問題児達と一緒に仮面ライダーの力を手に入れた俺が行くようだ 作:岬サナ
俺のオーロラカーテンを使って箱庭の外門にショートカットをして十六夜と黒ウサギと共に飛鳥たちがいるであろう場所へと向かったのだが、そこで黒ウサギは猛烈に怒っていた。
合流した後に話を聞いてウサ耳を逆立て嵐のような説教と質問を言うくらいに、だ。
「な、なんであの短時間に"フォレス・ガロ"のリーダーと接触してしかも喧嘩を売る状況になったのですか!?」
確かに短時間ではあったが、そのくらいの状況になる時間はあっただろう。
「しかもゲームの日取りは明日!?」
「今日じゃないんだな」
「流石に相手の方も準備をしたいんだろ」
千景の疑問に十六夜は答える。
「それも敵のテリトリー内で戦うなんて!」
黒ウサギの荒ぶりは止まらない。
「準備している時間もお金もありません!」
「時間はともかくとして金は最初から無理じゃね」
「そこは流石に黒ウサギでも何とかすんだろ」
コミュニティの状況から金は無理だろうと俺は判断するが何かしらのアテでもあるのだろうか?借金とかなら絶対に嫌だと思った。
「一体どういう
それに対して3人は、
「「「ムシャクシャしてやった。今は反省しています」」」
「黙らっしゃい!!」
「なぁ十六夜よ」
「何だ?」
千景は事の発端の3人を見ながら十六夜に言う。
「黒ウサギは俺達のことを問題児って言ったけどよ。リーダーも十分に問題児だよな」
「それは同意するぜ」
「そこも黙らっしゃい!!」
そんなことを溢す2人にも黒ウサギの激怒の声を上げる。
それはそれとしてニヤニヤと笑って見ていた十六夜とため息を吐いた千景が止めに入る。
「別にいいじゃねぇか。見境なく選んで喧嘩売ったわけじゃないんだから許してやれよ」
「上空4000mからの落下のストレスでやったかもしれないだろ?怒ってすみませんの一言もないのか?」
「い、十六夜さんは面白ければいいと思ってるかもしれませんし、千景さんに限ってはまるで黒ウサギの方が悪いって言ってますよね!?それにこのゲームで得られるものは自己満足だけなんですよ?この"
黒ウサギの見せた"契約書類"は"主催者権限"を持たない者達が"主催者"となってゲームを開催するために必要なギフトである。
そこにはゲーム内容・ルール・チップ・賞品が書かれており"主催者"のコミュニティのリーダーが署名することで成立する。黒ウサギが指す賞品の内容はこうである。
「"
千景は、ほいっとそれを十六夜へと渡す。
「まぁ、確かに自己満足だ。時間をかければ立証できるものを、わざわざ取り逃がすリスクを背負ってまで短縮させるんだからな」
「これは相手側からしたら、こっちに望むチップは"罪の黙認"になるだろうな。相当なバカでない限りな」
そう飛鳥達がチップにしたのは千景が言ったように"罪の黙認"であった。それは今回に限らず、これ以降もずっと口を閉ざし続けるという意味である。
「でも時間さえかければ、彼らの罪は必ず暴かれます。だって肝心の子供達は………その、」
黒ウサギが言い淀む。彼女も"フォレス・ガロ"の悪評は聞いていたが、そこまで酷い状態になっているとは思っていなかったのだろう。
もしくは気付けたのかもしれないがコミュニティが殆ど機能していなかったノーネームの維持や日々の暮らしの支えの忙しさに気付かなかったのかもしれない。
「そう。人質は既にこの世にはいないわ。その点を責め立てれば必ず証拠は出るでしょう。だけどそれには少々時間がかかるのも事実。あの外道を裁くのにそんな時間をかけたくないの」
「意外と箱庭のルールの穴があるのが判明するよな。まぁ逆に言えば箱庭の外でガルドを始末してもバレなければ問題ないって意味でもあるしな」
千景の言うとおり、箱庭の法はあくまで箱庭都市内でのみ有効なものだ。外は無法地帯になっており、様々な種族のコミュニティがそれぞれの法とルールの下で完全な無法地帯でないようにしているのだ。
それでもそこに逃げ込まれては、箱庭の法で裁くことは不可能となる。しかし"契約書類"による強制執行ならばどれだけ逃げようとも、強力な"
「それにね、黒ウサギ。私は道徳云々よりも、あの外道が私の活動範囲内で野放しにされることも許せないの。ここで逃せば、いつかまた狙ってくるに決まってるもの」
「正論だな」
「同意」
「当たり前だな」
奇しくも問題児の4人は意見を同じくしている。黒ウサギはそれにウッ!?とする。
「ま、まぁ………逃せば厄介かもしれませんけど」
「僕もガルドを逃がしたくないと思っている。彼のような悪人は野放しにしちゃいけない」
「………」
自身のコミュニティのリーダーのジンも同調する姿勢を見た黒ウサギは諦めたように頷いた。
その時、千景はジンに対して他の皆とは違う視線で見ていたがそれに気付いた者はいない。
「はぁ~………。仕方がない人達です。まぁいいデス。腹立たしいのは黒ウサギも同じですし。"フォレス・ガロ"程度なら十六夜さんか千景さんのどちらか1人いれば楽勝でしょう」
それは黒ウサギの正当な評価のつもりだった。しかし十六夜と飛鳥は怪訝な顔をして、千景は呆れた顔をして、
「何言ってんだよ。俺は参加しねぇよ」
「参加するわけないだろ。馬鹿ウサギ」
「当たり前よ。貴方達なんて参加させないわ」
フン、と鼻を鳴らす十六夜と飛鳥に我関せずの千景。黒ウサギは慌てて3人に食ってかかる。
「だ、駄目ですよ!御3人はコミュニティの仲間なんですからちゃんと協力しないと」
「そういうことじゃねぇよ黒ウサギ」
十六夜が真剣な顔で黒ウサギの言葉を右手で制した。
「十六夜の言う通りだぞ、黒ウサギ。このギフトゲームに俺達の2人が参加するのは道理に合わねぇんだよ」
「そういうこった。いいか?この喧嘩は、コイツらが
「あら、2人とも分かっているじゃない」
「………。あぁもう、好きにしてください」
丸1日振り回され続けて疲弊した黒ウサギはもう言い返す気力も体力も残っていない。
どうせ失う物は無いゲーム、もうどうにでもなればいいと呟いて肩を落とすのだった。
(まぁ、それ以外の理由もあるが……)
だが、黒ウサギの失う物は無いという判断は間違いでもある。千景はまだ本当の意味でノーネームのコミュニティに心から属する意思はなかった。
間違いなく今回のギフトゲームで敗北もしくは勝ってもボーダーラインを超えなければコミュニティの魔王を倒して"名"と"旗印"を取り戻す手伝いはしないつもりであった。