花を咲かせ、未来に繋ぐ [加筆修正中]   作:まんじゅう卍

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第11話 残った傷跡

 鷲尾晴哉は樹海解除後、直ぐに病院へと運ばれた。

 全身に裂傷があり、血管も在るべき場所を失い、左腕も失われ、多量出血により命が助かる確率はほぼゼロに等しかった。そんな状況に置かれ、緊急処置室に運ばれてから既に数時間が経っている。

 須美と園子、銀の三人も怪我が酷く、しばらくは入院することになっていた。同じ病室に入院することになった三人の雰囲気は暗く、とても重たいものであった。

 

「兄さん…大丈夫かな」

 

「きっと大丈夫だよ〜。ハルスケ強いもん。ね、みのさん?」

 

「うん。そうだよね。…ハルヤ、助かるよな」

 

 この時ばかりはいつも快活な銀もショックを受けているようだった。事が事のため、かなりの責任を感じているようだ。

 

「なあ、須美。アタシ、いつもハルヤに守ってもらってばかりだ…だめだよな。こんなんじゃ」

 

「そんなにクヨクヨしてるの、みのさんらしくないよ」

 

「ははっ、そうかな」

 

 銀が再び俯いた時、三人の病室の扉が開いた。三人とも同時に扉の方に視線を向ける。

 

「姉ちゃん!大丈夫!?」

 

 銀の弟が病室へと飛び込んできた。須美と園子はその声音から、銀の弟が姉をどれだけ心配しているのかが須美と園子にはよく伝わった。

 

「こら、大声出さない。よかった、まずは三人とも無事で」

 

 追いかけるようにして銀の母親が弟に続いて入室してきた。三人の姿がその目に映る。既に目には涙が浮かんでおり、その涙がどれだけ三人の事を心配していたのかを物語っていた。

 銀の二人目の弟も、まだ言葉を発せないなりに姉へと手を伸ばして、無事を喜んでいた。

 須美は仮にあの時、銀がーーーしていたら、今この場で話している銀の家族は深い悲しみに包まれていたに違いない。と考えると兄が何のために身体の一部を欠損させてまで庇ったのかわかる気がしてしまった。

 けれど、自分が兄の立場だったならそんなこと出来ただろうか。

 きっと。いや、絶対にできない。

 須美はこんな時にもただ待つしかできない自分の無力さを呪った。

 

 

 それから更に数時間後、白衣を着た病院の先生が須美たちの病室へと入ってきた。その後ろに安芸先生もいる。

 

「鷲尾晴哉さんですが、一命は取り止めました」

 

 病院の先生がそんな吉報をもたらした。

 

「本当ですか!?」

 

 その言葉を聞くやすぐに銀が一番早く食いついた。だが医者や説明はそこでは終わらず安芸先生は落ち着けとジェスチャーをする。

 

「まだ安心はできませんが、それでも命は無事です。ただ…」

 

 安芸先生は少し躊躇う。数秒の間緊張が走った。安芸先生は息を軽く吸うと、決断したのか「この先、普通の生活に戻れるかはわからないわ」と告げた。その一言に須美は息を呑んだ。

 

「一生寝たきりとかそういうのですか?」

 

と園子が動揺する須美の代わりに聞いた。

 

「いえ、そこまでではありません。ですが、かなりのリハビリは必要でしょうし。それに何より左腕を失ってしまっています。不自由な生活は避けられないわ」

 

 安芸先生の話を聞いて須美はホッとしていた。こんなことを言っては怒られるかもしれないが二度と話せない寝たきりの状態になるよりはマシだと思ったから。

 

「…それと」

 

「まだ、何かあるんですか?」

 

 何か言いかけて黙ってしまった安芸先生は唇を噛むと「いえ、ごめんなさい。何でもないわ」とそれだけ言って病室を後にした。

 そんな不可解な先生の様子に須美と園子は首を傾げたのだった。

 

 

 安芸は深くため息をついて、目頭を抑えながらつぶやく。

 

(もう鷲尾晴哉はヒトには戻れない)

 

