FGO DLC実績『鬼血の継承者』獲得   作:秋の自由研究

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三が日を終えて新年初投稿です(力強く宣言)


第九十八章・裏:米国乱れ舞い剣閃 前編

 ……ランサーの時と違って。

 どうやら目の前に立つ奴らは、歌だけで弱り切ってはくれないようである。ロビンの案内で辿り着いたこの街に残っているのは……殿を任された『俺達』と。

 ここにいたサーヴァントを狙って来ていた、サーヴァント。

 

「……一つだけ聞くぜ。偉丈夫」

 

 ――目の前に立つは、鋼の大剣……否、槍と剣の相の子の如き、威容と異様を誇る鉄塊を構える、益荒男。今まで見てきた中なら……レオニダス、金時にも匹敵する鋼と言えるであろう筋肉を身に纏った、分かりやすい戦士であろう。

 

 さて……先ほど、ぶつかりあった事で、真名は一発で抜けた。

 僅かに見えた虹の輝き、僅かな情報からですら英霊の真名をすっぱ抜く我がカルデア相手に余りにも剣から漏れる虹の光なんて、分かりやすいモノを見せすぎたな! と、言うのは余りにも言いがかりだろうか。

 

「アンタここで終わる覚悟は、出来てんだな――ええ? フェルグス・マック・ロイ」

 

 俺の言葉に――男は不敵に笑う。

 

「当然だ――そちらこそ、数はそれだけで大丈夫なのか。そちらは数を減じて……四。流石に不利は否めんぞ」

 

 ……普通に考えれば、当然の一言だろう。確かに数は向こうの方が圧倒的だが、伝説のケルトの戦士なら分からんでもないだろう。サーヴァントの強さは。正直、屈強なケルトの兵隊を幾ら連れて来たにしたって、サーヴァントを相手は分が悪いという話で。

 という事で、それ込みですら『不利』と言い切る辺り、例え四対一の不利であろうとも自力で覆すだけの自信があるって事だろう。いや、流石はケルトの勇士か。

 

 フェルグス、ケルトの刺客。

 流石に目標であったセイバー、ネロ・クラウディウスを、戦う前に此方に逃がされたんじゃ、後は俺達を倒さんことには帰る事も難しいと見える。

 

「冗談だろ? 寧ろ、こっちの布陣を相手にそれが言えるだけスゲェよ――」

 

 逃がしてくれないのは分かりやすかった……容赦なく、火花を切って落とす。

 

「――ぬぅっ!?」

「逃がさん……!」

 

 フェルグスの足元から、包囲するかのように湧き上がる禍々しい魔力のドームは……残念ながら、その攻撃を予期したかのように跳び下がるフェルグスを捉える事敵わず。

 代わりに周りの兵隊を餌代わりと言わんばかりに呑み込んで消えてしまう。

 

「――手荒い挨拶だな……っ!?」

「冗談。コレで終わりな訳ないでしょ」

 

 既に、俺の傍に控えた式部さんは、一手を書き終えている。

 フェルグスを包囲、追撃するは、黒の弾丸と、陰陽の術による空走る呪文。式部さんの陰陽術は、こういう隙を埋める小回りの利く技だ。ゴルゴーンさんでブッパ、散らばった所を式部さんで狙い撃つ――割と悪くない気がする。

 

「ぬぅお……! コレは流石にぃ……っ!?」

「どうしても大きく躱さないといけないからなぁ、ゴルゴーンさんの一発は!」

 

 大ぶりな回避だ、体勢立て直しも出来ない――咄嗟に防ごうと両腕を交差させた所にその上から文字が絡まり、相手の動きを縛り付ける。

動けなくなったところで……黒い弾丸が、直撃、一、二、三! ピンボールみたいにいろんな所に弾けて跳ね、きりもみ回転しながらケルトの群れの向こうに飛んでいく。

 

「ビンゴ!」

 

 見事に指揮がハマった。マスターらしい戦い方に思わずガッツポーズ……した所で、どしん、と両肩に結構な衝撃が乗っかってくる。何とか潰れる事だけは避けたが。それでも力士が四股踏んだ後の姿勢みたくなってしまった。重い。

 

「阿呆。アレでやられるわけが無いだろう」

「油断してはると、頭からぱっくり、いかれてまうで?」

 

 ……まぁ、背後のゴルゴーンさんと、俺の両肩の上に飛び乗ってきた酒吞のいう通りではある。その証拠と言わんばかり、まるでフェルグスの事を気にせず、ケルトの戦士たちが槍や短剣を構え、各々突っ込んで来るのが見えた。

 迷いが無さすぎる――いや、既に俺達が戦場から離脱させた、ネロと藤丸チームの方を追おうとしているのか。カルデアに合流する前に潰せ、と言う命令を忠実に守りたいのだろうが、もう追いかけても遅い。

 

「大丈夫――いかれるまえに、顎ごと砕いてやるってんだ」

「ふふ♪ ええ返事どすなぁ……ほんなら、お先に砕ける感触、楽しませてもらおか」

 

 それに……腰を落とし、拳を構えた俺も。そんな俺にちらりと牙を見せてから、肩より飛び立った酒吞も。真正面から突っ込んで来る兵隊さんを逃すつもりはさらさらない。

 

 ひゅーん、と。肩から感じた軽い感触からは想像もつかない程に軽々と飛び立った酒吞童子と、突っ込んできた兵士たちの矛が、一瞬、交差し――

 

「――うーん。こっちをぱっくりしても、喰い応えあらへんね」

 

 先ずは、槍の穂先と短剣の切っ先が。それから――真っ先に武器を向けたケルトの勇士の首が悉くすぽん、と宙を舞い。それらが地面に落ちると同時、酒吞は敵のど真ん中、優雅に足を着いて、降り立った。

