機動戦士ガンダムSEED〜ラスティ生存√リメイク〜 作:残月
ディンに乗り込んだ俺は上空から戦場を見ていたのだが……開戦と同時に俺はある違和感を覚えていた。
「なんでスカイグラスパーがもう二機飛んでるんだよ!?」
そう何故かこの段階でスカイグラスパーが二機飛んでいて、俺はランチャーパック装備のスカイグラスパーに追い回されている。もう一機は戦闘ヘリをぎこちない動きで墜していた。スカイグラスパー二号機ってアークエンジェルが動けなくなってから出撃するんじゃなかったっけ!?
ランチャーパック装備って事はこっちの機体はムウさんだよな?呑気に観察してると墜とされそうで気が抜けない!こっちはまだ大気圏内で飛ぶのに慣れてないってのに!しかし、妙だ、戦力は強化されてる筈なのに戦局が此方の優勢になっていない。
スカイグラスパーから逃げ回っているとストライクは次々にバクゥを墜としていて戦局が傾き始めていた。しかも、アークエンジェルが廃棄された工業地帯で身動きが取れない状態なのに未だに墜ちていない。レセップスの艦上ではデュエルとブリッツが慣れない砂漠戦で苦戦している様だ。そりゃそうだよな、地上じゃビームの減衰率が高く、照準がズレる。ブリッツの強みであるミラージュコロイドは砂漠じゃ効果が無い。砂塵で姿が丸見えになってしまうから。
『ちぃっ!いい加減に墜ちろ!』
『イザーク、艦上から降りては……あうっ!?』
「あーりゃま、こりゃマズい……ってこっちもかっ!?」
デュエルがビームライフルと固定武装でアークエンジェルを墜とそうとしたが逆効果となった。アークエンジェルが身動きが取れなくなった工業地帯を破壊してしまい逆に自由になってしまった。しかも、それを見て余所見をしていた為に追い回されていたスカイグラスパーにディンの羽を撃ち抜かれて落下してしまう。なんとか姿勢制御をして砂漠に不時着したが飛べそうにないな。機体をなんとか起き上がらせて空を見上げたら三機目のスカイグラスパーが飛んでいた。
「ええー……三機目のスカイグラスパーって何よ……」
そう……何故か、スカイグラスパーが三機飛んでいるのだ。原作ではムウのランチャー装備が一号機で二号機はカガリが飛ばす話だった筈だが……何故、三機目が飛んでいるのだろうか?だが謎は解けた……妙にこっちが劣勢だと思ったらスカイグラスパーが三機飛んでたからだ。ストライクがバクゥやザウートを仕留めて、二機のスカイグラスパーが戦闘ヘリや戦艦を墜としていく。最後の一機が俺のディンを追いかけ回した事で航空戦力の最大戦力を抑えたんだ。やられたな、こりゃ。
『聞こえるかダコスタ君。戦力を集めて、ジブラルタルまで引き上げたまえ!』
『そ、そんな隊長!?』
バルドフェルドさんが乗るラゴゥからレセップス宛の通信で撤退が命じられた。くそ、展開はある程度は読めていたのに予想外の事が起きすぎた。スカイグラスパー三機いたり、ストライクのバクゥ隊の殲滅速度が速すぎたり……そのストライクはラゴゥとタイマンをしていた。
ラゴゥは片足を負傷して、ストライクはエール装備の羽を破壊している。一見、互角に見えるけどストライクの方が優勢だ。しかし、やっぱ凄いなキラ・ヤマト。宇宙で戦った時より明らかに強くなっている。戦う度に成長してる感があるな。
「って、ああ!背部のビームキャノンも……ちぃ!動け、ディン!」
ストライクとラゴゥが交差する。すれ違い様にラゴゥのビームキャノンがストライクのビームサーベルで切り裂かれ、ラゴゥの武装は二連装のビームサーベルのみとなってしまった。しかもラゴゥは今、片足が無くバランスが悪い。
明らかにストライクの方が優勢だ。このままじゃマズい。俺はディンを立たせる。ギシギシと音を鳴らしながらディンは立ち上がる。機体のダメージを確認すると、羽は肩翼が穴が空いていて飛べそうにない。不時着した時に本体にもダメージが行ったのか動きが鈍くなってる。
俺がディンを動かすのに苦労しているとストライクはPS装甲が切れた証拠である灰色になった。ヤバい!だとすれば、この後の展開は……俺はディンのペダルを踏み込み、背面のブースターを吹かせた。
「ぐ、と、この……飛べっ!」
肩翼の翼で飛べずに地面に這う様に走らせる。ガタガタと機体が揺れるが関係無い。俺は最後の特攻を仕掛けようとしたストライクとラゴゥの間に割って入る。
「間に合った!痛でっ!?」
『何っ!?……なんのつもりだ、ラスティ君!』
『このっ!』
『キャァァァァァァァッ!』
ディンをストライクにタックルさせる。俺がタックルした事でストライクのアーマーシュナイダーはラゴゥの背中では無くラゴゥの頭に突き刺さり、ラゴゥは沈黙した。俺はタックルした拍子にバランスを崩してしまったが、慌ててラゴゥの状態を確認する。頭にアーマーシュナイダーが刺さったままバチバチと火花を散らしている。間に合わなかったか!?そう思った瞬間、ラゴゥは大爆発をした。その光景に俺は目が離せないし、モニターには俺と同じ様に打ちひしがれているストライクが映っている。
「くそ……また間に合わな……いや、まさか!」
俺はディンを立たせて走らせる。流石にもう飛べそうにないが走らせるには問題なさそうだ。ラゴゥは爆発はしたものの、まだ原型は留めていた。
「バルドフェルドさん、アイシャさん!?」
ラゴゥの背中を力任せに開き、中のコクピットを確認する。正直、グロテスクな光景が広がっていたが、二人分の生体反応が確認された。
「これなら、まだ間に合うか!?」
俺はディンでラゴゥを抱えて走り出す。だが、俺のディンも機体のダメージが深いからかマトモに動かない。更にディンは『飛ぶ』事に特化した機体だから地上を歩く事は想定してない上に砂漠だ。
だが、近くにストライクもアークエンジェルも居るのだ、もたもたしてられない。
『ラスティ、撤退を!』
「ニコルか!?ナイスタイミング!一緒に運んでくれ!」
ニコルが不慣れな砂漠でブリッツを走らせながら迎えに来てくれた。良い子過ぎるだろ。俺が説明する前にニコルのブリッツもラゴゥを抱えて一緒に走る。
ストライクはエネルギー切れだし、アークエンジェルやスカイグラスパーの追撃もないまま、俺達はラゴゥを抱えたまま撤退していく戦艦に合流した。ダコスタさんに状況を説明してラゴゥを回収してもらった。
「間に合った……のかな?」
「そう信じましょう……ラスティは間違ってないと思いますよ」
戦艦の中でラゴゥが解体され、コクピットブロックからバルドフェルドさんとアイシャさんが運ばれていく。その姿は正直、アニメじゃ見せられない状態だった。もっと早く、援護に行けていればこの状態にはならなかったのだろうか。そう思っていたらニコルが側に寄り添ってくれた。泣きそうになったがギリギリ耐えたよ。此処で泣いちゃいけないと思ったから。
「そう言えば……借り物のディンもお釈迦になっちまったな」
ラゴゥと同じく羽に穴が空いた上に機体本体のダメージも著しいディンに俺は溜息を吐いた。ジブラルタルに戻ったら怒られそうだ。