うずまき忍者 in DxD   作:min-can

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約束

「塔城さん...やっと見つけた」

 

 追いかけたは良いものの、既に姿は見えなかったので足跡などを利用してなんとか探し出した。

 別荘には戻らず人目につかなそうな所に座っていたようだ。

 

「なんで来ちゃったんですか」

 

 ジト目で睨まれる。

 良かった...もうそこまで怒ってはいないようだ。

 でも、これからもう一回怒らせるかもしれない。それでも言わなければならない事があるだろうから。

 

「どうしても言わないといけない事があったから」

 

「...なんですか?」

 

 ふぅと息を吐く。

 

「塔城さんがどうして仙術をあんなに嫌悪してるのかは分からない。きっと辛い事があったんだと思う...だけど、ごめん。俺はどうしてもあの力が必要だ。だから、俺が仙術を使うのを許してほしい」

 

 頭を下げて頼み込む。

 

「....そんな事言われても困ります」

 

 しばらくの沈黙の後にぼそりと呟かれる。

 

「そうだよな...でも、絶対に必要な事だと思った」

 

「私はただ、ナルト先輩に...」

 

 そこまで言って黙ってしまう。

 

「追いかけてごめん。俺はもうここからしばらく動かないし、絶対に追いかけない。だから、俺と居るのが嫌なら今すぐ逃げてくれて構わないってばよ...けど、もし許されるなら塔城さんに昔何があったのか教えてくれないか?」

 

「...どうしてそんな事、聞きたいんですか?」

 

「知りたいからだ。どうして仙術を嫌がるのか、どうして俺は塔城さんを傷つけてしまったのか...余計なお世話かもしれないし、こういうのは部長や木場、イッセーなんかの方が向いてるのかもしれない...でも、眷属じゃなくても、悪魔じゃなくても、塔城さんはオカ研の仲間で俺の初めての後輩だから...どうにかしてやりたいんだってばよ」

 

「.....まだ知り合って一か月くらいしか経ってません。そんなに沢山話した訳でもないです...なのに、どうしてそんな風に思うんですか?」

 

「そうだなぁ...部長とかから聞いてると思うけど、俺って人柱力って言ってさ...まぁ一言で言っちまえば腹の中に化物を封印されてるんだってばよ。そんでその封印されてる九尾は皆に恐れ嫌われてるから、俺も同一視されちゃってさ...忍にも碌に仲間や友人を作る事が出来なかった。どれだけ好意的でも仕事仲間が関の山だった。まぁ、じいちゃんやエロ仙人が居てくれたから天涯孤独って訳じゃなかったんだけどな」

 

 塔城さんの横に座り込む。

 

「だから...オカルト研究部の皆が眩しかったんだ。種族だって違うのにちゃんと部員として、仲間として受け入れてくれた。そりゃあ契約の関係だから相容れない所もあるけどさ...それでも嬉しかったんだってばよ」

 

 塔城さんが膝をぎゅっと抱える。

 

「だから、塔城さんの事を知りたい、どうにかしてやりたいって...そう思ったんだってばよ」

 

 塔城さんは頭を下げて俯いてしまった。

 

「あー...ごめんな!これはあくまで俺の勝手な気持ちであって、余計なお世話だってなら...」

 

「....話します。ナルト先輩は昔の事話してくれましたから、私もします」

 

 手をアタフタとさせて慌てる俺にそう言ってくれた。

 

「そっか...ありがとな。言いたくない事は言わなくていいし、嫌になったらいつでもやめてくれていい...それでも、少しだけでも塔城さんの事知れたら嬉しいってばよ」

 

 塔城さんはコクリとうなづいて話始めた。

 

 猫又という種族であったこと。両親と死別してしまい、姉妹で生きるのに精いっぱいだったこと。姉が仙術使いであったこと。力を見初められた姉が悪魔に転生し、仙術と悪魔の魔力によって莫大な力を得たこと。姉が力に溺れて主を殺しはぐれ悪魔になったこと。一人残された塔城さんを悪魔達が責め立てた事。部長のお兄さんが助けてくれた事...