 

 くるん、と袖を靡かせ、本当の童女かのように、周囲の勇士どもを見回して。彼女は不満そうに頬を膨らませた。

 ケルト兵は、圧倒的な力を見せつける鬼の首魁に、それでもなお突進しようと武器を構えようとして。

 

「はっ、所詮は私の神殿の壁にもならん連中だ。何を期待していた?」

 

 ……その前に。

ある者は紫の輝きに、体を貫かれ、倒れ伏し。

 ある者は、五指の爪に引き裂かれ、あっさりと地面に倒れ伏してしまう。

 

 既にゴルゴーンさんは前進を始めていた。酒吞に視線を奪われた哀れな雑兵たちを、背後からすり潰すように、魔力の光で、空を裂く爪で、振るわれる鞭のような尻尾で。ゆったりと殲滅していく。

 

「期待してたわけやあらへんけど……つまみくらいには、ねぇ?」

「下らん」

 

 ……このままいくと、彼女達だけでケルト兵を一蹴し、そのまま壊滅できそうな勢いではあるのだが。しかし、ゴルゴーンさんは兎も角として、酒吞に関してはそっちと遊んでもらっていても困るので。

 

 後方からその様子を見ていた俺。

後ろに控える式部さんに肩越しに顔を向けてから、指で軽くサイン。先ずは酒吞の後ろに立ち上る土煙に向けて一度、それから酒吞に対してもう一度。

 

式部さんは、ちょっとため息を吐いてから、空中に文字を書き始める。どうやら意図は伝わったらしい――ので再び、戦場に。もっと言えば、フェルグスの飛んで行った方向に向けて、視線を戻す。

 

「――雄ぉォオおオ嗚呼ァッ!!」

 

 それと同時。咆哮、轟き。

 立ち上る土煙を抉り散らし、飛び出すは大槍の如き切っ先。飛び上がったフェルグスが両手にて逆手持ち、串刺しを狙うは……最も近い場所にいた酒吞。

 ちらりと上を見つめ、牙を()()()と覗かせ、童女の如き化生が笑う――いや嗤ってる場合ではないんだけどもなぁ?

 

「貰ったぞ、カルデアのサーヴァント――!」

「おいでやす、おいでやす……って、やんっ」

 

 という事で。剣を構え上から流星の如く落ちるフェルグス、下で軽く酒を煽りながら待ち受ける酒吞……その間に、一瞬、旋風の如く術が一つ滑り込む。

 空中を滑る赤い光の束は、飛んでいく符を中心とし別れ、うねり、結んで。空中に五芒の陣を刻み込む。

 それがフェルグスの切っ先とぶつかり――その勢いを、殺した。ほんの、僅か。

 

「ほう、中々に小癪な真似をする――だが!」

 

 拮抗は、僅かに一瞬しか持たなかった。

 ほんの一呼吸の間に、フェルグスの大剣は、ガラスでも破るかのように陣を粉々に打ち破ってしまう。普通ならまともな時間稼ぎにもならないだろう……が。

 

「どうだ! と言いたい所だが……ぬかったな」

 

 その僅かな時間の間ですら、東洋の大化生にとって余りにも、大きすぎる――飛んでくる相手の、さらに頭上を取る程度、欠伸でもしながら熟す程に。

 ちらりと、拗ねたような視線で見られるが――しかし、ここで疲弊して貰っては困るのだ。まだまだアメリカ攻略までは長い。申し訳ないが、ここはバリバリに手を出す。

 

 疲弊は最小限に。礼装を起動。酒吞に指先を向け――

 

「――打ち落とせ、アサシン」

「はぁい」

 

 二つの淡い光が、大地にさかしまに体を向けて跳ぶ、彼女の身体を包み込む。ぐぐ、と握り込むは彼女の拳。小さな子供の握りこぶしとて、鬼のそれならば大鉄槌と同義だ。

 

 くるん、と。

駒の如く横に。体が回る。

勢いそのまま。振り下ろされる。真っすぐ――

 

 ど ご ん

 

 弾き飛ばされるように、再びフェルグスは地面へと堕ちていって――爆ぜる。

 

 先ほど、酒吞が立っていた位置に、入れ替わりになる様に突っ込んだフェルグスは、そのまま質量弾が引き起こす様な無属性のエネルギーの爆発で――周りの味方を、散り散りに吹っ飛ばした。

 

「――私に飛ばすな、阿呆が」

 

 まるで散弾のように四方八方へ散らされる勇士達。近くにいたゴルゴーンさんにも微妙に被害が言っており、ボールでも受け止めるように、飛んできた勇士を、頭を鷲掴みにして受け止めている。

 んで、ゴルゴーンさんだけではなく、こっちにまで来ているのだが――その放物線上の軌道で飛んでくる勇士が、到達するその前に。

 

「うちに言わんといて――なっ!」

「はははっ! 実に好い! 打ち合いとは、こうでなくては!」

 

 上空から、体ごと縦に回して振り下ろした酒吞の追撃の大剣を――未だ健在、と言わんばかり堂々と立ち上がった、フェルグスの大剣が受け止めていた。

 質量対質量。轟音に合わせるように、俺も髭モジャのおっさんを蹴り飛ばして、どっかへとリリース。戦いは、まだこれからのようだ――

 

 

 

 

 

 

「――見つけたぞ」

 

「今度こそ……今度こそだ。源氏――死に候へ……!」

 

 どこかで。

 しゃらり、と。澄んだ金属の奏でる――殺意の音がした。

 




三が日は休んでました(正直)

今日から投稿頑張るぞい(不安)
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