FGO DLC実績『鬼血の継承者』獲得   作:秋の自由研究

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という事で再開します。


第十五章・裏:薔薇の皇帝

『■■■■■■ァアアアアッ!!!』

『シールドエフェクト……発揮します!』

『良いぞ、盾の少女よ! 攻めは任せよ!!』

 

 天高くから振り下ろされる鉄拳は、文字通り一切の容赦なく破壊の爆弾。バーサーカーのがむしゃらな攻撃は、遠くに居る私も、少し身震いしてしまいます。マシュ様や、前線で戦う藤丸様は……それ以上なのは間違いないでしょう。

 それでも、引かずに敵の動向を見極め、そして必死に皇帝陛下と機を合わせる為に指示を打つ藤丸様、そしてその指示に的確にこたえ、狂戦士の一撃を凌ぐマシュ様。そのお二人の雄姿は、きっと語られるべき、若しくは、綴られるべき英雄譚にもなり得ましょう。

 

 しかし、その文言を考えている暇はありません。今は兎も角、私の役割は、援護。遠距離からの砲撃なのですから。

 

「――で? どうよ、俺の礼装からの援護」

「何となく、ですが。相手の動きを捉えやすく……なった気が、しますっ!」

「そっかー。なら良かった。この礼装、まさか俺の補助専用かと思ってたけど、そんな事無くて。役立たずのタンクになる所だった」

「タンク?」

「んー……水補給用の水瓶的な?」

「あ、其方ですか――そこですっ!」

 

 マシュ様達が相手の動きを引き付けている内に、カリギュラへの攻撃と、そして周辺の兵士を討ち果たす。オルレアンを経て、漸く様になって来た私達の連携、というか。基本的な攻撃態勢。

 

 それのサポートに役立ったのは、マスターの礼装でした。

 曰く、鬼の力を引き出す時に、暴走をしない様に、と。力の制御に重きを置いた礼装との事で……その『力のコントロール』のサポートは、サーヴァントにも十分に応用が出来る模様でした。

 先ほどまでどんな感じかを実戦で試していたからか、どうにも勝手がわからないご様子でしたが。段々と礼装の使い方にも慣れてきたみたいです。

 

 そのサポートがあれば。流石に、魔獣が相手、という訳でも無いこの状況。そう苦戦はする事無く、仕事をする事が出来て居ました。

 

「おー派手に吹っ飛んだ。お上手ぅ」

「あ、ありがとうございます。てっきり……職業、といった感じだと、思ったのですが」

「……聖杯ってそんな知識までサポートすんのか。ったく、余計なのか必要なのか、いまいちわからん――」

「連合帝国の敵ぃ! 覚悟ォっ!」

「――あ、そう言った覚悟はしないですぅお帰りくださぁい^^」

「ごげっ!?」

 

 ……当のマスターは、その力を引き出さずに、私の周りに近寄ってくる、屈強な男の方々をどうにかするくらいは、なさっているのですが。

 鎧の上から、ではなく。的確に鎧の顔の隙間を狙って殴るのです。鼻の柱を圧し折るのです。とても的確に。争いの無い時代のお人とは思えない程、冷静でした。

 

「ったく、幾ら厳しい訓練で鍛えられてるって言ったって。獣と真っ向からやり合った事あるのかっての。山育ちは逞しいんだよ。で、えっと? なんだっけ?」

「な、なんでもないです」

 

 マスター曰く。

 山の藪を突っ切って突っ込んで来るそこそこデカい猪と比べれば全然迫力不足、だそうです。

 マスターの山は自然豊かで、その分動物たちも活気づいていたのだとか。猪などは言うに及ばず。鹿や、狸、貉。稀に熊なども現れるほど。そう言った獣が元気満点に動いている姿に比べれば、と。

 

 藪を突っ切って来る猪を、活気づいているの一言で済ませて良いのかは少し、悩みますが。

 

