機動戦士ガンダムSEED〜ラスティ生存√リメイク〜 作:残月
あれから数日が経過し、体の調子も随分と良くなってきて、日常生活に支障をきたさない程度になった。やっぱコーディネーターの身体能力って凄いよなぁ……と思っていたのだが俺以上に重傷だった筈のキラも俺と同じくらいの状態になっている。心の傷からか落ち込んではいる様だが、肉体的には完治している。スーパーコーディネーター半端ねぇな、おい。
因みに俺の相部屋の同居人はやはりトールだった。全身打撲に加えて、スカイグラスパーのコクピットがひび割れた為にイージスの自爆の衝撃と熱がコクピットを襲い、ヘルメット越しでも熱にやられたらしい。その結果、顔の左半分に火傷の痕が残ってしまったらしく治療には時間が掛かるとの事だった。
ナチュラル故か意識は戻ったがまだ立ち上がれる程に回復はしていない。キラを交えながら談笑する程度の間柄になった。余談だがトールは尻派である事が判明した。ディアッカとも気が合いそうだと思ったよ。
キラにこの手の話題を振ると顔を赤くしながら気まずそうにする。まあ、あの昼ドラドロドロ恋愛の後じゃコメントしづらいよな。
「キラと……その友達は俺達を殺したと思って互いに憎み合って殺し合ったんだよな……」
「ああ……その本人が生きてるんだから気まずいよな。トールも良い腕してたな。スカイグラスパーからの援護射撃には手を焼かされたもんだ」
現在、キラはラクスに話があるとかで席を外してる。時期的にそろそろザフトがアラスカにスピットブレイクを仕掛ける頃だ。ニュースかなんかで見てキラが立ち上がったって所かな。
トールとの話の中で俺のジンの背面ブースターを撃ち抜いたスカイグラスパーはトールの機体だと判明した。まだ発展途上だが良い腕してるわ。鍛えれば良いパイロットになるだろうな。
「トール、ラスティ……その、ちょっと話が……」
ラクスに付き添われてキラが俺達の病室に顔を出す。何かを決意した様な顔をしているから間違いなさそうだな。トールは何事かと混乱しているが。
キラとラクスの話を聞くと、やはりザフトが地球軍の本部があるアラスカにスピットブレイクを仕掛けると言う話題だった。アークエンジェルがアラスカに居る事と今の自分が何をしたいのかを考えた結果、其処に行きたいとなったのだ。
「キラが戦場に行くってのは分かったが……MSはどうするんだ?ストライクは半壊で地上。しかも行方不明だろ」
「それなら私に考えがあります。キラに新たな剣を授けます」
フリーダムに乗り換えなのは分かってはいるが俺が知っているのも不自然だからな。知らないフリで話を進めるとラクスが微笑みながら答えた。
「新たな……剣?」
「なら、俺から言う事は無いが……俺はどーすっかな。今更ザフトに戻る気も正直、薄いし……」
トールが首を傾げ、俺は『新しい剣』がなんなのかを察して、話を進める事に。だが俺のそんな発言を聞いたラクスは俺に微笑んだ。
「この数日で貴方の事も知りました。貴方の気持ちが戦場に向いている事を。貴方もキラと同じく誰かの為に戦える方なのですね」
「そりゃトールも同じさ。ど素人が友達の為に戦場に出る決意をしたんだからな」
ラクスの話に俺はベッドで上半身を起こしているトールの背をポンと叩く。話題を振られたトールは気恥ずかしいそうにしていた。
「貴方にも……望みを叶える力を」
「そりゃ有難いが……大丈夫なのか?話から察するにザフトのMSを俺達に受領させるつもりなんだろ?明確な反逆罪になりかねないぞ」
「あ、そっか……国家機密とか……」
「ラクス……」
ラクスは微笑みながら俺にもMSしかも新型を回すつもりらしい。流石にジャスティスとかじゃないだろうからゲイツの試作機とかかな?でもザフトの最新技術でしかも国家機密に抵触するものを赤の他人に渡すなど明確な国家反逆罪になる。俺の指摘にトールとキラの顔が曇った。
「大丈夫です。覚悟の上ですから」
「じゃあ、覚悟の上に更にお願いを。プラントに住む俺の母親の避難と保護を頼みたい。俺の母親は何も知らないからな。俺がMSを受領した後で一族皆殺しになる可能性もありうる」
「母親は……って父親は?」
