思い付くままモンハン小話   作:呉華(夜霧)

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『鬼火、喰らいて』の間のお話

※死にネタです
※出血表現があります
※捏造妄想を含みます


黄昏に

 

ざり、と音がして

かすむ視界に見覚えのある足が映る

 

『ああ、まだ生きていたか』

 

腕も足も重たくピクリとも動かせない

かろうじて動いた目玉だけ、声の主に向ける

 

「・・・俺、死ぬんですか?」

 

口内は鉄の味がし、自分が吐き出した血だと分かっている

腹も胸も焼けるように熱く、焼けた鉄で刺されたかのようだ

 

『・・・そうだね、じきに死んでしまうだろう』

「そう、・・・ですか」

『せめて、苦しまないようひと思いに、

 と願ったんだが、あの子も案外苦戦したようだね』

「あの、子・・・」

 

先程、自分と対峙していた娘のことだろう。

どこの誰かは分からないが、

自分が身に纏っていたカムラの装衣と似たような青い衣を纏っていた。

髪は黒く、その瞳が強かったことを覚えている。

 

『強かっただろう』

「ええ」

『あれが、今度の猛き炎だ』

 

合点がいった。なにもかも。

あの夜、俺はこの人に別れを告げて里を出た

その前と後の事はよく覚えていないが、気づけば大社跡に居て

気付けば高い崖の上で月を眺めていた。

 

やがて、あの娘と共に3人のハンターが大社跡にやってきて

まず娘が俺を見つけた。

 

〝誰だ?カムラの者か?〟

 

そう訊ねようとしたが言葉にならず

やがて他のハンターがやってきて、刃を構えた。

殺されては堪らないと反撃をしたが、火に油を注いだようで

あの娘から何度も何度も強烈な一撃を貰い、あちこちに傷を負った。

 

払っても叫んでも飛んでも、彼女たちは追い掛けてきて

やがて俺は動けなくなった。

これで里は安心だ、そんな事を言い合い喜んでいた。

 

「・・・それなら、安心ですね」

『うん』

「ああ、でも、あと少しで真実に辿り着けたのに残念だ」

『いや、出来なかったと思うよ』

「何故ですか?」

 

『〝ヒトの番人〟が、それを許さないからね』

 

 

なるほど、よく分かった

 

あの夜俺に別れを告げたのも、その双剣を抜いたのも

その役目を、果たすためだったんだ。

何も知らずのうのうと信じた俺に、師は身をもって教えてくれた。

 

〝真実は暴かれてはならない〟

それは、ヒトの為に。

 

この人は番人として、ただ役目を果たしたのだ

 

 

「・・・ありがとうございました、〝   〟教官」

『礼を言われるようなことはしていないよ

 寧ろ、キミを怨念の塊にしてしまった』

「いえ、俺が浅はかでした、早く気づくべきだったんだ」

『・・・・教えてあげられなくてごめん。キミでもう4人目だ。

 だけど、あの子のお陰で今度こそやっと、終わりにする事が出来た』

「・・・そうだったんですね・・・すいません」

 

悲しそうな師の表情に、申し訳ないと謝る。

 

あの日、ハンターを辞めると言わなければよかったのかもしれない

あの日、真実を追いたいと言わなければよかったのかもしれない

 

けれど、お陰で知ることが出来た。

彼らが何を求め、〝何に駆られて〟走り出したのか。

 

「・・・・・・・・・・・」

 

ごぼっと、口から赤黒い血が噴き出す。

 

(ああ、・・・・そろそろ、終わりだ)

 

薄暗い視界がさらに暗くなっていく

まるで、夜が来る前の空のようだ。

 

紅く、紅く、闇に包まれていく─

 

 

『お休み、○○○。

 次出会う時は、出来ればヒトとして会いたいね』

 

 

そうですね、俺も

 

そして、貴方も。

 

 

 

やがて微かに聞こえていた波音が静かになっていき

視界も真っ暗に染まっていった

 

最後にひとつ、まるで弔うような咆哮が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

嗚呼、でも、ひとつだけ心残りがあった

 

あの金色の龍の卵を、一度でいいから食べてみたかった。

 

 

 

 




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