トリックタワーの側面は窓もないただの壁。
ロッククライマーの男が壁伝いに降りようとしたが、不気味な鳥に襲われ外から降りるのは不可能だということがわかった。
一見何もないように見えた塔のてっぺんには床に隠し扉が設置されていた。
ナナミも含めた、ゴン達5人も5つの隠し扉を見つけていた。
「決まったな」
ジャンケンで決めた扉の前に皆が立つ。
「1.2の3で全員行こうぜ」
「ここでいったんお別れだ」
「皆さん頑張ってくださいね」
「地上でまたあおうぜ」
「ああ」
「1」
「2の」
「3!!」
!?
( ̄  ̄)( ̄  ̄)( ̄  ̄)( ̄  ̄)(^^)
「短い別れだったな」
ナナミ達が入った部屋には『多数決の道』と書かれており、○と×のボタンのあるタイマーが五つ置いてあった。
「このタイマーをつけろということでしょうか」
『その通り このタワーには幾通りものルート用意されており、
それぞれクリア条件がことなるのだ。
そこは多数決の道、たった一人のわがままは決して通らない!
互の協力が絶対必要条件となる難コースである。
それでは諸君らの健闘をいのる!!』
スピーカーから試験官らしき者の説明がはいる。
「多数決の道か」
「協力が必要なら、この5人で入ってよかったね」
「まぁ、全然知らない奴とよりはな」
「ふふ、よろしくお願いしますね」
「こちらこそ」
5人がタイマーをつけるとドアが現れ、そこにこのドアを開ける開けないの選択肢が書かれていた。
「もうここから多数決か、こんなもん答えは決まってんのにな」
当然のように5人は○を選んだ。
選択肢を答えつつ、しばらく進むと床のない大きな部屋に出た。
そして向かい側の通路から、手錠をつけフードを被った5人が現れる。
その中の一人、顔に傷のあるスキンヘッドの男がフードを取って説明をはじめる。
要訳すると現れた5人は試練官で互いに一人づつ選出し、勝負方法を決めて1対1で試合を行い、三勝すれば先へ進める、三敗すれば失格ということだった。
「こちらの一番手はオレだ!! さぁそちらも選ばれよ!!」
試練官の一人目はスキンヘッドのベンドット。
「俺がいくよ」
そう言ったのはキルア。
「あいつが相手なら勝負方法も大体想像つくしな」
ベンドットはかなりガタイがいい、勝負方法がまず間違いなく格闘戦の類だろう。
キルアを緊張した様子もなく、かけられた橋を渡って行く。
「結構強そうだが大丈夫か」
「心配ないと思うよ」
「あの程度の相手ならキルア君の敵ではありませんよ・・・・・・格闘戦ならですが」
部屋の中央にあるリングでキルアが男と対峙する。
「お前が相手か、俺は子供といえど容しゃ・・・・・・・・・!?」
ベンドットがキルアを見て目を見開く。
「なんだよ」
「い、いや、なんでもない。勝負の方法を決めようか、おれは・・・暗算対決を提案する!!」
「ああ、いいぜ、さっさと・・・・・・え!?」
「よし、承諾したな。すぐに始めるぞ」
「お、おい、ちょっと待」
「スタートだ!!」
暗算対決の結果をスピーカーから発表される。
『試練官ベンドット 45点 受験者99番 35点 試練官側の勝利』
「よっしゃ~!!」
大人気なくガッツポーズを獲るべンドット
「くそっ」
悔しがるキルア。
「50点満点だったのでしょうか?」
「問題数からしてそれはないと思うが」
『全20問の1つ5点で100満点だ』
「僅差じゃねぇか」
「何やってんだよ」
他の試練官から責めらてるベンドット。
「デスマッチで痛めつけるんじゃなかったのかよ」
「子供相手に、見てるこっちが恥ずかしくなるわ」
しかしベンドットの顔にあるのは生きて戻れたことへの安堵感である。
「あれは普通のガキじゃない、・・・ゾルディックだ」
「ゾルディックって、あの暗殺者の・・・本当なの?」
「ああ、・・・噂でしか知らないが、幾つもの死線を通ってきたオレのカンが本物だと言っている」
傷だらけの顔なので、真実味があるが、
「・・・・・45点でカッコつけてもきまらねぇな」
「うるさい」
「何やってんだよ」
試合を終えて戻った時にかけられた言葉はキルアも同じモノだった。
「自信満々で出て行っといてよ」
「仕方ねぇだろ、まさか暗算対決とか」
「あんな簡単な問題、満点とれて当たり前だろ」
「苦手なんだよ、暗算は」
「それでもなー」
「まぁまぁ、レオリオ」
普段生意気なキルアをここぞとばかりに責めようとするレオリオをゴンが止める。
「負けてしまったものは仕方ありません、制限時間もあるのですから早く次の試合へ」
「ナナミの言う通りだな、時間の無駄はよせ」
ナナミとクラピカにも言われてレオリオもキルアを責めるのをやめる。
「よし、次は俺がいくぜ」
「頼むぞレオリオ」
「任しとけ」
対する試練官側から出てきたのは長髪の華奢な男だった。
「ぼくの提案する勝負方法はこれ」
そういって試練官のセドカンはローソクを二本取り出す。
「同時にローソクに火をともし、先に火が消えた方の負け、どう?」
