「だぁぁぁ!!」
「まだまだ甘い!」
俺はイッセーの拳を避けて背中にチョップを叩きつける。
「がはっ!!」
「一撃受けたからって怯むな!!」
「うぅ...ぐ!げっほ!!!!ぶはっ!!」
イッセーが吹き飛んで大の字に倒れる。
「ふぅ...まぁ、一旦こんな所か」
「く...っそ、全然...敵わねぇ」
「当たり前だってばよ...アーシアさん、イッセーの治療をしてあげてくれ」
「はい!」
アーシアさんは俺の言葉を聞くとすぐに駆け出した。戦闘中ずっと飛び出しそうになっていたくらいだし、見てるだけなのは相当堪えたのかもしれない。
「っっ...ありがとうアーシア、もう大丈夫!」
「イッセーさん...私応援しか出来なくて、ごめんなさい」
「そんな事ないよ。こうやって治療してくれてるじゃないか!それに、アーシアの応援があればいくらでも頑張れるってもんだ!!...な?」
「...はい!」
うぅ...なんだか俺が悪者みたいだ。まぁ間違っては無いけど。
「よし...もう大丈夫!おっしゃー!!」
イッセーが突進してくるので軽く躱して足を掬い地面に叩きつける。
「今日はもう戦闘訓練は終わりだ。正直戦闘技術に関しては一朝一夕じゃどうにもならない。だからせめて今日の戦いで足りないと思った所をきちんと意識してくれ。例えば振りが大きいとか、隙が大きいとか、攻撃を受けると止まっちまうとか...意識してれば少しはマシになるからな」
「おう!」
「とはいえ、明日からもガンガン戦闘訓練はやっていくってばよ。結局数が物を言うから、少しでもお前に経験値を与えてやりたい。他にも木場や搭城さんなんかとも戦ってもらう。一人だけ相手にしてたら変な癖がついたりするからな」
「えーと、よく分かんねぇけど皆と戦えば良いんだな?」
「まぁそういう事だ...そんで、今から飯食う時間までは筋トレの時間だ。とりあえずこのメニューをこなしてくれ」
俺はイッセーとアーシアさんにメニューを手渡す。
「えぇと何々...重りをつけた状態で各種トレーニング200回、山を上り下り3セット...なぁナルト、書いてる事があまりにも現実的じゃないんだが」
「そんな事ないってばよ。ほら、これが重り」
「うげ...って重!!!嘘だろ!!なんでリストバンドがこんなに重いんだよ...!」
イッセーがたまらず落とすと地面にめり込んだ。イッセーは目をぴくぴくとさせている。
「メニューに書いてる通り時間で区切ってるから、最後まで出来なくても時間切れになったら次のメニューに行く。お前はただ限界までやればそれでいい。言っておくが
「時間切れ...」
「別に手を抜いても良いが、目の前の人間が限界かどうかくらい簡単に見分けられる。サボれば後でお前が地獄を見るだけだってばよ」
「ぐ...やってやらぁ!!少しでも強くなるんだ!!!」
「よし。今からトレーニングを始めるお前に大切な事を言っておく」
「なんだ?」
「お前の
「そう言われるとすげぇな...よし!!やってやるぜ!!」
イッセーは地面からリストバンドを取り上げて腕に装着する。次に俺が差し出したアンクルウェイトも装着して完璧だ。
「ちょっとこれ...歩くのも怪しいんだが...」
「お前は悪魔なんだから大丈夫だ。体がぶっ壊れるくらいで丁度いい、気張れよイッセー!」
「うっす!!」
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「だぁぁぁ!!死ぬぅぅ...ぜぇ、ぜぇ...」
「イッセーさん、後10回です!!頑張ってください!!」
「う...ぜぇ、はぁ、無理...」
イッセーは頑張っている。追い込んでいる...けど、後一歩足りない。当然だ、自分だけで限界まで追い込める人間はまず居ない。外的要因があってこそ人は限界にたどり着けるのだ。」
俺は変化の術を発動する。こうなりゃヤケだ。徹底的にイッセーを鍛え上げる。俺の尊厳は捨て置くべきだ。
「ナ...ナルトさん!?」
アーシアさんが驚愕の声をあげる。
流石にアーシアさんの前でおいろけの術を使うのは憚られた。
「イッセー、後10回頑張ったらイイコトしてあげる...あなたの大好きなおっぱいだって、好きにしていいわよ?」
「誰がそんなのに騙されるか!...でもなぁ!それでもおっぱいはおっぱいだもんなぁ!」
「うんうん」
「それに、このおっぱいはナルトだから何しても怒られないんだよなぁ...」
「流石に度を越したら怒るけど」
「そうだ...おっぱいに貴賤はねぇ!!偽おっぱいもすべからくおっぱいだ!!おっぱぁぁぁぁい!!」
イッセーが更に一回スクワットをする。
「ナ、ナルトさん!いけません!!そんなのダメです!!」
アーシアさんが涙目で抗議してくる。
「でも、イッセーはエッチな事がないとトレーニング頑張れないから...
