FGO DLC実績『鬼血の継承者』獲得   作:秋の自由研究

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第百一章・裏:二凶騒乱 後編

 ……想像だにしていなかった。

こんな魑魅魍魎が突如として、この戦場に乱入してくるなんて――あぁ。

 

「――ゴルゴーンさん、攻撃継続!!」

「っ……分かっている!!」

 

 そんな事を言ったら噓になってしまう。

 現れた奴らを見ても、そこまで焦っていない自分がいる。想定の範囲内だ。これぞ、人理修復を駆け抜けてきた、マスターの戦術眼。既に英霊にも劣らぬわ――と、言えたら良かったのだが。

 大変申し訳ない。ただのメタ読みです。

 

 こちとら、多分カルデアの誰よりもリンボの悪趣味を知らされてるもんで、このランサーがリンボの野郎が操ってるなら……こういう横槍位は、普通に入れて来ても不思議じゃないんじゃないかと思っただけなんです。それがたまたま当たっただけなんです。

 

「つっても、一体二体屠った所じゃ変わらねぇか……!」

 

 確かに向こうの奇襲は成立せず、出てくるところに半ばリスポーン狩りのような感じでぶっ放して何体かは吹き飛ばしてやった。

 だがしかし……それでも奥からあふれ出す物の怪の勢いを削ぐことは出来ない。出るわ出るわ、肉体を持つもの持たぬもの、首の有る無しまでバラエティ豊かと来ている。

 

「――アサシン! そっちは大丈夫か!」

「大丈夫とちゃうねぇ。さっき首飛びそうになったわ」

「気を付けてくれよ!」

「ジェロニモはんが」

「もっと気を付けてくれよ!?」

 

 アサシン達の方も、抑えていたランサーに振り払われてしまった……折角の攻勢も、これじゃあほぼ意味なくなってしまった……と、思っているだろうか。だが。

 そもそも俺達の攻撃は、あくまで陽動。間違いなく本命のロビンがいる。二人が抑えている間にも、きっとロビンは仕事をしている。

 

 なら、今は溢れ出して来る敵を出来るだけ足止めするのがやるべき事。万が一にも、何処かに潜んでいるであろうロビンに流れ弾が飛んでいかない様に。

 そしてもう一つ……無数の化け物の湧きだす元凶の、あの穴を封じる必要がある。未だ化け物を吐き出し続けるあの底なし沼みたいな渦、時間制限があると楽観視はとても出来ない。放っておけば、それこそ底なしに脅威を吐き出し続けたら、シャレにもならない。

 

「式部さん、あれ、閉じられる?」

「……何とか。ですが」

 

 幸いだったのは……一応、敵の使っている術が、式部さんと同じの陰陽術である事。何とか式部さんでも対応できる部類らしくて、一つ胸をなでおろす。

 

「しかしここからでは無理です。解除するには近くに行かなければなりません」

「OK了解……ゴルゴーンさん、あの化け物共と、ランサーを見といてくれ。俺は式部さんと一緒に穴を閉じに行って来る。万が一、こっちに向かってくるようなら――」

「あの何方も迎撃すればいいのだろう。分かっている」

 

 よし。

 幸い、最初の三体以外は、そこまでゴツそうなやつも出て来てない。態々サーヴァントを動かす必要もない、俺でも対処できそうなレベルだ。

 とはいえ、俺じゃあの中で無双できる訳もない。式部さんを送り届けるだけでも割と命がけになるだろうが……

 

「マスター。ゴルゴーン様が援護をしてくださるなら、私単騎でも……」

「いや断言しても良いが絶対に無理だと思う。式部さんそんな軽やかに化け物共の襲撃躱せないでしょ」

「うぅっ」

 

 が、残念な事にそうでもしないと式部さん一人では無駄死にさせてしまうだけなので俺が付いていくのは必定なのである。ゴルゴーンさんが、色んな方向に攻撃を割り振れる人だっただけでも僥倖。援護はあるので、死にはしないだろう――

 

「つー訳だ。俺の傍から離れるなよ、式部さん!」

「は、はいっ!」

 

 拳を構え早速一歩踏み出せば、並ぶ妖共は、直ぐに此方に気が付き近づき牙を剥き、大地に爪を立て、二度三度と刃を研ぎ澄ます。

 どいつもこいつも反応も実に良し。

 成程、容易くやられてくれるような手合いではないだろう事は分かった。若干、掌に汗が染み出して来るのが分かる。

 

「ったく……エスコートするにも、道が無さすぎるだろうが――」

「――ならば真っ赤な絨毯付きの道を用意してくれよう!!」

 

 瞬間。

 

 耳をつんざくような轟音が連鎖して鳴り響く。目の前の怪異達がびくんっ、と震えてから、四方八方に吹っ飛ばされるようにして倒れ伏す。

 聞こえた音は……余りにも重い銃撃音。拳銃では出せない、重たすぎる連射音が体を震わせる……それは、このアメリカで馬鹿程聞いた、重機関砲の発砲音だ。

 

