FGO DLC実績『鬼血の継承者』獲得   作:秋の自由研究

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第九十六章・裏:ラーマと荒野を行く

『――余は、シータに……もう一度だけでも、会いたいのだ』

 

「もうそんなん言われてソロプレイできるほど俺だって人でなしじゃねーわ!!!」

「うわっ!? びっくりした!?」

「急にどうした!?」

「いや、ちょっと……この世の、何とも上手く行かない感じに、嘆きとこみ上げるモノをぶちまけて見た。気にせんでくれ」

 

 式部さんにぽんぽんと肩を叩かれながら……ちょっと肩を落として荒野を進む。その姿を見て、さっきからアサシンは大変にやにやとしている。じめじめしてるのは嫌いじゃないのかと聞いては見たが『そういうのが全部嫌いなわけではない』との事で。

 

「ほんま、面白かったわぁ……『これ以上、奴らに好き勝手されてるのも気に入らねぇなぁ』って無駄にカッコつけて言うた後、あの坊の一言で聞いて、顔くしゃくしゃにする旦那はん、ええ酒の肴になったわぁ、くすくす」

「うるへー……」

 

 ……で、なんでそんなアサシンが楽しそうにしているかと言えば。一言で言えば、俺が盛大に醜態をさらしたからに尽きる。

 あの武者の事で、ダ・ヴィンチちゃんに『奴を追跡して、俺を狙ってる奴らの尻尾を掴みたい』と相談した所……流石に戦力を何度も分けるのは、リスク上ちょっと看過できない、と言う話になった。

 

 とはいえ、俺も流石にここでそう簡単に引き下がる事も出来ない。何せ被害者だ。今までさんざ俺がぼろくそにされたのを、一発、派手に熨斗つけて返すチャンス。色々言葉を尽くして説得しようとした所。

 

『――んー、じゃあちょっとそちらの王様に聞いてみようか』

『む? 余か?』

 

 ……まさかのダ・ヴィンチちゃんは、この街で俺達と合流したばっかりのサーヴァントである、ラーマに対して話題を振った。

 

『そうそう。どうだい、奥さんに会うのに、出来るだけ協力してくれる人は、多い方がいいかな?』

『まぁ、それはそうだな。余も、別に協力しろ、等と傲慢な事は言えんが……協力して貰えれば、ありがたいと、正直に思う……許されない事を、沢山してしまった。彼女に会って、ただ一言だけでいいんだ、謝りたい』

 

 少し苦々しく。でも、何処か申し訳なさそうに、それでも我慢しきれない様な期待に瞳を僅かに震わせて――言ったのが最初のセリフだ。

 

「奥さんを救出するまでだかんなマジで!!!」

「す、すまんな……余のわがままに、付き合わせて」

「ふん、変にお人好しな所が災いしたな、マスター」

「うるへー」

 

 という事で、俺は奴らを探し出して追撃する事を諦め。取り敢えず……シータを探す為の人員と、人理を滅ぼそうとするケルト側のトップと、アメリカをこの形に保とうとするエジソンの二人の暗殺の為の戦力とを、集める旅へと出る事になった訳である。

 

 ……酷いことした、って思って。んでその上で謝りたい、と思ってるなら、そりゃあ手伝いたいと思ったっていいだろ。人として人情はあるんだよ俺だって。

 最悪、奴らを追いかけるのは別にこの特異点じゃなくたって、良いっちゃ良いし……いや見つけたいのはやまやまだけど……というか。

 

「そう言うのを差っ引いても、流石に看護婦に背負われてる病人放って自分の敵を追っかけるのもなぁ……?」

「……それに関しては言ってくれるな」

 

 今のラーマ君を一言で表すなら……なんだっけ、こういうの……『おねショタ?』あぁそうそう、そんな感じだ。そう言うのは疎いからなぁ俺も、ありがとうダ・ヴィンチちゃん。所で俺の心を読んで発言しないで頂けるとありがたいです。

 ……それは置いておいて。えー、バックパックみたいに背負われております。ラーマ君が。逞しい看護婦さんの背中に、ちょっと気だるげに体を預けてます。まぁ預けているのは彼が弱っているからなんだけど。でもなんていうか……

 

「親戚の姉に甘える少年、って感じだなぁホント」

「ぐぬぬぬっ……運んでもらっておいて、ナイチンゲールには感謝してもしきれぬ程にありがたいのだが、それにしても何と情けない姿か……! シータには見せられん……!」

「あまり興奮しない様に。病状が悪化します」

「あ、すまぬ」

 

 とまぁ、さっきからナイチンゲール婦長にまるで頭があがらないのも、その雰囲気を加速させている、気がする。だからまぁ、こんな人を放って自分の事ばっかりっているのも、世界を救う組織っぽくないし?