 こんなこと彼女たちに言えるわけがない。それにこのことに関しては大赦も口外禁止としている。自分の独断で判断していいわけがなかった。

 既に鷲尾晴哉の身体は首より下は完全に神樹の中にいる何かに置き換わっていた。

 今回一命を取り留めたのもこのことが原因していると安芸自身は考えている。回復力が尋常ではなかったからだ。通常の人間なら間違いなく命を落としているに違いない傷。それを瞬時に治し切ってしまったのだから。

 当初、大赦は身体の半分以上を何かに置換されたらもう鷲尾晴哉は動けなくなるだろうと踏んでいた。神樹の力による負荷に身体が耐えきれなくなり身体が動かなくなる。だが、実際はそうはならなかった。寧ろ、鷲尾晴哉の方に神樹の中の何かが馴染んでいった。

 これは憑依というのが正しいのかもしれない。それならば色々と説明がつく。と大赦は見解を積むだろう。

 鷲尾晴哉に関する事は勇者システムに関わらず、全てにおいて謎だ。大赦は四国内全ての個人情報を所有している。だがそもそも、鷲尾晴哉は()()がわからない。鷲尾家に属してはいるが実の親がいない。情報によれば鷲尾夫妻が引き取ったことになってはいるが詳しい事は何もはっきりとしていなかった。

 だが、そもそもの話、安芸は鷲尾夫妻よりも晴哉のことは先に知っている。それ故に多少なりとも彼のことは気になるのだ。そして、晴哉の秘密を知っているのも安芸だけである。

 安芸は再度ため息をつき、そしてその場を離れた。

 

 

 

 俺はまたあの場所へと来ていた。

 

「そろそろはっきりさせて貰ってもいいか?」

 

 いつからそこにいたのか。俺は振り返りながら後ろにいる人物に話しかけた。

 

「そうだね。君には伝えないといけないことが結構あるんだ」

 

 いつも夢に見る俺に似た人物がそこにはいた。

 

「じゃあ、何から話そうか。時間はたっぷりあるんだ」

 

「手短に簡潔に頼む。俺も早くあっちに戻りたいんだよ」

 

 こちらからすれば早く戻って須美や園子、銀の無事を確かめたかった。こんなよくわからない場所でよくわからない人に絡まれるのは遠慮したいところである。

 

「つれないなあ、全く」

 

 そう言うと彼は軽く笑った。

 

「ならご注文通り手短に話させてもらうよ。なるべくね」

 

「最後のせいで不安しかないぞ」

 

 俺の言葉を無視して彼は語り始めた。

 

「君の身体の事から話そうか。君の身体は今、簡単に言えば神樹様、厳格には俺とかな。要するに回路が直接つながってしまっているわけなんだ」

 

「だから生身の体でも勇者システム同様の力が扱えるってことか?」

 

「理解が早くて助かるよ。普通そんな事が起きれば君の身体は簡単に崩壊してる。けど、そうはならなかった」

 

「俺の魂とお前の魂の形がほぼ同じだったから?」

 

「流石によくわかってる。そゆこと。っと、話が長くなってしまったね。もうこの際、何も変なことを言わずに言ってしまった方が早いか」

 

「今更感すごいぞ……」

 

 俺はジト目を彼に向ける。彼は「ははっ。怖いな」と一切そんな事を思ってもいないだろうに呟く。

 

「君は俺と繋がっている回路から能力を借り受け、それを君が生身の身体で受け取ってしまっている。そのために上書きされる。これが君の身体に起きてる異変だ。納得したかい?」

 

「なんだか長々と話されてわけわからん」

 

「自分なりに噛み砕いて解釈してくれよ」

 

 なんて他人任せなやつだ。ただ、納得するまでは行ってなくても理解する事はできた。

 つまりは俺の身体は神樹ではなく、神樹の中?にいると思われるこの人から間接的に力を受け取っていたと言う事らしい。色々と無茶苦茶すぎて何が何だか…。

 

「お前…説明下手だろ」

 

「おや、バレたかい?許してくれよ、この事は短い時間でわかりやすく説明する事は難しいんだ。ちょっとした制約もあるしね」

 

