FGO DLC実績『鬼血の継承者』獲得   作:秋の自由研究

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第百一章・裏:二凶騒乱 中編

「――すまん、任せる!」

「請け負った」

 

 如何に『武者』とはいえ、あのカルナを直ぐに突破できるとは思えない――となれば任せてしまってから、一点集中で出力を注ぎ込む。それが好し。ならば即断。味方になったと仮定して、くるりと武者に背を向けて走り出す。残念ながら君の恨みには付き合っていられないのだ。

 と言う事で。カルナと聞いて目をギラつかせる、実に律義なゴルゴーンさんに手を振って合図。睨みつけられるがそこは四十五度のお辞儀で懇願。舌打ちと共にご承知を確認してから、式部さんの手を取って走り出す。

 

「ビリー! 一応カルナの援護頼む!」

「了解!」

 

 返事と共に、撃鉄が落ちて、鋼鉄の砲口が火を噴く音が聞こえた。

 背後は西部のガンマンに任せ、傍らにロビンフッドを伴い、紫式部の手を引っ張りながら、ゴルゴーンに睨まれて走る……おお、何ともめちゃくちゃな英雄譚な事だ。今更ながらだけども。

 

「んで、ロビンフッドさん、出来るだけアレを速攻で仕留めたいんだけどなんかある?」

「とっておきってコトか? ない事はないけど……お宅のサーヴァントは?」

「式部さんは行けるけど、流石にこんなに周りに味方がいる状態でゴルゴーンさんの宝具は撃てない。酒吞も同様だ!」

 

 片や全員融解しかねないし、片や全員毒酒を煽ってグロッキーって事もあり得る。

 こう考えてみると、ウチのメンバーって広範囲薙ぎ払い系で周りの被害もお構いなしな化け物染みた出力の奴多いな……まぁ、伝説に名を残す様な魔性の女(物理)が二人もいるんだから是非もないのだが。なんか後ろから睨まれてる気がするけど、それは兎も角。

 

「俺はサーヴァントの皆さんのお力を借りてるが、だからって無軌道に被害を広げるのを良しとはしねぇ! 悪いか!」

「……はっ、甘ちゃんだねぇ。が、嫌いじゃないぜ、そういうの!」

 

 俺の言葉に、ロビンはその手甲に装着された弩を、そっと撫でて見せてくれた。

 

「あるよ。こっちも一応は英霊なもんでね。それもアイツには良く効くんじゃないか」

「そいつは頼もしい。是非ぶち込んでやってくれ」

「あいよ……つっても、まぁ一応は仕込みがいるんで、協力して欲しいんですが」

 

 俺の視線の先には、酒吞とジェロニモさん、そして二人とにらみ合い、動かないランサーの姿が……やっぱり、ただ暴走してるようには見えんな。ちゃんと足を止めて、様子を伺うだけの理性は残ってるのか。

 となれば、その仕込みとやらがバレたら対処されるかもしれない、か……式部さん他で動きを止めて、ロビンの『とっておき』で確実に仕留める。うん。その方向で行くか。

 

「分かった。任せる」

「なら……俺は潜伏しとくんで、適当に視線引いといてくれ」

「あいよ。式部さんの宝具に巻き込まれるかもしれんけど……」

「そっちもやめといてくれねぇかな!? さっきの言葉何処行った!?」

 

 うむ。と言う事で、自然と俺らカルデア第二チームの宝具は全封印される事となった。まぁ遠距離攻撃二人と、前衛二人いれば、別に宝具を無理に使わなくても抑え込めるか。

 作戦は決まった――と同時に、マントを纏ったロビンフッドは、俺の目の前から空気に溶けるように消え失せる。

 

 相も変わらず、不意打ち、暗殺に向いた能力だ。

 彼がいるのなら、俺達は盛大に暴れるだけでも十分に役割を果たせるだろう。

 

「頼むぜ、森の狩人さんよ……二人とも、加勢する!」

「お好きに?」

「助かった。流石に、暴れる勢いが強すぎてな……!」

 

 と言う事で、式部さんとゴルゴーンさんを伴って加勢する。ここからは、俺の仕事でもある。流石にあの荒ぶる槍使い相手に前に出る真似はしないが……しかし。

 ばちり、と額に走る電流の感触。それと同時に、礼装を起動。黒いスーツに、輝く緑のラインが浮かぶ。

 

「式部さん! 対魔性戦闘準備!」

「はい! マスターは巻き込まれないようにお気を付けを!」

「分かってる分かってる」

 