「そんな...!」
「なぁイッセー、もっと頑張ってくれたらお前の好きな容姿に変化してやるぞ?」
「ま...まじで!?」
「おう。この術はかなり自由度が高いからな...ほら」
ぼふんと煙をたてて俺はアーシアさんに変化する。
「うぉぉぉ!すげぇ!!アーシアそっくりだ!」
「ほんとです...!鏡を見てるみたい」
「流石に細かい所は真似できないけど、外見と声だけなら似せられるってばよ」
「声までアーシアみたいだ...」
「この力があればイッセーの理想のお姉さんだって作りだせるぞ?」
「そんな...そんな手があったのか!!恐るべし...恐るべしだ忍!!そんな素晴らしい忍術があったなんて!!」
「うぅ...何にでもなれるなんてずるいです....でも!」
アーシアさんがイッセーに抱き着く。
「私負けません!!イッセーさん!後9回頑張ったら私がご褒美あげます!!イッセーさんにだったら何をされても構いません!」
「な、なんですと!!?アーシア...お前それどういう意味か分かってるのか!?」
「わ、分かってます...ナルトさんには負けません!!」
「いや、粉微塵も勝負してるつもりはないってばよ」
「うぉぉ!!アーシア!!俺はやってやるぞぉぉ!!!」
イッセーはどこかから湧いてきた力を使って更に追い込んでいく。
...なんというか、俺が出る幕は無かったのかもしれない。折角イッセーに好意を抱いているアーシアさんが居るんだし、アーシアさんに発破かけてもらえばよかった。
まぁ、アーシアさんが積極的にイッセーにアタック出来る機会を作ってあげられただけ俺の心の消耗は報われたかな...
そこからのイッセーは凄かった。それはそれは凄かった。
そして限界を何度も超えたイッセーは死んだ。
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「美味い、美味い...!!俺、生きてる...!!」
食事の時間がやって来た。イッセーは涙を流しながら食事を掻き込む。
確かにめちゃくちゃ美味しい。これ以上ないくらい豪華な食事が用意されていた。持ち込み食材だけでなく部長や木場なんかが採って来た食材もふんだんに使われているらしい。
「あらあら、おかわりもありますからたくさん食べてくださいね」
姫島さんがイッセーに笑いかける。この場に用意されている料理はほとんど姫島さん一人で作ったらしい...なんという料理スキルだ。
「朱乃さん最高っす!嫁に欲しいくらいです!」
「うふふ、困ってしまいますわ」
イッセーのテンションが爆上がりしている。
「....私もスープ作ったんですよ?」
アーシアさんがイッセーの隣で落ち込んでいた。
それに気づいたイッセーはアーシアさんのスープを一気に飲み干す。
「美味い!この優しさがアーシアらしくて最高だ!!疲れた体に染みわたる!!もう一杯!!」
「本当ですか!良かったです...これで私もイッセーさんの」
「ん?後半聞き取れなかったけどなんだって?」
「な、なんでもないです!」
アーシアさんがぶんぶんと手を振る...イッセーさんのお嫁さんになれるってか?
