うずまき忍者 in DxD   作:min-can

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再戦の時

 次の日は、手裏剣術の特訓や単純な運動、印を組む練習などして時間を潰した。

 そのまた翌日からは学校に行くことになった。

 場所が分からなかったが、適当に歩いていれば小学生どもが列をなして歩いているので自然とたどり着く事が出来た。クラスはノートに書いてたので問題ない。

 名前も知らない子供に囲まれて、苦痛なほど簡単な授業を受けて、普通に喋るとどうしててばよって言わないのー?といじられまくったので、てばよてばよ言いまくって気が付けば初日は終わっていた。

 家に帰ればまた修業、寝て起きて学校、修業...

 じいさんはあの日一日中修業を見てくれてたのが噓みたいに忙しそうにしていた。

 

 焦れる心を置き去りにして、代り映えのない日々が長らく過ぎていった。

 たまにあるじいさんとの修業の時間では、体術も忍術もそれなりに教えて貰えた。

 

 今では変化の術も多少使えるようになった。手裏剣もクナイも的に当たるようになってきたし、体術も少しは出来る。

 分身の術はどうにも上手く出来ないが...あれは結構繊細なチャクラコントロールが必要だ。大雑把にしか扱えない俺ではヘロヘロで白黒の分身しか生み出せなかった。

 

 九尾のチャクラが邪魔をするって感覚が最初は良くわからなかったが、今ならなんとなくわかる。

 チャクラを知覚してコントロールする力がついていくにつれて、腹の中の九尾のチャクラの強大さが伝わってくるのだ。

 こんなものを感じながら繊細に自分のチャクラだけを操作するなんて無理無理。

 おまけになまじチャクラの量が膨大なせいで、制御が効きにくく無駄にチャクラを練ってしまう。

 練る量に無駄があれば使う量にも無駄がある。無駄無駄まみれでそりゃ上手く術を発動出来ないわ...

 

 変化の術だけは、チャクラコントロールよりも想像力の方が大事らしく、なぜか出来た。

 おいろけの術のマスターは近いかもしれない。

 

 九尾もあれ以来ちょっかいをかけては来ない。おそらくちまちま渡しても無駄だしいちいち機会を伺うのが面倒になったのだろう。

 俺がボロボロになったり、強い憎しみを抱いたり、力を求めればまたひょっこりちょっかいかけに来るだろう。

 

 そうして、気が付けば2年の月日が経っていた。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「...っは!」

 

 木の幹にチャクラで張り付いて周囲に置いている的に手裏剣を投げる。

 ...全部当たったか。

 現在、家の近くにある森で修業をしている。色々出来ることも増えてきたので、中庭では少々手狭なのだ。ここなら複雑な森の中を駆け回る事で修業になるし、最悪何かあってもそんなに問題になることはない。

 

 もう中学生になるのに未だに影分身を覚える事は出来ていない。

 螺旋丸も...惜しい所まで来ているが、やっぱりもう一人影分身が欲しい。チャクラコントロールが難しすぎる...

 その代わりと言ってはなんだが、基礎的な能力は結構向上している自信はある。

 まぁ出来るようになった事も、出来ないままの事もあるって事だ。

 ...出来ると言えばてばよが癖になってきて不意に出てしまうのは誠に遺憾だが、これもある意味成長かもしれない。

 

 とにかく、毎日修業漬けの日々を過ごしている。

 

 とはいえこの体に入った頃とは比べ物にならないくらいには成長しているが、実戦を積んでいる訳じゃないので本当に強くなっているのかと言われると自信がない。

 

 手裏剣を回収しながらそんな事を考える。果たしてこのままで良いのだろうか...結局今までなぁなぁで何も知らずにここまで来てしまった。

 あいつに...サスケに再び出会ったとき、本当に俺は立ち向かえるのだろうか。

 

 そんな事を考えながら帰路に就く。

 随分と遅くなってしまった。今日は早めに帰ると言っていたし、じいさんも待ってるだろう。

 

 駆け足で家に向かっていると、爆発音が聞こえた。

 

「...っな!」

 

 家の方から爆炎が上っている!一体何が...!

 

 屋根という屋根を伝いながら最短距離で家の方に向かう。

 間違いなく家で火が上がったようだ。にしても、あんな炎自然に上がるわけが...

 

 ぞくりと嫌な予感がした。

 炎...火遁...

 しかし、この数年間一切姿を現さなかったあいつがわざわざ現れる理由がわからない。

 いや、あの土蔵には核心的な何かがあるはずだ...じゃないとあんなに強固な結界を使う必要がない。

 もしそれを狙っているのなら...

 

 一気に飛び上がって中庭に着陸する。

 炎が周囲一帯に燃え盛る中、一人の男が佇んでいた。下には何かが倒れている。

 

「じいさん!!!」

 

 じいさんが血を流して倒れていた。

 まさか、やられてしまったのか...?

