機動戦士ガンダムSEED〜ラスティ生存√リメイク〜 作:残月
「あー、キツかった!」
「ったく……俺の機体を使いこなしやがったな、テメー」
「フ……やるじゃないか、ラスティ」
難易度を激上げしたシミュレーターを終えて俺は地べたに座り込む。そんな俺にミゲルは呆れた声を出す。ミゲルはシミュレーターをモニターで見ていて最初こそ野次を飛ばしていたが、段々難易度が笑えない程に上がっていた。途中からセッティング厳しくしやがったな。
そしてクルーゼ隊長は笑みを浮かべながらデータを見ていた。先程まではシミュレーター室には居なかったのだが俺がシミュレーターで訓練している間に来たらしい。
怪しさマックスな仮面を付けているのに部下から慕われている謎の男クルーゼ。無印のSEEDのラスボスさんだと思うと警戒したくもなるが、下手に勘繰られても怪しまれるだけだと今は大人しく上官と部下の関係だ。
「まさかアカデミーを卒業したばかりの赤服がミゲルのカスタマイズされた専用機を乗りこなすとはな。機動データも戦い方もザフトの一般兵と比べても高い部類だ」
「冗談で俺の専用機のデータでシミュレーターをさせてみたんですが、良い意味で予想外の結果を叩き出しましたよ」
二人揃って先程までの俺の機動データを眺めて検証をしている。そう、ミゲルに「素質があるから鍛えてやる」と言われた俺はミゲルに個人指導を受けていた。その中でミゲルが冗談で「俺の機体に乗ってみるか?まあ、動かすので精一杯だとは思うがな」と言われたのでマジでミゲル専用ジンをシミュレーターで乗ってみた所、割と乗りこなせてしまったのだ。結構ピーキーなカスタマイズだけどコツを掴めば俺と相性の良さそうなセッティングだった。
そこでミゲルが「じゃあ、そのまま使って見せろ」と訓練開始。最初は高速軌道訓練だったのが大量のメビウスと乱戦や対艦戦、更にはMSの模擬戦に至るまで様々なシチュエーション訓練をした。ミゲルの言うままに訓練を続けて流石に体力が無くなった所で俺はシミュレーターから出た。
流石に汗だくになっちまった。パイロットスーツの中が汗で凄い事になってる感覚。
「これだけの力があるなら期待が高まるなラスティ。これ程のMS適正がある者が私の隊に配属されるとは私は運が良い様だ。この分なら早く出世するかも知れんな」
「偶々ですよ、クルーゼ隊長。俺はMSに乗るのが好きなだけです」
期待って何だよ。アンタの手駒になれるってか?そんなんゴメンだね。落ち着いてきた俺は立ち上がりながら謙遜しつつクルーゼ隊長の評価をやんわりと否定する。
そう、俺はMSが好きだ。転生に気付いてからアカデミーの訓練時に乗った時から夢中になっている。単なる夢物語、SFの産物でしかなかったMSに実際に乗れた時からワクワクが止まらなかった。テンションが上がっていた俺はジンだけじゃなくバクゥやディン、グーン等のMSもシミュレーターで乗っていた。その結果、俺は様々なMSに対する適正値が高い事が判明した。慣熟訓練をしなければ乗りこなせないらしいが存外普通に乗れてしまった。
この事は実はクルーゼ隊に配属になってからも変わらず、MSを整備してるのを見学していたら手伝う様に言われて、ハードウェアにもソフトウェアにも関わる様になっていた。まあ、バリバリ出来る訳じゃなくて学びながら四苦八苦って感じだが。それを考えると戦闘中にOSを書き換えるとかキラの凄さを思い知らされる。
「ふっ……MSが好きなだけ、か。キミは新型やテスト機のテストパイロットに向いているのかもな。ミゲル用にセッティングされたジンを乗れる段階でキミの力は評価されるべきだ。これからも期待しているぞ、ラスティ」
「は、光栄です!」
クルーゼ隊長は笑みを浮かべながらポンと俺の肩を叩いて行ってしまう。本来なら隊長に期待を寄せられてると喜ぶべきなんだろうけど、ガンダムSEEDの黒幕って知っていると胡散臭い以外何者でも無い。
そして、この日から数日後にミゲルが任務の最中で専用のジンを小破させて帰投した。なんでも凄腕の傭兵と戦闘になり、相討ち気味の結果に終わったのだと言う。
そしてクルーゼ隊長から重大な情報を手に入れたと告げられた。次の任務の行き先はヘリオポリス。
遂に原作が始まる。