「じゃあ説明するなよ」

 

「ははは、お言葉が厳しいね」

 

 ここで一応説明もひと段落したのか「何か他に聞きたいことはないかい?」と彼が俺に問う。俺は今、最も気になっていることを聞くことにした。

 

「なら、俺から一つ聞いてもいいか?」

 

 彼が頷いたことを確認し、そして俺は兼ねてから気になっていることを聞いた。

 

「お前は誰なんだよ。結局」

 

「俺かい?そういや言ってなかったね」

 

 彼は佇まいを直すと自分の名を名乗った。

 

「俺は不知火幸人。300年前、勇者たちと共にバーテックスと戦った"守り人"だ。君の先輩ということになるね」

 

「そんな名前、聞いたことないぞ」

 

「だろうね。多分情報から抹消されてるから」

 

 情報が消されるなんてよっぽどの事をしたのだろうか。気になるが今はその話をするときではないと感じた。

 

「俺は、お前の生まれ変わり…なのか?転生とか、そういう」

 

「厳密には違うかな。因子的な何かだよ」

 

 これ以上はまた更にややこしくなりそうだと感じた俺は無理やりこの会話を打ち切る。

 

「そういうことにしとくよ」

 

「そうそう、因子で思い出した。君は友奈の名を持つ人にあったことあるかい?」

 

「友奈?いや、ないけど」

 

「ありゃ、ないのか。ならいいや。そのうち知ることになるし」

 

「勝手に一人で納得して話を進めないでくれ…」

 

「確かにまだ開花しきっていないから、そういうことか」

 

 こちらの言葉を無視して、勝手に完結させた。こいつ絶対人の話聞くの苦手だろ。彼は桜の木を眺めた。

 

「その桜は?」

 

「これかい?これは…そうだな、原点かな」

 

「意味がわからん。ほんっと説明下手くそだな」

 

「酷い言われようだ」

 

 苦笑いを浮かべ、彼は肩をすくめた。

 

「不思議な話だな。木の中に木があるとか」

 

「そこら辺、気にしたら負けと思いな」

 

「んな、適当な」

 

 そう言った瞬間、突如視界が歪んだ。目眩がして膝をつく。

 

「予想以上に回復が早いな」

 

 俺は言葉を発せなかった。目眩が酷い。声がとても遠くに聞こえる。

 

「最後にもう一つ、先輩からアドバイス」

 

「な、んだ?」

 

「自己犠牲はやめろ。あれはろくなものじゃない。するだけ無駄だ」

 

 その言葉だけはこれまで柔らかいものであった彼の声にしてはやけに棘を含んでいた。

 俺はそれに対し、返事をすることもできなかった。

 

 

 

 目を開けるとそこはいつもと違う天井だった。目だけが動いたので現状を確認する。身体中には多くの管が繋がれていてうまく動かせない。声を出そうと思っても、それすら上手くいかなかった。

 頭も上手く働かず、自分がどうしてこんな場所にいるのかを理解できない。

 

「先生!鷲尾さんの目が覚めました!」

 

 バタバタと誰かが駆けていく音がした。視界すらぼやけていて、追いかけることができない。一点を見つめていると、しばらくして白衣を着た人が視界に入ってきた。

 

「わかるかい鷲尾くん。反応できるのなら頷いてくれ」

 

 俺は軽く頷いた。白衣を着た人もそれで俺に意識があることを確定させたようだ。ようやくここで白衣を来た人が病院の先生であることに気がついた。

 

「ご家族にご連絡を」

 

 先生がそう言うと近くに控えていた看護師が駆けていった。

 そんなことより真っ先に確認しなくてはいけない事があった。なんでそれを優先しなかったのか。

 

「ぎ…ん、は?」

 

 なんとかして声を捻り出した。それで既に苦しい。

 先生も何を言っているのか理解してくれたらしく、大きく頷いた。

 

「三ノ輪さんなら無事だよ。君が頑張ったおかげだ」

 

 先生がそう言って微笑むと、ようやく自分の中に安堵感が生まれた。

 

