FGO DLC実績『鬼血の継承者』獲得   作:秋の自由研究

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第九十九章:裏:皇帝立つべし

「……ダ・ヴィンチよ。本当に余がやらねばらないのか?」

『いやまぁ、流石にどっちも敵に回した状態で、ケルトの本陣の大将を暗殺するよりは先ずこっちを何とかするのが先だと思ってね。出来ればお力添え願いたいんだよ。ローマを総べし皇帝陛下』

 

 ダ・ヴィンチちゃん曰く。

エジソンが如何に優れた偉人であろうと、流石に乱世極まったこの中で、臨時的な物とはいえ、『国』という巨大な陣営を完璧に纏め上げる事は流石に出来ていない。彼が生前経営していた会社とは訳が違う。

単純な人間の数も、関わる人の種類も。そして想像出来るトラブルに関しても、量、質から種類に至るまで、文字通り桁が違って来るのだという。

 

合理主義を究め、最大限システマチックに運用しているが……それでも尚、埋め切れない無駄がどうしても出てくる。大統王としての威光と、現状の危機による国民の団結で何とかそこを補おうとしていても……

 

『限度が出てくる――彼は治世の発明家であって、乱世の雄じゃないからね』

「ふむ。まぁ道理であるな。治世に向く者、乱世にて刃を振るう者、それぞれある。この乱世に置いて、治世の才ある者が国の舵取りともなれば、無理も出ようが」

「……って事は、この皇帝サマが舵取りをすれば?」

『東部合衆国は、今以上に戦えるようになる可能性はある』

 

 ……との事だが。

 ロビンが興味深そうに見つめる隣で、スタスタと歩く皇帝陛下はと言えば、まぁ全く以て乗り気ではない。

 

『戦況を覆すだけの要素になるかって言えば違うけど……それでも、ただ暗殺を狙うよりはまぁ、可能性もあるんじゃないかなという事で』

「うーむ、そうは言うがな……」

 

 ちょっとアメリカの上について欲しい、と言うお願い。ネロ陛下の人柄的に『そう言う事ならば! うむ! 余に任せよ!』と二つ返事で答えてくれるかと思っていた。

 がしかし。その話になったタイミングで、ネロ陛下の顔色が盛大に曇った。なんというか、綺麗にした筈のタオルから結構な匂いがして来た時のような、若干や切なく、そして苦々しくもあるような、そんな顔をしていた。

 

 最初は『今の余は皇帝ではなくアイドルなのだがな~?』等と気軽な調子だったのだがしかし……流石にその空気ではないと判断したのか、直ぐにそのトーンは、重苦しいものへと変わっていった。

 

『……アイドル云々は冗談としても、ここはアメリカ。余が統べていたのはローマだ。勝手も違う。まぁ余ならやれんことはないが、上手く行くかどうかは未知数に過ぎる』

 

 ……まず最初に切り出したのがその辺りだったのに、正直驚いた。非常に真っ当で、当たり前な結論だった。

いや完全な偏見なのだが、いきなり『ハリウッドの栄冠を我が上に掲げる!』とかトンチキ言い出したネロ陛下が真っ先にそんな真っ当な台詞を言うとか何の冗談だと思ってしまった。

 

 いや、まぁ彼女も普通に皇帝として国を支配していた身だし、普通にどっかの組織を纏め上げて欲しいという話になれば、その辺りは真面目に考えるのも当然ではあるのだが。

 

「……やはり気乗りせんなぁ。大統王とやらは大きなミスもしておらんし、そのままでもよいのではないか?」

『それで押されているのが現状だよ皇帝陛下。まぁ頭を挿げ替える云々は置いておくとしても、少なくとも君からの……先輩からのありがたーいアドバイスを、ライオンヘッドくんに授けるのも悪くないんじゃないかい?』

「うーむ……」

 

 とはいえ、もうここまで来てしまったところで、じっくりと悩まれてもかなり困るのだけれども。

しかも、自分には無理だからやめとけ、と言う訳でもなく。まぁやってやれない訳でもないけど、それが上手く行くか保証もないしなぁ……的な。正直優柔不断な感じで決断しかねると言った感じなんだよ。

 

「……上手く行くの?」

『十中八九。サーヴァント舐めちゃいけない。その英霊の全盛期を呼ぶんだからね。彼女も『余裕ではあるが、気乗りしない』位の感覚だ。一度やろうと思ったなら、彼女は確実にこのアメリカの民も愛し、そして守り抜こうと努力するはずさ』

「つまり、いま必要なのは起爆剤、か……」

 

 ゴルゴーンさんの方を見る。そもそもこっちを見ていないようだった。

 酒吞の方に視線をやってみる。ん? 見つめ返される。解決する気なし。

 どうやら我らカルデアメンバー人外組、どうやらネロ陛下のやる気を出させる方法は一切考えるつもりは無いらしい。

 

