界軸"の1本を引き抜いて持ち帰った、という伝説があるのですが………」

 

「マジか!あんなデッカイ柱をな!」

 

「はは、本当にそれはすげぇな。ならその大馬鹿野郎に感謝しねぇと」

 

箱庭の中心に貫通している柱の1本を誰かが抜いたからこそ世界とは面白いと俺は本気で思い心が弾んでいる。そしたら十六夜が何かを気になったのか黒ウサギに問う。

 

「トリトニスの大滝、だったな。ココを上流に遡ればアトランティスでもあるのか?」

 

その問いに黒ウサギは意地悪そうに答える。

 

「さて、どうでしょう。箱庭の世界は恒星と同じ表面積という広大さに加え、黒ウサギは箱庭の外の事はあまり存じ上げません。しかし………箱庭の上層にコミュニティの本拠を移せば、閲覧できる資料の中にそういうものもあるかもですよ?」

 

「ハッ。知りたければそこまで協力しろってことか?」

 

「いえいえ。ロマンを追求するのであれば、という黒ウサギの勧めでございますヨ?」

 

「いや絶対に知りたかったら協力しろって意味だろ」

 

「まぁ、それはどうも御親切様」

 

そう言って絶景を楽しむポイントを探す十六夜。千景は思い出したように黒ウサギに言う。

 

「あぁ、そうだ。こんなデタラメで面白そうな世界に呼び出してくれた礼としてコミュニティに入りはしたけど協力とかはしないからな」

 

「え!?」

 

黒ウサギは俺の言い分に驚きこちらを見てくる。

 

「生活する上での資金稼ぎを勝手にはするがコミュニティの再建にまで協力するとは決めてない。それを見極めてからでないと信用できないんでな」

 

「えぇ………」

 

落ち込む黒ウサギの肩を十六夜が叩く。

 

「安心しろよ黒ウサギ。こんなデタラメで面白い世界に呼び出してくれたんだ。その分の働きはしてやる。けど他の2人やコイツの説得には協力しないからな。騙すも誑かすも構わないが、高島のようにまともに協力するかが分からないからな。後腐れないように頼むぜ。同じチームでやっていくなら尚更な」

 

「………はい」

 

黒ウサギは心の中で深く反省する。

そう、彼らは同じコミュニティで戦っていく仲間なのだ。相手が問題児だからといって利用するような真似をしては得られる信用も得られなくなる。

実際に千景もコミュニティには入るが信用が得られていないから本格的な手伝いはまだしないと言っている。

コミュニティが大事だったあまり、その意識が黒ウサギの中で低くなってしまっていた。

新たな同士である彼らには失礼極まりない話である。

 

(初めからちゃんと説明すればよかったな………ジン坊っちゃん、大丈夫でしょうか)

 

黒ウサギは残りの2人を相手にしているコミュニティのリーダーのことを思った。

 

そして千景と十六夜はトリトニス大滝の絶景を見終えて箱庭に行こうとした。

 

「ここからだとまた同じくらい掛かるな」

 

「そうでございますね」

 

「………仕方ない。帰りもショートカットするぞ」

 

「………はい?」

 

「あ?……なるほど」

 

千景の言葉に黒ウサギと十六夜は首を傾げるが、十六夜は理解したのか納得した表情をする。

千景が手を掲げると目の前にオーロラが現れた。

 

「な、何ですか。これは!?」

 

「ヤハハ。高島、お前やっぱり最高だな。これまで使えるのかよ!」

 

俺は2人の言葉に返答せずにオーロラカーテンを通り、

 

「早く戻ろうぜ」

 

その後を十六夜は楽しげに通り、黒ウサギも不思議そうに通った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




飛鳥と耀もガルドとのギフトゲームの話し合いをしているでしょうね。
次回は問題児が4人揃って絶叫する黒ウサギをお楽しみに!
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