 それから多くの検査を受けている間に、須美を含む家族は病院を訪れていた。俺は酸素マスクも外し、ある程度の生命活動は再開していた。目が覚めた数時間前に比べてかなり楽になっていた。これも再生能力が桁違いになっている恩恵なのだろうか。

 まだ長くは声は続かないが話せる程度にはなっていた。

 

「……」

 

 家族が来るまでの間、寝たまま外を眺めていると須美が病室に姿を見せた。俺は軽く手をあげて元気アピールをしてみたりする。

 

「よっ須美、無事、だったか?」

 

「…兄さん…兄さん!!」

 

 俺は須美に来るなりかなりの勢いで抱きつかれた。

 

「ちょ、痛い、抱きつくなって」

 

「よかった…よかったぁ…」

 

 そう言うと須美は今までずっと気を張っていたのか、安心して涙が止まらなくなっていた。

 

「痛い、痛いし、泣くなって。…全く仕方ないな」

 

 俺は自分の傷口をこれでもかと縛り付けてくる痛みよりも、泣きじゃくる須美の頭を撫でる事を優先した。どの誰でも良いから「お兄ちゃん偉い」と褒めて欲しいくらいで在る。

 そんな馬鹿な事を考えている俺とは対照的に須美は泣きながら、震える声を搾り出す。

 

「ぐすっ…だって、死んじゃうんじゃないかって…ずっと心配で」

 

「ごめんって。けど、ありがとうな。心配してくれて」

 

 しばらく須美は泣き止むまで、大人しく俺に頭を撫でられ続けた。

 そうすること数十分。須美はようやく落ち着いたのか、俺から離れると袖で乱暴に目を擦った。そのせいか目が赤く腫れていた。

 

「すごい恥ずかしい姿を見せた気がするわ」

 

「俺としてはもう少し、抱きついていてくれてもよかったんだけどなぁ」

 

 そう言うと須美に睨まれた。我ながら気持ち悪い発言をしていることには自覚があった。

 

「それだけ起きて早々軽口が叩けるならもう本当に大丈夫そうね」

 

「そんなに最初やばかった感じ?」

 

「当たり前じゃない。自分の身体に聞いてみなさいよ」

 

「本当だ…あるはずの腕が……いや、なんであるんだよ」

 

 今更になって自分の左腕があることに気づく。もれなく包帯が大量に巻かれているけど。おまけに動かない。

 前回の戦いで間違いなく俺の腕は吹っ飛んだはず。まさか、無くなるたびにニョキニョキ生えてくるような風になってしまったのだろうか。気持ち悪すぎる。

 

「それは乃木家のおかげよ」

 

 須美より少し遅れて母親と父親が入ってきた。二人ともその顔の目元には寝ていないのかクマがあった。

 

「お母さんとお父さんじゃん。えっと、久しぶり?」

 

「晴哉…どれだけ親に心配かけるの」

 

 母親の目の下にはクマができており、それはどれだけの心配をかけていたのか何よりの証拠のように感じた。

 

「…ごめん」

 

 俺が頭を下げると同時に父親が目の前にまで来る。

 

「全て須美から話は聞いてる。晴哉、よくやったな」

 

 父親の手が俺の頭に乗せられる。ぽんぽんと軽く叩いた。少し照れ臭くて俺は視線を逸らす。するとコツン。と頭を小突かれた。「えぇ?」と困惑しながら視線を戻すと父親は険しい顔を浮かべている。

 

「けど、どれだけ自分が無茶したのか分かってるのか?」

 

「…まあ、それなりには」

 

 多分この両親に俺は愛されているんだろう。こうして心配して怒ってくれているのが何よりの証拠のように思える。なんだか気恥ずかしかった。

 

「それで、園子の家とこの腕にどんな関係が?」

 

 俺は右手で指差す。相変わらず左腕は動かない。

 

「それ、そのっちが自分の親に頼んで作ってもらった特注品の義手よ」

 

 何がどうしたら園子が俺の義手を作ってくれと親に頼むんだ。しかも頼んで本当にそれが存在していることに軽い恐怖を覚える。

 