「……動物の類と真っ向から相争うなんて、そうそうないと思います」

「まぁそうだろうな。俺だって別に好きでやってた訳じゃないし。因みに式部さん、動物好き?」

「え? えっと、猫の類であれば、愛でた事もございますが」

「へー。宮廷って猫居たんだ」

「は、はい。献上品、だったそうで……って、話している場合ではございません!」

「ごめんごめん。リラックスできればなって、おらよっ!」

 

 そもそも猪の話をしている場合ではございませんし、話している場合でも無いのです。なのですが、マスターは私以上に何と申しますか……気軽です。

 フランスで戦った時もそうでしたが、戦場での血なまぐさい空気というのは、やはりあまり慣れているものではなく。私自身、割としっかりと気を張って戦っているので、戦場では相当に消耗するのです。

 

 ですがマスターにとっては、案外とそうではないようで。

 フランスにおいては、相手が人間の兵士で無かったというのもありますし、殺意という点では……恐らく、今ほどでは。同じ人間の一つの塊から、濃密な殺意を向けられるというのはどうしても精神的にクるモノがある……そんな気がしますし。

 

 しかし。

 

「皇帝陛下の為にィーっ!」

「はいはい凄い凄い。山で走り込みして出直しといで!」

「べっ!」

 

 ……奇妙な話なのですが。

 マスターって。オルレアンの時の様に、スケルトンの類を殴る時よりも。同じ人を殴っている方が慣れていると、そんな感じがするのです。

私自身、素っ頓狂で、奇天烈なことを、自分でも申している自覚はあります。

人以外も、人相手も、殴り慣れているのはどちらも間違いなくおかしいと思います。ですが、その辺りは今はおかざるを得ません。

 

 それ程にマスターは、人を殴り慣れている……というよりも。相手に襲われても顔色一つ変えない。相手に明確な敵意を向けられるのに慣れているのでしょうか。それとも、他に別に理由があるのか。

 

「――式部さん、援護援護!」

「えっ、あっ、はい! すみません!」

 

 ……それが何故かは、考える余裕はありませんが。

 何せ、未だ敵のサーヴァントの勢いは衰える様子を見せなかったのですから。

 

 

 

「……気配は、もう感じません。敵方の部隊も引き上げていく模様です」

「伯父上があの軍団の将であったのだろうな。まさか、またお顔を見る事になるとは」

 

 暫くの戦闘の後、カリギュラは突如として撤退……ロマニ様おっしゃるには、バーサーカーのクラスがが自らの意思で撤退する事はあまりない、との事で。向こうにはサーヴァントを使役するマスターが存在するのではないか、と。

 マスター、すなわち魔術師が存在する、といった所で。一旦話は、私達が救援した豪奢な装いの……貴人と思わしき方にその主導権を持っていかれました。

 

 そのお方のお褒めの言葉、そして……その名乗り。

 

「余こそ、ローマ帝国第五代皇帝、ネロ・クラウディウスである!」

 

 正直、驚きました。

 皇帝。貴人どころの騒ぎではありません。国を治める王、それを更に統べるお人こそ、皇帝。そんなお方が、こんな戦場に、剣を担いで……出て来ていらっしゃるというのは、私の常識では考えられない事でした。

 ですが、それ以上に驚いたのが、マスターと藤丸様でした。マスターはあんぐりと顎を開いて、藤丸様は目を大層丸くしてらっしゃいます。

 

「……えっ!? ネロって……あの、あの皇帝!? あのローマの!? えっ!?」

「(びっくり)」

 

 私も聖杯の知識が……一応は来ました。

 どうやら世界的な伝承では、男の方だったそうなのですが。今、目の前に立っているのは見目麗しい女性。しかも、明らかに少女の様にしか見えないのです。なんでしょう。歴史の妙をこの目にした気分でございました。

 

「む、何をそんなに驚く……と、普通は驚くがしかしながら。ふ、余が相手ならばそれも当然であるか。ふふ、分かってしまったぞ? 薔薇の美貌を誇る、皇帝たる余を初めて見て、感極まっておるのであろう!!」

「……なんか勘違いしてるぞ」

「……取り合えず合わせておこう。なんか勝手に気分良くなってくださってるし」

 




ネロちゃまの霊衣、贅沢は言わないからダークソウルの平均死亡回数位欲しい。
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