 いや流石に、流石にそちらさんのメンバーに色々と考えて頂くわけにもいかない。んでもって他は野郎共ばかりで……となれば。

 

「……式部さん、何とかならないかな」

 

 と言う事で、この中でも人間で、同じお嬢さん。

ネロ陛下よりも若干大人っぽい空気を身に纏った都会派、紫式部さんが一番頼れると判断。近寄ってこっそりと喋りかけてみる。

 

「……あるには、あるのですが……」

「お、流石俺の軍師様♪ 話が早くて助かるなぁ。んで? どんな手段?」

 

 流石の知性派。

 なのだが……なんだろう。非常に表情が宜しくない。若干青ざめている気すらする。というか凄い悲壮感漂う顔をしている。胸元で高速でクルクルと指と指を、こちょこちょくるくるしている。

 その仕草一つで……さっきまで凄い頼れる軍師様だったのだが。いきなり不安になって来た。こっちまっで不安になりそうな面をしている。

 

「……何をすればいいの?」

「ネロ様は……その……あの、マスター? つい先日。エリザベート様とネロ様が交わした会話を、覚えてらっしゃいますか?」

「会話ぁ? あぁ、覚えてるよ。確かあのー……地獄みたいな合同ライブを、やりたいっている話を……たし……か」

 

 ……式部さんの仕草やらなにやらと、その言葉で思い出された光景が結びつく。いや単なる勘違いかもしれないのだけれども……もしや、もしやですけれども……

 

「……ライブ?」

「我々で、盛大に盛り上げる形で……」

「えーと、もしやして、あのー、それはもう大規模で、もう一切の制限も無く?」

「そうともなれば……ネロ様も……流石に」

 

 成程成程ぉ……ほう、ネロ陛下と……なんなら、エリザベート嬢も加えて、超大規模に皆様のお耳に、あの歌声をお届けになると……ほう、はー……あー、あの。そうか。式部さん的には、『皇帝陛下にこんな無礼な、餌で釣るみたいな真似を』とかそう言うのがド失礼に当たるのかと思っているからこんな顔してんのかなぁ

 

 ……優しい式部さんと違って、その死のライブの光景を想像するだけで、俺はもう顔から血の気がゴンゴン引いていくのが分かるのだけれども。肩も重くなった気がする。コレは、アレだな。死ぬな。コンサートが開催されようもんなら。

 

「……たぁしかにめっちゃやる気は出しそうだなぁ」

 

 とはいえ……コレは間違いなくやる気を出すと思う。愛する国民に慰安コンサートを盛大に振舞う。うん。実に派手好きな皇帝様好みの展開だ。コレでやる気を出さないなら嘘だろうとは思う。

 

 ……ちら、と。少し後ろで歩いているジェロニモさんの方を見てみる。聞こえていたのだろう、菩薩像みたいな顔していらっしゃる。どうやら覚悟は完了しているらしい。さてもう一人の同行者、早撃ちガンマンビリー・ザ・キッド君の判断は?

 

「……ヘイル・メリー……」

 

 おう、銃弾を握りしめて神に祈ってらっしゃる。うん。良し。皆巻き添えは覚悟していらっしゃると見える。コレで俺が覚悟決めないのは流石に嘘だろう。

 

「式部さん」

「は、はい」

「説得任せていいかな。俺よりは式部さんの方が相手を説得するのは慣れてると思うし」

「……えぇっ? 私が……!?」

 

 元は家庭教師。噛み砕いて説明するのはお得意だろう……俺みたいな禿げ頭の乱暴な台詞回しよりは、まぁネロ陛下もノリが良くなるんじゃないか、という気持ちがある。

 まぁそれによって更にコンサートの規模が拡大しようもんなら俺も責任もってコンサートの最前列に座り、ネロ陛下とエリザベート嬢の盛り上げ役を買って出るつもりだ。あ、式部さん達俺のサーヴァントのお三方は当然参加しなくて良いから……

 

「……本当によろしいのでしょうか」

「まぁ、ここでネロ陛下が立ってくれないと、特異点の修復に失敗するかもしれないしなぁ……適材適所を実現する為って事で、一つ」

 

 

 

 

 

 

 んで。折角ならと、やる気を出してしまった式部さんの説得により。

 ネロ陛下のやる気と、合同コンサートの規模が三割り増しほどになり。序に戦で疲れている民たちに贈る慰安コンサートまで割増しになって。

 最後の慰安コンサート以外は、ほぼ全員が了承した事だけはここに記しておくとする。

 

 酒吞? 『あのめんこいのが歌と踊りするやなんて、なんや楽しそうやねぇ』とか呑気な事言ってくれたんで、コイツだけは巻き込む事に決めた。一緒になって最前列にて砕け散って貰うとしよう……

 




酒吞童子があのライブ聞いたらどうなるのかは実際知りたくはある。
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