「わかりやすいが、時間かかりそうだな」
当然ローソクが消えきるには相当の時間がかかるだろう。
「残念だけど、ぼくはこの方法でしか試合を受けないよ」
「なんだそりゃ、卑怯だぞ」
「ごねるのは自由だけど、時間がないのは君だよ」
互で勝負方法を決めると言ってもほとんど試練官側にあるといっても過言ではない。
「ちっ、わかったよ、その勝負でいいぜ」
「OK、それじゃ」
「!?」
「どっちのローソクがいいか決めてくれ。長いローソクなら○を、短い方なら×を押すこと。多数決で決めてもらおう」
セドカンが持っていたローソクは長さが違っており、不自由な2択をしいてきた。
「ここでは相談も自由だ、ゆっくり決めてもらっていいよ」
そういってセドカンはその場に座る。
「・・・・・・くそ・・・どっちにする」
レオリオが皆に相談する。
「レオリオが決めればいいんじゃねーの」
さっき責められて拗ねてるキルア。
「オレは長いほうがいいと思うけど、レオリオに任せるよ」
特に罠とか考えないゴン。
「長いほうに罠がある可能性はあるし、短いほうにないとは言えない、レオリオが決めるといい」
迷わすことだけ言って他人に任せるクラピカ。
「相談してる意味あんまりねぇじゃねぇか、ナナミはどっちだと思う」
「・・・・・・その前に一ついいですか?」
ナナミのその言葉はセドカンの方に向けられていた。
「なんだい」
「火がついてる時、ローソクはきちんと相手に見えるように持つ、というルールを追加してもらえますか」
「・・・もちろん構わないよ。まぁ言われるまでもなく、ボクは見えるように持つつもりだったけどね」
ナナミの提案に余裕の笑みで答えるセドカン。
皆もイカサマをされない為にも、当然のことだと考える。
「でしたら構いません。私もレオリオさんに任せます」
「ナナミもそれかよ」
「・・・しいて言えば短い方をオススメします」
任せる2、どちらかといえば長い方1、短い方1、なので結局レオリオが決めなくてはいけなくなる。
「・・・・・・・・・・・・長い方に仕掛けがあるに違いねぇ!! 短いローソクにするぜ」
皆が×のボタンを押す
「OK 君が短い方で僕が長い方」
レオリオに短いローソクが渡され、二人同時に火をつける。
「あのローソク普通ならどれくえらいで燃えつきるんだろうな」
「5、6時間ってとこじゃないか」
「そんなにかかりませんよ」
「「え!?」」
「ねぇ、あれ見て!!」
ナナミの言葉に疑問を感じたクラピカとキルアだが、ゴンの声でローソクに視線を戻す。
「うぉっ」
ボオオォ
「レオリオの炎の勢いがでかくなった!」
「おそらく軸の中に火薬か何か混ぜて、火力を増大させロウの消耗を早めているのだろう」
「短い方に罠が仕掛けてあったってことか」
自分のローソクだけ火の勢いがましている為そう思うレオリオ。
「くくく」
ちがうね!!、とセドカンは心の中で答える。
(用意していたローソクは4本!! 不自由な2択はあくまで実際の罠を隠すためのカムフラージュ、君達は勝手に「どちらかが罠」だと思い込んだ、あまりにも不公平な選択を前にして両方とも罠だとは考えなかった。実際は長短どちらを選ぼうが俺がお前に渡すのは油のたっぷり染み込んだローソクの方だったのさ)
ポトッ
「!?」
セドカンが心の中で説明をしていると、足もとに何かが落ちた。
「えっ!!?」
足もとにあったのは、火が消えたローソクだった。
「どうして?」
セドカンの手には確かにローソクが握られている、だがそのローソクは途中刃物で切ったかのように切断面になっており、その先は足元に転がっているローソクで間違いなかった。
「馬鹿な!?」
レオリオ達もセドカンのローソクが消えていることに気がつく。
「え!?・・・ひょっとしてオレが勝ったのか?」
間もなくしてレオリオのローソクも消える。
「ふふ・・・先に火が消えた方が負けなのですから、レオリオさんの勝ちでしょう」
いつも以上に笑みのナナミ、しかし
『今の試合、受験者側の反則により、試練官側の勝利』
「「「「え!?」」」」
スピーカーの声にナナミ以外の皆が声を上げてる。
「ちょっと待て、反則ってなんだ」
当然レオリオは反則をしていない、反則をしたのは、
『それは、406番に聞くといい」
「ナナミに?」
皆の視線がナナミに集まる。
「ローソクを切ってはいけないというルールは無かったはずですが?」
『確かに、403番がセドカンのローソクを切ったのなら何も問題ない。しかし前提で1対1というルールはあっただろう、他の者が手を出せば反則だ』
「ローソクに仕掛けがしてあったのですからおあいこだと思いますが?」
『仕掛けをしてあるローソクを渡してはいけないというルールは無かった』
ごねたところで試験官は譲る気がないようで諦めるしかなかった。
「・・・・・・そうですね・・・・・・すみませんレオリオさん」
ナナミが申し訳なさそうにお辞儀をする。
「私のせいで反則負けのようです」