FGO DLC実績『鬼血の継承者』獲得   作:秋の自由研究

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第九十八章・裏:米国乱れ舞い剣閃 後編

 ……奴は、以前。隙あらば俺に向けて切り込まんとする、執念染みた動きを見せつけて来ていた。俺達は、その異常なまでの俺に対するヘイトに翻弄され、酒吞ただ一人を相手に任せ、此方は完全に守りを固める事しか出来なかった。

 

 それだけ、あの武者のサーヴァントの狂気染みた攻勢は、こちらが一切動けなくなってしまうような、異常な迫力と言うモノがあった。

 ……じゃあ、今は?

 

「……コレで、五人か」

 

 今の所、俺にかかって来た哀れなケルト兵君達は全員仕留めている。とはいえ、サーヴァントの皆様のように素早く倒せている訳でもない……だというのに、五人倒すだけの時間が過ぎて尚、状況は変わっていない。

 

 ゴルゴーンさんは、未だ武者のサーヴァントを捉えんと暴れ散らしてるし。酒吞は酒吞でフェルグスとインファイトの真っ最中……若干、式部さんの援護が薄くなってはいるがしかし、それでも元からあの超人とやり合えるだけの力はあるので、何の問題もなさそうではある。

 式部さんはと言えば、時には武者のサーヴァントの足元に黒い弾丸を打ち込み、時にはフェルグスに向けて動きを縛る術を放ち。援護も完璧。

 

 驚く程に、静かだ。

 

「……正直、一度や二度、ゴルゴーンさんの所、無理に抜けようとすると思ってたんだけどなぁ?」

 

 いや、ゴルゴーンさんのキレが良いというのはある。何時もみたいに援護に徹させるわけでもなく、好き勝手に暴れ回って貰ってるから、そりゃあ当然と言えば当然なのだが。

 それにしても、さらに一歩を踏み込んで此方に切り込む、と言った勢いがまるで感じられないのだ。

 

「なんか、いきなりナイーブになってる?」

 

 ……自分で言っておいてなんだが、先ずない気がする。

 寧ろ不安になったらそれを無理矢理振り切らんと余計に突撃しに来るタイプだと思う。じゃあなんであんなに静かなのか……些か以上に、不気味だ。

 それが、僅かに引っ掛かる。

 

 単純に攻めあぐねてるだけなら、まだいい。だが、万が一にもフェルグスと連携する為のタイミングを計っているのだとすれば……その時、自分は対応できるだろうか。

 

「……切るか?」

 

 自らに問いかける。僅かに、手を強く握りしめて……突っ込んで来た敵に肘鉄を浴びせつつ、呼吸を落ち着ける。大切な切り札。ここで使って良いものか。

 ちゃんとしたタイミングで使わなくてはいけない。雑に切って、無意味に終わったらたまらない。

 

 少なくとも、今ここで切れば何かしらの成果が確実に出るという見込みがあって、相手が外からの刃に警戒心が薄くなってて、んでもって妨害される可能性とかが一切なにもないという――

 

「いや今だなこりゃ!! うん!!」

 

 敵が二人、こっちのサーヴァントに釘付け、何方かを狙えば不意打ちになるし、どっちも目の前にサーヴァントがいて、援護射撃まで浴びている。ここに大きな一発を投じれば何かしらのアクションも起こせる。ああうん。此処だわ切るの!!

 

「――っし……邪魔だっ! おらぁっ!」

 

 とりあえず、気合い入れついでに、突撃して来たケルトの髭面に拳を叩き込んで沈静しつつも……ちらりと式部さんに、ウィンク二回で目配せ。

取り決めていた合図を確認し、式部さんが片手で空中に描くは、陰陽術の陣。攻撃の為ではない、コレはあくまで、合図の為の一発。

 

それを確認した所で――視線を向けるのは、武者のサーヴァント……ではなく、フェルグスに。酒吞とガチンコでやり合っていただけあって、消耗も激しく。そして、ドクターとダ・ヴィンチちゃんから聞いた情報から考えて。宝具のヤバさは向こうの方が、上だ。

 

「――狙え!」

 

 もう既に狙いは着けている。

分かりやすくこうして声を上げたのは、注意を更に引くためだ。現に、俺が声をかけた方のフェルグスはと言えば――此方をちらり、と見た後に、不敵に笑って見せた。

 

当てられるものなら当ててみろ、と言わんばかりの挑発的な表情。

どんな一撃だろうと、必ずや食い破ってやる――そう、口にするまでも無い。彼の自信満々の態度が告げている。

 

「――撃て!」

 

 そうして――解き放たれるは、閃光の弾丸。フェルグスに向かって真っすぐに飛んでいく。それを視界の端で捉えた酒吞は……僅かに眉をひそめ、残念そうに一歩、フェルグスから距離を取った。

 

