日本中のウマ娘が驚愕した。そして狂喜乱舞した。
日本にウマ娘のオスが生まれたのだ。
生まれたその日に、名家界隈のウマ娘に知れ渡った。
すぐさま緘口令が敷かれたが、昔からウマ娘の口に戸はたてられぬと言う。
一月もしないうちに日本各地のウマ娘はその存在を知ることになる。
そして狂喜乱舞するのだ。
それほどウマ娘のオスは珍しい。
世界でおよそ100年に一人産まれるか産まれないかというのだからその希少性は高い。
しかし、ウマ娘のオスが有名なのは希少性からだけではない。
その昔は乱世を治める覇王となる、と言われたことからも分かる通り、早いし、強いし、丈夫なのである。
かのアーサー王がウマ娘であったのは有名な話なのだが、そのアーサー王がウマ娘オスであったのではないかと言われている。
記録にしっかり残っているのは「Eclipse first, the rest nowhere」で有名なエクリプスとアメリカにおける「Big Red」と謳われたセクレタリアトのみである。
それ以前はウマ娘オスは希少性とその強さから正体を隠すのが通例であったのである。
日本で産まれたウマ娘オスの誕生日が図らずもセクレタリアトの享年の次の日ということもあり、セクレタリアトの生まれ変わりではないかと噂された。
さて、これに困ったのは父親であった。
旧家の枝葉に連なる母親のウマ娘はのほほんとして初子の誕生に心底喜ぶばかりであったが父親はお見合いにて結婚したばかりの一般人であった。
この父親は三十も半ばになり、しばらく恋愛から遠のいていたため、上司から紹介によりお見合いへと至った。
現れたのが美しく若いウマ娘であったのに驚き、我が身の幸運と旧家に連なるという少しばかりのめんどくささを覚悟し結婚に至ったが、さすがに100年に一度のウマ娘オスとあり、想定外も想定外であったのだ。
産まれたその日は妻であるウマ娘を労って、家に帰ったのであったが、翌日、妻が連なる一族であるところの当主から会談を希望する連絡があり驚く。
会談希望連絡にすぐさま了承の連絡をしたら、その日の晩に家まで来た。
当主が呼び出すではなく来た。
30分ほどで帰ったが非常に為になった。
主題は三点。
ウマ娘♂は全ウマ娘にとって宝である。だからウマ娘は非常に甘くなる。父親として厳しく躾ける気構えでいること。
身の安全が心配である、旧家側でSPを雇うこと。
伝説になる可能性が高い為、名前は充分考えること。
であった。
もちろん嫁と名前は考えていたがエコーにより馬耳が見えた段階で女の子だとばかり思い、考えていた名前は全て女名。
夫婦だけではなく周りのウマ娘からもやいやい言われて紛糾したが、ついに名付けを終える。
二着のジャムシードを大差に抑えて決まった名前をライジングサンと言った。
さてこのライジングサン、さまざまな伝説を残すこととなるが本業とも言えるとトゥインクルシリーズ以外の伝説も数多く残すことになる。