「あの…ホントいつまでこれ持ってれば良いんですか?」
「とりあえず俺が預かるよ。後で酒の肴にするから」
「腐りますよ」
「じゃあ今食うか。…んぐ、美味いなこれ」
「こんな所で食べるんじゃない、行儀が悪いな」
「あ、すいません」
トレーナー二人が刺身の乗った皿一枚で騒いでる間、レイジングライトはもう帰って良いかな帰って良いよね、と考えていた。
静かに離れようとするレイジングライト、更に二人のトレーナーの方へと近づく足音が六つ。
「あっ!トレーナーさん、サブトレーナーさんこんにちは!今日もよろしくお願いします!」
「おう、お前ら。六人揃って来たのか」
「はい、たまたま来る途中で合流したので」
「やっほートレーナー、サブトレ!なぁにそれ?お皿?」
「ああ、ゴールドシップが渡してきたんだ」
「皿に乗ってんのは刺身か?美味そーだなー」
「何故お刺身なんですの?差し入れにしても他に何かあるでしょう…」
「あら?そっちの娘はもしかして新しいチームメンバー?」
「あっ、いえ私は…」
「ああ、新しいメンバー、レイジングライトだ」
「ちょっと!?まだ入るって言ってませんよ!?」
勝手にチームメンバーに加えられそうになるレイジングライト。
「せーのっ」
「「「「「「ようこそ!チームスピカへ!」」」」」」
「話聞いてました?まだ入るって決めてないんですけど…」
「諦めた方が良いですわよ。ここで断ったとしても後日ずた袋を被せられて拉致されるだけですわ」
「ずた袋で拉致!?」
「あはは…私も同じ事されました…」
「ええ、わたくしもです」
トレーナーもだがウマ娘もやばいチームなのではと思うレイジングライト。
「とりあえず体験入部って事で良いんじゃないか」
「うん、それがいいと思うわ!」
「まあ、体験入部なら…」
「決まりだな。じゃあ中に入ってお互い自己紹介しよう」
チームスピカのチーム部屋に入る九人。中に入るとゴルシが『ようこそチームスピカへ』というプラカードを持って待機していた。
「よっ!」
まるでレイジングライトがここに来る事が分かっていた様だ。
「じゃあ自己紹介だ、そっちから一人ずつな」
「はい!私からですね!」
ボブカットに白い前髪、前髪と同じ色三つ編みハーフアップが特徴のウマ娘が元気良く返事をする。
「スペシャルウィークです!よろしくお願いしますね!」
次に栗毛のロングヘア、白のカチューシャを付けた、綺麗で細身なウマ娘が挨拶する。
「サイレンススズカです。よろしくね、レイジングライトさん」
「アタシはダイワスカーレットよ!」
「俺はウオッカだ!」
続いてボリュームのあるツインテールにティアラを頭に乗せたスカーレット、一人称が俺で後ろ髪だけ長く一纏めにしているウオッカ。
「トウカイテイオーだよー!よろしくね!」
前髪の一部が白く後ろの高い位置で結んだ髪型の、チームで一番小柄のテイオー。
「メジロマックイーンです。よろしくお願い致しますわ」
ゴルシと同じ芦毛、しかし全く違う丁寧な言葉遣いと立ち振る舞いでお嬢様然としたマックイーン。
「良し、ゴルシはさっき自己紹介してたし、最後はお前だ」
「レイジングライトです。友達からはレイラと呼ばれてるのでそう呼んでください」
真っ黒のボブカットに前髪の一部だけ白くなっている髪、ゴルシと同等の身長であるウマ娘、レイジングライトが最後に挨拶する。
「ねえ、初めて会った時から気になってたんだけど、身長どのくらいあるの?かなり大きいよねぇ」
「身長ですか?最後に測った時は170cmありましたね」
「170cm!大きいですね!」
「ゴールドシップと同じ身長ですわね。確かに大きいですわ」
「スズカ先輩?どうしたんすか?レイラの事じっと見て」
「…何となく、私と同じ感じがするわ」
「同じ感じですか?」
「ええ、多分スカーレットちゃんだけには分からないわ」
「なんで私だけ!?」
「ほれ、これかけろ」
「ゴールドシップさん?これなんですか」
「『私が新しいメンバーです』襷だ」
「意味が分かりません」
「他にも『私がリーダーです』『あげませんっ!!』『パクパクですわ!』襷がある」
「ホントに意味が分かりませんけど、特に最後二つ」
「なんでしょう、バカにされている様な気がしますわ」
「私も言ったことの無い言葉を言わされた気がします」
トレーナーがチームをまとめるように声を上げる。
「ほら、新人に質問するのも良いがそろそろトレーニング開始するぞ。レイラもジャージに着替えるんだ」
「沖野さんの言う通りだ。レイラにトレーニング内容も見せなきゃいけないしな。ほら、早く準備だ」
「お前らは出てけよ」
チーム部屋から叩き出されるトレーナー二人。体験入部でもチームスピカに入ったのを後悔しそうなレイジングライトだった。