うずまき忍者 in DxD   作:min-can

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戦闘校舎のフェニックス編
ホームステイ大作戦


 堕天使の事件を解決してはや一か月。

 俺はエロ仙人や部長のお兄さんのお陰で、ここ駒王町での生活をこれまで通り続けられている。

 

 変わった事と言えば正式に部長の専属忍となったので命令されれば従う忠実な僕と化しているが、今の所雑用くらいにしか使われていない。

 まぁ、ここは部長の管轄地で情報収集等も向こうの方が上手なのだから致し方ない。実力行使が必要な場面では遠慮なく使われるだろうしそれまではのほほんとさせてもらおう。

 

「ほらイッセー、後5cmで俺のクナイが背中に突き刺さるぞ?」

 

「待てって!!まじで死ぬから!!死ぬ!!」

 

「大丈夫大丈夫。アーシアさんを信じろ」

 

「ざけんな!!!しぬぅぅぅ!!」

 

 現在俺はイッセーと追いかけっこをしている。

 一応言っておくが、別にイッセーを殺そうとしている訳じゃない。決してアーシアさんとイチャイチャしているのを見るのが腹立たしくて八つ当たりしている訳ではないのだ。

 

 事の発端はイッセーの言葉だった。

 

 ...俺を鍛えて欲しい。

 

 堕天使の事件で自らの弱さを痛感したそうだ。アーシアさんを自分の力で守る事が出来なかったのが悔しかったらしい。

 後は部長に強くなれば爵位への道も見えてくるわよという言葉も大きかったのだろう。目に見えてやる気を滾らせていた。まぁすぐにダレてしまっていたので今は脅迫しながら鍛錬させているが。

 

 ...走り込みが終わった後の公園での筋トレには部長とアーシアさんもやって来る。そっちは完全に部長に任せているので見ているだけだが。

 俺の仕事は早朝にイッセーを叩き起こして走り込みをさせる事だ。後は最後にイッセーと軽く組手するくらい。

 

「はいゴール。おつかれイッセー」

 

「お前...ほんとに...ぜぇぜぇ...覚えとけよ...」

 

「俺に一泡吹かせられるくらいには強くなってもらわないと困るってばよ」

 

 イッセーの力については部長にも少し話を聞いている。イッセーにどのような力が眠っているのかは分からないが、兵士の駒全部を使った以上龍の手(トゥワイス・クリティカル)だけがイッセーの力というのはあり得ないとの事だ。

 

 イッセーの本来の力を目覚めさせる為にも、単純にイッセーに強くなってもらう為にも、今やってる鍛錬はとても大切なはずだ。

 もしイッセーの中に眠る力が神器(セイクリッド・ギア)と関係なく、一見外からは感じれない変な力だったとしても、龍の手(トゥワイス・クリティカル)を有効活用する為には少しでも身体能力が高い方が良いだろう。

 

「おはようイッセー、ナルト。調子はどうかしら?」

 

「おはようございます。いつも通りヘロヘロですよ」

 

「おはよう...ございます...ぜぇ」

 

「今日もしっかり追い込まれてるようね。それじゃあ少し休憩したらトレーニングを始めましょうね?」

 

「うぅ...はい」

 

 イッセーは項垂れながらも返事をしていた。

 

「イッセーさん、部長さん!遅れてすみません...!はぅっ!」

 

 アーシアさんがこちらに駆け寄ってきて、盛大に転倒していた。

 

「大丈夫かアーシア?」

 

「うぅ...はい。大丈夫です」

 

「そっか。いつも悪いなアーシア、俺のトレーニングなんかに付き合ってもらって...早起き辛かったら来なくて良いんだぞ?」

 

「いえ!私にできるのはこれくらいですから...あの、今日はサンドイッチを作って来たのでトレーニングが終わったら一緒に食べませんか?」

 

「まじで!?ありがとうアーシア!よっしゃー!今日も頑張るぞ!!」

 

「喜んでもらえてうれしいです」

 

 アーシアさんはイッセーの事が好きなようだ。確かにちょっと頼りない所はあるけど、惹かれる理由も分からないではない。堕天使の事件の際もイッセーなりに出来る事は色々やっていたし、勢力なんて関係ないって言葉にはアーシアさんもかなり救われたのではないだろうか。その後の生活でもイッセーはかなりアーシアさんを気にかけている。コロッといってしまったのだろう。

 ...にしても急接近しすぎたとは思うけど。

 そのくせイッセーはアーシアさんの好意にいまいち気付いていない。アーシアさんの好意からの行動を全て優しいから、浮世離れした純粋な子だからと処理してしまっているようだ。頑張れアーシアさん、陰ながら応援しているぞ...イッセーは爆発すればいいと思うけど。正直見てると砂糖吐きそう。

 

「あの二人は本当に仲良しね」

 

「違いない...さっさとくっついて欲しいってばよ」

 

「そうね。ただ、二人がそういう関係になるのならやっぱりアーシアには悪魔になってほしい所ね...難しいかもしれないけれど、やっぱり寿命の差は大きいと思うから」

 

