機動戦士ガンダムSEED〜ラスティ生存√リメイク〜 作:残月
オーブから出航し、オーブ海域の外に出たアークエンジェルを俺達は襲撃した。
しかし、向こうも待ち構えを予想していたのか、煙幕で姿を隠した後、アークエンジェルの砲撃とランチャーストライクのアグニが放たれ、いきなり出鼻を挫かれる形となった。だが、こうなるのは此方も予想済み。ストライクはアスランとイザーク。スカイグラスパー二機はニコルとディアッカが担当し、俺がアークエンジェルの担当になった。装備の関係上、俺がストライクの相手をする訳にはいかないからな。
だが、今回の話は今後に関わる話な上に俺にとっても最重要案件となっている。今回のストーリーはアスランを庇ったニコルがソードストライクにコクピットを切られてしまう話になっている。誰がそんな事させるかよ。
今までもイレギュラーな事が多く、歴史の修正力的な物を感じたが今回ばかりは失敗は許されない。
『うわっ!?』
『チクショゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!』
そんな訳で俺は戦場の様子を観察しながらアークエンジェルに攻撃を加えていた。ある程度ダメージを与えていた所でバスターとデュエルがストライクに足場であるグゥルを墜とされ、落下して行く。いや、早ぇーわ!ワンセットで落とされてんじゃねーから!その間にもアークエンジェルの砲撃にイージスとブリッツが追い詰められていて、二機のスカイグラスパーの支援も何気にキツい。明らかに原作よりも手練れになった感があるアークエンジェル勢。ストライクだけじゃなくて全体的に強くなってるよなぁ、明らかに。
そんな事を思っていたらストライクはランチャーからエールに装備を空中で変えていた。
『アイツ、空中で換装を!?』
『くっ……』
『ボサっとすんな、二人共!イザークとディアッカは地上から支援してくれ!』
サーカスもビックリな戦場で武装のドッキングを目の当たりにして動揺が隠せないニコルとアスラン。俺は落下して行ったイザークとディアッカに叫ぶ。少しでもアークエンジェルの動きを鈍くしてくれれば御の字だが……俺はグゥルを走らせ、アークエンジェルの攻撃からニコルとアスランの援護に向かう。
ブリッツとストライクはタイマンをしており、イージスはエール装備を外したスカイグラスパーに追いかけられてニコルの援護が出来ないのだろう。しかも地味に二機目のスカイグラスパーの援護が効果がある。
だが、やられてばかりじゃないっての!俺はストライクに接近してグレネードを放つ。ブリッツと戦っていたストライクだったが超反応で振り返るとシールドで防御される。
「あの距離で気付くか普通!?だが!」
『やぁぁぁぁぁぁっ!』
俺の方に振り返った事でブリッツの方がガラ空きになる。ブリッツからグレイプニールが放たれるがストライクはソレを避けてブリッツに迫ると左手でビームサーベルを構えた。ブリッツも迎え打とうとしたがスカイグラスパーから放たれたミサイルに動きを阻まれてしまう。その一瞬をストライクが見逃す筈も無く、ブリッツの右腕を切り落とそうとしたので俺は足場だったグゥルを単体で放ち、体当たりをさせる。体勢を崩したストライクを俺は背後から押さえ付けて一緒に地面に激突した。
「ガハッ……やっぱキツい……だが、これでアイツ等から引き剥がしたぞ……」
地表への衝撃もさる事ながら機体のダメージも大きいが俺の狙いはストライクをアスラン、ニコル、イザーク、ディアッカから引き離す事だ。俺がストライク相手に時間を稼ぎ、残った四人がアークエンジェルとスカイグラスパーの相手をしてくれれば良い。まったく、勝算がない訳じゃ無いしね。
「と言う訳で……お相手願おうか!」
『もうよせ!ジンなんかで!』
俺はペダルを踏み、背面のブースターを噴かせてストライクに急接近しながら手に持つマシンガンと肩のガトリングを放つ。当然、PS装甲のストライクにはノーダメだが俺は時間稼ぎに徹すれば勝機が見える。この戦い方はバルドフェルドさんがバクゥで行った戦いで実体弾でエネルギーを削り、バッテリーが切れてPS装甲がダウンするのを待つ。アークエンジェルはイザークとディアッカが抑えているし、二機のスカイグラスパーはアスランとニコルが動きの制限をしている筈。
「とは言っても……キツ過ぎるけどな!ドンドン強くなってねーか!?」
最初は当たっていたマシンガンやガトリングも当たらなくなっていた。高速移動をしながら弾を当てていたのだが段々見切られたのか当たらなくなっていき、寧ろ先読みされて肩を撃ち抜かれた。瞬間的に肩の追加装甲をパージしてダメージを最小に抑えたが対峙してるのも正直ツラい。
と思っていたのだがストライクのPS装甲がダウンした。これは勝機!……と油断はしない。何故ならば俺の背後から二機目のスカイグラスパーが飛んできてるのだ。そうだよな、エネルギー切れのストライクにソード装備を渡しに来るよな。
『俺がお前を落とす!ガアッ!?』
「アスランか!お前は下がれ!」
『こんのぉぉぉぉぉぉぉっ!』
俺がスカイグラスパーの相手をしようと思った瞬間、アスランがエネルギー切れを起こしたストライクに突っ込んで行った。しかし、ビームライフルを避けられた上にカウンターで拳を食らったイージスは岩盤に叩き付けられた衝撃で動けなくなっていた。
