うずまき忍者 in DxD   作:min-can

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ゲームの序盤中盤はほとんど原作と変わらないので大幅カットさせていただきます。


レーティングゲーム

「....」

 

 俺は一人、オカ研のソファー黙って座っていた。

 次々に届く両チームのリタイアアナウンス。

 こちらはすでに搭城さんと姫島さんがリタイアしてしまっている。後一人リタイアすると俺の影分身が解放されるが、それを喜べるような性格はしていない。仲間がやられていくのを座って待っているだけなのがこんなに苦しいなんて知らなかった。

 

 今すぐにでも飛び出してしまいたいが、部長の言葉を思い出してぐっと我慢する。

 

 ライザー一人、それもある程度は部長達がダメージを与えた状態のライザーの撃破。それが俺がこのゲームで出して良い最大限の戦功なのだそうだ。ライザー以外はグレモリー眷属内で倒せないとゲームとして話にならないらしい。

 

 それで傷付いていく部員の皆を思うとバカバカしく感じてしまうが、それだけ悪魔の面子というものは重要らしい。魔王の妹が魔王の口添えで手に入れた忍を利用してワガママで婚約を解除させた、では部長のお兄さんにも迷惑がかかる。それに仲間が傷つけられて辛いのは部長も一緒だ。過ごしてきた時間を考えれば部長の方が辛いだろう。皆が同意している以上は俺が勝手をするのは許されない。

 

 ライザーの対処は部長達には厳しいだろう...俺だって絶対に倒せるとは言えない。とはいえ何も絶望的な訳ではないそうだ。俺の影分身が終盤まで封印されているのが決め手になったらしく、今回のゲームは婚約を無理矢理結ばせる為の物ではなく、あくまで公平にゲームを進めるつもりがあると分かったと言っていた。

 

 ライザー眷属vsグレモリー眷属では俺の影分身がパワーバランスを崩してしまう。逆に眷属の減った終盤戦では俺の影分身を封印しているとライザー側にパワーバランスが崩れる。

 ゲームとしての体裁を整える為に選手に縛りを入れることは良くあるらしい。すなわち俺達にも勝機が必ずあるという事だ。

 

 だから待つ。部長の指示があればすぐに駆けつけられるように...ライザーをぶっ倒す為に...

 

「リアス・グレモリー様の騎士(ナイト)、リタイア。これによりうずまきナルト選手の制限が解除されます」

 

 ギリリと歯軋りしてしまう。木場もやられてしまった。

 恐らくライザーの女王(クイーン)がやったのだろう。

 

 姫島さんを押しきる力を持っているのだ。木場がやられてしまうのも仕方がないだろう...少し気になるのは一緒に行動しているはずのイッセーのリタイアは聞こえてこない事だ。

 実力的には木場がやられた以上イッセーも厳しいはずだが...女王(クイーン)と戦っているのか、今行われている(キング)同士の戦いにお互い参戦するつもりなのか。

 

 はっきりとしないまま時が流れる。

 ふと、轟音が鳴り響いた。良く知っている魔力。

 イッセーの魔力だ。おそらくかなりの倍加をした上での魔力攻撃。今頃ライザーは度肝を抜かれている所だろうか...

 

「ライザー・フェニックス様の女王(クイーン)、リタイア」

 

「...よし!!」

 

 拳を握りしめた。イッセーが女王(クイーン)を吹き飛ばしたらしい。皆の敵を取りやがった。大金星だ!

 

『ナルト、いよいよライザーだけになったわ。もちろん準備は出来てるわね?』

 

 インカムから声が聞こえる。

 

「当たり前だってばよ。すぐにそっちに向かう!!」

 

『お願いするわ!...切るわよ』

 

 それだけ言うと無線が切れた。

 

「影分身の術!!」

 

 四人に増えた俺は部室を飛び出す。最初に食らわせる技は決めていた。運動場にてチャクラを急速に高めていく。

 

 新校舎の屋上ではイッセーがライザーに殴られている。

 分身一人をイッセーの元に向かわせることで対処する事にした。かなりのダメージを負っているようだがまだ動けるはずだ。イッセーにここでリタイアされる訳にはいかない。

 

 俺は手裏剣をライザーに向けて投げつけた。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ちっ...間が悪いな人間君」

 

 イッセーの胸倉を掴んでいたライザーに向かって突き進んだ手裏剣はライザーの胴体を貫通し腕を切り落とした。手裏剣によって出来た欠損からは炎が吹き出し、あっという間に何事もなかったかのように修復される。

