FGO DLC実績『鬼血の継承者』獲得   作:秋の自由研究

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第三十八章・裏:世界を亡ぼす女

「なぁ、アタランテさんよ」

「なんだ」

「あのイアソンの奥方ってのは……イアソンにどれくらい惚れてるんだ」

 

 マスターがアタランテさんにまず聞いたのは、そこでした。私自身『そこなんでしょうか』とは思いましたがしかし。聞かれた当のアタランテさんは、更に珍妙な顔をしてマスターを見ていらっしゃいます。

 

「……いや、別に答えるのは構わないが。なぜそれを聞く」

「いや。一応確認の積りでさ。俺の予想が当たってんのかな、って」

「汝の予想、とはどの程度の物なのだ?」

「あの金髪クソカス野郎の為なら世界一つくらいは軽く攻め滅ぼしたり、全人類生贄にする位は鼻歌交じりにやってのける、位かな」

「なんだ。お主、分かっているではないか」

 

 そしてそれに対して帰って来た答えも、珍妙を通り越して異常な物でした。そもそもマスターも何処からその発想が出てきたというのか。あの人畜無害そうな見た目の少女から一体どう想像したらその様な……

 

「やっぱそのレベルか。成程な。ならいい。ありがとう」

「しかし良く分かったな。アレは見た目からその異常さは殆どわからないぞ」

「え? 分かりやすくない? ああいうタイプは大人しいか吹っ切れるかだし」

「……何故吹っ切れる方だと思ったのだ」

「あんなダメ夫の妻を立派にやってるんだから、圧倒的に有能でぶっちぎれてる方じゃないかなと」

「イアソンが愚物……と言うのは、まぁ置いておくとして。確かにメディアは能力に見合ってしまった性格をしている、か」

「それに、愛情ってのは……大暴走してナンボって奴だろ?」

 

 マスターがそう、したり顔で言うのを見て。私は余りにも納得できてしまいました。正直な話、宮廷の中で生きていた私としては、余りにも熱く、そして泥のようにねばつく一瞬、半ば、末恐ろしくなるほどの愛情というのが渦巻いていた事は……余りにも常識と申しますか。

 深い、深い愛情と言うのは、とても美しいものであると同時に、恐ろしく醜悪な面も潜ませているモノでもあります。故に……爆発すれば、恐ろしい事を巻き起こす、と言う場合もありましょう。

 

「分かっている様な口を利くな? 小僧」

「愛情の暴走ってのは若いうちに体験するもんじゃないかって思うんだが?」

「それが回答か。まぁ確かに、若いうちというのは感情に任せて無茶をするというものだがしかし、それを言えるのは若い奴ではない気がするのだが?」

「……黒歴史が多いって事にしておいて」

 

 ……マスターの黒歴史がどうして想像できてしまう程に多いのかは、とりあえず聞きません。若気の至りと言うのは、本人の性格に関係なく意外にも多かったりしますし。それよりも。そこまで言われて、寧ろ気になるのは。別にあります。

 

「しかし、結局汝が何故そんな想像をしたのか、それは分からんな」

「だから黒歴史が多いからだって」

「それは想像出来た理由だ。想像をした理由ではあるまい?」

「……まぁ、そうなんだけど。あー……そうそう、さっき、そこのダビデのオッサンが言ってたじゃないの」

 

そこを問われて、マスターがつーっと視線を滑らせたのは……アルテミス様と共に私達を迎えてくださった、契約の箱の所持者であるダビデ様。微笑みながら「ん? アレおっさん? お兄さんじゃなくて?」と首をかしげていらっしゃるのは……取り合えず、置いておくとして。

 

「言っていた?」

「契約の箱の使い方さ。誤った事を吹き込んだ奴がいる。イアソンに、アークを利用するように言った奴が……まぁ、この特異点を亡ぶように仕向けてる、要するに本当の黒幕にって奴が誰か、って思った時にね」

 

