機動戦士ガンダムSEED〜ラスティ生存√リメイク〜 作:残月
空気が重い。いや、宇宙だから空気は無いのだが……なんて現実逃避もしたくなる。
アスランを乗せてエターナルが合流し、それぞれの再会を喜んだ。キラはバルトフェルドさんに謝罪をしていたがバルトフェルドさんとアイシャさんに生きているのだからいい、とアッサリと許されて困惑気味だった。
トールとアスランの仲もまだギクシャクしていたが『お互い様だった』とバルトフェルドさん達同様に今後の交流で解消されていくだろう。
では何が問題なのかと言えば……
「ねぇ……トール?年上のお姉さんの個人トレーニングは楽しかった?」
「とても厳しく楽しいなんて言えませんでした!」
腕を組み仁王立ちのミリアリアに正座のトール。
うーむ……ミリアリアを煽りすぎたかなぁ。でも、トールの対応もぶっちゃけ悪かった。
ミリアリアの『ラスティから話を聞いたけど年上のお姉さんに個人指導受けてたんだって?』と言う問いに『ああ、ビシバシしごいて貰ったぜ!』と答えてしまったのだ。
トールからしてみればキラの助けになる為に頑張っていたのだがミリアリアからのニュアンスは『年上のお姉さんにデレデレしていた』だったのだ。
目のハイライトが無くなるだけあるな。めっちゃ怖い。
「ミ、ミリィ……せっかく再会出来たんだから……」
「そうね。せっかくの再会だからロマンティックにしたかったかなぁ……ねぇ、ラスティ?」
ニコルが勇気を出してミリアリアを宥めようと頑張っているが効果は薄そうだ。するとギロ……と視線が俺の方に向いたので俺はクールにこの場を去る事にした。
「さて、俺はマユの見舞いにでも……」
「逃がさないわよ」
去ろうとした俺の肩をガシッと掴むミリアリア。肩に指が食い込んで凄い痛い。
「言っとくけど俺は嘘は言ってないからな?トールがキラやミリアリアの為にMSの訓練をエースパイロットに受けていたのは事実だし。勘違いしたのはそっちの勝手だからね」
「どう聞いても誤解する様な言い方をしたのも事実よね!?」
「ミリィ落ち着いて!」
俺が惚けるとミリアリアは俺の襟首を掴んでガクガクと揺らす。トールが生きてるから精神的な余裕もあるんだろうけどキャラ崩壊してんなー。ニコルの制止もそろそろ可哀想だし纏めるとするか。
「ま、ともあれトールとの再会を喜びなって」
「煽った人がそれを言うの?」
俺の言葉にミリアリアは俺の襟首から手を離した。
「それが出来たのもトールが生きていたからだ。火傷の跡は残ったけどな。そうやってトールを叱れるのも奇跡的な偶然が重なってなっただけだ。KIA(作戦行動中戦死)になっても可笑しくは無いんだからな?こうやって死の恐怖と生存の喜びを叩き込まないと、また同じ事が起きかねないぞ」
「あ、もしかして……わざと」
「ラスティ……」
そう。ニコルやアイシャさん、トールが生き残ったのを俺が手繰り寄せた結果だとは俺は思わない。ほんの少しの話のズレが生じた結果だと思ってる。一兵士の行動が残り全てに影響を及ぼすなんて気楽な考えはしちゃいない。
なんとかしようと努力は出来ても結果が伴わないのは当たり前だ。世界はそんなに単純じゃない。
だからこそトールやミリアリアにはわかって欲しかった。素質があったとは言ってもトールは素人に毛が生えた程度の訓練しかせずにスカイグラスパーで戦場に出て墜とされた。それで生還して当たり前だと思ってしまえばまた無茶をしてしまうだろう。
「だからこそ俺はトールに戦場に出るならギリギリまで訓練をして欲しかった。そして最後に気構えを整えて欲しかった……って所かな。これでお互いに理解もしただろ?」
「ああ……ミリィ。ごめん、散々心配かけさせたけど俺はキラを助けたいからアイシャさんに訓練受けたんだ。もう墜とされないなんて言えないけどラスティの言う通り……」
「ううん。ごめんなさいトール」
俺の言葉に改めて再会の喜びで抱きしめ合うトールとミリアリア。
ここで声を掛けるのは野暮だよな。ラスティ・マッケンジーはクールに去るぜ。ニコルもそれを察してから俺の後に着いてきてくれた。
でも、まあ……
「気構えも本当だが面白がってたのも事実なんだよな7対3くらいの割合で」
「ちょっと感動した僕がバカでした。ラスティはそういう人ですよね」
俺の最後のコメントにニコルは呆れた様子だが笑って俺の腕を取った。さぁてエターナルが合流したなら、そろそろ連合とザフトが来る頃だから気合い入れないと。