 

「...これで私の昔話は終わりです」

 

 塔城さんの顔は辛そうだった。嫌な事をいっぱい思い出したのだろう。

 

「そっか...ありがとう塔城さん。君の抱えている物、ちゃんとわかった」

 

「私が仙術を嫌うのは...先輩に使って欲しくないのはそういう理由です。力に溺れて悪に染まってしまう先輩なんて、見たくありません。だから...」

 

 目を細めて俺の服の端を掴んできた。

 

「でも...それでも先輩は仙術を使うんですよね...?」

 

「うん。塔城さんがどうして仙術を使って欲しくないのかは良く分かった...それでも俺は仙術を使うよ。だからって軽々しく俺は大丈夫だとか、心配しなくていいだなんて言わない...言えないってばよ」

 

 俺は塔城さんの両肩を掴み、しっかりと目を見つめる。

 

「だから...だから、俺を見ていてくれ!」

 

「見て...ですか?」

 

「あぁ。俺がこれからどうなっていくのか、その目で見ていてくれ。俺が大丈夫だって、塔城さんの心配するような事にはならないって絶対に証明してみせる」

 

「そんなの、何の保証にも...」

 

「あぁ、保証は無い。だからこそこれからの俺の生き様を見て欲しい」

 

「.....」

 

「まっすぐ自分の言葉は曲げねぇ。それが俺の忍道だ!...なんてな」

 

「なんですかそれ」

 

「俺が目標にしてる人の言葉だ。こんな時にピッタリだろ?」

 

「良く分かりませんけど...確かにそうですね」

 

 塔城さんが少しだけ笑いかけてくれる。

 

「私...ナルト先輩の事を見ています。もしも道を踏み外しそうになったら、仲間として止めます...だから、信じさせて下さい」

 

「あぁ!約束だってばよ」

 

 グーを差し出すと、それに拳を合わせてくれた。

 

「それじゃあそろそろ別荘に戻るか」

 

「...そうですね。そろそろ夕食の時間です」

 

 二人で歩き出そうとして立ち止まる。

 

「それはそうなんだけど...ここ、どこなんだってばよ?」

 

「...知りません」

 

「えぇと、こっちから来て...でももう葉っぱだのは飛んでるから足跡は使えないし...」

 

「...頼りになりませんね」

 

「ぐ...調子が戻って来たじゃないか塔城さん」

 

「ふふ...多分あっちの方です」

 

 塔城さんがとある方向を指さす。

 

「それじゃあ、まぁ...行くか」

 

「はい」

 

 この日、塔城さんと仲良くなることができた。お互い腹を見せ合う事が出来たからだ。

 でも、仲良くなれたからこそ俺は必ず仙術をマスターしなければならない。塔城さんが仙術を嫌う理由は、怖いからだろう。

 使おうと思えば使える仙術を、猫又としての力を恐れているから、姉のようになりたくないから...

 

 だから、俺は見せないといけない。誓った言葉を曲げない様を...そしていつか塔城さんが自分の力を、自分の事を本当に認められるようにしてあげたい。

 

「だったら先輩として、示してやらないとな...」

 

 拳を握る。新たな決意を胸に俺は前へと進むことを誓った。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 あっという間に合宿は終わってしまった。やる事が山盛りにあったので瞬く間に時間が経ってしまったのだ。

 ...一応、俺としてはやれることはなるべくやったつもりだ。模擬戦も積極的に付き合ったし、イッセーは特に念入りにしごいた。後半は甘くなってしまったが代わりに他のメンバーの強化にも協力したし、所詮は10日間なので能力自体は大して伸びていないが、技術や戦略面での伸びはなかなかのものだろう。

 仙術の方はダメだった。エネルギーを遠くの方に感じるような気はするのだが、全く近づいてこない。一応エロ仙人に報告したが、肌に触れる感覚があるまでは感知したことにならないらしい...厳しいなぁ。

 

 おまけに今回のゲームの肝心要であるはずのイッセーは...いや、よそう。あいつの事は気にしない。貴重な魔力の才能を全て女性の服を引ん剝くために注ぎ込むようなバカの事はもう知らない。

 

「さて、いよいよ今晩ゲームが始まるわ。各自夜までゆっくり体調を整えておいて。11時半までには部室に集合してちょうだい」

 

『はい!』

 