ラクスは微笑むが瞳には確固たる決意が見えた。ならば、他の懸念事項を言っておくとしよう。アニメでもラクスの親父は殺されてたからな。キラの家族はオーブに居たから免れたが俺の母親はそうはいかない。なんて言ってもプラント住まいだから。
トールが父親の事を控え気味に聞いてくるが……
「俺の両親は離婚してんだよ。俺は母方に引き取られたんだ。俺とオフクロを捨てた親父に未練なんかねーよ。加えて言うなら親父はナチュラルぶっ殺し勢だ」
「なんつー、身も蓋もない……」
俺の発言にトールは若干引き気味だ。アニメや原作では描かれなかったが……まあ、俺の親父はそう言う事である。
「……分かりました。ラスティのお母様の保護も急がせます」
「よろしく、頼む。キラ、話も纏まったし行こうか」
「あ……う、うん」
俺とラクスの話が終わり、ポカンとしていたキラに急ぐ様に促す。
「では、着替えを用意します。キラとラスティは此方へ」
「お、俺は……」
「トールはまだ立つのも難しいだろ。まだ療養してろ」
「トール……ごめん。でも、先に行ってくるよ」
ラクスに促されて病室の外へ出ようとするとトールが声を掛けてくるがまだ立ち上がる事も不可能な状態じゃどうする事も出来ないだろう。俺の指摘にトールは悔しそうにしていたがどうしようもないだろう。
俺とキラは案内された部屋でザフトの赤服に着替えていた。ぶっちゃけ似合いすぎだろキラ。違和感ないよ。いや、この数年後にキラは白服を着るから違和感ないんだろうけど。
そんな事を思いながら着替えを終えて、更にラクスの案内で軍事施設の様な区域を進む。今の俺達はラクスの護衛の赤服二人……って感じだ。何も疑われる事もなく俺とキラはハンガーに到着した。
「これは……ガンダム!?」
「ちょっと違いますわね。このMSはZGMF-X10Aフリーダムです。でも、ガンダムの方が強そうですわね」
「こりゃ凄いもんだ。今までのMSとは根本から違うみたいだ……んで」
キラが目の前のフリーダムに驚く最中……俺は内心もっと驚いていた。そのフリーダムの隣に鎮座している機体に理解が追いつかなかったからだ。
「そちらの機体はZGMF-X12Aテスタメント。まだ仮組みの状態の機体を回収した物です」
「そ、そうか……新型だもんな」
ラクスの説明に乾いた笑いしか出なかった。この機体は後に開発されるプロヴィデンスと同時期にロールアウトしたテスタメント。言ってしまえばフリーダムと同等以上の性能の機体だ。本来ならばテスタメントは完成後に連合に強奪されてしまうのだが、ラクスが手を回した事で仮組み状態だが俺の手に渡ったって事だ。よく見ればハンガーには組み立て途中のストライカーパックみたいなのがある。成る程、マジで開発途中で回収したらしいな。
「この分だとテスタメントは発進は出来なさそうだな。OSも組み上がってないだろうし。キラ、お前は先に行くと良いだろ。俺は早速、テスタメントを見させてもらうから」
「あ、うん!」
俺は一方的に告げるとテスタメントのコクピットへと向かう。ラクスがキラの見送りをするのを邪魔しちゃ悪いからな。
さて……それはそうとまさかテスタメントとはな……そう思いながら俺はコクピットに入って機体のスペックを確認するのだった。試作のストライカーパックと武装もチェックしなきゃだし忙しくなるぞー。
『テスタメント』
型式番号 ZGMF-X12A
核エンジン搭載型MS
フェイズシフト装甲(PS装甲)
ザフトが連合のストライカーパックを研究する為に開発された機体。
その為、背面のコネクタから各種ストライカーパックの装備が可能になっている。
本来の歴史では連合に強奪されたが今作ではラスティの搭乗機となった。
連合の手に渡らなかったので連合開発の特殊兵装である『トリケロス改』『ディバインストライカー』『量子コンピュータウイルス送信システム』は無い。
武装
テスタメント本体のみ
『MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御機関砲』
頭部に2門内蔵されている機関砲。
『ビームサーベル』
両腰部に2基装備されている。