FGO DLC実績『鬼血の継承者』獲得   作:秋の自由研究

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た だ い ま


第四十五章・裏:灰の都の『グレイ』

「――遅いじゃないか、グレイ」

「申し訳ありません。ライネスさん……!」

 

 ――銀閃一条。

その一撃で、マスターを包囲していた絡繰り達の首は悉く宙を舞いました。

 振りきられるは大鎌、しかしながらその輝きに禍々しさの欠片も無く、青と金の装飾に彩られ、何処か凛々しさすら覚える程です。

 灰色のフードを被ったその方は……声と、小柄な体格からして、女性である事は間違いないでしょうか。

 身のこなし、動きは、絡繰り達のソレなどよりも、真にしなやかで華麗で。

 

「やっ!」

 

 返すもう一撃――しかし、その手に握られているのは、既に刃ではなく。いつの間にか金属の塊という言葉がよく似合う鉄槌が。体重を活かして、思い切り振り回し、首をなくした絡繰り達を、ことごとく彼方へと吹き飛ばしました。

 一連の動きに、交わした言葉以外の淀みはなく。

 

 彼女が、グレイ。ライネスさんが『もしかしたら君達よりも強いかも知れない』と言っていた少女――流石に冗談だよ、などと、意地悪気に笑っていらっしゃったのが印象的でしたが、それも全く冗談ではないと思える程の、見事な立ち回りでした。

 しゅらん、と振り切られた鉄槌を、お手に戻し――その形はあっと言う間に、一つの匣へと変わり……一つ、フゥと息を吐いて。

 

 ライネス様は、その姿を見てから明確な笑顔を、それも先ほどの意地悪なそれとは違う優しい笑顔を浮かべていらっしゃいます。

 

「彼女がグレイだ――グレイ、無事でよかった」

「は、はい。ライネスさんも……それで、もしかして、其方の方々が」

「あぁ、そうとも。あの奇人変人の言っていた、カルデアだ」

 

 ライネス様の傍へと寄って。ちょこんと、その手に匣を乗せてその場で此方に振り向いた後、一つ、此方に会釈を。私も会釈を返し。その流れる様な動きに、乱暴な人でない事が伺える楚々としたものが感じられました。

 

「えっと……グレイ、です」

「……それだけかい?」

「はい。えっと、ほ、他に拙の何をお話すれば……」

「もうちょっと言う事あるだろう? まぁ君らしいと言えばそうだけど、さ」

「――あの、ライネス様」

「あぁ済まない。彼女も合流したんだ。いよいよ大手を振って『霧の都』、脱出と行こうじゃないか。こっちだ、行こう」

 

 

 

 道中にも、やはり一切敵も何も出ないとはいかず。しかしながら。グレイ様がいらっしゃる事で、その脅威の度合いは、大きく変わってきます。

 相手を砕く中心はゴルゴーン様である事は変わりありません。ですが、更にそこにもう一手、鋭く相手を制する武士がいらっしゃる事が、我々の安全を……特にマスターの安全を高めてくださっているのです。

 

「どうだい? 私の友達は。可愛いし、頼りになるだろう?」

「……フン。まぁそれなりではあるな」

「はい、大変お見事でございました!」

「いやー……先ほど助けられた身としては、それ以外のお言葉は出せません。マジで」

 

 マスターはからからと笑いながら、頭を掻いています。あの一瞬の奇襲で体勢を崩してしまって倒れていたので、彼女が居なければ、あの人形の代わりにマスターの首が飛んでいたと思われます。

 正に、完璧な機会での横槍。千両役者。

 ライネス様のお言葉もまさにその通りかと思われます。

 

 なのですが。

 

「あ、あのライネスさん……私、どういう風に……」

「何、事実を言っていただけだが?」

「うぅ……ライネスさん……」

 

 ニコニコと笑うライネスさんに対して、真っ赤なお顔で俯くその姿。

 本当に、先ほど、一撃にて敵のカラクリを切り裂いたあの少女とは同じとは思えず。恥ずかしがる姿は、初心な町娘のようですらあります。

 

「私は一切嘘は吐いていないよ? いや全く本当にだ。私の頼りになる護衛、だとね」

「そ、それだけですか……?」

「その八面六臂の活躍ぶりはベラベラと話させてもらったけどね」

「ライネスさんっ!」

 

 何と申しますか。それを理解して、ライネス様はあの様におっしゃっていた部分があるようで。

その若干意地悪な面は嘗て、私に陰陽術を教えてくださった、晴明様を少し思い出させるような。あのお方も、普通に人を愛でるだけではなく、何処か少し意地悪なやり方をなさっていたような……

 

『オイオイ、あんまり揶揄ってやるなって。グレイの奴トマトみたいになってるじゃねぇか、イーッヒッヒッヒッヒッヒ!』

「あ、アッドも……!」

 

 ……おかしいですね。男性の事を連想していたからでしょうか。マスターとは明らかに種類の違う、ちょっと軽薄そうな男性の声が。周りには誰もいないというのに。幻聴でしょうか。それとも……て、敵襲!?

