Bewaffnete Magie〜魔力銃士の武装魔力学〜   作:一樂神無

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魔銃グレイヴ

 ボナパルトが秘薬の沼に堕ちていた頃、俺は一人寮の自室で、あるものを弄っていた。

「うーん、やっぱり咄嗟に急激な魔力送ったから回路が一部狂ってるな……」

 そう言いながら、手元にある魔道具の狂った回路を書き直す。

 俺が弄ってるのは、魔導銃『グレイヴ』。俺の自作の杖のその今現在の完成形であるそれは、俺の弱点を補強し、そして俺の考えた新たな魔法を撃つための必須のものになる。

 元々、杖の核になる素材を探している中偶然骨董屋の投げ売り品にあった『銃』と呼ばれる物品を研究改造して作ったものである、この世界でたまに出てくる謎の物品、ちゃんとした機関に見つかれば国の機関で研究されて、国の発展に利用されるが一般人が見つけた時は多くの場合は街の骨董屋に二束三文で売られている、まぁ使い方がわからない物が高値で売れるわけないのだが、高く買うのも物好きの金持ち位である、そんな風に骨董屋で売られていたそれを安く売られていたそれ、見た目は鉄製のに突起がついた形状、解体していく中で騎士団の使うクロスボウに近い仕組みで鉄製の礫を撃つ出すものだと解り、領の図書館で資料を漁る中で『銃』というものっぽいのでそう呼ぶことにし、ちょうど開発出来た新方式の魔術回路を組み込むことで杖として魔法が撃てるようになった。

 撃てるようになった当時は狂喜乱舞したし、その威力が至近距離で撃って木の板も貫けないほどの威力だとしても十分な結果であった。更に改良を加えることで威力と射程距離、魔法バリエーションは増え、更に机上の空論であった技術も実現し本当の意味で血を分けた相棒と呼べるまでになった。

 しかしながら、こいつに込めた技術自体の危険性を考えたら今現在表に出すわけには行かず、出すならもう少し安全性を確保してからだと考え、普段はグレイヴの一部回路を流用した手袋型の杖を普段遣いするようになった、それでもこいつでしか使えない魔法もあるのは確かなので複雑な心境である。

 

 そんな相棒も先日ニーナの足の治療に使った際に無意識に魔力量を多く使ったせいで一部回路に狂いが出たみたいだった、ほんの僅かな狂いだが精密機械であるこいつの場合それが命取りになる、というかこの素体の量産ができてないから壊れたら大変というのもある、分解して修理はできるが一部精密な部品が作れないのである、小さな亀裂位なら錬金で直せるだけどな一からは俺の技術では難しい、この学校にいる間にそこら辺が得意な人間と繋がりができたら嬉しいのだが

 

 

 そうこうしている内に回路の修正が終わり、分解していた部品も組み上げ標準の確認をする。

「……狂いなし、あとは…………『リロード』」

 言葉と同時に俺は五芒星の刻まれたグリップを握る。グリップには魔力吸収の回路が組み込まれており、これは俺の弱い魔力放出を強化してグリップ中央の魔石に魔力を吸収させる効果がある。

 集めた魔力は内部の回路を通して内部に溜め込み組み込まれた魔法陣で魔力圧縮と魔法の構成、トリガーと連動したハンマーの衝撃をキーに構成した魔法弾を発射というメカニズムである。

 この世界の魔法はイメージで構成される、街の魔法塾や家庭教師に魔法を見せてもらって大まかな完成図を覚え自分でそのイメージを変化させるのが現在のメジャーな方式である、昔は詠唱によって魔法を使っていたらしいが、数多くの戦場の中で無詠唱の技術が向上今に至るわけである、詠唱技術の衰退と同時に利便性の乏しさから魔法補助具であった杖の需要も無くなり衰退していったと本で読んだ。そんな廃れた技術を掘り起こして発展させようとしている自分に内心苦笑いを浮かべる。

 重厚を部屋の対極に置かれた的に向けると俺は空弾を打ち出す、発射されるときの小さな反動を腕で感じ弾丸は狙い通り的を押し倒す、次に炎弾、水弾、石弾と実体弾を撃ち込み回路が正常に稼働することを確認して銃口を下ろす。