「――もうちょっと遊んでたかったわぁ」

「ふ、そう言うな。コレは戦争。こういう事もあろう。アレを打ち破ってからまた、お相手願おうか!」

 

 対するフェルグス。逆立つ髪を僅かに風になびかせ――胸を張って、不意を打つ弾丸に向かい合う。

 

 発言一つとっても、実に豪快。

流石はケルトの大英傑だ。当然のように、飛んできた一撃を打ち破れると信じて疑っていない。大言壮語ではないのも間違いなく。

事実、式部さんの攻撃では、フェルグスを討ち果たす事は難しいだろう――だが。

 

 とすっ

 

「――む?」

「残念ながら、そのチャンスはないっすね」

 

 一瞬の事だった。

 剣を構え、飛来する弾丸を叩き落とさんと剣を振るおうとした、その一瞬の間に……フェルグスの左胸に。一本、矢が突き立っている。完全な不意打ちである。歴戦の勇士、フェルグスが反応すら出来ないレベルの一射だった。

唐突に、戦場に現れたその緑色の弓兵は――ただ一矢で、フェルグスの霊核を射抜いてあっさりと無力化してしまった。

 

「ナイスゥ!」

「――旦那はん、喜んでるのはええんやけど」

 

 思わず、勝利を確信して跳びあがって――その直後、のぼせ上った俺を諫めるかのように……空から落ちて来た血しぶきを、頭から被る事となる。

 ぱちくりと周りを見回せば、此方に戻って来ていた酒吞が、頬を膨らませながら、ケルト兵の首を斬り飛ばしたところであった。

 

「うちは消化不良やわぁ……どないしてくれるん?」

「そう言うな。どうせ最後に敵の本拠地に攻め込むときは地獄になるから、そこで腕を振るってくれ」

「それまでお預け、なやんて……いけず」

 

 ……残念な事にそれまではだいぶかかるけれども。さて。出来るだけガマンして貰うしかない。それまでも、まぁ窮地の一つや二つはあるだろうし。取り敢えず、そこで満足して頂くしかない、か

 

「不満なら向こうに混ざって来る?」

「んー……やめとくわ。先輩の獲物取ってくほど、野暮やないし」

「良く言うぜ。じゃあ一応、後詰としてここにいて貰えるか?」

「はぁい」

 

 取り敢えず、酒吞を傍に置き。それから、無事を示す為に式部さんに手をふって――崩れ落ちている式部さんを見て、慌てて酒吞をゴーさせた。流石にケルト共の血を頭から浴びたのはビジュアル的にマズかったらしい。大変申し訳ない……決着もついたし、帰る時はおぶらせてもらいます……さて。

 

 一応、ゴルゴーンさんとの間に酒呑童子もいる。万が一の場合も備えられた。

 という事で……くるりと振り向いて。地面に倒れ伏したフェルグスを確認――金色の輝きが立ち上り始めているのが見える。退去直前の光が確認できる。コレで……こっちの決着が確約された。

 

「全く――伏兵とはな。何とまぁ、気が付かなんだわ!」

「まぁアンタが気が付かない様に、気を遣ってたもんで」

 

その傍に……何処からか、まるで空間に突如として滲み出したが如く現れる影。散歩の様にフェルグスの隣を歩き過ぎて――軽く、俺に向けて手を上げた。

 

「ありがとう」

「ん。良いタイミングでしたよ」

「いやいや」

 

 緑色の外套を脱ぎ捨て――森の狩人、ロビンフットが疲れたような顔を見せる。

残ったこちらのチームに『じゃあ一応、後詰として残りますよ』と着いて来てくれた彼は、戦いが始まってから、伏兵として何処かへと消えていたのだ。

 『四対一』。そう自ら口にしていたにも関わらず――最後には、フェルグスはその四人目のサーヴァントを、完全に意識の外に置いてしまっていたのが、敗因だろうか。

 

「うむ! 完敗だ! コレは素直に消えざるを得んか!」

「いやいやもうちょっと待て。アンタ敗軍。俺ら勝った側。なんかお土産の一つ置いていくまで消えんな。頑張れってくれー」

 

 ちらり、と背後のゴルゴーンさん側を確認しつつフェルグスの方に近寄ろうとして……そこで気が付いた。

 

「……アレ?」

 

 いつの間にか、ゴルゴーンさんの目の前から、あの武者のサーヴァントが消えていて。ゴルゴーンさんが顔をしかめてこっちを見ているのが見える。

 フェルグスを倒したその一瞬に、無理矢理切り込んで来るとか、その辺りも一応警戒していたつもりなのだが……?

 

 ……挟まされた時は結構ピンチだったとか思ったのだが。なんか、終わってみれば大分あっさり気味な。

 

「……あの野郎、結局何しに来たんだ……?」

 




別名義で投稿してるところにこの話投稿してて草も生えない。変な汗かいてて辛いけど強く生きていきたいと思います()
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