 

 その間に俺はイッセーをアーシアさんの方に投げ飛ばした。一度後退してライザーと距離を取る。

 

「なるほどな...ここで忍を投入するという訳か。いいねリアス。認めてやるよ...そこの兵士(ポーン)君は赤龍帝だった。忍の使い方も申し分ない。先の事も考えた悪くない采配だ...君は最低限ゲームを遂行できると証明してみせたわけだ」

 

 ライザーが妙に芝居がかった様子で部長を褒め始める。部長も、アーシアさんに治療を受けているイッセーも怪訝な表情を浮かべていた。

 

「だが無意味だ!!赤龍帝のガキがどれだけ力を増そうが!!そこの忍が何をしようが!!俺には...不死身のフェニックスには届かないのさ!!」

 

 ライザーの背中から膨大な炎が立ち上り不死鳥を形作る。自分たちが相対している存在が何なのか、肌を焼く高熱の風と共に叩きつけて来る。

 

「う...」

 

 後ろのイッセーからうめき声が聞こえた。これほどのプレッシャーはイッセーが受けるには酷だろう。俺でも若干たじろいでしまう。これがフェニックス、これがライザー...態度で忘れそうになるが、実力は本物だ。

 

 それでも...

 

「届くかどうか、試してやるってばよ」

 

 運動場から飛び出してきた本体の俺がライザーの目の前に瞬身で肉薄する。瞬身の術と言えるほど完璧ではないが、己を鍛えない悪魔相手なら充分だ。

 

「風遁・螺旋手裏剣!!!」

 

「ぐぉっ...!!な...ぐ、ぎゃ!!」

 

 螺旋手裏剣がライザーの炎を削り尽くしていく。再生すればするほど同時に性質変化したチャクラがライザーを削り取り、ひたすらにライザーの精神力と魔力を削っていく...

 

「らぁぁぁあああああああ!!!!」

 

 少しでも長く手裏剣を維持できるよう必死でコントロールする。その影響で右腕の経絡系はあっという間に切断され尽くし、骨も何もズタズタになっていく。経絡系がどうしようもなくなったタイミングで飛び退き、螺旋手裏剣の圧縮が解けた。

 

「う...づっっっ...がぁぁぁぁ!!!」

 

 経験した事の無いような痛みが俺の腕を襲う。見るも無残な姿になった腕は、経絡系がズタズタであるが故にチャクラが通らず再生能力が上手く働かない。

 

 すぐアーシアさんに治療してもらわないと治らないかもしれない。俺はライザーに背を向けてアーシアさんの方に向かおうとした。

 

「流石ナルトだぜ!!!今すぐアーシアに.....は?」

 

 視界の先で喜んでいたはずのイッセーの声が途絶える。

 振り返ると人型の炎が揺らめきながら俺の肩を掴もうとしていた。

 

「...ぐ!!」

 

 肌を焼く痛みと悪臭が広がっていく。

 

 炎は少しづつ形を取り戻し、やがてライザーを形作った。

 

「ぜぇ...ぜぇ...やってくれたな、人間風情が...」

 

 ライザーの拳が俺のどてっぱらに突き刺さる。

 

「かはっっ!!」

 

 あまりの痛みに膝をついてしまった。

 

「今のは効いたよ...これほどの痛み、苦しみ!!初めてだった...ぞ!!」

 

 今度はライザーのつま先が先程と同じ場所に突き刺さる。

 

「....!!!」

 

「おいおい...勝手に寝てるんじゃないよ。もっと痛めつけないと気が済まないんだからなぁ!!」

 

 髪を掴んで無理矢理立ち上がらせた後、再度腹を殴られる。

 少し宙に浮いて、着地姿勢を取る事も出来ず地面に倒れこんだ。

 

「ぐ...ぶ...」

 

 内臓からの出血が喉を塞ぐ。

 

「ナルトォ!!!」

 

 イッセーがこちらに駆け寄る。

 

「死にたいのは分かるが順番は守ってくれよ。今はこいつをいたぶる時間なんだ」

 

 ライザーは俺の事をわざとらしく踏みつけながらあざ笑う。

 

「てめぇ!!!」

 

「イッセー...お前は、少しでも力をためてろ...」

 

「でも!!」

 

「俺は大丈夫だ...ってばよ。お前より、ずっと頑丈...だから」

 

「くっっ!!」

 

「いい心構えだなサンドバッグ君。存外タフで嬉しいよ」

 

 ライザーは何度も俺を立ち上がらせては殴る蹴るを繰り返す。

 反撃しようにも片腕が死んでいるからなかなかうまくいかない。まずい...