「ロック」

 魔力回路を止める詠唱を呟き、本体に取り付けた安全装置をロックすると革製のショルダーホルスターに収め、その上に制服の上着を着込むと鞄を持って部屋を出た。

 

 

 通学路でいつものごとくお転婆娘(ニーナ)に絡まれ、机に謎の手紙が入っていたことは今は気にしないことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『放課後、校舎裏で待ってます』

 昼休みに読んだ手紙にはこの一言のみしか書かれてなかった。本来なら、愛の告白と浮足立つものだが、今回に限っては書かれた文字が明らかに男の文字だったので心の底から面倒臭さでため息が出る、まぁ無視してもいいんだけどわざわざ手紙書いて呼び出す誠意に乗って、行くことにした。

 カルーエ姐さんに放課後女子会に誘われているニーナと教室で別れ、一人校舎裏に行く。途中売店で極糖ミルクコーヒーを買い、後ろで追ってくる気配を感じながら校舎裏に向かう

 

 

 

 校舎裏で微温くなったコーヒーを飲み舌に残る砂糖のザラつきを感じていると、缶が岩の槍で貫かれた。

 振り返ると先日模擬戦で立ち会ったレオリオ・ボナパルトが三人の男を連れてそこに立っていた。さらに言えばそのお付は俺の顔見知りである

「エバルト……お前らなんでここにいるんだ?」

 ボナパルトが連れていたのはエバルト、そしてその腰巾着の赤髪モヒカンのガンと緑髪リーゼントのジョーだった。クラスの違うコイツらが貴族のボナパルトとつながるのは意外だったがそれよりも、飲み始めたばかりのコーヒーをダメにされたことに俺は殺意に似た感情を抱く、せっかくの糖分、ニーナやカルーエ姐さんにバレたら折檻確実の砂糖たっぷりの極糖品をダメにされたのだ。堪忍袋の導火線に火を付けるのは容易だった。

「バカ正直に来るなんて以外に危機感ないんだな、いやもしかして愛の告白だと思い込んだくちか?」

 ボナパルトがそういうのを聞きながら俺はバカ四人をジト目で睨みつける

「あんな些末な手紙で騙されるほど、飢えてないんだよ。で、用事ってもしかしてこの前の再戦か?」

 手袋に魔力を通しながら、そう問いかけると四人は同時に魔法を放つことで答える。

 俺は、自分の急所に当たる物を選択して反属性で相殺すると、一気に踏み込む先ずは手前でアホ面晒しているガンの面を踏みつけ四人の裏を取る、空中で適当に作った岩を降らせ意識を散らせ、そのまま低空から炎弾を乱射、その炎弾をエバルトが土壁で遮り、崩れた隙間からボナパルトの炎刃、ジョーの風弾、ガンの火球の乱射が飛んでくる。

 それらを紙一重で躱しながら近寄るとボナパルトの目を狙い横一文字で剣を振るって来る、急制動で斬撃を躱し重心が後ろに傾いたところをジョーのタックルが入る、足腰に力を入れてタックルに耐え力比べに入る、体格もあるが昔から相撲が強いジョー相手に押し負けそうになるところで他の三人が魔法で援護してくる。俺は魔力強化を発動させ巨漢を持ち上げるとその体で魔法を防御しうめき声を上げるジョーを頭から足元の大地に叩きつける首が詰まる衝撃を感じるジョーをそのままにし、鉄パイプを握ったガンの懐に入り振り上げた両脇に両手を差し入れ持ち上げるとそのまま立てた膝に奴の股間を叩きつける股のアレのコリッとした感触と声にならない悲鳴を上げ股間を押さえるガンの顔面に蹴りを叩き込み意識を奪うと、俺の足が地面を失い天地が逆転すると同時に後頭部に鈍い衝撃を受ける揺れる視界と頭の痛み、そして背後で気持ち悪く笑うジョーの気配へそ周りに巻かれていた両腕を放しブリッジからジョーが起き上がり、開放された俺が地面に横たわる揺らぐ視界の端で肘を立てたジョーの巨漢が降ってくるのが見える、鈍った体を必死に動かしエルボーを避けるとその背中をエバルトが蹴り上げる、その衝撃を利用し起き上がると同時にエバルトの顎を掌底で跳ね上げ、距離を取るお互いに距離を取り構える、のそりと起き上がるジョーが吠える。踏み込むと同時に大振りながら体重の乗った横殴りの右、そこに被せるように左のカウンターを合わせる。跳ねるように首がまわりジョーの脳が揺れる、力なく倒れるジョーの背後からボナパルトが剣を振り下ろす。