 

「そんな...」

 

 修業をつけてもらっていたからわかる。この人はめちゃくちゃ強い。今の俺でも全く歯が立たない。年齢による衰えを感じさせない実力者だった。

 

 気が付くと、涙が溢れてきた。

 

「お前...」

 

 ぶっちゃけ赤の他人だったし、そんなに好きな訳でもなかった。いつまで経っても忍になる事を認めやしないし、術もなかなか教えてくれないし、土蔵も開けてくれないし、半分育児放棄だったし...

 でも、それでも...この体になってからは間違いなく家族だった。

 

 色々な事を教えてくれた。合間を縫って修業をつけてくれた。忍としての基礎を叩き込んでくれた...

 この世界に突然放り投げられた俺にあった最初の繋がり...

 

「許さねぇぇぇl!!!!」

 

 目の前の男に殴り掛かろうとすると、何かが俺の横っ腹を蹴り飛ばした。

 

「がはっ!!」

 

「来やがったかナルトォ...」

 

 すぐに姿勢を戻してそちらを見やると、そこにいたのはやはり、うちはサスケだった。

 土蔵から出てきたらしい。何かの巻物を男へと投げ渡していた。

 

「てめぇ...邪魔するな!!俺はあいつを!!」

 

「行かせる訳にはいかないな。どうしてもやりたいってなら...せっかくだ。来いよ、ナルトォ!」

 

 サスケがくいくいと手招きしてくる。

 

「お前に用はねぇ...!」

 

 ギリリと歯を食いしばる。お腹の奥から絶え間なく膨大なチャクラが送られてくる...

 憎しみの感情に気付いた九尾の野郎が俺にチャクラを注いでいるのだろう...下手に利用すれば封印が弱まるかもしれない...

 

「知った...事か」

 

 溢れ出るエネルギーを温存など考えずに全てチャクラに回していく。

 

「へぇ...これが九尾の力か。実際に見るとなかなかのもんだな」

 

「どけぇぇぇぇ!!!」

 

 本能の赴くままに殴り掛かる。サスケはそれらをいなしていくが、力を流しきれず着実に傷を作っていく。

 

「ぐっ...!これほどか...!」

 

「らぁぁぁ!!」

 

 どてっぱらに拳をめり込ませ、吹き飛ばす。

 塀を貫通して外に飛び出した。

 

「げほっ...くそ、やりやがる...」

 

「がぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 フラフラと立ち上がるサスケの顔面に拳を叩きつける。

 

 コンクリートをえぐりながら転がっていくサスケにひとっ飛びで追いつきもう一度殴り掛かるが避けられる。コンクリートが大きく砕け、その破片が顔面を叩く。

 一瞬目を塞いでしまった。その隙にサスケは体勢を変える。

 

「舐めるな...!」

 

 地面に手をつき、かかとで俺の顎を蹴り上げる。

 

「ぎっ...!」

 

 そのまま空中の俺に回し蹴りをして、逆に地面に叩きつけられた。

 

「ぐはっ!!」

 

「はぁ!!」

 

 手裏剣が投げられる。俺は反応出来ずに全て受け止めてしまう。

 

「ぐぅぅぅぅ...!!」

 

 強烈な痛みで怯む俺の横腹にクナイが深く突き刺さった。

 

「がぁぁぁぁ!!!」

 

 あまりの痛みに視界がバチバチとホワイトアウトする。

 

「お前にこれが受けきれるか...!」

 

 そういうと、少し後退してサスケは印を結び始めた。

 

「火遁・豪火球の術!!!」

 

 サスケの口から爆炎が吹き出され、俺は逃れる事も出来ずに炎の本流に飲まれた。

 

「ぐぎぎぎ...!!!」

 

 俺の体が爆炎で焼き尽くされていく。

 痛い...けど、これくらい...!

 

「もっとだ...もっとチャクラをよこせ...九尾!!」

 

『...良いだろう。好きなだけ使うがいい...憎しみに身を任せてなぁ!』

 

 体中からポコポコと九尾のチャクラが沸いて出てくる。

 チャクラの衣が纏われていくと同時に、焼け焦げた肌が急速に修復されていく。

 

 炎を掻き分けてサスケの元に肉薄する。

 

「なにっ...!」

 

「だぁらぁぁぁ!!」

 

 殴り掛かるが、写輪眼で見切られる。勢いのままサスケとの距離が開いてしまうが、チャクラのしっぽが勝手に伸びてサスケに殴り掛かる。一度は避けたが二度目で地面に叩きつける。

 

「がはっ...!」

 

「がぁぁぁぁl!!!」

 

 倒れこむサスケの元に飛びつき、無我夢中で殴りつける。

 土煙が晴れると、そこにあったのは木片だった。変わり身の術か!!

