機動戦士ガンダムSEED〜ラスティ生存√リメイク〜 作:残月
エリカさんに案内されてモルゲンレーテの工場に案内された俺とニコルとディアッカは言葉を失っていた。
「間違いないな……確かに以前、俺がオーブで会ったマユだ」
「どうしてザフト軍の貴方がオーブに住んでいた、この子を知っているのか大体想像はつくけど今は追求しないでおくわ。それで、この子の症状なんだけどね……頭を強く打った事で視力に異常が起きてるの。失明とまではいってないみたいだけど」
俺がベッドで眠るマユを見て間違いないと宣言するとエリカさんは俺が何故、マユを知っているかの追求は今は避けてくれた。そうしてくれると助かります。
ニコルから聞いた話では避難するのが遅れたシンの一家は原作同様に飛んできたミサイルによって両親が亡くなり、シンは絶望感に打ちのめされながらもオーブの将兵に避難させられたらしい。原作との違いがあるとすればニコルとディアッカが関わった事でマユが生存した事だろう。ニコルとディアッカはMSに乗り込む為にモルゲンレーテまで走り、マユをそのまま預けたらしい。モルゲンレーテの工場は今、夜戦病院みたいになっていた。そしてマユはモルゲンレーテで医者の手当を受けて今はベッドで眠っている。
だが、全てが上手くいった訳じゃない。マユは頭を強く打った事で視力に影響が出ている可能性があると言うのだ。
「それと言いにくいんだけど……記憶にも影響があったかもしれないの。治療した医師の話じゃ一度意識を取り戻した時に記憶の混乱が見られたと言ってたわ。それが今だけなのか……今後もなのかはマユちゃんが目を覚ましてからの判断になるけど」
「そう……ですか」
「くそっ……俺がもっとしっかり庇っていれば!」
「いや、ニコルもディアッカも、聞いた状況じゃ良くやってくれたと思うよ。今はマユが生きている……それだけでも良いんじゃないかな?」
エリカさんの発言に俺達は更に沈んだ気分にさせられる。視力に影響がある上に下手をすると記憶障害になっているかも知れないのだ。ニコルもディアッカも悔やんでいる様だけど命があるだけ良かったと思うよ、俺は。
問題があるとすればシンがマユの生存を知らない事だ。現状、シンは原作通りの状況となっている。だが、シンの行き先はプラントだと分かっているし、マユの生存を伝えるだけでも救われる筈だ。今はそう思うしかない。
「この子の事‥‥お願いします。ちょっと特殊な事情ではあったけど友人には違いないので」
「ええ、貴方の友人じゃなかったとしてもオーブの住人だもの。ちゃんと治療させるから安心して。それで私の方の事情に取り掛かっても良いかしら?」
マユの話もひと段落したので今度はエリカさんの方の話を聞く事に。再度、エリカさんの案内でモルゲンレーテのハンガーに足を踏み入れると修理された俺のジンと……修理?改修?どちらとも判断がつかない感じのイージスが鎮座していた。
「あの……見た感じ、ジンは完全に修復されてますけどイージスは……」
「キラ君からも話は聞いたけど、イージスはストライクと違って自爆したんでしょ?それで主要な部分の殆どが欠けた状態だったけどパーツは回収したの。データを取り合えた後はM1アストレイの機体にイージスのパーツを組み込んで再生してみたのよ。機体名はイージスリペア」
成る程、自爆で機体の大半を失ったイージスをアストレイの機体で再生したのか。と理解した反面、何処か妙に納得している自分もいた。何故ならば目の前のイージスリペアは見た目がムラサメに似ているのだから。ムラサメは後のSEED DESTINYにおいてオーブの主力機となる機体だ。しかし、今まで陸戦主体のM1や取り敢えず飛ばせる程度のシュライク装備から何故急に完成度の高い可変機が主力に上がったのかと不思議だったが……推測になるがオーブはイージスの変形機構やエールストライクの推力のデータからムラサメを作り上げたのではないだろうか?そして目の前の再生されたイージスリペアはプロトタイプのムラサメって事になるんじゃ……まあ、全部俺の予想でしかないから確証は何処にも無いのだが。
「ジンの修理は有り難いです。この機体は残したかったので」
「ミゲルから受け継いだ機体ですからね」
「あら、噂は本当だったのね。暁の閃光さん」
俺がジンを見上げているとニコルが微笑んでくれてエリカさんは少し意外そうな顔をしていた。いや、その前に暁の閃光って何よ?