 そう言われ、ダビデ様が言われていた事を思い出します。『契約の箱』なる宝具。使えば如何なる事になるのか。

 ロマニ様の懸念は……果たして。幸か不幸か。的中してしまったのです。開けてはならぬ玉手箱。同じ系統にある契約の箱は、しかしその玉手箱などよりも大きな災厄を天下に撒き散らす、大災厄。

 

 神を捧げれば、大いに荒れ狂い……その力は世界を『死』に至らしめるとの事。しかもその力は、この不安定な特異点であれば文字通り、全てが、道連れに滅んでしまうとの事でした。

 そして。イアソンはそれを知らずして……この海の覇者に成れると信じ、契約の箱を探している。アタランテ様曰く、それは誰かに吹き込まれた事なのではないかというお話でございました。

 

「――それが、メディアだと?」

「はじめは消去法だったんだよね。あの船の中で、イアソンをそそのかす奴って誰なのかなって思って……ヘクトールとヘラクレスが、アイツをそそのかす意味がある様には見えなかった。個人的な印象だが」

「ふむ、まぁそれはそうだろうな。ヘラクレスは勿論、あのヘクトールと言う男も頭を使う類の男だが。何方かと言えば戦争の中で戦術を巡らす類の男だろう」

「英雄のお墨付きを得たのは心強い。んで……話を聞いた結果として。俺の疑惑は確信に変わった訳だ」

 

 マスターが、その黒幕と睨んだのは。イアソンの奥方……キャスター、メディア。

 

「その黒幕の所為で、アステリオスって言う犠牲は出たし……エウリュアレは狙われる運びとなった訳で」

 

 こっちには、その黒幕をぶちのめさねぇと気が済まない方が居ると思うんだ。

 そう言って、ちらと視線をやったのは……エウリュアレ様を乗せて此方を見下ろすゴルゴーン様。その返事と言わんばかりに、一つ鼻を鳴らされました。

 それを見て、マスターは口の端を笑みに歪めて……

 

「俺はゴルゴーンさんのマスターだ。その人がやりたいって言うなら……」

「あぁ。姉上を狙うように仕向けた愚か者は、私自ら誅する」

「との事なんでね。なら先に黒幕っぽい奴を想像しておくのもマスターの仕事だ」

「ふ、褒めて遣わしてやろうか?」

「いや良いよ。当然のサポートってな……ただ、ゴルゴーンさんが仕留めたいのは、ソイツだけじゃないだろう?」

 

 そう言われ、ゴルゴーン様は、ちらと傍ら……と言うより、その肩に腰を下ろすエウリュアレ様に視線を向けました。

 

「――私を狙った奴は、先ずはどうでもいい。あの子を……アステリオスを貫いたヘクトールと、それを命じたイアソン。私に対して泥を引っ被せる様な真似をした愚かな二人に先ずは、思い知らせてやりたいわ」

「との事でな。私個人の恨みもある故に……先ずは、ヘクトールだ」

「了解。じゃあ後の二人も必然的に、マスターの俺の獲物になる訳だ。さて、そうなるとしっかりとメディアやイアソンも、誰かが引き受けにゃあならん」

 

 マスターが立ち上がります。そうして、見つめてくるのは……私、でしょうか。えっとゴルゴーン様がヘクトールと戦うのであれば……メディアは、と言う問題になってきますしその場合……ま、まさか。

 

「わ、私が神代の魔術師と戦うのですか!?」

「おぉ察しが宜しい。まぁぶっ潰せとは言わんから、取り敢えず邪魔が出来ない様にして貰えればと言う事で」

「え、えぇええええええ!?」

 

 とんでもない大役を任せられる事となってしまいました。

 そもそも、私はキャスターとしては二流……いえ、三流かもしれないのです。一流以上のキャスター相手に、戦えるとは全く……! そもそも、戦いになるのかすら怪しいのですが!

 

「あ、あの、マスター!?」

「それと……イアソンは、俺が、叩く」

「――えっ?」

「――アルゴノーツは俺達で仕留める。藤丸達は手を出すなよ」

 




次の投稿は八月ごろになると思います。
楽しい! モンハン楽しい!!
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