機動戦士ガンダムSEED〜ラスティ生存√リメイク〜 作:残月
オーブが地球連合に攻め入られ、シンを代表とする被害者達が多く生まれたのも事実で批判的な目で見られがちなウズミですが、オーブが侵攻された原因に関してはASTRAYシリーズに登場するオーブ氏族のサハク家のロンド・ギナ・サハクとロンド・ミナ・サハクにあり(地球連合(アズラエル)にMSの技術提供。ザフトにGシリーズの情報を売っていた)しかも元凶であるロンド・ギナ・サハクとロンド・ミナ・サハクはこの段階で逃亡。更に事実を隠蔽したまま、ロンド・ギナ・サハクその後の戦いで死亡。
ウズミもオーブを守れなかった事で自爆により自害した事で真実を知る者の殆どが実質上、闇に葬られてしまった為、オーブ侵攻と壊滅双方の責任は、ウズミ一人だけに押し付けられてしまうに至っている。
真実を知る者達も戦後の混乱を避ける為に口を閉ざしたのが更に混乱と誤解を招いた。
この事は主人公であるキラ達は殆ど知らず、当然シンはそんな大人達の裏事情は知らなかった為に一方的な恨みをアスハ家に抱く結果となってしまった。
因みにウズミがオーブの理念を突き通さなかった場合、地球連合に組みすればオーブに在住していたコーディネーターは殺害され、ザフトに組みすればオーブ在住のナチュラルも良い対応を迎え入れられたかと言えばそうじゃない。つまりはどちらに偏ってもオーブ国民の最低半分は碌でもない結末を迎えた可能性が高く、これは地球連合、ザフトの両陣営のトップが『敵対する者を確実に滅ぼす』スタンスでいた為、どちらかの陣営に身を寄せればどちらにせよオーブの理念は崩れ去るし、国民も殺される。つまりウズミはナチュラル、コーディネーターの差別をせず国民の為に中立の立場を貫かざるを得ない状態となってしまった(事実、オーブ戦以外での両陣営は降伏した相手への虐殺が平然と行われていた)
ウズミがオーブの理念を突き通したからシンの様な犠牲者が生まれたのも事実だが、理念を突き通そうとしたからSEED時代の戦争が終結に向かったのも事実である(そもそもウズミはオーブ防衛の際も国民の避難誘導はしていたし、避難指示をギリギリまで守らなかったのはシンの一家である)
それらを知らない一般人からしてみれば『政治的理念を貫き通して国民を不幸にした愚か者』と見られがちだが関係者からすれば『周囲から何を言われようと国民を守る為に奔走し、責任を取った人物』となる訳です。
それぞれの立場や見方で人物像が違ってきますね。
宇宙に上がってからアークエンジェルとクサナギは一路、コロニーメンデルを目指していた。
オーブを脱出をする際に物資はたんまりと持ち出したので余裕を持って所持しているが、それも無限ではない。
かと言って地球連合やザフトの軍が駐在しているコロニーに立ち寄る訳にもいかないので、無人の資源コロニーに行くしかない。それらの事もあり、今は揃ってメンデルを目指していた。
そして時間も無駄には出来ない。メンデルに向かう道中も無駄にはしない為に俺は宇宙に慣れてない人達の面倒を見ていた。
「ムウさんは動きが大雑把になりすぎで三人は慎重になりすぎだ。宇宙は全方位に気を使わなきゃだけど気負いすぎも良くないぞ」
『やっぱMAとMSじゃ勝手が違うよなぁ。慣れるまで時間が掛かりそうだ』
『そ、そんな事、言っても……ひゃあ!?』
『シミュレーターでは上手くいったのに……』
『思ったよりも難しい』
俺はテスタメントで随伴しながらストライクに乗ったムウさんとM1に乗ったアストレイ三人娘の宇宙慣熟訓練に付き合っていた。四人ともMSパイロットとしての経験値が少ないが戦力の中核を担う人達だから早く慣れてもらわないと困るから少々厳しめに指導中である。四人ともバランスが上手く取れず溺れているような動きで姿勢制御をしていた。MSの溺れる動きって凄いシュールだ。
『それはそうと……ラスティはアークエンジェルに居なくて良いのか?あのお嬢ちゃんも目を覚ましたんだろ?』