俺がストライクに接近しようとしたらスカイグラスパーのビームが飛んできたので避ける。あの機体はニコルを相手にしていた筈だが、振り切られたらしいな。しかも、その間にストライクは二機目のスカイグラスパーからソード装備を受け取ってエネルギーも装備も万全状態になってる。
『もう退け、アスラン!キミ達の負けだ!』
『何を言う、撃てば良いだろう!俺はお前を撃つと言った筈だ!お前も俺を撃つと!』
二人とも熱くなって周りが見えてないな。オープン回線でそんな会話すんなよ。距離があるから俺しか聞いてないだろうけど。アスランを援護しようと思ったら二機のスカイグラスパーからの援護に阻まれてしまう。その一瞬の隙だった。
『アスラン、下がって!』
『よせ、ニコル!』
ミラージュコロイドを解除し右腕のトリケロスのビームサーベルを展開して突撃するブリッツの姿が見えた。出来たら姿を消したまま奇襲して欲しかったがエネルギーの問題もあるのだろう。だが、俺がこれを見逃す筈が無いだろうが!俺は脚部の試作型のホバー推進を全開にしてストライクに急接近させる。
「ニコル、アスランを連れて下がれ!」
『え、ラスティ!?』
『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?』
ストライクはブリッツの左側に踏み込むことで回避し、隙だらけの腹部へ右薙ぎに大型ソードを振ろうとした。俺は側面からストライクへタックルしてブリッツとの距離を開けさせた。
「アスランも撤退しろ!奴等の方が上手になってんだ!対策しないと勝てる相手じゃないのは明らかだ!ニコルも援護するからイザークとディアッカと合流してサッサッと引き上げろ!」
「し、しかし……」
『いやです!ラスティが戦うなら僕も……』
俺の叫びにアスランは戸惑い、ニコルは再び俺の援護に回ろうとしたが俺は背面のブースターと脚部のホバーを吹かしてストライクを押し出す。イージスとブリッツから物理的に距離を取った俺はストライクを押し出したらスモークを散布して退こうと思っていたのだが、背面のブースターがスカイグラスパーに撃ち抜かれて俺とストライクは地面を滑る様に叩き付けられる。
「痛ててっ……良い腕してやがる……こりゃ飛ぶのはもう無理だな」
地面を滑る衝撃でコクピットが揺さぶられる。スカイグラスパーのビームは完全に俺のジンのブースターの片翼を撃ち抜いていた。もう一機のスカイグラスパーがイージスとブリッツにちょっかいを掛けているから、今俺のジンを撃ったのは二号機の方か。そして目の前のストライクから前蹴りで距離を開けられ、ストライクは再び大型ソードを構えた。
「こりゃ……退くに退けなくなっちまったな……」
今、俺のジンはマシンガンもシールドも無い。ガトリングもグレネードもミサイルも弾切れ寸前。スモークで逃げようにも背面のブースターが使えないから撤退も厳しい。アークエンジェルの方は……ダメだな。デュエルとバスターが頑張って攻撃しているが決定打となるダメージは与えられていない。
「ちっ……だが、時間稼ぎをすれば逃げるチャンスも……」
そう思いたかったがストライクは肩のビームブーメランを投擲して来たのでホバー移動で避ける。避けながらガトリングを撃ち間合いを取りながらシールドから取り外しておいた試作型のハンドガンを右手にアーマーシュナイダーを左手で逆手に構えた。
アーマーシュナイダーならPS装甲にダメージを与えられる。それは奇しくもストライクがデュエルに実践して証明された事だ。
俺は間合いを取りながらホバーでストライクの周囲を旋回し、隙を窺う。
その時だった。
『キラァァァァァァァァッ!』
「アスラン!?馬鹿、来るなっ!」
アスランのイージスが俺とストライクの間に割り込む様にビームサーベルを両手に展開して突っ込んで来たのだ。あの馬鹿!そろそろエネルギーもヤバいだろうに!
案の定、イージスはストライクの大型ソードの峰打ちで返り討ちにされた。だが、ストライクは流れる様に峰打ちから刃の側に切り替えており、イージスがトドメを刺される寸前となっている。防御しようにも無情にもイージスのPS装甲がダウンした。あの時に素直に撤退してくれてれば俺も逃げれたのに、と思いながらも俺は咄嗟にストライクへの距離を詰めていた。
俺は先程と同様にストライクにタックルで怯ませようとしたが、先程の事で動きを読まれたのかストライクのバルカンで右手のハンドガンを破壊され、更にハンドガンが誘爆し右手が破壊されてしまった。更に大型ソードが振るわれて左腕と左脚も同時に斬られてしまう。機体のダメージを知らせるアラートが鳴り響く。いや、アラートが鳴っていない部分の方が少ない。
「マジかよ……だが、まだだ!」
『なっ……うわっ!?』
俺はペダルを踏み、片翼となった背面ブースターでジンの体勢を無理矢理起こすと、残された右脚のホバー推進でストライクの顔面を蹴り上げた。だが、その直後に残された右脚も斬られてしまい、俺のジンはダルマ状態。そして機体はそのまま身動きが取れなくなり海の中に沈んでいく。思えば、この世界でMSをダルマにされたのは俺が初なんじゃね?
そんな事を思っていたらコクピットのアラートが鳴り終わる。いや、これは鳴り終わったと言うよりは……モニターに『danger』『warning』と表示されている。
あ、この状態はヤバい……そう思った次の瞬間、俺の機体は一瞬の衝撃の後、大爆発を起こした。そこで俺の意識は途絶えた。