FGO DLC実績『鬼血の継承者』獲得   作:秋の自由研究

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第四十九章・裏:別勢力の影

「……ふぅ……いやー、ほぼワンオペだから厳しいなぁ、こりゃあ」

 

――本造院君が、突如として第四特異点から消失。

 

 当然、カルデアはもちろん、藤丸君のチームも、大いに揺れた。

 カルデアの二人のマスターを分断し、各個撃破する……その可能性は、十分に考えられていて。それについて対策を講じていない訳でもない。常に彼らの周囲の調査は怠っていなかった。

 彼が体調を崩し、それから別方面にいったん撤退した、その一瞬。本当に雷の如くだった。彼らの奇襲は。

 

 追跡していた彼の反応の近くに、突如として別の反応が現れて。次の瞬間には、彼の反応はその場から消え失せてしまった。

 観測チーム全体、ロマニも、私も、全員が驚愕で一瞬、呆然となって……しかし、それでもロマニの一喝が間に合ったのは、幸いだった。礼装の反応を追いかける事が不可能ではない事に、気が付けた。

こういう不備の事態に対応できる様に、礼装は発信機代わりにもなるように色々細工をしてあるのだ。

 

 彼の反応を何とか追跡し……その足取りを、私が真っ先に掴んだのだ。

 

『――レオナルド、ダメだ。通信機能が機能してない』

『分かった。私が何とかしてみよう……あれ?』

 

 もう一つ驚いたのは。

不慮の事故で本造院君の礼装の機能が停止している……と、思われていた時。私が通信に出た途端に、通信機能が動き出したこと。

どうやら、私が彼の反応を掴めたのはただの偶然ではなかったらしく。

 

 という事で、本造院君の存在証明はまぁ色々周りに任せられるのだから兎も角としても、彼と通信をするのは私の役割になって……そして、彼の存在を唯一確認できている私が、彼をたった一人でサポートする流れとなった。

 

「――しかし」

 

 彼が辿り着いた場所――否、招かれた場所。

 一体何処か、というのは未だ、カルデアの施設をもってしても確かな特定まではしきれない。一応『そこに存在している』ことだけは証明出来てはいるのだが。一体どうやったらそんな所へ、瞬時に隔離できるのか。

 相手に、相当優秀な術者がついているのか……それとも、敵の黒幕そのものがとんでもないレベルの術者なのか。何れにしろ、どれほどの相手なのか想像もつかない。

 

だが、それにしても気になるのは、本造院君の反応そのものを完全に封鎖するわけでもない中途半端な対応。こちらからのサポートを許す程度の余地。それが意図しないモノなのかそれとも……態となのか。

 

「――敵の別勢力かぁ」

 

 ライダー・アレキサンダーが仄めかしていた『スポンサー』。シャドウサーヴァントを提供してきた謎の組織。人理を焼却した側とは、また別勢力、といった感じの物言いをしていたが。

 もし敵の目的が各個撃破なら……とっくに本造院君、または藤丸君の何方かに猛攻を仕掛けていてもおかしくない。だが、そうしていない。分断しただけで話は終わっている。

 

 確かに、分断され、協力できなくなるのは厄介としか言えないが……しかしそれだけなのだ結局のところ。各個撃破、はされる様子が無い。藤丸君も、本造院君も結果として無事だ。

 中途半端なのだ。結局の所。

 こちらの脅威として見なしていないなら、そもそも分断するなんていう真似をする必要は無い。だが、こちらを脅威に思ったにしろ、分断しただけで終わらせるのも、どうにも一歩足りない。

 

――では、ここで一つ、考え方を考えてみる。

 

 もし本造院君を隔離したのが、二人の分断が目的なのではなく……そもそも、本造院君のみを目的とした『誘拐』なのであれば?

 本造院君に対して、シャドウサーヴァントは明確に特別な反応を見せていた。それが一体何なのか、今まではハッキリとはしてこなかったが……今回の一件を結び付けて考えてみると。一つ、浮かび上がってくる可能性がある。

 

「シャドウサーヴァントは、本造院君、という個人を狙っている……であるなら、そのシャドウサーヴァントを提供している勢力が独自に動いた」

 

本造院君が現地で遭遇した敵……というのは、シャドウサーヴァントであるというのは話で聞いた。やはり、シャドウサーヴァント。彼らがいよいよ本格的に動き出した、と考えれば、この中途半端さ加減も、説明は十分つく。双方、互いの都合など考えずに行動してその結果として、二人を分断する形で終わった。