 やる事は、『イアソン』の時と同じ。

 奴にブチ当てたのは……単純なものだ。

 詳しい理屈は分からん。分からないのだが……ダ・ヴィンチちゃん曰く、俺と『同調』する為の弾丸。コレが当てて、俺が角を生やすと、式部さんの知ってる対魔の陰陽術が相手に良く効くようになる、との事。

 

『本造院君と同じになった汝は魔性! 罪ありき! って奴かな』

 

 ……冤罪にも程があるし、何なら角生やしてる俺にも式部さんの術が良く効くっていう証左にもなるので結構悲しかったりするが、まぁそれは良い。

 

「アサシン! もうちょっと耐えてくれよ!」

「はぁい……それと、呼ぶときはどっちかに絞ってくれへん?」

「……アサシンで!!」

 

 呆れたようにこっちをちらりと見るアサシンに、そう返しておく。

 こっちの方がしっくりは来る。うん。前はアサシンって呼んでたし……ううん、呼び名一つ取っても、サーヴァントとの信頼関係に響く事は幾らでもある。これからあの化け物染みた野郎を任さなきゃいけないんだから猶更そう言う所は気にしておこう。

 俺の礼装の弾丸なんざ、どれだけ狙ったところで、素のアイツに直撃するわけが無い。となればアサシンと、ジェロニモさんに頑張ってもらうしかない。

 

 加勢に来た、とか言っておいて情けないが……この後が勝負、フィーバータイムなのでそれまでの辛抱と言う事で、一つ。と言う事で、じっくりと狙う。

 槍の穂先が、ひらり、と煽る様に揺れるアサシンの着物の端を捉える。その一瞬、ジェロニモさんのナイフが、柄に噛み合って動きを止める。そして、アサシンの爪が……ランサーの足を、切り裂いた。

 

「……そこだっ!」

 

 狙いを定め、指先から射出される黒い弾丸。

 真っすぐと向かうその先は、爪によって足を奪われ、反撃する槍もジェロニモさんに奪われ、最早迎撃も回避も何方も敵わぬサーヴァントの元へと向かい。

 額に向けて――直撃した。

 

「カっ!?」

 

 僅かに揺れる頭。ばちり、と相手の全身に走る電流のような波紋。この属性付与が持続する時間はそう長くない。一瞬だ。ここで一気呵成に追い詰める。

 

「式部さん!」

「承知しました……!」

 

 式部さんの指先によって、空中に結ばれる五芒の印。

真っ赤な輝きと共に四人のサーヴァントに宿る、対魔の術式。準備完了。ロビンの切り札が発動するまでに削り切るつもりで、全ての手札を切った。一度相手に渡った流れを取り返し、そこからさらに無理矢理に抑え込むのだからそれ位はする。

 故に――次に放つも、全力一手。出し惜しみせずに大号令を放つ。

 

「――全力だ! 全力でやったれぇ!」

「ガァアアアアアアッ!!」

 

 応えるように、ランサーが吠え、槍を振るわんと全身に力を――しかし、漲らせようとも、既にジェロニモさんに槍を抑えられ、更に、背後からは、アサシンが十本の爪を突き立て、その動きを止められている。

完全に動きが潰されている処で、式部さん、ゴルゴーンさんが蓄えた、必殺の砲撃が狙いを定めている。このままいけば……彼に致命の一撃を与えられるだろう事は確実。

 

「――えいっ!!」

「苦しむがいい……!」

 

 何時もの黒と紫の砲術が、交じり合うように敵に飛ぶ。俺のチームの必勝パターンだ。ゴルゴーンさんと、式部さんの一斉砲撃。

 

 迫る。直撃コース。二人が直前で離れようとも、ダメージを負った体では逃げられないのは間違いない――もしこれが防ぎ切られるのならば。

 

「――っ!」

「何……!?」

 

 外からの妨害だけだろう。

 弾丸の正面に開く、黒い渦。そこに浮かぶ、()()()()()()――式部さんとよく似た陰陽師の術の印が、浮かんでいる。

 そこから――滲む様にして現れる巨大な影は、三体。

 

『『『■■■■■■■■■■ッ!!』』』

 

 紅、青、緑。三つの色に分かれた、筋肉隆々の大柄な『鬼』ばかり。遮る壁の如く、ぬうと現れたその壁に、二人の弾丸は受け止められて――あと一歩、届かない。

 喰らった三体の化生は、耐えきれぬとばかりに、ぐらりと地面に倒れ伏したが……しかし、それだけでは終わらない。

 

「……まだ来ます!」

「そうみたいだな……!」

 

 黒の孔から続々と現れる、魑魅魍魎、化生ばかりの怪物の群れは、何れもその敵意の視線を此方へと向けていた。

 




ンンン、正に、横槍!!
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