FGO DLC実績『鬼血の継承者』獲得   作:秋の自由研究

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断章:厄災 其之一

「――何もないっ!!」

「っかぁ~……!」

 

 二人して、背中合わせになってお墓の前に座り込み、叫ぶ。いや、本当に何もなかったのである――ここなら何かある、という意気込みで。騎馬突撃並みの前のめりで探し回った。お墓の表から裏、なんなら敷き詰められた玉砂利の下までしっかり攫った。何か残されていないか、と。念入りに。

 

 結果として。お墓が隅々まで綺麗になって、それで終わったのである。出たものと言えば、生えていた雑草の束くらいなものだった。

 

「そっかぁ……なんもねぇかぁ~っ……!」

『いやぁ、盛大に空振ったねぇ』

「くっそ。ご先祖の暗い裏側を暴いてやるとか言ってたのが……クソっ……!」

「いやーちょっとダサいかぁ!!」

 

 康友の方はと言えば、けらけら笑うなぎこさんから、めちゃくちゃに煽られまくっている。さっきまでブチ切れていたとは思えないような疲れ具合。いや、寧ろ気合を入れたからこそ盛大に空振りしたのが効いているのだろうか。

 

 ……お墓自体からは何も出なかったが。分かったことも多い――というのは、こっちだけの話で。彼としては『何か』が出て来る事を強く望んでいた、と思う。

 何せ――『こっそり墓の中とか覗いてみようぜ!』と提案して来たのだ。この墓を調べてみよう、となった時に。彼の方から。

 

『やっぱりなんか隠してるとしたら……この中ってのが定番、じゃねぇか?』

 

 ……まさか、誰よりも早く身内側の彼がそんな事を言い出すとは思っていなかった。

 

呆気に取られてしまったが、流石に墓の管理人……だと思われるおばあさんの許可も無しに墓暴きと言うのは流石に無法が過ぎるので即却下。

代わりにお墓の内部に何かしらあるかのスキャンを行って……其方もきっちり空振りであった。骨壺らしきものがある位で、他に何か不審なものも見つからなかった。

 

「この可笑しな状況を引き起こした原因とか……埋まってると思ったんだがなぁ」

『いや、他はともかくそういう物は多分無いんじゃないかなぁ。流石に分かり易過ぎると思うし、見つけても直ぐに回収できるようなところには隠さないよ。多分』

「んじゃあ何処にあるってんだよ?」

『んー……この特異点を形成してる『元凶』なんだろうけど。今はそれが何かも分からないんだよねぇ』

 

 ごく当たり前にドクターと話す姿は、自分の知ってる普段の彼そのものだ。頭に生えた髪以外は。だが、今の彼は特異点の住人な訳で――その認識の康友から、どうして自分の家の墓を暴こうという発想が出るのか。ちょっとびっくりしてしまった。

 多分、その提案も此方に協力してくれるという善意からだとは思うので……その行動を咎める事は出来ないけれど……

 

「じゃあ――人間とかの中、っていうのもあり得るのか?」

『あり得ない事は無いよ。でも、それらしい反応は今の所、見られないかなぁ』

「そういうのも分かるのか?」

『これでも、カルデアは現代科学から君たちが言う所のオカルトの粋まで、色んな技術をフルに使ってるからそれ位はね……まぁ隠蔽はバッチリされてるみたいで、今の所、自慢のカルデアの探査には引っかからないんだけどさ』

 

 つくづく、今までの特異点とは違う所ばかりだ。

 

 兎も角――ここで得られるものは全て得られた、という事で。改めて立ち上がる。

 ドクターの言う通り、探査に引っかからない位に巧妙に隠されているのなら、こうして集めた情報も決して無駄じゃない。かき集めて、重ねていった先――この村を調べて出てきた事は、この特異点の舞台となった村の事を紐解き、そして特異点の起点となりえるであろう要素を『浮かび上がらせる』ことにつながる。

 

 ……それを相手が『狙っている』事は重々承知しているが、それでも、やらない理由にはならない。

 

「そっか。ま、良いさ――俺たちも早い所『日常』に戻りたいからな。そうできるなら協力は惜しまねぇ。これ以上はなんもなさそうってのは、残念だが」

 

 ドクターの言葉に頷いて。康友もすっと立ち上がり――おげ、と可笑しな声を漏らしながら腰に手を当てた。大分凝っていたらしい。

 

無理も無い。もう大分日も傾いて来てる――というかほとんど落ちてると言ってもいいような状態である。そんな時間まで屈んで働きっぱなしだったのだから、そりゃあ腰も爆発寸前になってしかるべきである。

 

 サーヴァントのリリィはまだまだ元気そうだが……マスターの自分はといえば、彼と同じように大きくため息を吐くレベルでボロボロだ。

 

「あ゛~……ダメだ、まだ立てねぇ……ちょっと、どっかにっと……」

 

