FGO DLC実績『鬼血の継承者』獲得   作:秋の自由研究

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第八十四章・裏:黄金の益荒男

 正直な話をしよう。

あの享楽主義を掲げてそうなアサシンが、あんな楽しそうに話す男って、一体どんなのか。まっっったく想像できていなかった。

 

 少なくとも真っ当な奴である事は分かっていたが、しかしそれ以外がさっぱり。金髪碧眼くらいしか聞いてなかった。

 ので、金髪をさらりと流した細マッチョで、それが意外にもデカい武器を使う……的な事を考えたりもしたが『いやそれどうなんだろう』と思いとどまったりもした。

 

「……なんだよ、俺っちの顔になんかついてるか?」

「サングラスが付いてるな。カッコいいとは思うけども」

「お、そうか!? へへっ、話せるじゃねぇかアンタ!」

 

 しかしいざあって見たらそんな想像を吹き飛ばす様な『えっ、日本人?』と言わんばかりのゴリゴリマッチョメンの姿がそこにありました。

 アサシンの好み……そっか、正統派な細いイケメンかと思いきや筋肉か。男の子も憧れるし、筋肉。やっぱり筋肉なんだなぁ。

 

 しかしまぁ。そりゃあアサシンの『遊び相手』になるだけの事はある。ゴリマッチョの中でも更に極まったタイプだとおもう。胸板がシャツのボタンを弾けさせるレベルだよ。ちょっと動いたら『ぷちんっ♡』てしそうだよ。誰得だよ。

 

「……んでよ金時さん」

「ゴールデン、って呼んでくれや」

 

 そんなマッスルメンこそは、アサシンの首を取った伝説の源氏武者。足柄山の金太郎こと坂田金時である。えー、洋風にかぶれてるけど。おかっぱ頭以外和風な所が一切無いけれども。ゴールデンって結構な呼び名だなぁ。まあいいか、本人が望んでるなら。

 

「オーケイ、ゴールデン。状況を教えてくれや。話してくれるんだろ?」

「あぁ。だが……かなりクールだな。もうちょっと焦ってるもんかと思ってたが」

「はっ……流石にもう分かってたからな。俺のサーヴァントじゃないって」

 

 ……そんな顔する事はないじゃないか。

 

「はっ、それでも酒吞と組んでたってのか」

「アイツは至らないマスターの俺をささえてくれたからな。だったらマスターとして応えないとなぁ。ちがうか?」

「……はっはっはっはっ! いいねぇ! ゴールデンだぜ、大将!」

 

 ばしり、と差し出された手とハイタッチ。

 

 特に気が付くきっかけがあって、劇的に思い出した、とかじゃない。

例えば、どうして俺はずっとアサシン呼びなんだろう、とか。

戦ってる時に、記憶の俺はマシュを援護する位置にいる事があったのに、俺のサーヴァントはバリバリの前線タイプ。俺はもうちょっと前にいても可笑しくなかったんじゃないか……とか。

 

じわじわと違和感が形を成して、結果として二人のサーヴァントの事を思い出した訳なのだけれども。だから、まず気になるのはそこだ。

 

「んでだ、ゴールデン。俺の二人のサーヴァントは、何処に行ったんだ?」

「あー……俺っちも詳しい事は知らねぇ。だが少なくとも死んだって事はねぇから、そこは安心してくれ」

「そうか。ならよかった」

 

 ……あぁ、一番知りたかった事が確認出来て、安心した。

 流石にあの二人に居なくなられるのは、ちょっと辛い……どころの騒ぎじゃない。

 

 そこが確認できたなら、次だ。

 

「じゃあ、次はアサシン……酒吞童子と、源頼光の事だな。どうして彼女達は立場が逆転してるんだ?」

 

 そうだ。アサシンが俺のサーヴァントじゃなかった。ここまではまぁいい。だが、どうして敵側にいた筈の彼女が、俺のサーヴァントを名乗っていたのか。そして本来、その敵のアサシンを狩るために召喚された源頼光が、敵に回っているのか。

 流石に、そこの理由を無視はできない。

 

「オーケイ。そうなると先ずは、ここが『何の為に用意されたか』……そこから説明する事になりそうだな」

「この平安時代の特異点が、か」

「おう。結論から言っちまうと……ここは『アンタを捕獲する』為に用意されたもんだ」

 

 ……いきなり背筋が冷えそうな事を言われたんだけども。なんだ。どうしてそんな俺は人気なんだ。嫌な人気だなチクショウ。

 

「デカい門やらは、態々アンタを取っ捕まえる為のブツだ。まぁ魔術的な意味とかあるっぽいが……そこは良く分からん!」

「そ、そうか」

「んで、その門の中にアンタを押し込める為の刺客として、酒吞は呼ばれた」

「……捕獲する前に興が乗ったからって殺してきそうな刺客だなぁ」

 

 いや、そこまで短絡的ではない……が、しかしアサシンにはやりそうな『危うさ』がある気がする。しかも、不安定が故、という訳ではなく、当人の気質から来るものでもあるし。やってしもたわぁ、とか悪びれもせず言ってそうな気がしないでもない。

 

「まぁ、言わんとする事は分かるけどよ……アイツは昔っから『掻っ攫う』鬼だったからな。この場所との相性とか考えて、捕獲する最適格だと思っての選択って訳だ」

「あぁ……」

 