 そうなのだ。アーシアさんは未だに悪魔になってはいない。まぁ、踏ん切りをつけるきっかけが無いのだろう。明らかにそちらに意識が傾いているのは見て取れる。

 

「この調子なら何かのタイミングでコロッと悪魔になりそうですし、見守っていればいいんじゃないですかね?」

 

「えぇ。最終的に選ぶのは彼女だし、そうさせてもらうわ...そういうあなたはどうなのかしら?」

 

「悪魔ですか?...あんまり考えてないってばよ。そもそも俺が転生できるのかって話もあるし」

 

「違うわよ。いえまぁ、そちらも完全に諦めた訳ではないけど、あなたに特定の異性は居るのかしらって話よ」

 

「俺!?...なんで俺に聞くんすか、居ないっすよそんな相手」

 

「別に、ただの世間話じゃない。私の眷属はあまりそういう浮いた話が無いから、あなたはどうなのかしらと気になったのよ」

 

「そうなんですか?全員めちゃくちゃモテそうですけど...」

 

「異性に外面だけで好意を持たれるのと、そういう関係になる事には大きな隔たりがあると思うわ」

 

「なるほど...」

 

「さて...休憩は終わりねイッセー、いつも通りまずは腹筋からよ!」

 

「はい!!」

 

 部長はイッセーの方へと歩いて行ってしまった。

 

 さてと...俺も自分の修業をするかな。

 あぐらをかいて座り、目を瞑る。

 

 意識を、薄めていく...自然と一体に、自分と世界の境界線を少しづつ曖昧にしていく...

 

「無理!!無理です部長!!こんなもの背負いながらスクワットなんてできません!!」

 

 イッセーの叫び声で急速に意識が戻ってくる。

 ...ダメだ。イッセーの声なんて軽く無視できるくらい世界へと意識を没入させないといけないのだが、どうにも上手くいかない。

 だいたい五感や意識を消して周囲のエネルギーへの感覚だけ研ぎ澄ますとか矛盾してるんだよなぁ。それに集中すればするほど、腹の中の九尾のチャクラの存在感がでかくなってくるのも集中の邪魔になる。

 

 自然エネルギー感知の為の瞑想は隠れて結構昔からやっていたが、なかなか上手くいかない。蝦蟇の口寄せがある以上、妙木山の存在もあるはずなのだがエロ仙人がまだ早いと言って連れて行ってくれない。

 正式に仙術の事や瞑想修業を教えて貰えたのもごく最近だ。その際、我流のやり方が間違っていたことがわかってへこんだ。ガマ油があれば一発なんだけどなぁ...

 

 本当はもっと自然あふれる場所でやるべきなのだが、行くのが面倒だしあえて自然の少ない難しい場所で訓練する事で実際に妙木山に行けた時にスムーズに修業できるのではないかと踏んでいる。

 

 ...今の所、原作をなぞるように実力をつけて行っている。本当は風遁とか別の術なんかも色々修業してみたのだが、なかなか上手くいかなかった。

 単に術をまともに使える才能が無いのか、恣意的な何かが影響しているのか。もう記憶も薄れて来ているが、俺とサスケの行きつく先がNARUTOの最終決戦時の実力だと明言されている以上、途中経過も同様に何かしらの制限が設けられているのかもしれないな...

 

 もしもそれが正しいのなら非常に腹立たしい。そうなら俺は時期が来るまで仙人モードを習得できないという事になる。そしてその時期がいつかも分からないのだ。

 まぁあくまで仮定でしかないし、実際にこうやって修業は出来ている以上得る物はあるはずだ。

 黙ってやるしかないのはわかってる...

 

 目を開くとイッセーが無駄にでかいリュックサックに押しつぶされていた。

 

「立ちなさいイッセー!後10回残ってるわよ!」

 

「頑張ってくださいイッセーさん!」

 

「ぐぅ...うぉおおお!ハーレム!!!!」

 

 イッセーがプルプルと手足を震わせながら立ち上がる。やっぱり根性あるな...

 

「俺ももう一回頑張るか!」

 

 イッセーのトレーニングが終わるまで、ひたすら瞑想を繰り返した。

 

 .......

 

 トレーニング後の組手でイッセーを何度も何度も転がし、アーシアさんがイッセーの治療をした所で今日のトレーニングは終了した。

 

 先程のアーシアさんの言葉通りここで朝食を取る事になった。

 アーシアさんは俺や部長にもサンドイッチを作ってくれていたようで、部長とアーシアさんがベンチ、男二人は地べたに座って食べることになった。

 こうやって友達と一緒にご飯を食べる事もこの体では久しぶりですごく楽しい。

 

 ...今までの俺は本当に人との関わりに飢えていたようだ。そりゃそうか、何をどう思っていたって人間は社会的動物。本能で人との関わりを求める物なのだから。

 

「旨いよアーシア!」

 

「本当ですか?良かったです!」

 