 その剣を握る右腕を両腕で抑えるとボナパルトは空いた右手を俺の腹に突きつけ火球を連射する。

 熱と衝撃で中身を逆流させようとする胃を根性で抑え込み、苦し紛れのケリで間合いを空ける。

 空けた間合いの中で息を吐いた瞬間エバルトが鉄パイップを頭部に向かってフルスイングしてくる、俺をギリギリで躱すとエバルトとボナパルトが苦虫をかみ潰した顔をしながら俺を睨む。

 

「ちっ、四対一でも仕留めきれないなんてしぶとい奴だな」

「えぇ、コイツのしぶとさは昔から折り紙つきですから、属性適性だけで大した魔法も使えない落ちこぼれなくせに俺より上位クラスに行きやがって…………」

 

 そう言い睨む二人に俺は精一杯の皮肉めいた微笑みで返す。

 

 

 

「……。使わなくても勝てるだろうと考えていたが…………」

 そう言いボナパルトは制服のポケットから小さな革袋を取り出すと中から錠剤を取り出し一粒をエバルトに差し出す。

「それは!?」

「飲め」

 咄嗟に訊くエバルトの問いにボナパルトが低い声で答える、よくわからない錠剤を渡されて躊躇うエバルト、その背中を押したのは平民が貴族に逆らえないというあり種の刷り込みとそして今まで下に見ていた俺に魔法で良いようにやられた事実による傷つけられた自尊心であった。

 それは、錠剤を渡したボナパルトも一緒だろう、模擬戦での失態、さらに多勢を連れての襲撃で倒せない俺に対しての悔しさに腸が煮えくり返ってるのだろう。

 

 

 

 

 

 俺は最大限の警戒をしながら、ゆっくりと斜に構える。動きやすく、少しでもヒットゾーンを狭くするためだ、そしてそんな緊張感の中に異物が入った。

「あっ、カズミ! こんなところにいたんだ」

 そう言い駆け寄ってくるニーナ(異物)その姿を目に入れたと同時に、その場の空気が震えた。

 振り返るとそこには先程と比べ物にならないほどの魔力を纏ったエバルトとボナパルトがいた。視認と同時に迫る炎と岩石、それを両腕でガードする、先程とは比べ物にならない魔法の威力、込められた魔力の密度が違った。弾かれた腕を戻そうと引き寄せようとすると眼前に切っ先が迫る、背をそらして剣を躱しバク転で距離を開けると、足に痛みが走る視線を落とせば右太腿に大きな切り傷が走っていた。太刀筋のキレが違う身体強化がなかったら足一本持っていかれた。

 一瞬緩んた意識の隙間をエバルトが拳を固めて迫る、普段ならしない選択肢、手下のジョーのように殴り慣れてない振るっただけの拳それを、外側に弾くとガラ空きの腹にミドルキックを叩き込む柔らかい腹に俺の右脚がめり込む、そのまま振り抜こうとするがエバルトがその足を抱える、脚を掴んだことでこっちの動きを止めたと安心してニヤケ面で魔法を構えるが、その掴まれた足を軸に左脚でエバルトの延髄を叩き切る、蹴りの勢いのまま地面に顔面から叩きつけられるエバルト、開放された脚を引き抜いて距離をあける。あけると同時に頭上から降ってくる炎の矢、その矢をニーナが風で吹き飛ばす。