 ……康友が、ため息一つと共に。近くにあった手ごろな大きさの『石』にどっかりと腰を下ろしてしまう。自分も、申し訳ないが近くのお墓の囲いにちょっと手をかけて――

 

「――あの、本造院さん」

「ん、どうした? つーか、アンタは全然元気そうだな……」

「鍛えてますから! それより、あの。今、座ってるそれって、もしかして……」

 

 リリィの言葉に、思わず『ん?』と二人して、康友の腰掛けた石に視線を向ける。妙に綺麗に整えられた立方体で、程よい高さをしている。いや、よく見てみると、石って程に小さくない。人一人分の大きさはあろうかって石柱だ。

 

 そして、その表面には――あ゛っ

 

「……ここのお墓の石、だったりしませんか?」

「……ぬ゛う゛お゛ぉ゛お゛ぉ゛っ!?」

 

 とんでもない悲鳴と共に康友が飛び下がる――当然である。今まで彼が腰掛けていた丁度いい高さの石、というのは……よく見れば、苔むした墓石だったのである。苔がびっしりとついてたから、刻まれた文字が読みにくくなっていたのだ。

 墓石に腰掛ける、とは。流石にとんでもない罰当たりと思ったのだろう。疲れているとは思えないようなスピードで飛び下がったのも無理はない。

 

「あ、兄貴……ご先祖をケツの下に敷くのは流石にヒくわ……」

「態とじゃねぇわ!」

 

 流石に怒鳴り声が飛んだ。

怒られた側はと言えば、そんな事を意に介す様子も無く。周りを見回して。

 

「……つーか、今更だけど。結構あるな?」

「そうですね。多分、これも壊れたお墓の一部……とかでしょうか」

 

 道端に堕ちてる大き目の石を、指先で撫でるリリィの姿を見て。

釣られて自分も周りを見回してみる。

 

そう言われてみれば……念入りに綺麗にされている所は一か所だけで。他はある程度荒れてしまっていたから、あまり気にならなかったのだが。

改めて見てみれば。康友が座っていた様な、明らかに自然の一部ではないって分かる様な、何かの『残骸』が結構転がっている。灯篭の一部の様な何かに、線香の置き場所、自分が手をかけていた囲いも、思いっきり真ん中の辺りが抉れている。そういうデザインかと思っていたのだが、よく見たら違った。

 

「あ、この墓石って奥の方の奴か。もげた根本が転がってら」

「ぼろぼろだ~……台風とか直撃したんかなぁ?」

 

……確かに、災害にあった様にも見えなくも無いけれど。

 

改めて、壊れた囲いの目の前にしゃがみ込んだ。風化して、壊れた、って感じじゃない気がする。明らかに、砕けてる……というか。なるだろうか、如何に雨や風が激しく吹き付けたとして。ぶつかって壊れたとして、そんな『何か』がこの近くにあるか。雷が直撃した、とかなら、もしかしたらあり得る……訳も無いだろうか。

 

「……ドクター、どうなの?」

『いやぁ~……!? 普通、墓石サイズの物体が風で飛ぶかなぁ!? 飛んだとして、もうそれって集落崩壊レベルの暴風だろうし……いや、よしんば『飛んだ』として、もげるのは流石に無いでしょう!?』

 

 ……ドクターの言葉で、確信に変わった。

一応、これでも石の塊みたいなエネミーとも何度も戦ってる身としては。そんな簡単に砕ける訳が無いとは分かっている。それこそ、サーヴァントレベルの破壊力を振るうとかじゃないと、ならないだろう。

 

「じゃあこれって?」

『つい先日の戦闘の余波――とかじゃないと思うよ。もっと前の事だ』

 

 ちょっと待って、と。ドクターが何かを調べ始めた。もしかして、これがいつ頃破壊されたのかを調べようとしているのだろうか。尋ねてみれば、細かい年代は不可能でも、ある程度は絞り込める、との事で。

 流石は最新技術か、と思った所で――かたかた、と言う音が、突然止まった。

 

『……藤丸君』

「どうしたの?」

『ちょっと気になった事があってね。四代目の墓に彫られてた『享年』をもう一回、読み上げてくれるかな』

「あ、うん。分かった」

 

 言われた通り、先程まで調べていた墓に歩み寄ってから、刻まれていた文字を読み上げる。それから再び、暫くカタカタと言う音が響いてから。

 ぽつり、と。ドクターは、何処か困惑したように言葉を零した。

 

『……一致した……?』

「ドクター?」

『偶然、かな……いや、それにしちゃ……えっと。藤丸君。聞こえてるよね』

 

 

 

『その、本造院が座ってた墓。それが破壊されたであろう年代だけど――その四代目が亡くなった歳の辺りと、重なってるみたいなんだ』

 




自分で蒔いた伏線を必死に探し回る作者がいるとかマジ???

因みにFGO内のカルデアはもっとイカれたサーチとか普通にやってるので『これくらいはやれるだろう』という想像で書いてる部分も多々あります。許して……
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