 そんな私の肩を叩いたのは、マスター。

 

「……式部さん、そんなキョロキョロしなくても敵襲じゃないよ。それだったらゴルゴーンさんが真っ先に食らいついてるでしょ」

「貴様、私をなんだと思っている?」

「いえいえ別に他意はございませんが」

「他意がない方が問題だが?」

「おっと藪蛇だこりゃあ……ともかく、敵じゃねぇっすよ」

「えっと、では今の声は」

 

 そして、彼が指をさした先には、グレイ様の姿。一見変わったところは無い、と思っていたのですが……しかしながら。マスターはもう一度、指を彼女の……手元へと指示しました。そこをよく見ると。

 なにか、跳ねています。

 というか、グレイ様が持っていたあの、小さな箱が、跳ねているのです。ぴょんぴょんと小動物かのように。

 

「え、えっと……そちらの、方? ですか?」

「そう、アレ」

『おいコラそこのハゲ! アレ呼ばわりに加えてヒトを指さすとか、教育なってねぇなおい!』

 

 どうやらそのようなのですが……

箱が、跳んで、喋って、マスターの無礼を咎めています。とりあえずマスターに代わって謝罪をと思って頭を下げました。特異点では様々な敵性的な相手と戦って参りましたがしかし、それにしても、少し驚いてしまいました。

無機物でありながら、式神とは比べ物にならぬほどに感情豊かに話し、そこら辺のエネミー以上に活き活きとされている気がします。

 

「えっと……グレイ様、そちらの、方は?」

「あの、その……アッド、です」

「アッド様、ですか。よ、よろしくお願いいたします」

『イーッヒッヒッヒ! お見合いでもやってんのかぁ俺らはよぉ!?』

「補足させてもらえば、アッドはちょっと()()()()()()()でね。歌って踊れる可愛い奴と思ってくれればいい」

 

 そう言って、ライネス様は笑っておられるのですが。魔術礼装という事は、マスターが着ているスーツのご同輩、という事でしょうか。なるほど。なるほど? ちょっと、で済ませていいのでしょうか。マスターの礼装とあんまりにも桁が違うと申しますか。先ほどは鎌にも鉄槌にも変形してらっしゃいましたし。

 

「後はまぁ……グレイの可愛い相棒、かな」

「――はいっ。とっても、頼れる相棒です」

 

 とはいえ。

 そう言って、グレイ様が笑っていらっしゃるのを見ていると、そんな事を気にせずともいい程に、恐らくアッド様は信頼がおける方なのだという事は、分かりました。

 

「うーん……可愛いか? ソイツ」

「少なくとも愛でるには些かと口が悪い気はするな。おい、次はどちらに向かえばいい。話してばかりではいつまで経っても抜けれんぞ」

「お、お二人とも!」

「はははっ、彼の口がちょっと悪いのは許してあげてくれ」

 

 ……むしろ、こっちが更に謝罪をしたくなっております。本当に。申し訳なく。

 

「さぁて……グレイ。ここからは、しっかり働いてもらうよ。まだまだ霧の都は中腹くらいだ。みんなで必死こいて、ここを抜け出そうじゃないか!」

「――はいっ。行きましょう、ライネスさん!」

 

 何はともあれ。

 ようやく我々は、この『霧の都』を脱出するための準備を整えて。走り出したのでございます。

 

 

 

 そして――幾度かのからくり人形の襲撃を退けて。

 霧と、廃墟の街並みの向こうへと、我々が走り抜けていった、その先には……――

 

「……えぇ?」

「こ、これは」

「驚いたかい? これがこの世界の特徴――『竜の都』の環境は、こんな感じだとも」

 

 霧の都とは違う、あまりにも牧歌的な……どこかの田舎道と思えるような世界が、広がっていたのです。

 




という事で、ただ今帰りました。
今回も出来る限り毎日更新続けていきたいです。

……ロードエルメロイ二世がまだ買えてません(小声)
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