 

 ……それに、今現状だって、何もしていない訳じゃない。

 そもそも、なんでこんな目立つ荒野をこの人数で、しかも分かりやすく歩いているかって言えば、まぁこれがジェロニモさんの言う仲間たちがいる場所へと向かう最短距離、っていうのもあるが。

 それだけじゃなくて、もう一つ理由が存在するのだが……ん?

 

「ありゃあ……ケルトの斥候か?」

「そうみたいだね。マシュ、リリィ、戦闘準備お願い」

「はいっ」

「お任せください!」

 

 荒野に舞う砂ぼこりの先に……屈強な男共の集団、発見。機械じゃないって事はケルト側だろう。ちらり、と横を見れば、ナイチンゲールさんが、速攻で飛び出す前にジェロニモとアサシン、そしてエドモンが三方を固めるようにしてその動きを止めている

 

 この人、さっきから敵を見かけようもんなら『病の原因』と判断して襲い掛かるもんだから、マジで何時か事故ってしまいそうで困る。というか、そもそもラーマを背負っているんだから彼女が死ぬ=彼にもダメージが行くなので、ちょっとは自重して貰わないと困るのだが……言っても聞かないからしゃーない。

 

「ゴルゴーンさんと式部さんで取り敢えず一斉射。それでも抜けて来た奴らは、藤丸達とナイチンゲールさん、アサシンで叩く……要するにさっきと一緒だ。お願いしまーす」

「分かりました」

「ふん、先ほどの様に、最初の一撃で殆ど使い物にならないと良いが……」

 

 無理だと思う。ゴルゴーンさんの長距離砲撃を耐えられる程、あの兵士共は頑丈でも無けりゃ、強くもないし……とか言っている間に、あぁ、巨〇兵の熱戦に焼き払われる〇蟲の如く兵士が消し飛んでいく。なんとあはれ。

 

「情緒感じちゃう?」

「い、いえ……あそこから感じるのは、あはれではなく哀れだと思いますので……」

「その二つって違うの?」

「厳密には……はぁっ! 違うと……えいっ!」

「そうかぁ。うーんさり気に相手の動きを封じた所に第二斉射えっぐ」

 

 それに式部さんが相手の動きを制限する方に舵取った所為か、殲滅がより効率的になって来てるし……えっと、抜けてきた人数は……うん。数人くらいだな。というかあの二斉射の中で数人生き残ったのか。根性あるなぁケルト。

 

「んじゃまぁ……後はそっちに任せていいか」

「うん。っていっても。ちょっとオーバーキルにも程があるけれども」

 

 ……とはいえ。抜けた所で待っているのは更なる嵐。人から鬼まで揃ったこっちの最大戦力を固めた分厚い層の前線な訳なんですけれども。とはいえ、流石にね。この人数でタコ殴りにはせんけれども。リリィとマシュで十分。

 ……これだけの戦力を前面に押し出して固めてるのは。アイツがぶつかって来るのを想定しての事だ。

 

 もう一つの理由。それは……囮。というより、誘因と言うべきか。

 こうやって堂々と行軍する事で……あの武者のサーヴァントに、向こうから来てもらうのを狙う。追いかけるのは無理でも、向こうから突っ込んできたのであれば、叩く事も難しくないし。

 実質戦力を一点集中したまま、二つの目的を達成できる可能性がある、という事で。もし引っ掛かったのであれば、その時は、この場の全員で叩き、その後は。

 

「……どうとでもできる、って言う予定なんだけれどもね」

「よし皆、張り切って行こ――」

「消毒します」

「だから余を背負ったまま吶喊するなああああぁぁぁぁぁ――」

 

 あぁラーマ君がナイチンゲールさんと共に前線に引きずり出されていく……とまぁさっきからこんな調子で。引っ掛かるのはケルトの斥候ばっかり。アメリカ側はガチガチに防衛を固めるって事で、出会わないのは当然ではあるが。

 しかしまぁ、それらしい影を見た覚えもない。一度こっちを捕捉したんだから、直ぐにでも突っ込んで来ても不思議じゃないと思ったんだが。

 

「……んー、警戒されてんのかね?」

『さーて、どうなのかなぁ。あ、今度はワイバーンだよ』

「おっ、漸くゴルゴーンさんが満足しそうな獲物が……」

 

 酷く静かだ。

 別にこっちの思惑通りに動いてもらえず不満って訳じゃない、けれども……アレだけの気迫を見せたというのに。肩透かしを食らった気分だ。

 

 シャドウサーヴァントを使い、見つけ次第襲い掛かって来た今までとは、やはり何かが違う気がする。まるで――()()()()()()()()ような、そんな。

 




自分で書いてて『サーヴァント一人を三人で抑え込むって戦術上どうなん?』と思ってました。
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