 

 他人よりずっとタフな自信はあるが、だからって一方的に殴られ続けても平気という訳にもいかない。

 

「はぁ、はぁ...ハハハハハ!!無様だな人間くぅぅん!!」

 

 唯一救いなのはライザーが予想以上に脆かった事だ。螺旋手裏剣でも精々半分くらいかと思っていたが、存外ダメージを受けてくれている。

 

「げぼ...」

 

 血を吐きながら立ち上がる。

 ライザーも疲れてきたのか、攻勢が衰えてきたので少しづつ回復の余裕が出来てきた...まぁ割と瀕死だけど。

 

「その目...気に入らないなぁ!!おい」

 

 俺の顔面を掴んで地面に叩きつける。

 

「このまま顔面を灰にしてやるよ」

 

 ライザーの手から炎が溢れそうになる直前、何かがライザーの上半身を吹き飛ばした。

 

「リィィアァァスゥゥゥ!!」

 

 部長の魔力がライザーに当たったらしい。すぐに炎がライザーの上半身を形作ると、爆炎を滾らせ部長に放った。

 部長ももう一度魔力で応戦する。

 

 二人の間で魔力が溶け合い、莫大なエネルギーとなって周囲を吹き飛ばした。

 

 俺はその隙にライザーの足元から離れる。よし...なんとか体に力が入るようになってきた。

 

「あなたを吹き飛ばすのは私よ!!」

 

「そうは言うがリアス、君ももう魔力が尽きてきただろう?さっきの一撃で分かった。もはや君は限界に近い」

 

「バカにしないで...そういうあなたも随分息があがっているように見えるけれど?」

 

「クク...そろそろ投了したらどうだ?赤龍帝のガキも傷は治せても体力までは戻らんだろう。必死こいて力を増加させた所でたかが知れてるしな...忍のガキも限か」

 

 最後まで言う前に後ろからクナイで首を刺してやった。クナイが炎で融解して空いた穴は炎と共に再生する。

 

「不死身の俺が言うのもなんだが、お前も大したタフネスだな...流石はバケモノと言った所か?」

 

 首根っこを掴まれる。そこから全身を焼くように炎が俺を包んだ。

 

「がぁぁぁぁぁl!!!!」

 

「いい加減死ね、バケモノが」

 

「やめろぉぉぉぉ!!」

 

 イッセーがライザーの元に飛び出してしまった。

 イッセーの拳がライザーの胸を貫通する。

 

「近づくな下級悪魔」

 

 そのままライザーの膝がイッセーの腹に突き刺さった。

 

「あ...ごぼっっっ!!」

 

 イッセーの口から尋常じゃない量の血が溢れる。

 

「ぐ...てめぇぇ!!」

 

 九尾のチャクラが怒りで漏れ出し、急速に皮膚の火傷を修復する。

 そのままライザーに殴り掛かろうとするが、その前にかかと落としで顔面を地面へと叩きつけられた。

 

「ぶ...!!」

 

「ナルト!!イッセー!!」

 

 部長の叫び声が聞こえる。

 くそ...本格的にまずい。意識が飛びそうだ...

 

「ハァ、ハァ...いい加減死ねって...もうウンザリだ」

 

 ライザーがぐりぐりと俺の頭を踏みながらそう呟く。

 そして、何度も何度も俺を蹴りつける。ライザー自身体力が無くなって来たのか威力はそこまで無いが、身動きが取れない俺にはどうしようもない。ひたすら体を丸くして耐えるしかない。

 

「げ、ぐ、ぶ、ぐぶ!!」

 

「くしょ...ちくしょ...」

 

 イッセーの方から掠れた声が聞こえる。

 少しぼやけてきた視界には、イッセーが血反吐を吐きながら悔し涙を流している様が見えた。

 

 ...泣くなよ。お前は頑張ったじゃねぇか。不甲斐なかったのは俺だ...ライザーは俺が倒すなんて思いあがってた、そんな俺が情けなかっただけだ...