最近思ってきたのだが、イッセーは何かの主人公なんじゃないだろうか。あまりにも周囲に美少女が溢れすぎている...その上びんびんフラグを立てていくし。おまけに
その点で言うと俺も主人公スペックなんだけど、中身がそういう気質じゃない。
イッセーと俺を足して割ってドスケベ抜いたら...誰だそれ。
「ナルト、この後もイッセーの訓練かしら?」
「はい。夜からは戦闘で使える小技の特訓でもさせようかと思ってます」
「そう、すぐに始めるのかしら?」
「いえ、流石に少しは休ませないとイッセーがかわいそうなんで」
「じゃあ折角だし食事を終えたらみんなでお風呂に入りましょう。ここは温泉だから素敵なのよ?」
「え!?男女で時間をずらさないんですか?」
ついつい聞いてしまった。確かに部長達がそういう事に緩いのは知っているが、イッセーが居るのに一緒に温泉は不味いのでは...
ふと前を見るとイッセーから射殺されそうなほどの視線を向けられていた。
「わざわざずらす必要があるのかしら?」
「いや、皆さんが良いなら別に良いんですけど...」
イッセーの顔がみるみるエロエロになっていく。
どうせ覗けるとか思ってるんだろうな...アーシアさんの為にもどこかで矯正してやりたいが、今日でわかった。無理だ、これはもう魂とかそういう問題だ。アーシアさんもむしろ乗り気な所があるしもうそっとしておこう。
「僕は覗かないよ、イッセー君」
木場がニコニコと笑いながら攻撃をしかける。
「バカ!!お前なー!」
「あらイッセー。私達の入浴を覗きたいの?なら...一緒に入る?私は構わないわ」
部長がクスリと笑う。
えぇ...そこまでオープンだったのか...そりゃあ入浴時間をずらすなんて発想存在しない訳だ。
可愛い眷属だからか、そういう性分なのかは分からないが。
「朱乃はどう?」
「イッセーくんなら別に構いませんわ。うふふ、殿方のお背中を流してみたいかもしれません」
「アーシアは?愛しのイッセーとなら大丈夫よね?」
部長の問いかけにアーシアさんは顔を赤らめてこくりとうなづいた。
え?これってそういう流れなの...?なんか、俺の知らない間にオカルト研究部がすごい事になってたんですけど、木場とかどういう気持ちでこの光景を見ているの??
木場はニコニコとしているだけだった。こいつもこいつでちょっと浮世離れしてるもんな...
「最後に小猫、どう?」
「いやです」
塔城さんがノータイムで斬り捨てた。イッセーの顔が一気に絶望に包まれる。
良かった...塔城さんがオカ研女子の倫理最後の砦だ...
「じゃあ無しね。残念、イッセー」
「そんなぁ...!」
「覗いたら恨みます」
塔城さんが更に追撃をかける。イッセーはまるで人生が終わったかのような顔をしていた。
「イッセーくん、僕と裸の付き合いをしよう。ナルト君ももちろんね...二人の背中流すよ?」
「うるせぇぇ!!マジで殺すぞ木場ぁぁl!!!」
イッセーの怒りの叫びが別荘中に響き渡った。
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それからあっという間に5日間経ってしまった。
イッセーがどうせ殴られたりしごかれるなら、せめて見た目は美少女が良いと言って来たので、仕方なく女の子に変化していた事以外には特にこれといった問題も無かった。イッセーもなんだかんだ全てのメニューを全力でこなしてくれている。
イッセーの強化はかなり順調だ...流石にライザーを倒す所まではまるで届いていないが、他のフェニックス眷属ならばいけるのではないだろうか。
最後の確認として、
流石に今のイッセーの全力は舐めてたら危ない可能性があるし変化は無しだ。
「さてイッセー、部長から言われた期限は今日が最後だ...鬱憤も溜まってるだろうし、全力で来るってばよ。自分の成長を感じる絶好の機会だ!」
「わかってらぁ!言われなくても今日までの恨み...晴らさせてもらうぜ!!!」
既に
計算上は約25万倍の力を得ている...バケモノかな?