 最後の作戦確認が終わり、解散と相成った。

 まぁ俺は基本的に作戦に取り込まれていないからあんまり関係なかったけど。

 ...作戦と言えば結局ライザーの対策も浮かばなかったようだ。残存戦力でとにかく削り切る...という物になっている。正直厳しいもんな...俺を作戦に組み込んだとしても削り切るのは少々厳しいように思う。

 

「ナルト先輩」

 

 塔城さんが話しかけてきた。

 

「どうした?」

 

「ゲームの前に少しだけスパーリングに付き合って下さい」

 

「おう。俺も少しは動いておきたかったから丁度いいってばよ。何時ごろする?」

 

「10時くらいにお願いします」

 

「分かった。それじゃあ早めに部室に来ておくから、好きな時に来てくれ」

 

「おねがいします」

 

 合宿以降、塔城さんに頼ってもらえる事が少しづつ増えてとても嬉しい。

 今までだったら木場辺りに頼むか一人でやっていただろう。そこに俺を入れてくれるくらいには信用してもらえているようだ...それくらい便利ってだけかもしれないけど。

 

「おい!」

 

 イッセーが俺の腕を小突いてくる。

 

「最近思ってたんだけど、お前いつから小猫ちゃんと仲良くなったんだよ」

 

「まぁ、合宿で色々あってな」

 

「色々だと!!一体何をしやがった...小猫ちゃんに不埒な事してるんじゃないだろうな...!」

 

「服引ん剝く事に才能をつぎ込んだ奴にだけは言われたくねぇってばよ...」

 

「なんだと!」

 

「せめてもうちょっと戦闘用の力にしてりゃお前にもやりようがあったのによぉ!」

 

「お前なぁ!男のロマンを否定するってのか!?俺の溢れんばかりの欲望の...儚く散っていった男の想いの結晶なんだぞ!!」

 

「はぁ...なんでお前はこう...」

 

「ナルト先輩、エロバカが移りますよ」

 

「小猫ちゃん...相変わらず辛辣だね」

 

 あんなに元気だったイッセーが塔城さんの一言で撃沈した。

 流石塔城さん...イッセーの処理はお手の物だ。

 

「はいはい。じゃれ合うのも良いけどそろそろ帰りなさい?特にイッセー、まだ完全には疲労が抜けきってないでしょう?しっかりストレッチして休んでおきなさい」

 

 部長がパンパンと手を叩いて話を切り上げさせる。今までなら解散と言われたらすぐ解散していたし、部長がそんな事を言うのはちょっと珍しいかもしれない。

 

「合宿でより一層みんな仲良くなったもんね」

 

 木場がニコニコと笑っている。確かに全体的に部活メンバーとしてまとまって来た気がする。

 木場とも仲良くなれた。裸の付き合いって案外バカに出来ない。

 

 もう少しグダグダと集まっていたかった気分だが、休息は取れる時に取るのが大事だ。

 さっさと帰るとするか...

 

 .......

 

 塔城さんとの約束の時間になったので、軽く拳を受けている。

 体の動きの最終確認といった塩梅なのでそれほど力が必要な訳では無いが、それでも無意識に力が入っているように感じる。

 

「...よし、こんなもんでいいかな?」

 

「はい。ありがとうございます」

 

「それじゃあ部室に戻らないとな...塔城さんは何かリラックスできる物持ってきてるのか?」

 

「部室に読みかけの本があるのでそれを読みます」

 

「本か...確かによく読んでるもんな。俺はなかなか本を読む機会が無かったからあれなんだけど、今度何かオススメ教えてくれないか?」

 

「いいですよ...ゲームが終わったら教えてあげます」

 

「そっか。それじゃあ勝たないとな!」

 

「はい......ナルト先輩、私もオカルト研究部が大好きです」

 

「ん...?」

 

「だから、お願いします。ライザーを倒してください」

 

 塔城さんが頭を下げる。

 

「おう!俺に任せてくれってばよ!」

 

 胸をドンと叩いて笑いかける。

 塔城さんもそれを見ると少し笑ってくれた。

 

 そうこうしているうちにあっという間に部室に到着する。

 

「あら、もう良いのかしら?まだ時間はあるけれど」

 