 

「死ね!!」

 

 サスケが背中をクナイで刺そうとしたようだが、衣に阻まれてまともに刺さらなかった。

 そのまま裏拳を食らわす。吹き飛んで中庭に戻っていった。

 

 追撃をかけるために飛び込む。

 

「千鳥...!!」

 

 突如何かが俺の腹を貫いた。

 

「ぐ...がはっ!!」

 

「あんまり...俺を舐めるなよ糞が...」

 

 腕を抜き取り、俺を転がす。

 

「う...が...あ...」

 

 あまりのダメージにチャクラの衣が解けて、チャクラ全てが回復の為に流れていく。

 

「くっ...ダメージを受け過ぎた」

 

 サスケが膝をつく。

 

「げほっ...!ぐ...!!」

 

 俺は腹の中から溢れ出る鮮血を吐き出し、体を引きずって近づいていく。

 

「お...まえ、に...」

 

 こらえようとするが、意識は無情にも薄れていく。

 最後に見えたのは俺を見下す、赤い瞳だけだった。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ここは...」

 

 気が付くと、知らない部屋にいた。

 俺は、サスケと戦って...それで?

 

 起き上がると着た覚えのない浴衣を着ていた。

 

「ん?ようやく起きたかのー?」

 

 後ろから声をかけられた。振り返ると知らないおじさんがいた。

 

「あんたは...」

 

「ワシか?ワシはのぉ...まぁ、蝦蟇仙人とでも呼ぶが良い」

 

「蝦蟇仙人...じゃあ、蝦蟇仙人はどうして俺をここに?」

 

「先生が死んだと聞いてすっ飛んでくればガキが先生の家で血塗れになって倒れとったからのぉ...とりあえずワシの宿に寝かせておったという訳だ」

 

「先生ってのは...」

 

「そう。お前と一緒に住んでたじいさんだ。あの方はワシの師匠だった。故に死後の事は諸々任されておってのぉ...」

 

 そういうと、目の前の男は巻物を取り出した。

 

「ついでにお前の事も任されておる。うずまきナルト...ほれ、これを読むがよい」

 

「これは...じいさんの」

 

「そうだ。お前の為に書かれた物だ...読むがよい」

 

 そこには、ただ一言。お前を忍として正式に認める。おめでとう、という文字が書かれていた。

 

「...結局、何も言わず仕舞いじゃねぇか」

 

 蝦蟇仙人が俺に額当てを手渡してくる。

 無言でそれを身に着ける。これで、俺は正式に忍になったという訳だ...

 

「ナルト。今日からお前にはワシの元に来てもらう。修業もつけてやる、忍についても教えてやる...それが先生の遺言だしのぉ」

 

「...わかった。けど、最後にあの家に行きたいってばよ」

 

「...身辺整理も終わった上に屋敷はもはやほとんど焼け落ちてるがの。まぁよい。明日にはここを発つ、それまでは好きにしろ」

 

「うん...」

 

 俺は蝦蟇仙人の元を離れて外に出る。

 見た感じそれほど家から離れていない場所のようだ。ここなら迷わない。

 

 しばらく駆けてたどり着いたのは、見るも無残に焼け焦げた我が家だった。

 なんだかんだ二年住んでいたのだ。それなりに思い出はある。

 それが、全て無くなっていた...

 唯一残っているのは土蔵だった。

 

「何かあるのかな...」

 

 入ってみると、先ほど言われた通り関係者が整理したのだろう。中は初めから何も無かったみたいに綺麗になっていた。

 あるのは空の箪笥くらいのものだ...

 

「あれ?」

 

 端っこの方に不自然な箱が放置されていた。

 開けてみると、巻物と手紙が入っていた。

 

 ナルトへ

 誕生日おめでとう。お前ももう中学生になった。

 本当にあっという間だった。

 年齢的にも、実力的にも、お前を忍として認めざるを得ない頃合いだ。

 故にこれをおぬしへの誕生日の祝いとして送る。

 おぬしならばきっと、この術をうまく扱えるだろう。

 ナルトよ、おぬしにはこれから様々な運命が待っているだろう。

 わしももうお前を必要以上に庇護する事は出来んくなるだろう。

 様々な悪意に晒されるやもしれん。強い憎しみに囚われる事もあるやもしれん。

 だが、誰よりも力強く、誰よりも真っすぐに生きてくれることを願っている。

 

「なんだよそれ...」

 

 そういえば、もうじき俺の誕生日だった。

 巻物を開く。

 

「これは...多重影分身の術」

 

 読み進めていく。

 

「はは...なんだ、こんなに簡単だったのか...こんな単純な事に気づけなかったなんて...はは...ぐすっ」

 

 巻物と手紙を大事に抱えて土蔵を出る。

 こことももうお別れだ。

 

「さよならだってばよ...じいさん」

 

 俺は名残惜しさを背に蝦蟇仙人の居る宿へと駆け出した。

 

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