 

 ふと、紅い光が見えた。

 

「俺が...俺は...」

 

 イッセーの左腕から光が放たれていた。イッセーはフラフラと立ち上がる。

 

 ライザーも怪訝な様子で黙ってイッセーを見つめる。

 

「俺は、情けねぇ。仲間も、友達も...好きな人も、何にも守れねぇ...堕天使の時と一緒じゃねぇか...」

 

 イッセーが左腕に叫ぶ。

 

「居るんだろ!!俺の神器(セイクリッド・ギア)には!!すげぇドラゴンが...!!赤い龍の帝王が...!!げぼっ!!」

 

 真っ赤な血反吐を神器(セイクリッド・ギア)にぶちまけて、それよりも紅い神器(セイクリッド・ギア)に叫ぶ。

 

「なんでもくれてやる!!この後どうなってもいい!!俺に...!こいつをぶちのめす力をくれ!!!出来るんだろ!!?なぁ!!」

 

 神器(セイクリッド・ギア)が赤く紅く輝く。

 これは...

 

 ゾワリと悪寒がした。イッセーは...一体何をしようとしてるんだ...?

 

「俺は...最強の兵士(ポーン)になるんだッッッッッ!!!」

 

 イッセーから尋常じゃないプレッシャーが放たれる。それと同時に俺の中からも力が溢れてくる。

 九尾が腹の中で荒ぶっているようだ。

 

「輝きやがれぇぇぇ!!!オーバーブーストォォォ!!!!!」

 

『Welsh Dragon over booster!!!!』

 

 視界全てが赤に染まる。

 

「ぐ...!!なんだ!?」

 

『奴が完全に目覚めたようだ...チッ、本当に忌々しい。二度と関わるまいと思っていたのにこの様だ...』

 

 九尾の声が聞こえる。

 

『腸が煮えくり返りそうだ...!!おいナルト...今すぐあのガキを殺せ!!目障りだ!!』

 

「するわけ!...ってか、なんだあれ...」

 

 視界が戻ってくると、イッセーが居なかった。

 代わりにイッセーの立っていた場所に鎧を着た何かがいた。

 

「赤い龍の...帝王」

 

 無意識に呟いてしまった。

 

「これが龍帝の力。禁手(バランス・ブレイカー)、『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』!お前をぶっ殺す最強の力だ...!!」

 

禁手(バランス・ブレイカー)!?」

 

 驚きの声をあげてしまう。そんなバカな...イッセーはまだ赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を発現したばかりだぞ!?禁手(バランス・ブレイカー)なんて神器(セイクリッド・ギア)の最奥に届くはずが...

 

 先程の言葉を思い出した。なんでもくれてやる、どうなってもいい...まさかあいつ!!

 

「死ぬつもりかイッセー!!」

 

『Ⅹ』

 

 鎧から何かしらのカウントが始まった。

 

「死なねぇよ!!そういうお前の方が死にそうじゃねぇか、ここは俺に任せてアーシアに治してもらえ!!」

 

 イッセーが俺をアーシアの方に投げ飛ばした。

 

「ふべ!!」

 

「ナルトさん...!」

 

 アーシアさんが即座に俺の治療を始めてくれる。見上げると部長は驚愕に顔を染めていた。

 くそ...不甲斐ないが今はイッセーに任せるしかない。すぐに治してイッセーを援護しねぇと...

 

「おらぁぁぁ!!!!」

 

 イッセーの連続パンチがライザーを穴ぼこにする。すぐに再生した。

 

「くそっっ!!これでどうだ!!!」

 

『boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!』

 

「は...?」

 

 惚けてしまった。boostの音声は倍加が発生した合図だ。それが連続で鳴ってるって事は...

 

「ドラゴンショット!!!」

 

『Transfer!!』

 

 イッセーが殴った魔力の塊から尋常でないエネルギーが放たれる。ライザーは一瞬で消し飛んだ。

 

「...ちぃ!!この土壇場で禁手(バランス・ブレイカー)だと!!?ふざけやがって...!!」

 

 少し時間をかけて再生したライザーがイッセーに応戦する。互いに拳をぶつけ合う。

 すさまじい威力の拳が互いから放たれる。余裕が無いのかノーガードでひたすら互いを削り合う。

 

『Ⅶ』

 

 カウントが鳴り響く。恐らくゼロになったらイッセーの禁手(バランス・ブレイカー)が解除される。

 その後どうなるかは分からないが、この調子だとライザーに殺されかねない...

 

 俺が、やらないと。

 幸いアーシアさんの治癒で経絡系は充分回復した。

 

 螺旋手裏剣ではダメだ。時間がかかりすぎる。

 俺は影分身を三人用意する。急ピッチで螺旋丸を作り出していく...