 は、と。確かに漏れだす、安堵のため息染みた呼吸。

 くるりと振り返ると……周りでざわついていたアメリカの機械兵たちが、何時の間にか現れた化け物たちにその銃口を向けている。

 そして、その中心で。白い衣装、白い剣を天に掲げた絢爛豪奢な、金髪碧眼の麗人が一人、堂々不敵に笑っていた。

 

「待たせたな!」

「――おせーよ陛下!」

 

 振り返って、手を突き上げ、本造院君怒りの抗議。笑顔交じりのそれに、ネロ陛下もニッコリ笑って手を振って返してくれる。

 傍らの式部さんと目を合わせ……彼女の手を取って、一歩、前進。

 

「余のローマ機械兵団達よ、一斉射で隙間なく打ち払え! 化け物たちを逃がすなよ!」

 

 俺達の動きに合わせるように。彼女の号令一つで、再び機関砲が構えられる音がする。

 

「二人のサーヴァントは倒さずとも好い――足止めに徹しつつ、ゆっくりと輪を狭め、囲めぇい!」

『『『サー・イエッサー!!』』』

 

 ――恐らく、全方位から、敵勢力にアメリカ軍の砲が向けられているだろう。ケルト野郎共が更に攻め込んで来れば分からないが……少なくとも、今この瞬間の趨勢は、こっちに完全に傾いた!

 

 一歩、前進。無数の射撃音。俺達に触れる前から、倒れ伏していくバケモノ達。目の前に開けるのは、余りにもデカくて、真っすぐな道。進むのは、容易い。

 残った怪物達も、二、三体と少ない。それだけならば――!

 

「――邪魔だぁっ!!」

 

 迫る髑髏、カタリ開いた顎の中につま先ををぶち込んで振り回し……真っすぐ蹴り抜ける、更に前へ、敵の向こうへ、あふれ出す化け物たちの根本へ。止める者もいない。到着は実にスムーズに。

 

 この仕掛けでもう少し、時間を稼ぎたかったんだろうが、いつもいつもそう上手く行くと思うなと言う話――目の前に見えてくる黒い孔。そこで、式部さんが一歩前へ。

 きっと表情を引き締めて、紅い紋様に向き合うと――浮かぶ紅い紋様の上から、別の陣を描いていく。

 

「何秒!」

「――三十秒、正面は平気ですのでそれ以外をお願いします!」

「上等!!」

 

 式部さんの前衛に立つなんざ、もうこれで何度目かっていう話だ。一斉射撃でも倒れられなかった哀れなお零れなんざより、もっとキツイ奴とも戦って来た。なんて事もねぇ。

 くるりと振り返り、彼女と背中合わせに化け物共に向き合う。

 

 初手、スケルトン。首の後ろの脊椎を渾身の蹴りで粉砕……動かなくなった本体を蹴っ飛ばして、僅かにでも時間稼ぎ。この間も、援護射撃は続いてる。時間を稼げばその分だけ背後からの射撃で削られる。

 

 続いて鎧武者が一騎……だが、その自慢の鎧は穴だらけ、足元もおぼつかない。これなら苦労する事もない――思いっきり振り切った拳は、一発で鎧武者を地面に叩きつける。

 その背後から飛び掛かる猪だが、甘い、お前の相手は一番慣れている。牙を恐れるな額は意外に硬い、狙うのは突き出した鼻一点。下から掬い上げるように、蹴り上げる。

 

「オラ来い!」

 

 恐れない。向き合う。拳を構える。勝利を確信しながら、気軽に。

 ここまでもう三十秒は経っている。俺のファーストサーヴァントは、口にした事はきっちり守る。既に仕事は終わっているだろう。信じて、だが最後までは気は抜かず、時間を稼ぐ――!

 

「――なんだ、カッコいいじゃないの。少年。お陰で良い仕事出来たよ」

 

 ふと……待ち望んだ声が聞こえた。

 背後。振り返るその先、ゆっくりと閉じていく魍魎の門の前――式部さんの隣から湧き出でるようにして、現れる緑の外套。

 そしてその弓の向かう先は、魍魎たちが阻んでいた、俺達の目標がいる所。

 

 暗がりの消え去った向こう側。ジェロニモさんも、酒吞も一歩離れている――漂う、薄紫の煙が、その中心に槍兵を閉じ込めているのだろう。

 

「弔いの木よ、牙を研げ――」

 

 そこに囚われた獲物を射抜くのは、潜み続け、好機を取った五月の狩人にとっては、余りにも容易い――!

 

「『祈りの弓(イー・バウ)』!!」

 




あー楽しぃいいイイ!! サーヴァントの皆活躍させんの楽しぃいイイ!!!
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