「一部関係者の間で噂になったのよ。黄昏の魔弾の機体を受け継いでカラーリングを夕暮れの意味の黄昏から夜明けの意味の暁に変えたエースパイロットがいるって」
「確かにミゲルから機体は受け継いだけど、そんな壮大なテーマは初めて知ったんですが。なんか恥ずかしい、照れる!」
「平和の狩人もよっぽどだと思うけどな」
エリカさんから俺の二つ名の説明が入るがマジマジと解説されると結構、心にくるな!なんかハズイ!そしてディアッカのツッコミに俺は一時のテンションの怖さを思い知らされる。あの会話、結構広範囲に聞かれてたのね。
「悶えてる所、悪いけど……このイージスリペアは使えそうかしら?最初はフラガ少佐にお願いしようと思っていたのだけど少佐はストライクに乗っちゃったから乗り手がいないのよ」
「他にパイロットの候補はいなかったんですか?」
俺のリアクションはさておき、エリカさんはイージスリペアの事を俺に聞いてきた。意外な事にムウさん以外に乗り手の候補がいなかったらしい。ニコルも意外そうにエリカさんに質問する。スペックも高そうだし、余らせるには勿体ない機体だ。
「それがね。ある程度の戦闘機の実力が無いとイージスリペアの飛行形態を使いこなせないの。かと言って戦闘機のパイロットだとMS形態を使いこなせない。今からじゃ慣熟訓練をする時間も無いしでフラガ少佐以外のパイロット候補がいなくて困ってたのよ。貴方のジンも同様よ。セッティングがピーキー過ぎて並のコーディネーターじゃ使いこなせないじゃない」
「成る程、俺のジンもイージスリペアも乗り手がいなくて問題になったと……俺のジンは取り敢えず、このままでお願いします。何かの機会にテスタメントじゃなくジンで出る機会があるかもしれませんから。それと……イージスリペアに関しては乗り手に心当たりはあります」
イージスリペアはナチュラル用のOSは搭載されてはいるものの戦闘機とMSの両方の適性が無いと完全には使いこなせないらしい。俺のジンはセッティングの都合上、乗れるのは俺だけっと……高性能の機体を二機も余らせるのは勿体無いがイージスリペアに関しては乗り手に心当たりがあったりする。
いるじゃないか…スカイグラスパーに乗って適性もあり、現在宇宙でMSの特訓を受けている奴が。
「問題があるとすれば、そのパイロット候補になりそうな奴が現在宇宙にいるって事ですが」
「そう、宇宙……ね。ならイージスリペアは当分使えそうに無いわね」
一先ず俺のジンとイージスリペアは保留と言う形で落ち着いた。俺とニコルとディアッカはエリカさんと別れ、キラとアスランの所へ向かう事に。
「ディアッカ……ミリアリアさんを怒らせたんだって?」
「そ、それは……いつもの調子で話してたら、まさか恋人が死んだとかビンゴだとは思わなくてよ」
「あの時のディアッカはデリカシーに欠けていましたよ」
話題はディアッカがミリアリアを激怒させた事だった。原作通りに軽口を叩いたディアッカだったが、その頃はキラもトールもMIA認定されていて皆の心が不安定だった。そんな時に『恋人が死んだ』なんて軽口を叩けば、そうなるよな。そんでニコルの美脚から繰り出された蹴りで沈められたと。その事が切っ掛けでニコルとミリアリアが仲良くなったのは思わぬ副産物だったが良い傾向だとは思う。
ミリアリアにはニコルの女子力を上げる手伝いを……?
「それで……ラスティの話だとトールはリハビリが終わったらMSの操縦訓練をするって言ってたらしいんだ。それで、そのコーチを引き受けてるのはバルドフェルドさん……えーっと砂漠の虎の恋人で……」
「うんうん、それで?」
モルゲンレーテの工場からアークエンジェルの格納庫に戻ってきたのだが、キラがミリアリアにトールの現状を説明しながら、トールの事をフォローしてくれていた。そう言えば爆弾を投下してから放置していた事をすっかり忘れていた。ミリアリアはキラから話は聞いてはいるものの雰囲気としては少々怖い。
俺達が戻った事に気付いたキラとミリアリア。ミリアリアはニコリと笑みを浮かべると俺を手招きする。あ、これ絶対に逃げられない奴ですね。
こうして俺はニコルと二人きりで会話をするタイミングをすっかり逃してしまったのだった。自業自得なのだ甘んじて受け入れよう。
『イージスリペア』
自爆したイージスをオーブが回収して修理した機体。
ストライクと違ってイージスはバラバラになった為にM1アストレイのパーツを流用して修理された。パーツ比率はM1が7割、イージスが3割。
オーブの可変機の試作機となった。
機体のベースとなる機体がM1である為にPS装甲ではない。見た目はムラサメとイージスを足して2で割った様な外見となっている。
飛行形態にも変形可能だが従来のイージスと違って移動目的の変形なのでスキュラは装備していない。飛行形態時の形状もムラサメに酷似している。飛行形態時の武装はビームライフルのみ。
両手がイージスなので固定のビームサーベルを両手に装備している他に腰にM1のビームサーベルも装備している。
武装
ビームライフル(イージス)
固定ビームサーベル(イージス)
ビームサーベル(M1)
イーゲルシュテルン
シールド(イージス)