「機械仕掛けみたいよ」

 

「それ、本当にこの世に存在してる技術?」

 

 魔女かそこらへんの悪魔と契約して本来ありえざる物を作り上げてしまったのではないかと心配になる。そのくらいオーバーテクノロジーだ。

 

「今は慣れないみたいだけど、そのうち物を持ったりできるようになるそうよ。リハビリ次第ね」

 

「なるほど?」

 

 俺は自分の左手を見る。見かけ上どうなっているか包帯の上からではわからないが、触ってみると冷んやりとした鉄?の感触があった。

 どうやら乃木家にとんでもない借りを作ってしまったらしい。

 

 再度入院の手続きなどが終わった両親は一旦、俺の荷物を取りに家に帰るとのことだった。

 

「須美、帰りはどうする?一緒に帰るか?」

 

「いえ、まだしばらくここにいます」

 

「そうか。気をつけて帰ってくるんだぞ」

 

「はい。ありがとう。お父様」

 

 父親は須美がそう言うと微笑んで病室を後にした。俺も二人が出ていくのを見送ると、疑問に思っていたことを聞いた。

 

「あれからどのくらいたった?」

 

 須美の怪我もある程度治っていることからかなりの時間がたったように思えた。

 

「1週間くらいかしら」

 

「そんなにまだ、時間たってないんだな」

 

 そしてその事実を知ったところでさらに乃木家への畏怖の念が強まった。俺はこれ以上この腕に経緯について深く知ろうとするのをやめた。

 

「銀と園子は?」

 

「二人とも元気よ。今はまだ授業中だから、放課後に来ると思うわ」

 

「授業良かったのか?受けなくて」

 

「私だってそこまでまでして勉強優先しないわよ」

 

「はは、そっか。そういや最近襲撃ってあった?」

 

「……あったわ。一度だけ」

 

「でも銀も園子も無事ってことは、何事もなかったんだな。よかった」

 

 しかしそんな俺の言葉に須美は微妙な反応を浮かべる。

 

「どうしたんだ?」

 

「…銀が、戦えなくなったわ」

 

「は?いや、さっき無事だって」

 

「勇者システムが動かなかったの。大赦は精神的な問題と判断したわ」

 

「精神的な問題って、どうして……」

 

「精神が不安定だと、勇者システムは起動できない仕組みらしくて。本人は行けるって言ってたけれど、その……兄さんのことがよっぽどショックだったみたい。確かに最近の銀、どこかおかしかったから」

 

「そっか…」

 

 あの一件がよっぽど銀には耐えられなかったのだろうか。

 けれど、あの場では俺は銀をこう言う形でしか守ることができなかったのだから仕方ないし、この怪我は俺の責任であって銀が背負うものでもなんでもない。

 須美の話ではまもなくここに来るということらしいので、来たら話をしてみようと思った。

 でも、俺は人に残ってしまった心の傷の治し方を知らない。

 一体俺は、銀に何をしてあげられるだろうか…。

 

 

 

 大赦は三ノ輪銀に関して一つの協議をしていた。

 このまま、精神面が安定せずお役目につけないのなら、この勇者システムは次の人物へと託すか。それともこのままお役目を銀に任せ続けるのか。

 ただ、仮に勇者というお役目を失ったとしても、栄誉ある神樹様に選ばられた者として大赦内の重役につく可能性も示唆された。

 議論は続けられたが本人の意思も確認できないため、結局、大赦は結論を出すことができないでいた。

 そして、その勇者システム。大赦は前回の鷲尾晴哉と三ノ輪銀の戦いによって、多くの戦闘データを得られ、以前より研究されていた新たな力を手にする算段もついた。

 この力により、ここまでプロトタイプだった勇者システムが真の形に近づく。決して怪我をすることもなく、決して死ぬこともない。

 ただ、この力には欠点がある。しかし、大赦はその欠点すら容認した。

この国にとってのどちらが最善手かを考えた結果だった。

 

その先に生まれる代償はいかほどのものか。

勇者と守り人の少女たちと少年は何もしらない

 

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