 

人理焼却を成し遂げた側は、未だこちらを『敵』として認識しているかも分からず、逆にその相手に戦力を提供した勢力は、いよいよ一歩を踏み出した。

現状、それが最もしっくりくる結論だ。

 

「――レオナルド、本造院君の様子は?」

「ん? あぁ問題ないよ。存在証明、および身体のバイタル、問題なしさ」

「そうか。なら安心できそうだ。藤丸君とマシュにも良い報告が出来そうだよ――レオナルド、君の方はどうだい?」

「サーヴァントにそんなモノは関係ないよ――と言いたい所ではあるんだけども、ここまで気を張っていると、気疲れという奴になりそうだ……それで?」

 

――それを伝えられたロマニは、それが本当であれば、猶更本造院君のサポート体制を万全にするべきだと主張した。

 

「ようやく此方でも、反応を捉えたよ……さっきの『特異点の様子が変わったからちょっともう一度観測を試してみる様に』っていうのは、間違ってなかった。しかし、これは」

「場所、やっぱり『ロンドン』だったかい?」

「あぁ……信じられないけど、今、ロンドン付近に、特異点の反応が浮かび出てきた……酷く不安定で、まるで霧に投影された映像のようだけど」

「ふむ、やはりそうか」

 

 そこで、ロマニにサポート体制を見直してもらうと同時に、私の立てた、ある仮説を確かめてもらった。どうやら、無事その仮説は当たった様ではある。

 特異点の様子を探り、シャドウサーヴァントと共に現れた『ロンドン』の街並みに、魔術的な観点から、ある一つの仮説が見えてきたのだ。

 

――彼は全く別の場所に連れていかれたのではない。

 

 魔術の世界には、テクスチャーという概念がある。

 まるで敷物の様に『惑星』という物に縫い付けられた『世界』をそう呼ぶのだが。小規模ではあるが、それが起きたという可能性はないだろうか――そう、私は自分の頭脳をフル回転させて、考えた。

 すなわち、『ロンドン』という特異点に別の敷物……『世界』を張り付け、そこに本造院君を隔離した。すなわち。

 

「二人は、同じ場所の……()()()に存在している、という事だね」

「全く、どれだけの無茶をやればそんな事が出来るのか。聖杯だけじゃ、こんな事は到底不可能だと言わざるを得ない」

「相応に化け物じみた術者が必要だ」

 

 私たちは、基本として、人理を焼いた黒幕を打倒するべき脅威として扱って来た。それは今でも変わらない、が。その脅威として認定するべき対象を、明確にもう一人増やすべきではないのか、という話だ。

 

 人理修復、という目的を成し遂げるならば、これを起こした黒幕を最優先で脅威として打ち倒す。これは当たり前の事だ。

 故に、最悪。相手の協力者程度ならば、一旦置いておいたりするのは仕方ない。そしてこちらは常に崖っぷちだ。常に最悪、常に絶望的、常に背水の陣。例えば味方の士気高揚の為だったりとか、特異点の解決だとか、そういうのにリソースを回すことは当然と言えばそうだけれども。

 

 しかしながら、こちらに表立って敵対する等せず。例えば、相手に戦力を融通するだとか、そのレベルに収まっているなら。敵が何処にいるのか等まで詳しく調べて打ち倒す事はしないだろう。

 だが……事情も変わってくる、そんな化け物染みた相手がいるとなると。

 

「並行して、紙片に使われている術式の解析を進めなきゃいけないね」

「正体を見極めるためにも……か」

「そうだねぇ――ん?」

『ダ・ヴィンチちゃーん? ちょっと今、一人になってるからご報告したい事が』

 

――そんな謎の術者が共にある敵勢力から狙われる渦中の人物が、通信の向こうの、禿げた彼だ。

 

「ん? どうしたんだい?」

『さっきの紙片についての事だ。流石に全員に隠すのもアレだし……ロマニもいる?』

「あぁ、いるよ。今、隣だ」

『そうかい。ならロマニに伝えてくれ。メンタルケア請け負ってくれるかって』

「ん?メンタルケア?」

『そうそう――あの紙片、()()()()()()()を思い出させてくれたからなぁ』

 

 いったいどういう理由で狙われているのか。

 もしそれが分かれば……敵の動きや正体も。案外分かってくるのかもしれない。

 




神話ごとにテクスチャがあるっていったいなんなんじゃ……
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