 鬼、って言うのはそう言う側面もあるか。山から下りて人を攫う。そんな物語は幾らだって存在していた気がする。

 成程。向こうにとって、アサシンはその『人さらい』としての性質を見込まれての抜擢だった訳なのか。まぁそう考えると……いやぁ、それでもどうなんだろうな。

 

「まぁ、それがBADもBADな選択だった訳だが……どうやら、アイツと召喚した奴の気質は合わなかったらしくて、初手で家出GIRLとなった訳だ」

「……もしかして、話した?」

「ま、俺っちもここにカウンターとして呼ばれてたサーヴァントだからな。アイツとは何度か顔を合わせた……記憶が連続してんのは、まぁ頼光サンのサービスか、八幡様のお導きか、どっちかは分かんねぇけどよ!」

 

 ――アサシンが言う事には。

 

『あの法師、ほんまいけすかんわぁ。ウチかて人攫うのは別にかまへんけど……攫うもん位選んでもええやろ?』

 

 という事らしい。何処まで行っても、彼女と召喚者とは趣味も反りも合わない以上、平行線なのは目に見えている。故に最早話す事も無しと、召喚者の元を去ったのだ、と嫌そうに彼女は語ってから、何処かへ行ったのだという。

 ……いや、語っていた、ではないんだが。

 

「去った、って……サーヴァントって魔力供給がないと現界し続ける事は出来ないんじゃないのか!?」

「……そこがソイツのやらかした所でな。素直に自分の戦力をぶつけりゃあ良かったってのにどうやら現地の生の陰陽師を嗾けたらしいんだよなぁ」

 

 その疑問に、金時は軽く頭を掻き、やれやれとでも言いたげに苦笑した。

 

 ……そもそも、彼女を召喚した術師――恐らくはここまで俺を狙って来る流れを考えるに、以前と同じようにリンボである可能性は高い――の立てていた作戦は、本来この平安京の中に居た住人ですら組み込んだ、かなり大掛かりな追い込み漁の様な作戦だったらしい。

 だが、その要の一つである酒吞童子が気分が乗らないとバックレた事で、状況が一変し潰し合いになったのだが……しかし人食いの鬼に、魔力の塊みたいな生の陰陽師(現地の協力者)を始めとする現地戦力を嗾けた事で、状況が悪化した。

 

「お陰でアンタを捉える為の箱庭は大荒れ。酒吞は首尾よく魔力の『供給源』を手に入れた事で撤退に成功し、術師は練ってた策を完全崩壊させて……仕方なし、ってなもんて咄嗟に別のプランを練らざるを得なくなった」

「……なんだろうな。頭は悪くねぇんだろうが、肝心な所が抜けてるっていうか」

 

 確かにリンボとかいう魔術師は、悪辣で、頭も切れる。俺の護衛のサーヴァントを排除し、そして人さらいとしてこの箱庭に俺を連れ込む為の人員も最適な奴を連れて来たのだろうとは思う。思うが。

 しかし、ソイツと反りが合わなくなってからがまぁひでぇ。

 

「……その代わりに、何時の間にか頼光サンを奴らは手に入れていた訳なんだが」

「あー……そこは、良いよ。別に。話したくねぇだろ」

「悪いな。ったく、自分が情けねぇ……」

 

 ……少し話しただけでも、分かるくらいに金時は快活な男だ。そんな彼が余りにも分かりやすく顔を顰めたの。正直、想像もしたくねぇほどの事を、金時達にしたのだろう。向こうは。

 

「とまぁ、土壇場で酒吞をなぎ倒しアンタを取っ捕まえる準備を見事整えて、さぁさぁ一戦、と向こうはヒートアップ……だが強かさならアイツの方が上だったらしい」

「アサシンは、本来敵側だった俺のサーヴァントになった」

「へへっ、ゴールデンな意趣返しだろ?」

 

 俺が来る前に、マジで特異点の行く末を占うような大戦が一つ二つ起きていたんだ。

道理でアサシンと頼光さんと俺しか見ないし、カウンターサーヴァントも居ねぇし。俺がやって来たのは戦いの終わり際なんだから、当然の事だった。

 

「元々、酒吞は『記憶をボヤかされたアンタのサーヴァントとして一緒に行動する』っていうプランだったらしい。んで、その下準備を上手い事使って、アンタと契約を結び……そっからは、アンタの知る通りさ」

「なるほどな」

「――だが、共通の敵が消えた今は違う」

 

 そんな目まぐるしく変わる状況の中、最後に残ったのは……アサシンだ。

 それを口にした金時の表情は、明確に険しいモノに変わっている。ガシャリ、と音が鳴る程強く柄を掴んだその手に、彼の強い思いが現われているように見える。

 

「……昔の知り合いだから、って訳じゃねぇ……って言えりゃあ良かったけどよ。でもどうしたって、アイツとの因縁はオイラには忘れられねぇ! だったら、俺はまっすぐ進むしか――!」

「ゴールデン」

 

 ……しかしながら。彼がどんなに強い思いを抱いていようと。今の俺は、アサシンにそそのかされた悪いマスターなんだ。悪いが、キミの思いはぶち壊しにさせてもらうしかないんだよ。

 此方を驚いたように見つめる彼に、悪ぶって笑顔を浮かべて見せた。

 

「――悪いが、因縁は俺にもあるんだ」

 




あ、危ない……ゴールデンが主人公過ぎて危うく主人公交代する所だった……(震え声)
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