「おぉ...!!ぶへっ!」
イッセーはあまりの身体能力に振りまわれているようだ。最初の踏み込みで吹っ飛び過ぎて木にぶつかった。
「いて...痛くない。耐久力も上がってるのか...いけるぜ!!こぉいナルト!!」
イッセーが俺を挑発する。
...確かにそこらの生半可な攻撃ではイッセーに傷をつける事は出来ないだろう。
「そういう所を治せって言ったんだけど...な!!」
「ぶっっっっっ...!!」
俺はイッセーの目の前に飛び出して腹を殴りつける。
両手でガシリと腕を掴まれた。
「捕まえたぜ...!」
「...やるじゃん」
「お前の教えだけどなぁ!!」
腕を抑える力はかなりの物だ。すぐには振り払えない。
そのまま俺の腹に向けて蹴りかかって来たので、足を上げて膝で受け止める。
あまりの衝撃に少し体が浮いてしまった。すぐに逆の足で着地してフリーの方の腕でイッセーの顔面を殴りつける。
「ぶっ!ぐっ!!づっ!!」
流石にたまらず腕を離してしまったので、そのまま後ろを取って掌底でイッセーを吹き飛ばした。
「がはっっっ!!」
イッセーは着地と同時に振り返ってこちらに殴り掛かって来た。
「そう...決定的な隙を見せるまではジャブで相手を揺さぶれ。お前の攻撃なら軽くても結構なダメージになるはずだ」
イッセーは教え通りきちんと隙の少ない攻撃を繰り返している。
受け止めたり逸らしたりする腕がジンジンしてきた。流石に3分間の強化は伊達じゃないな。
途中でパンチを避けて後ろを振り向きながら腕を掴み、そのまま地面に投げつける。
「ぐっっっっっ!!」
衝撃でイッセーの顔が苦痛に歪んだ。
そのまま関節技をかけようとするが、イッセーが地面を思いっきり蹴飛ばして飛び上がったので失敗に終わる。
「よし。極められたら終わりだから、今みたいにしっかり逃げ出せよ。お前はただの人間じゃないんだから、今みたいに発想は柔軟にな」
「くそ...!まだまだ余裕あるなお前...」
「そりゃあ、たった5日で超えられたら俺の立場がねぇってばよ」
「へへ...でも、今の俺なら一発くらい!!!」
イッセーが更に攻撃をしかける。
脳死で殴り掛かって来ていた初期とは違い、蹴りや裏拳などある程度多彩な攻撃手段を使えている...まだどれを使うか決めるまでの時間が長いが、これくらいなら問題ないだろう。
イッセーのジャブをあえて顔面で受ける。
「よっしブフッッッ!!」
一瞬喜色が浮かんだイッセーの顔面に拳が叩き込まれた。
「油断するなっての...」
「っっっっっってぇぇぇ!!!」
「イッセーさん!」
イッセーは鼻柱を抑えてゴロゴロと転がる。アーシアさんが治療を施している。
『Reset』
イッセーの強化が解除されてしまった。
「ふぅ...まぁまだまだ教えたい事はあるけど、最低限形にはなったな」
「ほんとか...?まるで敵わなかったんだが」
「心配すんな。今のお前はライザーの眷属くらいならそうだな...2、3回倍加すりゃあタイマンならいい勝負が出来ると思うってばよ」
「ライザー本人は?」
「流石に無理だな。あいつは多少力が強くなった所で関係ないからな...能力がはっきり言って強すぎる。まぁ、倒し方に関しちゃ部長が考えてくれるだろ。今は少しでも強くなることだけ考えとけ」
「そうだな...」
「ナルトさん、お顔治療しましょうか?」
アーシアさんが俺の方に近づいてくる。確かにさっきパンチを受けた頬がジンジンする。けどまぁ、これくらいなら問題ないな。
「いや、大丈夫だよアーシアさん。放っておいてもすぐ治るから」
「そんなのいけません!しゃがんで下さい」
