「みなさんお疲れ様です。無事、湿原を抜けました。ここビスカ森林公園が二次試験会場となります」
ゴンと別れたナナミとキルアは、問題無く二次試験会場へと到着していた。
『本日 正午 二次試験スタート』
ガオオオオォォォォ ゴルルルルルルル
「二次試験は正午からですか」
「何だ、このうなり声」
変なうなり声が聞こえるものの、建物に正午スタートと書かれている以上、待つしかないようだった。
「やぁ、さっきぶりだねナナミ♠」
しばらくするとヒソカが笑顔でやってきた。
「ヒソカさん、あの霧でちゃんと着けたんですね」
「・・・・・・」
ナナミも笑顔で迎えるが、キルアは険しい顔で少し距離をとる。
「奇術師に不可能はないんだよ◆」
「ふふふ・・・試験官ごっこはどうでしたか?」
「なかなか楽しめたよ♥」
「全員殺したのか?」
キルアはヒソカを警戒しつつも、遠まわしにゴンの安否を聞く。
「ううん、ナナミと一緒だった三人は生きてるよ♠」
「では、あの三人も合格だったんですね」
「そ、特に405番は、熟れるのがとてが楽しみだ◆」
「・・・確かに素質はありますね。けど」
「けど?」
「優しすぎます、熟れる前に死にますよ」
「・・・ボクはそれを補って余りある素質を感じたけどね♥」
その後、ヒソカからレオリオを運んできたことを聞き、すぐにゴン達も現れた。
「香水のニオイをたどったー!?Σ(゚д゚lll)」
キルアがゴンの異常な嗅覚に驚く。
「うん(・・)」
「お前・・・やっぱ相当変わってるな(-.-)」
「そうかな―(´・ω・`)」
「あら、レオリオさん、ずいぶん男前になられましたね(^^)」
ヒソカにやられたのだろう、レオリオの右頬はひどく腫れていた。
「うっせーよ! ぉーイテッ(>。≪)」
「レオリオの顔なんて素からこんなものだ( ̄◇ ̄)」
「んだと、ヽ(`Д´)ノ」
しばらくして、二次試験開始間近となり、受験生たちの緊張が高まる。
「もうすぐだね」
「うん」
「何が起こるかわからない、警戒しておくべきだろう」
「一体このうなり声はなんなんだ、猛獣でもいんのか」
ただ、そんな中、
「お腹が空いてる音ではないでしょうか?あ、次はきっと料理試験ですね」
(((そんなわけねーだろ!)))
いつもどおりのナナミにツッこむレオリオ、クラピカ、キルアの三人。
しかし
カチッ ピ―――ン ギギィー
正午になって扉が開き、中にいたのは、
奇抜な髪型の女と、お腹からうなり声を出す大男だった。
「二次試験は料理よ!!」
「「「マジで!!!」」」
「あらあら、冗談だったのですが当たりですか。ふふふ」
建物の中にいた、二人の試験官のうち、大男が指定した料理は、
「豚の丸焼き!!オレの大好物」
ど~~~ん
「森林公園に生息する豚なら種類が自由。それじゃ 二次試験スタート!!」
受験生達が一斉に森の中へ、豚狩りに走り出す。
大男、試験官ブハラは豚の種類は自由と言っていたが、ビスカ森林公園に生息する豚は、世界で最も狂暴な豚グレイトスタンプだけ。
仕留めるには、額を正確に攻撃する度胸と判断力、身のこなしが要求される。
しかし、ゴン達三人にはそう難しい課題では無かった。
ドォーン
易々豚を仕留める三人。
「よっしゃ!あとは焼くだけだな」
「急がないとな。あの体格とはいえ食べる量には限界がある」
「・・・ナナミ大丈夫かな」
ゴンはそう言って、少し離れた所にいるナナミの方を見る。
「「・・・・・・」」
一次試験でナナミは予想外な動きを見せたが、それは小柄な体格通りの身軽な動きではある。
その為、三人は非力そうなナナミに強大な豚を仕留める力はないのではないかと思った。
ブヒィーーー!!
その時、群れの中でも一際大きいグレイトスタンプがナナミへと向かっていった。
ナナミに慌てた様子は無く、突っ込んでくる豚の正面に自然体で立っていた。
そして、接触しそうな寸前、横へ移動し、すれ違う際、豚の額に拳を当てる。
ドゴーーン!!
軽く当てただけのように見えたナナミの拳は、勢いも相まって豚を大転倒させた。
「さて、調理を始めましょうか。肉は七花も好きでしたね、これほどの大物なら大喜びしたでしょうに、ここに居ないのが残念です」
故郷にいる弟の事を思うナナミ。
「ナナミー!」
「ゴン君・・・豚はもう捕まえたのですか?」
「あ、うん、それは大丈夫だけど」
「さっきのは何をしたんだ」
「さっき?」
「軽く叩いただけで、でけぇー豚を倒してただろ」
ゴン達三人からすれば、ナナミの細腕で巨大なグレイトスタンプを軽々倒したのは、異様な光景に映った。
「あぁ、あれは虚刀流四の奥義 柳緑花紅と言いまして、・・・・・・鎧通しという言いかたの方が一般的ですかね」
「鎧通しだと!?」
「知ってるのクラピカ」
「・・・文献で読んだだけだが、打撃の衝撃を好きな位置だけに伝えることができる技。鎧を着た相手でも、中の人間にだけのダメージを与えれるから鎧通し」
「へー」
「すげーな」
クラピカの説明に、単純に関心するゴンとレオリオ、だが説明したとうのクラピカは軽く戦慄していた。
本当に好きなところに衝撃を伝える事が出来るのだとしたら、ナナミの攻撃はガード不可、どんな屈強な者であっても、頭部を軽く叩くだけで絶命させることが出来るということだ。
「虚刀流ってのは何だ?」
「虚刀流というのは、鑢家に代々受け継がれている剣術です。まぁ受け継いだ七代目当主は弟ですが」
「・・・・・・剣術って、もろ素手じゃねーか」
「そのへんのツッこみは、初代に言ってください」
刀を扱う才能に全く恵まれず、手刀や足刀を多用しているとはいえ、虚刀流を見た者は十中八九レオリオと同じ事を思うだろう。
「そんなことより、早くしないと試験官さんが満腹になってしまいますよ」
「「「はっ!」」」
ナナミの言葉を聞き、ゴン達は慌てて、豚の調理へと取り掛かった。
結果から言うと、慌てる必要は無かった。
「やっぱりハンターってすごい人達ばかりなんだね」
「ああはなりたくないけどな」
クラピカはまたも戦慄していた。
(おかしい・・・!! 妙だぞ!?明らかに奴の体積より食べた量の方が多い!!)
「いや、そんなにマジで悩まれても・・・」
試験官ブハラは、受験生が用意した71体の巨大豚の丸焼きをすべて完食した。
「豚の丸焼き料理審査!! 71名が通過!!」
ナナミもまた違う意味で驚いていた。
「・・・私にも