「なに、喧嘩? 入学早々トラブらないでよ!」

 俺のそばに駆け寄って、毒づくニーナに苦笑いで返し剣を振り上げて斬りかかるボナパルトの剣を狙いその刃を砕く、刃を失って使い道を失った剣の柄を投げつけ右手から炎、左手から水を集める、コイツ二属性持ちかよ、というかニーナのやつも喜々した顔で魔法を構えるな右手に留めてる風の魔力に巻き込まれた草と小石が当たって痛いんだよ

「あぁ、ニーナさん気合入ってるところ申し訳ないけど、コレ()()()()な」

「なぁに言ってるの? こんな楽しそうなこと参加しないでどうするのよっ!」

 そう言い、左手に構えた炎を二十の矢に変換し一気にボナパルトに叩き込むがその矢の壁を鞭にした水で叩き消し、身の丈の二倍はある巨大な槍衾を作りニーナを押し潰さんと押し出す。

 迫りくる炎の壁にニーナは身を屈め、頭上に半円状の風壁を作りそれと同時に壁が爆発するように倒れ込む、湧き上がる砂煙俺とニーナを同時に倒したと思っているのか、ボナパルトは満足そうに笑う、その汚い満面の笑顔に俺の踵が突き刺さる、駆け抜けた割れた土煙の奥、力が抜けて座り込むニーナの周りを崩れた土壁が囲っている。咄嗟にニーナ風壁の上に土壁をかぶせて守ったが流石に自分まで手は回らなかった。焼かれたところを水魔法で雑に消火しズタボロのなった制服を翻し渾身の浴びせ蹴りを奴の鼻っ柱に叩き込んだ、折れて鼻血を垂れ流す顔面のままひっかくように水と炎の刃を振り回す、ボロボロの制服を更に引き裂きながら前進するボナパルトに追い立てられるように下がる、魔法訓練を行うため、対魔法繊維を織り込まれた制服を切り裂く刃の乱打に俺は反撃の間を見つけることができなかった、だがそんな乱打もそう続くことはなかった。

 いきなり凪いだ乱打、途端に力なく項垂れたボナパルト訪れたチャンスに俺は手袋に土属性の魔力を流し込み拳を固くし渾身の右アッパーを奴のボディに叩き込む、鳩尾にめり込み肺の中身を吐き出しその場に蹲るボナパルト、横隔膜の痙攣で呼吸ができなくなり震えている、顔面に叩き込まなかったのは本能だった、あの威力を薄い顔面に叩き込めば確実に骨は逝くし、下手すれば命すら奪いかねない、だったら肉のついた腹のほうがまだ、命は助かるただそれだけだった。

「もう、無駄に喧嘩売ってくるなよ」

 そう言い、踵を返し制服についた土を払っているニーナに手を振り、帰路につこうとしたがそれをボナパルトの叫びが止めた。

 

「まだだ、まだ終わってねぇ!!」

 フラフラと立ち上がったボナパルトはそう叫ぶと先ほど薬が入っていた革袋を出すとその中身を一気に口に入れ噛み砕く、するとボナパルトの体が制服を破るほど膨れ上がり、目が真っ赤に血走り、流れていた血も止まった。明らかに異常な変化だが一番の変化はそこではなかった。

「シネ」

 片言のそれと同時に真っ赤な炎が俺を巻き込む、再び焼かれる体全力の水と風魔法で炎の渦を引き裂く、炭になった制服の上着を脱ぎ捨て、俺は手袋が焼失し素手になった手で髪をかきあげると、ニーナに声をかける

「ニーナ、先生呼んで来い! 早く!!」

 聞くと同時に駆け出すニーナを見送ることなく、俺は今の状況に集中する

 無作為に乱射される魔法を躱しながら、俺はホルスターからグレイヴを抜いた。

 

「リロード、『フレイムバレット』」

 安全装置を外すと同時に真っ赤な弾丸を打ち出す、弾丸が当たると同時に燃え上がるボナパルトの肉体、しかし多少の火傷を苦にしないで前進するボナパルト、人並み外れた速度と力まかせの肩からの体当たりが俺を吹き飛ばす、飛ばされながら緑色の弾丸『エアロバレット』を乱射当たると同時に吹き出す風に乗り、暴力の塊から距離を取ると地面に向かって黄色の弾丸『ランドバレット』を撃ち込石壁を作り出すがそれもすぐさま砕かれる、振り回される腕から逃げながら、俺は必死に魔力弾を打ち続ける、貫通力に優れた青の弾丸『ウォーターバレット』で腕を抉っても、ランドバレットで内部で作られた岩で貫かれてもなに食わぬ顔で岩を引き抜き傷が塞がってしまう。