「あー...じゃあ、お願いします」
アーシアさんが俺の頬に手を添えて治療を施してくれる。優しい...イッセーの事知らなかったら勘違いしてしまいそうだ。実際してるやつ学園に腐るほど発生したし。
「くっそー!結局全力で戦ってもパンチ一発かよ!しかもわざと受けたやつ」
「でも、ほんとに強くなったぞイッセー。5日前とは見違えるくらいだってばよ」
「そうか?そうだな!よぉし!この調子でどんどん強くなってライザーの野郎をぶっ飛ばしてやるぜ!!」
「はい!頑張ってくださいイッセーさん!!」
アーシアさんがぱちぱちと拍手をしている...最近思っていたがアーシアさんがイッセーと関わっていく中でバブみを備え始めてるな...恐ろしや金髪シスター。
「さてと、5日間よく耐えたなイッセー。ご褒美と言っちゃなんだがお前の命令なんでも一個だけ聞いてやる権利をやるってばよ」
「まじで!?なんで急にそんな...」
「いや。何度もボコボコにしたのに、文句を言いつつも最後までついて来てくれたからな。今渡せる物はねぇからこれにしといた。ちゃんと有効活用してくれ」
「ナルトに命令一個か...どんな願いを叶えたもんかなぁ!」
イッセーの顔がぐへへと緩む。
イッセー曰くおいろけ系統の術は中身が俺の時点でアウトだが、鑑賞目的では大いにオッケーだそうだ。とても怖い...何よりイッセーの目の前で女の子に変化する事に慣れてきた自分が一番怖い。
「お前な...自分で言うのもなんだけど、貴重な機会なんだからちゃんと考えて有意義に使えよ?」
「わかってるって...部長の...いや、あえて空想の...」
絶対分かってなかった。そういうつもりじゃなかったんだけどな...まぁいいや。それならそれで一度言った事を撤回するつもりもないし、本当にそんなくだらない事を願うなら致し方無い。
「何でもいいけど別荘の方に戻るぞ。今日からは部長達の方での修業と勉強会なんだからな?」
「そうだった!!ついにこの地獄から解放されるんだ!!よっしゃー!!」
「いや...時間が空けば続けるってばよ?」
「は...?まじで?」
「当たり前だろ。少しでも強くなるんだろ?」
「ぐぅぅ...鬼!悪魔!!」
「悪魔はお前だろ...っと、そろそろ遅刻しそうだしまじで行くぞ」
「くそ...いいや、部長はきっと優しく指導してくれる!楽しい時間になるはずだ!断じて血生臭い戦闘訓練なんかじゃねぇ...」
イッセーはぶつぶつと何かを言いながら別荘の方へ歩いて行ってしまった。そんなに辛かったか...残念ながら部長も結構スパルタだと思うぞ。
「あの、私のワガママ聞いてくださってありがとうございました」
アーシアさんが話しかけてくる。
「いいってばよ。正直アーシアさんのお陰でイッセーの修業がすごく捗ったから、感謝してるのはこっちの方だし」
「そうなんですか?」
「そうなんです」
「ふふ、なら良かったです...それじゃあ私達も行きましょうか」
「おう」
アーシアさんはイッセーの元へと走って行った。律儀な子や...
「ふぅ...これで少しは肩の荷が下りるな」
正直友達を殴る蹴るするのはあまり心地よい感覚じゃなかった。終わって一安心は俺も一緒だ。
さてと、これで合宿前半戦は滞りなく終わった。
姫島さんと部長はいまいち実力を読み切れていないので分からないが、グレモリー眷属はかなりの粒ぞろいだ。きちんと連携すればライザー以外は充分倒せると思う。
それでもきっと、奴を倒すことは出来ないだろう...
その時は...俺がトドメを指してやる。
拳と共に決意を握りしめた。