FGO DLC実績『鬼血の継承者』獲得   作:秋の自由研究

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第四十二章・裏:被害者の理屈

「このカルデアって、秘密兵器的なものあるの?」

「……なんだい? そんな唐突に」

「いや。正義の秘密組織って事だから、印象だけで物を言ってる。正直好奇心」

「本当に好奇心旺盛だね君は」

 

 本造院君は色々癖が強い子だと思う。

 それは出身がどうこうとか、特異的な血がどうこうとか……そう言う話ではなく。

ロマニは『まぁ男の子なんてやんちゃな事多いし』とか言ってたけど、にしたとしてもサーヴァントに対して突っ込んで行ったりとやんちゃじゃ済まない事だってやらかしてたりもした。

 

「まったく、そんな好奇心任せで行動してたら、またぞろロマニに叱られるぜ?」

「いやーはっはっはっはっはっ。その説に関しては大変無茶をしたと思っておりますが故にお許しを……」

 

 実際、ロマニはイアソンに突っ込んでいった本造院君を見て目を回していたし、帰った後に『君はホントに何やってるのかな?』とか割と真顔で説教ブチかましていた。藤丸君も苦笑いしてた。

 

 当人は『ムカついたから一発だけ殴りに行った』だそうだけども。

 こっちとしてはそんな事でサーヴァント殴りに行かれちゃあ笑い話にもならない。シャドウサーヴァントなんかとは文字通り、桁という物が違うんだ。

 特異点Fのセイバーの時以来だろうか。こんな無茶をしたのは。

 

「――なんでそんなにムカついたんだい?」

「ん?」

「いや。サーヴァントが他のエネミーとは格が違う事。それくらいは君も分かってる筈だと思ってね」

 

 ただ、馬鹿じゃないのだ。この子は。

 感情任せで、アドリブ塗れで動いている様に見えて、意外とそうじゃない。

 サーヴァントへの指示は基本的に的確だし、戦闘経験の無い紫式部の、照準の様な役割を果たしているのも、マスターの彼に間違いない。

 

 クレバーではある。そして、勝負度胸も中々のもの。マスターとして、藤丸君とはまた別の強みを持っているのは間違いない。

 その特異な血に目を奪われがちだが、どうにも『浮世離れ』している印象は、ぬぐえなかったりするのだ。

 

「……ホントにそんな大層な理由ないのよ? たださぁ」

「ただ、なんだい?」

「自分達が被害者だからってなんでもして良い……そんな奴らってどう思う? ダ・ヴィンチちゃん的には」

 

 彼は、此方を見てそう言った。

 どういう意味だろうか。と考える前に。取り敢えずは質問について思考を回してみる。さて。要するに被害者意識に狂いきった奴。

 戦争被害者なんかには、自分達が攻められたから相手をとことん破壊しても良いって感じで『タガ』が外れる場合がある……って言うのは、まぁ常識の範囲内だと思う。天才基準で考えると。

 軍人に見逃された民間人が、やって来た相手の国への復讐を誓い、屈強な軍人に成り上がった。なんていうのはよくある話だ。

 

「どう、と言われても、被害者がちょっとやり過ぎちゃうのは、何時もの事じゃない?」

「んー、普通なら、ね」

「普通じゃない時の事を話してるのかい?」

「そうだねぇ。ちょっとしたきっかけで暴走した被害者意識ってのは、多分加害者よりも性質が悪いって話だ」

 

 やっぱり日本の男子高校生が言う話じゃないよなぁ。とは思う。男子高校生が被害者意識の高い、暴走してる奴を相手にする機会なんて……

 

 ――ふと、頭に閃く事がある。

 

「……もしかして、ご家族だったりする?」

「自分で言っててなんだけどさ。昔の、ホント、伝説みたいな事をずぅぅぅっと語り伝えてるって中々の()()()()()じゃない?」

 

 成程。漸く理解できた気がする。

 要するに彼が嫌悪しているのはご家族であり。そして彼らと似たような被害者意識の塊みたいな人達な訳だ。

 

「イアソンは確か、王の子息だったところから引きずりおろされたんだっけ? 知ってたのかい? 君は」

「しらんよそんな事。ただ、アイツの目は良く知ってる」

「目?」

「自分達がやってやるんだ、って言う変な熱が目に籠ってるくせに、目の奥は妙に卑屈って言うか。自分が底辺なんだって言う嫌な免罪符ばっかりギラついてる」

 