「えぇ、本当に美味しいわね。ありがとうアーシア」

 

 俺もぶんぶんと頷く。アーシアさんがイッセーの事を好きなのはわかっているが、それはそれとして女の子の手作りを食べられるのは普通に嬉しい。

 

「えへへ、ありがとうございます」

 

 アーシアさんも随分と良く笑うようになった。

 イッセーも頑張った甲斐があったという物だろう。あの時、プレッシャーを放っていた部長にアーシアを助けたいと言い放った胆力はなかなかの物だ。

 

「さてと...そろそろ良い時間ね」

 

「何の時間ですか?」

 

 イッセーが尋ねる。

 

「それはあなたの家に着いてからのお楽しみね」

 

 部長がいたずらっぽい笑みを浮かべる。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 イッセーの家の前に大量の段ボールが積み上げられていた。

 

「さぁイッセー、これもトレーニングよ。この荷物を全部部屋へと運んであげなさい」

 

「運ぶ...?これを俺が、俺の家に!?」

 

「そうよ、これはアーシアの荷物ですもの。運んであげるのが紳士なんじゃない?」

 

 その言葉に俺は驚愕を隠せない。

 まさか...この段階でもう同棲生活を繰り広げるというのか...!?

 

 早い...あまりにも早過ぎる...

 それとも悪魔の恋愛観はこんな物なのか?出生率が低いらしいから一度そういう関係っぽくなっていったらあっという間に進めていくのか...?

 

「アーシアの荷物!?まさか!」

 

 イッセーも声を荒げる。

 

「そうよ、今日からアーシアはあなたの家に住むの」

 

「はい、えっと。よろしくおねがいします...イッセーさん!」

 

「えぇーーーー!?」

 

 イッセーの大きな声が閑静な住宅街に鳴り響いた。

 

 .....

 

 現在部長によるイッセー両親の懐柔作戦が繰り広げられている。

 イッセー、ご両親にまでドスケベと思われてるのか...筋金入りだな。

 この前この家に遊びに来た時すげぇ分かりやすい所にエッチな本を隠してたし、当然母親にもバレてるわけか。

 

 ちなみにご本人はアーシアの荷物をせっせと運んでいる。俺も手伝おうとしたが、イッセーのトレーニングだと言われてしまったので仕方なくここに座っている。

 一番関係のない俺がここに居て、一番関係のあるイッセーがここに居ないのはどういう事なのだろうかとぼけっと椅子に座りながら考える。

 

「ナルト君...あなたもアーシアさんをこの家にホームステイさせる事に賛成なの?私はそんなことになったらアーシアさんが心配で心配で...」

 

 顔見知りだからか、イッセーのお母さんに尋ねられる。

 

「あー、まぁ賛成ですかね。確かにイッセーはどスケベですけど、肝心な所は案外鈍いんでそんなに心配することもないと思いますよ?アーシアさんも既にイッセーと仲良しだし、これ以上ないホームステイ先だと思います」

 

「本当に...?」

 

「はい。イッセーはアーシアさんの事をすごく気にかけていますし、アーシアさんが嫌がる事は絶対にしないです。根が真面目なのはお二人の知るところでしょう?」

 

「...確かにそうね。私は息子を疑いすぎていたのかもしれないわね...」

 

 そこから部長主導でアーシアさんがイッセーの事を褒めていく。アーシアさんは間違いなく本心で言っているので思いが強く伝わっている事だろう。

 

「うちのイッセーがねぇ」「あのイッセーがこんなに慕われているなんて」

 

 イッセーの両親も満更でもないようだ。嬉しそうにしている。

 良かったなイッセー。お前の与り知らぬ所で親孝行が成されているぞ...

 

 そして部長がトドメの一言を言い放つ。

 

「今回のホームステイは花嫁修業も兼ねて...ということでどうでしょうか?」

 

「花...!?本当かいアーシアさん!?それは本当なのかい!?」

 

「はい?え、えっと...?」

 

 イッセーパパに気おされてアーシアさんがあたふたする。花嫁修業の部分には反応してなかったな...元々そのつもりだったのか、花嫁修業の意味が分からなかったのか、どっちだろうか。

 

「簡単な事よアーシア。イッセーの事が好きなのでしょう?」

 

「ふぇっ...その...はい」

 

 顔を赤くしながらコクリと頷く。

 

 イッセーの両親はしばらくフリーズした後泣き出した。

 

「アーシアさん!ありがとう!!あんなダメ息子だが、よろしくお願いできるだろうか...!」

 

「そんな...イッセーさんはとても素敵な方です!」

 

「まぁまぁアーシアちゃん。嬉しいわ!任せなさい!誰がどう拒否しようがホームステイを許可させてみせるわ!!」

 

「ばかもん!大賛成に決まっているだろうが!やったな母さん!!」

 

「えぇ!」

 

 ひしとイッセーの両親が抱き合う。

 ...俺は一体何を見せられているのだろうか。

 

 ずずとお茶をすすった後、俺は天井を仰ぎ見た。

 

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