「その辺りもどうしたら良いか分からないのでニコルに任せてます……」
ムウさんの言う『お嬢ちゃん』とはオーブで保護したマユの事である。避難状況から彼女もアークエンジェルに乗せたまま一緒に宇宙に上がる事になってしまい、更に困った事が起きてしまっていた。
◆◇◆◇
「お兄さんとお姉さんが私を助けてくれたんですよね?お医者さんが言ってました。ありがとうございます」
「正確にはこのお姉さんと他にお兄さんが居たんだがな」
「まあまあ、僕達が助けたで良いと思いますよ。今、無理に説明をしても起きたばかりじゃ理解できませんよ」
ベッドで上半身を起こしながらマユは見舞いに来た俺とニコルに頭を下げていた。本当はマユを助けたのはディアッカなのだが現在は交代をしながら物資搬入や宇宙用のOSの切り替え作業で忙しい為、順番で休憩しているから俺とニコルが二人で来たのだ。
本当ならディアッカがマユを助けた事を説明したかったのだが、ニコルから目覚めたばかりで情報の詰め込み過ぎは良くないと言う事で一先ず俺とニコルが助けた事に。
まあ、ニコルが助けて俺がオーブに保護を申し込んだから間違っちゃいないんだろうが。
「それで……体調の方はどうだい?」
「体はちょっと痛いけど大丈夫です。でも……思い出せないんです。家族の事が……お医者さんから私の家族構成を聞いてもピンと来なくて」
俺の問いにマユは首を横に振り、目を伏せた。コレは俺もニコルも軍医から聞いた話だった。マユの記憶の一部に障害が起きていると。まさか、その内容が家族の事に関してだとは思わなかったが。
それと気になるのは目の方だ。今は包帯を巻いて一時的に目を休ませているが……視力にどんな影響が出ているかは後々の検査となっている。
「でも……少しだけ覚えてるんです。お父さんとお母さんみたいな人達が居なくなって……黒髪の人が私を置いて一人で……逃げて……待ってって、置いてかないでって思っても……う、うぅ……」
「いいんですよ、無理に思い出そうとしなくても。ゆっくり……まずは体を休めましょう……ね?」
「そうだな。今日は軽く顔見に来ただけだけど、話す時間が出来たら色々と話そう」
ガタガタと震え始めたマユをニコルが優しく抱きしめて落ち着かせていた。俺もマユの頭を撫でながら笑みを浮かべる。
「うん……お兄さんもお姉さんも優しいね」
「ふふっ……僕がお姉さんって呼ばれるのはちょっとくすぐったいですね」
「お兄さんと呼ばれるのも気分が良いもんだな。ニコル、もう少しマユと一緒に居てやってくれ」
マユの笑顔に俺もニコルも少し安心した。俺はニコルにマユの事を任せて
医務室を後にする。
うん、記憶障害が起きてるとは聞いてたけど、割と元気そうで安心したけど……
「なんで家族の事を忘れた挙句にシンが恨みの対象になってんだよ……」
俺は頭を抱えてしゃがみ込んだ。今、マユの中ではシンは『自分一人だけ逃げて家族を見捨てた男』となってしまっている。
原作でもシンは『アスハの一族の為に自分の家族は殺された』『自分は世界で一番不幸』『俺以外が皆、間違っている』みたいな捻くれた思考の持ち主になっていたが……
「捻くれ兄妹め……と言いたいが状況が状況だから仕方ないと言えば仕方ない。マユは体を治しながら心のリハビリをして、経過を見ていくしかないか」
ハァーと溜息しか出なかった。
◆◇◆◇
とまあ、悩む事が多くこうやってMSに乗って操縦指導していた方が気楽と言うのもある。
「マユの事も気掛かりですけど、やる事が多いんで時間を割いてるんでしょ。ほら、早く慣れてアンタ等が他の人達の指導が出来る様になってもらわないと。特にムウさんは新装備の調整もあるんだから」
『前に言ってた俺のゼロを改造して作るストライカーパックだったか?やれやれ、初心者の俺にやらせる事が多いな』
俺の発言にやれやれと呆れた声を出すムウさん。忙しいのは百も承知だが、早めにガンバレルストライカーに慣れて欲しいんだよ。