 部長の言葉に塔城さんはコクリと頷く。

 

「そう...それじゃあ、いつも通り過ごしましょうか。まだ全員揃っている訳じゃないし、戦いの前に気を張りすぎても仕方ないものね」

 

 部長がそう言うと姫島さんが俺や塔城さんの分の紅茶を注いでくれていた。

 

「はいどうぞ、二人とも」

 

「ありがとうございます」

 

 どこの銘柄とか全然知らないけど、姫島さんの淹れてくれる紅茶はすごくおいしいので好きだ。

 なんというか...これからゲームがあるとは思えないくらいゆったりとした時間が流れる。

 

 その後木場が現れ、更に少しした所でイッセーとアーシアさんも集合した。

 

「どうしたイッセー、柄にもなく緊張してんのか?」

 

「う、うるせぇ...しょうがないだろ。戦いなんてなれてねぇんだから」

 

「まぁ、そんなに気張らなくてもいいってばよ。お前の力は今回の戦いでも充分通用する」

 

「...そうだな!あの地獄の日々を思えばこれくらい屁でもねぇぜ!」

 

 イッセーがにぎやかしてくれるお陰で部室の雰囲気も少し明るくなった。

 やっぱりこういうのはイッセーが得意だなぁ。

 

 そうしてリラックスしながら雑談していると、部室の魔法陣が輝きだした。

 

「開始十分前です。皆様準備はお済みでしょうか?」

 

 グレイフィアさんが現れた。いよいよ時間か...

 

「開始時間になりましたら戦闘フィールドへと転送させていただきます。使い捨ての空間ですので思う存分力を発揮してください」

 

 使い捨てフィールドか...建物とかに配慮しなくていいのは分かりやすくていいな。

 

「そういえば部長、部長にはもう一人僧侶がいるんですよね?その人は...?」

 

 イッセーが思い出したかのように聞いてくる。確かにもう一人の僧侶が誰なのか未だに明かされていない。大事な試合なんだし出て来てもいいと思うんだが...

 

 その言葉を聞くとイッセーやアーシアさんなどを覗いて皆の様子がおかしくなった。また地雷か...もしかしてグレモリー眷属って訳アリの子が集まってるのか?まぁ、俺も人の事あんまり言えないけど...

 

「残念だけど、もう一人の僧侶は参加できないわ。いずれあなた達にも話す時が来るでしょうね」

 

 部長はそれだけ言うと目を瞑ってしまった。これ以上は聞かないでという事だろう。イッセーも弁えて身を引いた。

 

「今回のレーティングゲームは両家の皆様も他の場所から中継で戦闘をご覧になります...また、魔王ルシファーさまも今回の一戦を拝見されております。それをお忘れなきように」

 

「お兄さまが?...そう、お兄さまが直接見られるのね」

 

 部長が驚いたように呟く。合宿中の勉強会で教えておいたから大丈夫だが、知らなかったらイッセー今頃大騒ぎしてるんだろうな...

 

「最後に、うずまきナルトさん。今回のゲームにおいてあなたには一つ制限事項が存在します」

 

「制限...ですか?」

 

「はい。両チームの駒が半数以下になるまで影分身の使用を禁止させていただきます...これはゲームバランスを考えた上での判断です。特例でゲームに参加している以上は、ご了承頂くようよろしくお願いいたします。」

 

 なんだ...制限っていうからどんな物かと思ったけど、それなら納得だ。要するに影分身のごり押しで序盤、中盤戦を終わらせないようにという事だろう...そもそもそんな作戦は無いから気にするほどではない。こちらも半数減らないと使えないって所はかなり気になるが...

 

「問題ないわよ。ナルトに頼り切るつもりなんて毛頭ないんだから。これはレーティングゲームで、私の戦いなの」

 

 部長がグレイフィアさんを少し睨む。

 

「ご理解いただけているようで何よりです。それでは転移致しますので魔法陣にお集まりください。一度あちらに移動しますと終了まで魔法陣での転移は不可能となりますので、ご注意ください」

 

 忘れ物がないかを確認して魔法陣に集合すると、視界は転移の輝きに包まれた...

 

 さて...いよいよゲーム開始だ。

 

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