 だからタガを外して何でもしてくる、と。

 

「んで、その元被害者な加害者の皆様に蹂躙される皆様はたまったもんじゃないって訳」

「……君は蹂躙された側?」

「華の幼少期、ほぼ洗脳教育された訳だろ? 実家から逃げ出さなかったらマジで俺も被害者意識を『植え付けられてた』」

 

 ……まぁ、確かに。彼としては幼少期の頃のトラウマにも等しい訳で。それを目の前でちらつかせられたなら、渾身の拳一発で殴りに行っても、そりゃあ不思議でも何でもないって訳か。

 とはいえ、だ。

 

「これからはそれも自重して貰わないと。気持ちは分からないでもないけど、そこを堪えないとやっていけない事も増えるだろうし」

「分かってますよそりゃあもう」

「そもそもマスターの体調が万全ばかりって事もないだろう。あんな無茶が出来るのは、本当に幸運な事なんだよ」

「そんな、脅迫みたいな言い方……いや、でもそうでもないのか?」

 

 当然ながら。脅迫でも何でもない。

 特異点の環境次第によっては、文字通り何の抵抗も出来ない様な事だって、これからあるだろうとは思う。例えば……吸いこむ大気そのものが有毒な事だってあるだろう。

 濃い魔力は、それだけで一般人の体を壊す。そういった物に対する備えだって無いわけではないけれど……それで凌ぎ切れないレベルであれば、マトモに活動できるかどうか。

 

 その隙を突かれて、一気に此方の不利に持っていかれてしまうことだって。

 

「と言う事で、これからは心は強く律するように。ダ・ヴィンチちゃんからの特別アドバイスだよん」

「それに関して言わして貰えば俺が心を強く律した所で特異点側の都合はどうしようもないんだけどもさ」

「それを言っちゃおしまいだよ君」

 

 まぁ、僅かに逸れたりもしたけども。

 大まかは伝わった、とは思う。

 

「……そんな状況を打開する為の秘密兵器とかありませんかね」

「君ねぇ。今、結構真面目な話をしてたんだよ? それが急になんでIQを下げたりするんだい。冗談じゃないんだよホント」

「だってなぁ。そん時俺に何が出来るかって、覚悟する事だけだし……じゃあここでは話に花を咲かせてカルデアの麗しき技術顧問と交流を深める方が有意義じゃない?」

「うーん全くもって正解!」

 

 後私の美しさを褒められちゃもう何でもいいやってなっちゃうなぁ~! そりゃあもう私のボディはパーフェクトだからね! うん! よーしダ・ヴィンチちゃんなんでも話しちゃうゾ♡

 ……というのは、まぁ、三割は冗談だけども。実際彼の言う事も最もだろう。結局の所特異点での問題はこっちがどれだけバックアップできるかだ。彼がやれる事と言うのは私達を信じて強く心を持つ事だけ。

 

 であれば、私達と交流を深めようと思うのは正しい事だと思う。

 

「それじゃあなんか気になるものはあるかい?」

「――気になるって言えば、そこ」

「ん?」

 

 と言う事で、初めて彼が話題に選んだのは……この存在証明を行う部屋において、端の方に置かれている……函、としか言えないユニットだった。

 

「アレって、なんか文字が書かれてるけど……何?」

「あー、アレかい? アレは……元々ここにあるシステムを組み込む予定でね。その為のスペースというか」

「って事は、アレって空っぽなの?」

「いんや。そんな事は無いよ。今は予備電源的なものが入ってるさ」

「ふーん……んじゃあ、元はなにが入る予定だったのさ」

 

 しかし、指差されて改めて思い出す。何というか、思い出してみればここに来てから作った物は幾つかある。こうして滅ぼされかけて、そう言うのに目を向けるいい機会なのかもしれない。

 何時までもカルデアのバックアップメンバーが無事なのかも……正直な話、分からないと言えてしまうのが此処だ。だからこそ、先ずは我が子を目覚めさせる努力をするべきなのだろうか。天才的に。

 

()()()()()()()()。私達の代わりに、特異点に向かった君達の観測を行う人口知能として作った存在さ」

「へー……凄そうだけど、何でダメだったの?」

「それが私にも分からなくてねー……」

 

 第四特異点。

 いよいよ、特異点攻略も、折り返しを迎えるのだから。

 




彼女はFGOのキャラの中でも大分好きです。
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