 

「ただの属性弾だとダメか、ただの魔力弾なんてもっと意味ないだろうし…………使うか」

 そうつぶやき、俺は暴風雨になっているボナパルトの攻撃を躱しながらグレイヴに魔力を送る、コイツはただ魔力を弾丸にして撃ち出す銃ではない、複数の魔法を合成して新たな魔法として撃ち出すことが可能なのである、複数の魔法を使うための並行思考能力や繊細な魔力操作を必要とするコレを扱えるのは俺だけであり、素体の希少性も相成って完全なワンオフ品である。

「フリーズバレット」

 完成した混合魔力弾をボナパルトの足元に撃ち込むとそのままボナパルトの足元を巻き込み凍る、水と風の魔力を混合し弾丸の当たった場所を凍らせる『水冷魔法』を込めた弾丸による拘束、もがくボナパルトから一気に距離を取ると、土魔法と風魔法の混合魔法『雷撃魔法』を込めた「ライトニングバレット』を矢継ぎ早に撃ち込む、一発でクマも動きを止めるそれだが、完全に暴走状態の奴が一発で効くわけないので、効果が出るまで撃ち込む、次第に動きが鈍るボナパルト、突き出された状態で止まった腕を潜り接近しながら火と風と土の魔力を混合、銃口をボナパルトの腹に押し付ける

「チェックメイト『エクスプロードバレット』」

 詠唱と同時に銃口から漏れる魔力光、耳をつんざく音と肩を持っていかれそうになる衝撃と熱がボナパルトの内蔵をかき混ぜる、周囲のガラスを震わせるような雄叫びを上げ、力なく膝が折れる前のめりに倒れると、膨れ上がった肉体がしぼみ本来の引き締まった体に戻る、警戒しながら安否確認のため体をひっくり返すと、『爆裂魔法』が当たった腹が焦げておりその威力に撃った本人ながら、相手の内臓を心配してしまう。

「…………まぁ、いいか。危ない薬使った自業自得ってことで」

 そう言い、グレイヴをホルスターに収めると、同時にニーナが数人の先生を連れて戻ってくる。

 俺は、手を振り場所を伝えると、教師陣が倒れているボナパルトたちの状態を確認し保険医の指示で保健室に搬送される、それを横目に俺は生徒指導室に連れて行かれ事情聴取、事の経緯を説明していたら開放されたのは夜も更けた頃になっていた。帰り道安全のため付き添っていた生徒指導主任が近くの食堂で夕食を奢ってくれたのは怪我の功名と考えよう。ズタボロになった制服は買い直しになり、その費用は今回のことの説明ついでにボナパルト家に請求されるらしい。

 

「今日は散々だったな」

 部屋で力なく呟くと、ホルスターから相棒(グレイヴ)を抜き眺める

 予定より早く使ってしまった。本来ならもう少し学内で鍛錬して合成魔法の地盤を固めてから使うつもりだった。だが、今回の一件で貴重な実戦データが取れたから良しとするか、その代償があの面倒くさい教師陣への説明だったのが不満だったが

「しっかし、まさかアイツが二属性持ちしかも反属性だったとは」

 剣の腕があり二属性持ち、扱いにくい反属性ではあるがそれをどうにかすれば今回のように薬に頼ることがなくなるはずだ。

「まぁ、そこをどうにかするのは本人次第なんだけど」

 正直、助けることはできるがそれを受けるかは本人次第である。ため息混じりにガンスピンさせホルスターに相棒を収めると、ベットに倒れ込むとそのまま眠りについた。

 

 

 今回の教師陣への説明が更に面倒くさい騒動に発展するとはこのときの俺は思ってもいなかった。

 

 


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