 

 ギリギリまで...イッセーが力尽きるギリギリまで圧縮し続けるんだ。

 

『Ⅲ』

 

 カウントスリーで突然禁手(バランス・ブレイカー)が解除された。虚を突かれたが俺は即座に飛び出す。

 

「ナルト!!」

 

 イッセーが倒れこみながら手を差し伸べてきた。俺はそれを螺旋丸を持っていない方の手で触れる。

 

『Transfer!!』

 

 瞬間、信じられないくらいの力が充満した。これが、赤龍帝の...イッセーの...!!

 俺が作り出していた大玉なんておもちゃに見えるくらいのバカみたいな大きさの螺旋丸が生まれた。

 

「俺達の勝ちだ...!」

 

「ふざけるな...!俺はフェニックス!!不死身の...」

 

「超大玉螺旋丸!!!!」

 

 新校舎を丸ごと覆うレベルの螺旋丸がライザーに向けて放たれる。

 爆音と共に全てを粉々に削り取り、そのクズすらもすりつぶす。

 

 チャクラの爆風が周囲の全てを吹き飛ばした。

 土煙が晴れた先には...巨大なクレーターが佇むのみ。

 

 ライザーは...

 

 注意深く周囲を見渡すが、炎が立ち上る様子は無い。

 

「王のリタイアを確認。今回のゲーム、勝者はリアス・グレモリー様となります」

 

「やった...」

 

 ずいぶんと簡素な勝利宣言だ。

 

 後ろを振り返ると部長に抱きかかえられ、アーシアさんに治療されているイッセーが俺に向かって拳を向けていた。

 すぐにそっちに向かう。

 

「このハーレム野郎め...かっこいいんだよ畜生」

 

 イッセーの拳に拳を合わせた。

 禁手(バランス・ブレイカー)の姿には正直震えた。あれが赤龍帝の本当の力か...

 

「へへ...お前のお陰でギリギリ勝てたぜ...」

 

 イッセーは色々限界みたいで意識が朦朧としているようだ。

 

「本当に、無茶するんだから...腕もこんなことになって」

 

 部長が撫でる腕を見ると、龍の鱗がびっしりと生え悍ましい爪が生えていた。あれが、代償という奴なのだろうか...?イッセーはドラゴンに近づいて行っているのか?

 

「腕一本で部長が守れるなら...ナルトを助けられるなら、安いもんっすよ」

 

「バカ...ありがとうイッセー」

 

 部長がイッセーにキスをした。

 

「ぶ、ぶ、部長!?」

 

「私のファーストキスよ。日本では女の子が大切にするものよね?」

 

「ファ、ファーストキス!!?俺なんかでいいんすか!?」

 

「えぇ、頑張った眷属にはそれ相応のご褒美をあげないといけないでしょう?」

 

「お、お...うぉぉぉ!!げほっ!!」

 

 大興奮のイッセーが血反吐を吐いて気絶した。

 

「イ、イッセーさん!」

 

 キスの衝撃でフリーズしていたアーシアさんが治療の為に動き出す。

 ...最後の最後で格好つかねぇ奴だ。

 

 部長はイッセーを地面に寝かせて、優しく頭をなでるとこちらに近づいてきた。

 

「イッセーはいいんですか?」

 

「そうね、名残惜しいけど気絶してしまったのでは仕方ないわ...それに、私はあなたにも感謝しなければならないもの」

 

 そう言うと部長が抱き着いてきた。

 

「うお...!!」

 

「本当にありがとう...何度も何度も傷ついて...本当に、ありがとう。あなたがいなければライザーに勝つことは出来なかったわ」

 

 そういうと部長は俺から離れた。

 何がとは言わないがすさまじい感触だった。イッセーには悪いが一生覚えておこう...

 

「ごめんなさい。イッセーはすごく分かりやすいけど、あなたにはどうすれば報いる事が出来るのか分からないわ...」

 

「気にしないでください...俺も、オカルト研究部の仲間なんですから。部長を助けるのは当然だってばよ」

 

「ありがとう...私に力になれる事がなんでも言ってちょうだい。この恩は絶対に忘れないわ」

 

「なら、これからも...みんなといっしょに...」

 

 返事しようとして急速に意識が失われていく。

 流石に無理しすぎた...

 

 最後に感じた感触は固い地面ではなく、温かく、紅い何かだった。

 

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