機動戦士ガンダムSEED〜ラスティ生存√リメイク〜 作:残月
あの後、トールのフォローをした後で俺達はハンガーで雑談をしていた。キラとアスランも少し離れた場所で何か会話しているが今は二人にさせておくのが正解だろう。
「それでディアッカ……あのアストレイ隊の子達と何があった?あの三人の内の1人が随分と熱い視線を送ってたじゃないか」
「あ、ああ……戦闘の時に援護してやったんだが、感謝されてな」
「僕はアークエンジェルの援護をしていたから気付かなかったけど、そんな事をしてたんですね」
さっき所謂アストレイ三人娘がディアッカに感謝をしていたのを目撃したのだが、その内の1人がモジモジしているのを俺は見逃さなかった。アレは恋する乙女の目だった。
「で、第一印象は?」
「ちょっと気が強そうには見えたけど、ありゃ甘えに来るタイプだな」
俺がディアッカの肩を組み、その子の事を聞く。ディアッカの方の印象も悪くないみたいだな。
「で、巨乳だったか?」
「パイロットスーツの上からでもわかる。ありゃ相当なお宝の持ち主だ」
「二人とも最低ですね」
コソコソと最重要事項を聞いたらディアッカはサムズアップをして答えた。ニコルは俺達の話をバッチリ聞いていたのかゴミを見る目で睨みながら殴ってきた。超痛い。やはり胸の話題はニコルの前では禁句だな。
そんな馬鹿な事を話していたら警報が鳴り響く。地球連合の第二波攻撃が始まったんだな。
「ごめんアスラン。話せてよかった」
「キラ!」
「キラ、先に行っててくれ。俺も後で行く」
キラがアスランに別れを告げ、タラップを登っていく。俺はキラに一声掛けるとキラは頷き、急いで走って行った。
「戦闘に参加しちまったけどよ……やっぱ不味いんだろうな、俺達ザフトが介入しちゃあよ」
「それでも……俺はアイツ等を死なせたくない」
「僕もあの人達を見捨てたくないです!」
キラを見送った後、ディアッカが口を開き、アスランとニコルも同意した。しかし俺はディアッカ、アスラン、ニコルはザフトのプラントの事を考えるとオーブの戦いに介入すべきではないと思っている。だが、心情的にはオーブやアークエンジェルを助けたいと思っている。軍の命令に従っているだけの状況はとっくに通り過ぎているのだから。
「ラスティは……どう考えてるんですか?」
「俺はもう決めたよ。テスタメントを受け取った時に家族の事やザフトの事も信頼出来る人にお願いしてから俺は戦場に戻ると決めたからな。キラも同じだろうよ。アイツも俺達との戦いで失う怖さを思い知らされたからな」
ニコルの問いに俺は戦う意志を示す。
「無理にオーブの戦いに付き合う必要は無いんだぞ?アスランはフリーダムやテスタメントの奪還命令を受けてるんだし、ニコルとディアッカはMIA認定されてはいるがプラントに戻る事は出来んだろ。それに家族の事もある。俺は母親の保護を頼んであるから問題無いけどお前達の親はプラントの評議会の一員なんだ……お前達がオーブの戦いに介入すれば悪い方向に話が進むかも知れないぞ」
俺の発言にアスラン、ニコル、ディアッカは「うっ……」と声を詰まらせる。
そりゃそうだ。原作と違い、アスランは任務が増え、ニコルは生きてはいるものの親想いだ。ここでニコルがオーブの戦いに介入する事でプラント評議会の一員である親にどの様な影響が出るのかは言うまでも無い。ディアッカはミリアリアとの確執が格段に減った事でオーブの戦いに介入する理由は減った筈だ。
俺はガンダムSEEDの世界に転生してから随分と悩んだが、今はこれが正しいと思ってる。それにニコルを死なせたくないし。
「俺はさ……ミゲルの事やバルドフェルドさん達の事もあって、色々と考えさせられたよ。戦争だからと命令に従って戦う。それも間違っちゃいないんだろうさ。それで戦争が終わるなら……でもそうじゃなかった。戦火が戦火を呼び、憎しみが憎しみを招く。それを実感しちまったからな」
「だからラスティが戦うって言うんですか!?」
俺がヘルメットを抱えてタラップを登ろうとする所でニコルが叫ぶ。
「本当は戦争なんかに参加せずにニコルとの約束を守りたいんだかな。そうもいかなくなっちまった。あーあ、俺はもっと気楽に生きたかった筈なのになんでこうなったのかね」
「ラスティ……」
戦争で死にかけたから戦争の虚しさを知ってしまった。死にかけたから生きてる有難さを実感した。だから尚更思ってしまった。
「地球軍と……ナチュラルと戦争をしていた俺が……俺達が言っちゃいけないんだろうけど……戦争なんざ、色んなもんを飲み込んで何も生まないくだらないもんだよな」
俺はニコル達にそう言うとテスタメントに乗り込む。転生したばかりの頃は原作を知る俺なら良い方向に修正出来るなんて考えただろう。だが、そんなに甘い世界じゃない事は散々思い知らされた。気が付けば普通にこの世界の住人として生きていた。俺は俺らしく生きていたつもりでも戦争にハマっていた。
「だったら……俺は俺のやれる事をやるべきだな」
俺はテスタメントを発進させ、PS装甲を起動させる。テスタメントは赤く染まり、俺のパーソナルカラーとなった。
「黄昏から暁に……か。ミゲルを討ったキラと一緒に戦う俺をミゲルはどう思う?」
ミゲルのオレンジのジンはミゲルの遺言で赤と黒に染めれた。その色は関係者には黄昏のオレンジから暁の赤へと変えられたのだとエリカさんは言っていた。
じゃあ、黄昏の意志は受け継がれたのかと言えばそうじゃないだろう。ミゲルの仇であるキラと一緒に戦うのはミゲルの意志に反する事なんじゃないかと思ってしまう。だけど……さっき眠るマユを見た時に俺の腹は決まっちまったよ。
そんな事を思いながら俺は大量に迫り来る、ストライクダガーに武器を構える。
「ニコルとディアッカはどうするのか……ま、後でわかるだろ」
色々と変わった事態に今後は原作知識が役に立ちそうに無いからな、と思いながら俺は引き金を引いた。